ライザーに眷属が出来てから、約半月が経った。
五人の眷属は、馴染んだ時期こそ違うもののフェニックス邸での暮らしに慣れ、ライザーの家族とも仲良くやれているようだった。
ライザーの自室は今、子供達の声で溢れている。
「待て待てー!」「きゃー!」「逃げろ〜!」
レイヴェルとイル・ネルが追いかけっこをして遊んでいる。1番この家になじむのが早かったのはイル・ネルだ。この半月の間で彼女らの身体にも肉がついてきて、骨と皮のような状態から血色の良い身体になった。母親の容態も順調に回復しているようだ。
「お、リーダー。ちょっとこんなものを作ってみたんだが……」
カーラマインがクッキーを持って部屋に入ってくる。彼女は食事と戦いが大好きだ。二日に一回の頻度で戦いを申し込まれ、ライザーは彼女の相手をよくしてやっている。食事は食べる専門では無く、作ることもできるそうである。何度か彼女の料理を食べる機会があったが、なかなか美味しかったのをライザーは覚えている。
「……zzz」
部屋の隅には、イザベラが壁に寄りかかって立ったまま眠っている。彼女はこの様な戦いの無い暇な時は、のんびりとしていることが多いとよく分かった。
「--というのが大戦前の魔界の様子です」
「なるほど、よく分かった」
シーリスはユーベルーナから勉強を教えてもらっている。傭兵の仕事を辞め眷属になった今、武力だけではなく学問も必要だ、と考えたそうだ。
そしてライザーは……
「おう、そこに置いておいてくれ」
プラモデルを組み立てていた。
彼が組み立てているのは『機動騎士ダンガム』のプラモデル、略して『ダンプラ』である。その組み立て作業もあとは塗装を残すだけになった。
「さぁて……あとは俺色に染めてやればかんせ(ヒュッ)ん?」
バキッ、という音が妙に大きく部屋に響いた。
風を切る音が聞こえたと思った時、ライザーが左手に持っていたダンプラの頭が、急に吹っ飛んだ!
ダンプラの命は、そこで儚く散っていった。
ライザーはわなわなと震える。後ろからは火炎の様なオーラが渦巻いていた。
「イル・ネル・レイヴェル!」
ライザーが怒鳴る。三人は遊ぶのをぴたりと止め、気をつけの姿勢を取る。
「お前達、誰かこっちに向かって何かを投擲しただろ!」
その問いに三人はよくわからないような表情を浮かべる。
「何かモノを投げただろう、と聞いてるんだ!」
そう言うと三人は必死に否定する。しかし、ライザーは信じない。
「お前達……早く犯人を名乗り出た方がいいぞ。今なら……炎の手でのおしりペンペン十回で済ませてやる。が、十秒経つ度に十回ずつ追加されていくぞ……さぁ、誰がやった!」
そう言っても、三人の口から出るのは否定の言ばかり。彼女らは目に涙を浮かべながらも、自分達ではないと言い張る。
「お前達……白を切るのか?時間が経てば俺の怒りが収まると思ったら大間違いだぞ?」
その言葉を発した時、三人以外の所から「ひぅううう〜」と声が聞こえた。
ライザーはそちらの方を向く。
そこにいたのは、座って飲み物を飲んでいるシーリスと。
なぜか汗をダラダラかき、下を向いて震えているユーベルーナだった。
「……」
ライザーは無言でそちらに近づく。再び、「ひぅううう〜」という声が漏れる。
「……ルーナ?まさかとは思うけど……お前じゃないよなぁ?」
ライザーは青筋立てた顔を、覗き込むようにできる限りユーベルーナの顔に近づけながら、優しく言う。
ユーベルーナは更に汗の量が多くなった。唇が震えている。
「わ、わた、わたたたた、わ、私がやりましたぁ!すすす、すいませんでしたぁ!」
顔を近づけて十秒と少し。ついにユーベルーナは自白した。
事情を聴くと、シーリスに勉強を教えている途中、消しゴムで間違った箇所を消そうとして、力強く紙を擦ってしまった為紙が破れそうになった。慌てて消しゴムを紙から離そうとした所、手から消しゴムがすっぽ抜け、後ろのライザーのダンプラにヒットしたそうだ。
その事にユーベルーナが気づき、謝ろうとした時、ライザーが怒鳴った為、怖くて言えなかったそうな。
「……そうか……三人じゃなかったのか……」
ライザーは自分の間違いに気づいた。そして、その間違いのせいで彼女達が傷ついてしまった事も。
「……イル・ネル・レイヴェル……ゴメンな、怒鳴ったりして。お前達は何も悪くないのに、信じてやれないで……」
ライザーは三人に深く謝罪した。
「……大丈夫。怖かったけど、もう気にしてないよ、お兄ちゃん!」「ちゃんと私達がやってないってわかってくれたんだから」「許すよ、お兄ちゃん!!」
下げた頭の上からそんな言葉が聞こえた。ライザーは顔を上げると、彼女達を抱きしめた。
「ゴメンな……」
三人は照れていたものの、嫌そうにはしていなかった。
それから、ライザーは急なトラブルの原因を偏見で判断せず、冷静に考えて対処する事を覚えたのだった。
オマケ
謝罪が終わった後、少しイル・ネル・レイヴェルに部屋から出てもらう。
言ったことはちゃんとやらなければならない。
「名乗り出ろと言ってから自白するまで大体二分半……つまり、150秒……最初の10回と足して、160回か……」
部屋の中央に、ライザーは立っていた。隣では、一人の女の子が泣きそうになりながら謝っている。
「ら、ライ君、私も反省してるから……わざとじゃ無いし……許して欲しいなぁ、なんて……」
「下を脱げ」
「ひぅううう〜」
ユーベルーナは震えながら、着ていたスカート、そして下着まで脱ぎ、ライザーの前に横になる。ライザーは正座し、彼女のお腹を太ももの上に乗せ尻を上げさせ……右手に炎を燃やした。
「まず一発!」
パシィインッ!といい音が響き渡り、それと一緒に少女の悲鳴が木霊する。
「おいおい、まだ一発しかしてないぞ。そんなんで160回も耐えれるのか……よっ!」
「あひぃいいい!あっ!ダメ!痛いっ!やめて!ゴメン!なさい!あっ!あっ!あっ♡あっ♡……」
そして160回終了後。
「……あはぁ♡」
ユーベルーナのお尻は猿のように真っ赤になり、所々火傷跡があった。ライザーはフェニックスの涙を尻にかけると、「手が疲れた……」と言いながら部屋から出て行った。
「あ……もう痛いの治ってる?ふぅ……はぁ……疲れた……あっ!いけない…この部屋にも確か、付いてたハズ……間に合うかしら……あっ、足が震えて、立てない……あひっ!だ、だめぇっ!こんな所でしちゃったら、掃除が大変……あっ、でも、もう、無理ッ!ダメダメダメダメッ!あ……あああああああぁあ〜♡」