UP TO YOU   作:ふぁんたぴるら

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紅白戦終盤です。


第二節~NO ONE CAN BEAT THAT~

やられた…!

 

誰もが三失点目を覚悟したその時。

 

「あれ?ボールがないっ?」

 

先輩の足元からボールがなくなっていた。

 

「へへっ。そのドリブル。一回目見ただけで充分見抜けましたよ。」

 

海矢君の足元にはボールが。

 

「スライディングで奪わせてもらいました。」

 

「んなっ!いつの間に!」

 

ベンチからも驚きの声が上がる。

 

気づいたらボールがなくなっていたのだ。奪われた本人も全く理解できないだろう。

 

スライディングで奪った!?

 

嘘だ。あんな短時間にスライディングができるわけがない。

 

 

メカニズムはよくわからないが今度は一年生にチャンスだ。

 

未来がボールを受けた。

 

そして。

 

「走れFW!」

 

裏にボールを出す。

 

しかし先程とは違って球威が凄まじい。

 

まるでシュートだ。

 

これではいくら杉山君が裏に抜けても足の速い先輩が有利だ。

 

ミスキックなのだろうか?

 

 

「未来のパスミスはこの試合はじめてだな。」

 

ベンチでも誰かか呟く。

 

 

 

しかし。

 

バアアァァン!

 

ボールは強烈にバーにはねかえった。

 

詰めていた杉山君(弟)がシュートをうつ。

 

 

決まった!

 

「いや。きまんねーよ!」

 

 

「なにっ?」

 

ボールは勇芯君の手に収まっていた。

 

バーにはねかえってからの体勢の立て直しが尋常じゃないくらい速い。

 

反射神経とポジショニングで背の低さをカバーしている。

 

 

そしてキーパーのパントキックの競り合いから相手のスローインになる。

 

 

「A&Bチーム選手交代!」

 

そこで相手チームの選手交代が告げられる。

 

…っと出てくるのは…。

 

 

えっ?

 

「おーい。神崎先輩!交代です。」

 

「な、波乃さん!?」

 

「お、お前いつまでベンチにいんだよ。8kmでへばってるよーじゃあだめッスよ一年。」

 

 

バカな。ペースは一時間で8kmだから緩いが距離が距離だけに足はまだ張っているはずだ。

 

それなのになぜ彼は涼しい顔でピッチに入っていけるのだ!?

 

 

「中学2、3年の頃はずっと外周走らされっぱなしだったもんでなぁ。スタミナはあんだよ。」

 

波乃さんがコートに入る。

 

くそっ。こうなりゃ僕も!

 

「一年チーム交代!」

 

「杉山兄君!」

 

「りょーかいっ!」

 

杉山君と交代してコートに入る。

 

…よーし。目立つぞ!

 

 

 

 

試合時間はあと20分。

 

スコアは0-2。

 

そろそろ一年はスタミナが厳しくなってきているだろう。

 

 

相手のスローインから再開する。

 

海矢君が波乃さんにしっかりとついていく。

 

 

 

しかし。

 

「軽いッスね。」

 

鋭い切り返しに海矢君がついていけず置き去りになる。

 

すぐにセンターバックがカバーにはいる。

 

「緩い!緩い!中学生じゃないんスよこっちは!」

 

だがクライフターンであっさり抜かれてしまう。

 

そこからカットインシュートで相手の三点目が入る。

 

コートに入ってワンプレーで結果をざすとは。

 

あの人伊達に先輩やってないな。

 

「はっ!中学生のお子様たちとは違うんスよ!」

 

波乃さんが雄叫びをあげる。

 

「一年からゴール奪ったくらいでちょーしのんな!Mr.罰走がぁ!」

 

魚庭さんに怒られる。

 

だが、«一年から»ってのが気に入らないな。

 

 

 

見せてやりますよ。

 

 

 

僕のファーストタッチとなってしまったキックオフから試合は再開する。

 

バックラインでボールを回している間に魚庭さんのマークをはずそうとする。

 

「くっ。これにもついてきますか。」

 

「たりめーだ。後輩に失点一つ許されないんだよ。」

 

そこにくさびのパスが入る。

 

くさびのパスは攻撃のスイッチ!

 

 

ON!

 

 

ダイレクトで横に流す。

 

走り込んできたのはこの試合大車輪の活躍を見せる海矢くん。

 

しかしその海矢君についていっているのは砂地さん。

 

「オレをふりきろうなんて100年はやいわ!」

 

「どうですかね!」

 

カウンターだ。

 

「海矢君。後ろ!」

 

カバーに入る。

 

海矢君のヒールでおとしたボールを受けてゴールをみる。

 

直線距離にして28mってところか。

 

位置はこちらからみてペナルティーエリアから少し右にそれたところ。

 

つまり利き足での右足でのシュートコースは限られる。

 

でも。

 

「カットインだぁ!」

 

もらった!

 

左足でシュートを撃とうとしたところで魚庭さんの足がのびてくる。

 

「ナイスブロック魚庭!」

 

 

 

 

…いや。撃ちはしませんよ。

 

キックフェイントからのマルセイユルーレッとで魚庭さんをかわす。

 

「な、なに!?あとタイミングでキックフェイントだと!?」

 

一対一のチャンス。

 

「もらった!」

 

しかしそこにはコースを完璧に読んでたっていた勇芯君がいた。

 

…真正面!

 

だか勇芯君はシュートをキャッチすることができず弾く。

 

そこに。

 

ズザァァァァ。

 

未来が滑り込んでくる。

 

未来のスライディングシュートは勇芯君の脇をすり抜けてネットにささる。

 

『しゃぁぁぁーーー!』

 

ベンチ含め一年全員の歓声が響く。

 

1-3

 

これから修際の未来を切り開いていく一年にとって大きな大きな一点が入った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「いやー疲れたー。」」

 

試合が終わり僕と海矢君が制服に着替えながら呟く。

 

海矢君は今日攻守にわたり本当に活躍した。

 

そして試合後の全体ミーティングでは花風監督から一年チームのMVPに選出されていた。

 

試合はあの後先輩たちが一年がバテた終盤に2点追加して1-5という結果で幕を閉じた。

 

その後監督から修正点がA、Bチームに伝えられて2時間にわたる初日の練習は終わった。

 

 

 

 

帰り道。

 

「あれ?未来と波乃さんこっちなんですか?」

 

隣には自転車をこぐ2人の姿があった。

 

「そうだよ。オレは実家がこっちなんだよ。」

 

「そーなんですか。」

 

「未来も実家からかよってるの?」

 

「オレは違う。独り暮らし。家族は北海道だから。」

 

「「ほ、北海道!?」」

 

北海道から東京に高校から独り暮らしとは。なにか特別な事情でもあるのだ

ろうか。

 

「うん。北海道。だから中学は向こうの中学だった。」

 

「またなんでわざわざここに。」

 

「まぁ色々あってな。」

 

「波乃さんは中学はどこなんですか?」

 

「オレはな、……」

 

「オレは…?なんですか?」

 

「オレは…」

 

急に黙ってしまった。どうしたのだろうか。

 

「静岡なんだ。」

 

「へぇ~静岡だったんですか。どこ中ですか?」

 

二人とも県外とは以外だ。

 

寮に入ればいいのに。

 

「オレは…。焼村中だ。」

 

 

衝撃が走った。




次回は柿山との試合になります。

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