UP TO YOU   作:ふぁんたぴるら

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修際VS柿山 試合も中盤に突入していきます。



第四節~A DESTROYER~

波乃さんがボールを持って縦に仕掛ける。

 

「おらおら!」

 

スピードで相手につっかかっていく。

 

「おい!ディフェンスが軽いぞ!粘っこくついてけ!」

 

相手監督が激を飛ばす。

 

確かに相手の対応は軽率だった。

 

でも波乃さんのドリブルもかなり切れている。

 

さっきのゴールで触発されたのだろう。

 

「雲野さん!中!」

 

波乃さんがクロスをあげにかかる。

 

でも相手もスライディングで阻止を試みる。

 

「らぁ!」

 

強引に右足を振り抜き高いクロスが上がる。

 

少し高すぎるけど背の高い雲野さんにとっては絶好球だろう。

 

「DF流すな!クリアー!」

 

相手GKが叫ぶ。

 

「オーケー。中盤!」

 

クロスは残念ながら相手に阻まれてしまう。

 

そしてボールは楠さんにわたった。

 

「カウンター!」

 

「ヤバイ!波乃!戻れ!」

 

楠さんが坂本君めがけてロングボールを入れて相手カウンターが始まる。

 

「ちっ!とりあえず後らせるしかねぇ!」

 

魚庭さんが坂本君に対応する。

 

止めるのは厳しいと判断して間をとっている。

 

「ったく。遅かれ早かれオレがボール持ったら終わりだよ。」

 

坂本君ぎ一瞬で魚庭さんの股を抜く。

 

「しまった!」

 

これでは完全に一対一。

 

「おらおらおらー!まてこらぁ!」

 

そこに砂地さんが駆けつける。

 

「はぁ。追いかけることしか考えてねぇなてめぇ。」

 

しかし、坂本君にこれまたあっさり股を通されてしまう。

 

「くっ。どっちにくる。右か左か。それともループか。」

 

勇芯君が前に出ていく。

 

「よっ。」

 

坂本君が上半身を揺らして揺さぶる。

 

そして、

 

「簡単に股が開くな。これやると。」

 

勇芯君の股を通す。

 

「ナイスシュート坂本!」

 

「まだとってこうぜ!」

 

0-2

 

まだ恐らく10分たっていない。

 

上手い。それに速い。

 

さすがにこのゴールには堪えるものがあったのか波乃さんも声がでない。

 

雲野さんのタッチで試合が再開される。

 

 

 

そこからは修際のセンターバックとボランチのどちらか片方の3人体制で坂本君に徹底マークに付き相手の破壊力を押さえ試合展開は落ち着いていく。

 

しかし肝心の得点がとれる気配もなく前半も時間的に残りワンプレー。

 

修際は波乃さん。湖才さん。水飼さんの二列目三人がポジションチェンジを多用しながらのミックスパスワークで相手DFを翻弄する。

 

「湖才さん!」

 

「水飼!」

 

「波乃!」

 

ダイレクトパスを相手陣内で繋ぎ続ける。

 

そして次の瞬間。

 

「湖才!裏!」

 

雲野さんがオフサイドラインギリギリに抜け出す。

 

「雲野!」

 

湖才さんのキラーパス。

 

しかし。

 

「おいおい雲野。お前の飛び出しはジュニアユースで熟知してんだよ。」

 

「なっ!楠!」

 

このパスに唯一楠さんが反応している。

 

そして、

 

「坂本!」

 

「あいよ。」

 

一瞬の出来事でマークが外れて坂本君がフリーになってしまう。

 

「しまった!囲め!」

 

魚庭さんの指示で三人がすぐに囲む。

 

相手も何人かがあがってきているが砂地さんの運動量ならカバーは充分だろう。

 

「さぁてと。どう料理すっかな!」

 

「…ん?キーパーちっせーじゃねぇか。…そうだ。」

 

坂本君が三人から距離をとる。

 

そして思いっきり足を振り抜いた。

 

まさか!

 

「キーパー!」

 

魚庭さんが叫ぶ。

 

「いや!オーバーだ!」

 

ボールはゴールの上を通過する……いや。

 

「落ちた!」

 

「ちくしょうが!」

 

ボールはゴールの左すみに突き刺さった。

 

「おいおいまじか!スーパーゴールだぞ!」

 

「前半だけでハットトリック達成!」

 

「45mはあんだろ。これは。」

 

騒然とするグラウンド。

 

前半だけでハットトリックは死刑宣告に等しい。

 

「港君。後半から行きます。準備していてください。」

 

そんな中こっちでは未来が呼ばれた。

 

これって…デビュー!?

