ライザー=フェニックスの日常   作:兵太郎

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大佐

ーーイザベラは戦場の一部、彼女が撃たれたその場所に立っていた。隣にはエーミールと、男の傭兵が1人。そして、ライザーとシーリス、カーラマインが立っていた。

 

「名前は……確かスナザラと言ったな?君はどこから私を撃ったんだ?索敵では半径300m以内には敵の姿を確認できなかったぞ」

「……キャンプ地からでもその気になれば狙撃はできる。俺はその程度の実力は持っているつもりだ」

「……素晴らしい。君のような秀才が『SAFS』に降ってきてくれた事、嬉しく思うぞ。君ならすぐにでも少佐……いや、中佐辺りにはなれるだろう」

「……俺を、責めないのか?」

「戦場で敵を撃つのは当たり前だ。どこに責める必要があろうか?」「……ふっ」

傭兵はイザベラに小さく一礼すると、その場を離れる。『SAFS』の本隊に戻ったのだろう。イザベラはその背中が見えなくなるまで見送ると、エーミールの方を向いた。

 

「……よし、やるべき事は全てやった。エーミール、頼む」

その言葉にエーミールは、涙をこぼす。

「大佐、わかっているのですか?あなたはこれから……記憶を消されるのですよ!?」

イザベラは『SAFS』を脱隊する。それ故、『SAFS』に関する記憶は全て消しておかないと、内部機密を漏らされる可能性があるのだ。だから、今からイザベラは、『SAFS』に関する全ての事……戦いの事、勝利の事、そして、エーミール達仲間の事も全てを失くすのだ。

「大佐……大佐は俺達の事を忘れてしまうのですか?これまでずっと一緒にやってきたのに……」

そう言うエーミールをイザベラは軽く抱きしめる。

「私はここで一度死んでいたんだ。彼が助けてくれたおかげで何とか一命は取り遂げたが、すでにイザベラ大佐は、油断して撃たれて死んだんだよ。今君の目の前にいるのは大佐ではない。ただのイザベラだ。だから……泣くな?男だろう?」

エーミールはイザベラを強く抱きしめ返す。イザベラはその頭を撫でながら言う。

「私は運良く生き残った。生きていれば、私の名前を目にする時も来るだろう。また、会えるかもしれない。その時はまた、よろしく頼むぞ、エーミール『大佐』」

「大佐……イザベラ大佐ぁ……ゔぅ……」

ライザー達三人は、ただただ静かにその光景を眺めていたーー

 

 

ーーそして、三分後。ついに別れの時が来た。

「大佐、覚悟はよろしいですか?」「あぁ、よろしく頼む」

エーミールはイザベラの頭に魔法陣を重ねる。

「今までありがとうございました、大佐」

「こちらも、ありがとう。お前達と一緒に過ごした日々は、楽しかったよ」

その返しにエーミールは一瞬顔を伏せたが、顔を上げ、イザベラと目を合わせる。その眼には覚悟が宿っていた。

「ハッ!」

魔法陣は一瞬激しく光ると、二つに割れて崩れた。イザベラは、意識を失いその場に倒れかける。その身体をエーミールがしっかりと受け止めた。

 

「ライザー殿、彼女の記憶を消しました。後はさっきの話し合いの通り、彼女は傭兵で、今回の戦いを機に傭兵をやめるつもりだ、という記憶を刷り込んでください」

「わかった」

ライザーが頷くと、エーミールは深く一礼して、その場を去る。「イザベラ大佐を、頼みます」と言い残して。

 

「…う、ううん」

一時間ほどして、イザベラが目覚める。その目は寝起きの様に完全には開いていない。

「おお、イザベラ。起きたか!」「イザベラ、やっと起きたのだな!」

カーラマインとシーリスが、彼女を昔から知っている様に接する。彼女達の仲間という認識を練り込ませるためだ。

「……おう、シーリス、カーラマイン。今起きたぞ」

イザベラは、『SAFS』の事以外は全て……それこそ昨日の傭兵のキャンプ場で話していたことや、ライザーと戦った事は覚えている。エーミールは、『SAFS』という単語とその構成などの内部情報だけをきれいに抜き取ったのだった。

 

「……お目覚めか?身体の調子が良くないなんて事は無いか?」「……ああ、ライザーか」

イザベラは伸びをすると、身体を一瞥する。

「特に問題は無さそうだな」

その言葉にライザーは頷く。記憶を消した後遺症は無さそうだ、とホッとした。

 

「さて、本題だ。お前達三人、俺の眷属にならないか?」

その言葉に三人は頷く。

「お前の采配は見事なものだった。お前についていけば、この先も上手く生きていけそうだ」

「お前についていけば、美味しいものも食べられそうだし、命の危険も減るだろう。だから、私達はついて行くよ」

「私は……お前に命を救われたんだ。もう私の命は、半分お前のものの様なものだ」

その言葉に、ライザーは笑みを浮かべる。

「そうか、嬉しいぞ!今日からお前達は、この不死鳥・フェニックス家の三男、ライザー=フェニックスの眷属だ!光栄に思え!」

 

こうして、カーラマインとシーリスに騎士(ナイト)の駒、イザベラに戦車(ルーク)の駒が入れられた。ライザーにとって初の眷属は、彼が想像していた屈強な男とは程遠かったが、それでも彼は自分の眷属に満足していた。

 

「俺はこいつらと一緒に、最強の王になってやる!」

 

 

 




ライザー君、初の眷属ゲットです!それも一気に3人も!この調子でどんどん増やしていって欲しいものです!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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