SIDE 港 未来
「よし。こっからあと二点差。ひっくり返してやりましょう!」
「ああ。坂本へのマークを2人にして、完全に湖才をゲームメイクに専念させる。攻撃は、波乃、港、水飼の個人技にまかせる。そこをボランチと雲野でうまくやってくれ。」
「結局攻撃についての指示がないんですけど。キャプテン。」
「ああ。無い。」
「ピーッ!」
「よぉ。さっきのお返しに来たぜ。」
坂本がよってくる。
「なんだ。オレはトップ下なんだが。悪いがお前のマークじゃない。」
「ははっ。いいよいいよ。気にしなくても。オレが下がるから。…ってことっすよね?楠先輩?」
「ああ。お前にはそいつのマークを頼む。」
…ちっ。じゃまなやろーだ。
そこから数分が経過してもオレがボールを持つ機会がなく修際のチャンスはない。
まず坂本がオレについているためチームメイトもパスを出しにくいというのが一つ。
そして仮にまわってきても坂本のチェックがはやく、ダイレクトではたくしかないというのがもうひとつ。
「…ったく。つまんないだろ。」
坂本に問いかける
「ホントだぜ。好きにできないっつーのは。中学の時は考えられなかった。」
「監督が回れ右しろっつったら回るのが日本人だ。」
「…?…なにがいいてぇ。」
「オレ逹は変に生まれてきたのかもな?」
「あぁ?訳わかんねーよお前。」
「こうして先輩や監督のいってることを素直に受け止めれない。」
「同類だなぁ。」
「…」
「…」
「もう一回やりますか!」
「本気でいってんのか?」
「ああ。本気さ。お前だってあのままじゃ嫌だろ?」
「でもオレが本気出したらお前なんか瞬殺だぜ?そしたらお前先輩に怒られるぞ?」
「じゃあやってみるか?」
「波乃さん!」
「みな…(だめだ坂本のヤローがついていやがる!これでカットされて守備に戻んのはごめんだ。)」
「波乃さん!はやく!」
「(くそっ!どーなったってしるか!)」
「へぇ。やるじゃんお前。デビュー戦で先輩を押しきるたぁな。」
「そりゃどうも。…じゃ、さっきの続きで。」
クライフターンで一発で振りきりにかかる。
しかし、向こうもさすがについてくる。
「港!よこせ!」
水飼さんの声が聞こえる。
「おいおい。先輩が呼んでるぜ?」
「お前こそ。さっきの会話を忘れた訳じゃあないだろ?」
「上等じゃねーか。」
「おい!坂本!軽いぞ!本気でやれ!」
「ちっ。しゃーないな。わりぃな。もうお前と仲良くできねぇわ。」
「なにを?」
「お前との格の差を見してやる。」
気づいたら足元からボールがなくなっていた。
「おいバカ!はやく出しとけよ!」
…くそっ!
しかしつねに坂本を目でおっていたセンターバックの二人がすぐに詰める。
そこをエラシコで抜き去る。
『しまった!』
完全に独走状態。
ザシュッ!
ネットを揺らす乾いた音が響く。
「4点目ーー!」
「ナイシュー!」
「おい港!責任感の無いプレーをするな!さっきはカウンターだったからドリブルは正しい選択だった。点にも繋がった。ただ今のはチーム全体でボールを運んでいた時じゃないか。そこでパスをせずドリブルをするのは自分勝手でしかないぞ。」
ちっ!
「ほぉら。いわんこっちゃない。」
次はやってやる!
「ピーッ!」
試合が再開される
先程とは違って観客やらベンチにいるチームメイトやらぎ目につく。
「まったく…。散々なデビュー戦だな…。」
「…と!港!おい!」
しまった!
完全に気を抜いていた。
不用意なバックパスをカットされる。
そこから超ロングシュートがネットを揺らす。
「イェーイ。5点目だぜ!」
歓喜の声が上がる。
「港。」
「魚庭さん…。」
こっちに向かって魚庭さんが歩いてくる。
パアァァン!!
「痛っ!」
おもいっきり頬をビンタされた。
「お前なぁ…。たった一回のミスを引きずってんじゃねぇよ!またすぐバカなこと繰り返しやがって!サッカーが楽しくねぇんだったらさっさとグラウンドから出ていけ!」
「おい波乃!」
「(ビクン!)なんすか?まさかオレまで?勘弁してくださいっス!」
「あいつ完全に混乱してやがる。うまくパス引き出してやれ。」
「了解っス!」
SIDE OUT
SIDE 岬 日向
信じられなかった。
まさかものの20分でこんなにプレーの波が激しい選手を始めてみた。
後半開始直後のドリブルは素晴らしかったが今僕の目の前の未来のプレーは酷い。
パスもドリブルもオフザボールの動きも気が抜けてしまっている。
「さぁてと、港君はここからどうするのでしょうかねぇ。」
監督が呟く。
もしかしてこうなることをわかっていたのだろうか。
そこからは坂本君がベンチに下がり修際がボールを支配する時間が増えていったがやはり点は奪えない。
そして未来のミスも目立つ。
まったく何もない退屈な20分間が過ぎて、1-5というスコアで試合終了した。
試合後
「港君。少し来てください」
「…はい。」
未来は監督に呼び出されていってしまった。
「そうっスよね、デビューがはやけりゃ活躍するってわけでもないっスからね。」
「とくにお前よりオレのほうがデビューは早かったもんな。」
隣の水飼さんと波乃くんの会話がやけに耳に残った。
校舎裏
「君には人にはないものがあります。
ただそれはまだ泥だらけに汚れた石ころでしかありません。
まだ磨いてもいないでその泥だらけの石ころをダイヤモンドだと言って人に見せてもなんの価値もありませんし信用もしてくれないでしょう。
これから君はその石ころを頑張って磨いてください。
磨き方によってはそれは眩い光を放つ宝石になります。しかし、今日のように自分勝手な磨き方ではピカピカの泥団子にしかなりません。
今のままでは見にくいソリストでもあと5度頭を上げてプレーしてみてください。
そうすればオーケストラを指揮する偉大なマエストロになれますよ。」
「…はい。ありがとうございます。」
「私が北海道にいたあなたをわざわざチームに呼んだのは、ただかわいそうだったからではありませんよ。ただ、あなたという石に魅力を感じ、磨いてあげたいと思ったからです。」
また、中途半端に終わらせてしまいました。
すいません。
なんか試合も変に終わらせてしまったのですが、次回はもっと中途半端に未来の過去に迫ります。
序盤での過去編というのも難しいのですが、一旦未来がどういう経緯で修際に入ったのかを明確にするので。