 

すごいな。

 

しかしそんな未来のデビュー戦は前半から荒れている。

 

どんな心境なんだろうか。

 

とそこで、

 

「ピッピー!」

 

前半終了の笛がなる。

 

0-3

 

先輩たちの足取りも重い。

 

「やべぇよ。…あいつやべぇって!」

 

魚庭さんが呟く。

 

「私から言うことはとくにありません。後半も沈黙を保ちます。魚庭君を中心にミーティングをして後半に望んでください。あと釣背君と港君が交代です。港君はトップ下に、トップ下の湖才君はボランチに入ってください。」

 

そういって監督はトイレに言ってしまった。

 

そしてボーッとミーティングを眺めていると、ふいに声をかけられた。

 

「よぉ岬。どうだ。アイツは。」

 

同じジュニアユースで仲のいい正視が声をかけてくる。

 

こいつはそういえばベンチにいるんだった。

 

トイレの帰りだろう。

 

「アイツって?」

 

「坂本だよ。アイツ。なんかすげーらしいな。」

 

「あぁ。そういえば同い年だよね。坂本君も。」

 

あまりにすごくて信じられないけど坂本君は僕らと同じ1年生。

 

本当にヤバいな。

 

「それはそうとお前ベンチにも入ってねーのかよ。だせーなぁ。」

 

グサッ

 

「まぁいいや。次の会うまでには入っとけよ。じゃあ。オレはこの試合にもでるかもしんねーし。」

 

そういうって正視はいってしまった。

 

くっそ!負けてられるか。

 

 

 

「ピピッ」

 

審判が笛をならす。

 

後半が始まるようだ。

 

 

 

「……~~。よし!いくぞ!」

 

『おうっ!』

 

魚庭さんの声でチームに活気が戻る。

 

三点差をひっくり返せるのだろうか。

 

 

 

「ピーっ!」

 

柿山ボールで試合が始まる。

 

 

 

「もらいっ!」

 

波乃さんがボールをカットする。

 

「岬!」

 

「はいっ!」

 

未来が中央でボールをもらう。

 

こっからどうつないでいくか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE 港 未来

 

「岬君。後半から行きます。準備しておいてください。」

 

そう監督から言われたとき、心臓がとまりそうだった。

 

緊張した。

 

でも、次第に緊張は消えて、燃えてきた。

 

オレがこの状況をひっくり返す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「岬!」

 

「はいっ!」

 

公太君からボールが回ってくる。

 

初タッチ。

 

しかし、感慨に浸っている場合ではない。

 

「雲野さん!」

 

縦パスを入れる。

 

そして雲野さんが強引に前を向いて相手センターバックと対峙する。

 

「決めて見せる…!」

 

雲野さんが得意のドリブルで振りきりにかかる。

 

「くそがっ!」

 

相手センターバックもしつこくついていく。

 

しかし、雲野さんは競り合いながらも強引にシュートを打つ。

 

「ナイシューナイシュー!打ってこう打ってこう!」

 

枠には飛ばなかったが後半のファーストシュートは修際。

 

まずまずのでだしと言える。

 

 

 

「坂本!」

 

相手キーパーのゴールキックはピタリと坂本にわたる。

 

「しまった!一人行け!」

 

魚庭さんの指示でオレが行く。

 

「ほぉ~だれだてめぇは。後半からでてきたのか?」

 

「港 未来だ。お前とは一度全中でやった。」

 

「そりゃあ経験豊富でいいことだな。まぁそんときもズタズタにされたんだろうがな。」

 

「ふん。そのリベンジだよ。今日はっ!」

 

隙を見て足を伸ばす。とった!

 

「甘い!」

 

しかしボールを引かれて奪うことはできない。

 

「うーん。やっぱてめぇは覚えてねぇや。まぁいちいち倒した雑魚は覚えている必要もねぇしな。」

 

ちっ。舐めやがって。

 

「サッカーという11対11のスポーツにおいて今まで戦ってきた人数を数えたらきりがねぇ。それに今までどの試合も圧勝で試合に対する興味もあんまなかったし。オレに言わせればどの試合も11匹サルと戦ってたと同義だぜ。」

 

その瞬間。オレの視界から敵とボール以外が消えた。

 

よくわからないけどなんか体が軽い。

 

…これなら。……勝てる!

 

足を伸ばす。次は奪える!

 

「なにっ!?」

 

ボールはもうオレのもんだ!

 

「あいつ坂本からボールをうばったぞ!」

 

ゴールまで60m。敵はキーパー除いて5人。全員抜くのは無茶だけどこれならゴールまで行ける。

 

まず目の前にいたサイドバックはシザースからのダブルタッチで横を通り抜ける。

 

「なんだあいつは!?はえぇ!」

 

センターバック二人が同時によってくる。

 

おいおい。二人つられちゃダメじゃん。

 

二人の頭上をヒールリフトでかわして一対一。

 

左サイドバックはついてこれそうもない。

 

あと35m 。

 

「はっ!やるなてめぇ。だが覚えてねぇ。」

 

坂本が追い付いてくる。

 

ちっ面倒だな。左足インサイドで右に逃げる………

 

「追い付いたぜこの野郎!」

 

と、見せかけて左アウトサイドで横にきた坂本の股を通す。

 

「逆エラシコだと!?」

 

ゴールまで23m。

 

キーパーが出てくる。

 

「でてきすぎだぜ。」

 

フワッと頭上を狙ったループシュート。

 

優しくネットに触れる。

 

 

 

「う、、、うおおおーーー!!すげーぞあいつ!坂本含む4人抜きして一人でカウンターを完遂したぞ!」

 

「あいつもNEW GOLDEN AGEか!?」

 

そう。今のオレは奴等にも匹敵する。

 

「ちっ。なんだってんだお前は!?」

 

「なんだっていいだろ?…そうだ、はやく始めようぜ。追い付くのも時間の問題だ。…まぁ。これで顔くらいは覚えてもらったと思うけどね。」

 

すれ違い様に会話を交わす。

 

そうだ。もっとやろうぜ。今の状態でならどれだけでもやりたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「坂本。大丈夫か?」

 

「ああ、問題ねぇ。…よしっ。こっちも本気だすとすっか!」




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