--そんなこんなで六ヶ月、約半年、ライザーは週二度の修行を毎週続けた。ライザーは、自分がだんだんと強くなっているのを実感していた。
(そろそろか……リベンジの時は!)
「師匠、そろそろリベンジしたい!」「いーよー」
という訳で。
「ふふん、まさかおぼっちゃんの道楽が半年も続くとはね……しかもアタシに挑戦してくるなんて……半年前の無様な姿を忘れたのかしら?」
道場の中央で、ライザーは
「うるさい!俺はこの半年で強くなったんだぞ!」
「それはアタシだってそうよ」
ライザーが拳法を習っている時、彼女はいつも外出していた。ライザーは知らないが、彼女もいつも外で修行をしていたのだ。
「お前がどれ位強くなったかは知らんが、俺はお前より強くなったぞ!」「あーはいはい。そういうのは良いから、やりましょうか」
雪蘭は構える。攻撃的な弐の構え、『
ライザーも構える。こちらは基礎の構え『
「もし俺が勝ったら、約束忘れんなよ」「あー……何だったかしら?アタシの
軽く言葉で戦う。雪蘭は喋りながらもだんだんと構えを解いていった。
「……『氷
一瞬、彼女のオーラが大きくなった直後、雪蘭が眼前から消えた。ライザーは攻撃を読み胸の前で手を交差させる。その腕に掌底がぶつかった。
「……へぇ、半年前とは違って、見切れる様になったんだ」
雪蘭は二歩ほど距離を取る。さて次の攻撃に移ろうかと思った時、
「うごっ!?」
身体の中心部、へその辺りに重い一発を喰らった。
(な、速い!?どうして……!!)
雪蘭はライザーを見て驚いた。彼が自分に向かって突き出した拳。その直線上にある彼の肘から、火が噴射している。よく見ると、ライザーの背中からも火が噴き出していた。
(まさか、自分の出した火をブースター代わりにぃ!?)
雪蘭が考え終わらないうちに、吹き飛ばされて壁へと直撃した。新しく作った壁は硬い木を使っており、そこにぶつかった衝撃で彼女は意識が飛びそうになった。それでもなんとか歯を食いしばって立ち上がる。
「お、おおお……」
雪蘭がふらふらと揺れる。それをライザーは再び構えながら観察する。
「どうした?もう終わりか?」
鼻で笑い挑発する。雪蘭は対して、鋭い目をライザーに向けた。
「ゲホゲホっ!……冗談。だけど……少し油断してたから痛いの喰らっちゃったわね。ここからは本気で行くわよ!」
言うと同時に雪蘭はライザーに飛び蹴りを仕掛ける。ライザーはそれを迎撃しようと腕を振り、
その手は宙を切った。
「ふっ、残像よ!」
ライザーの背後から雪蘭の声が響く。その直後、今度はライザーが、先程雪蘭が叩きつけられた場所と同じ位置に吹き飛ばされた。
「隙だらけの背後に回ってからの奥義『
叩きつけられたライザーも、再び立ち上がる。
「……嘘でしょ?完全に技が入ったはずだけど?」
雪蘭は驚愕する。それは一瞬だった……が、
「シッ!」「……あ」
ライザーが再び加速した攻撃を当たるには十分な時間だった。
「
加速したライザーの拳が再び雪蘭の腹部に命中する!
先程殴られた箇所とほとんど同じ所を狙われ、ダメージの蓄積量が雪蘭の限界を超えた。
「……ガハッ!!」
雪蘭は血を吐き、その場にうずくまった。そしてしばらくの間、彼女も半年前のライザー同様、気を失う事となった--
--数十分後、雪蘭は目を覚ます。身体を鍛えている為眼が覚めるのが早い。
彼女が辺りを見回すと、一人の男が洗面器を持ってこちらに近づいているのが見えた。
「よし、そろそろタオルを変え……お、起きたか!」
そういうと男……ライザーは雪蘭を見て、言った。
「この勝負、俺の勝ちだ」
偉そうにドヤ顔で言うライザー。とりあえず雪蘭はその顔に一発お見舞いした。
「ふげっ!……何をする、せっかく面倒見てやってるのに!」
「うるさい!アタシはまだ負けた訳じゃ無いわ!!あれは……そう、身体の調子が悪かったの!」
それを聞いたライザーはキョトンとし、
「だから?」「っ!」
「お前は勝負を受けたんだから、そんな言い訳通用しないのはわかってるだろ?」
その言葉に雪蘭は項垂れる。しかし、首を再び上げる。
「そうよ、まだ一勝一敗!勝負は互角じゃない!まだアタシは一回負けただけで……「負けた時点でお前の負けだよ。そういう約束をしてたじゃないか」……父さん」
師匠が、今は老人姿ではなく、最初にライザーと会った時の様な若い姿の師匠が、優しく雪蘭を諭す。雪蘭は父親の言葉に言いかえせなかった。彼女もわかっているのだ。
師匠はライザーの方を向き、告げる。
「ライザー、お前もこの半年間、とても素人とは思えん急成長ぶりで、見事この『飛翼砕雪拳』を会得した。お前はもはや免許皆伝だ!……そして、我が娘をよろしく頼む」
ライザーは頷く。そして、雪蘭の方を向いた。
「お前のその攻撃力、そして防御力はかなり高い。それを更に強化してくれる『
「わかったわよ……これからは眷属として、よろしくね」
こうしてライザーは新たな戦力として、雪蘭を眷属にしたのだった。
「弟弟子として、主として、これからよろしくな!」
「……よろしく。ライザー」
オマケ
「本当に来なくて良いのか?」
帰る際に、ライザーは雪蘭に問う。
「良いの、アタシはここを気に入ってるから。父さんを置いてくのもなんかヤだしね」
雪蘭は簡単に答える。その言葉にライザーも頷いた。
「じゃあ、俺が収集をかけたら集まること、忘れんなよ」
「わかったわかった。ちゃんと行くわよ。アンタの他の眷属にも会っておきたいし」
師匠は外までライザーを見送る。
「じゃあな、ライザー。免許皆伝したから練習に出なくても良いが、基礎は毎日やれよ!あと、偶には遊びに来いよ!」
「おう、師匠!」
「あと、お前が有名になったらこの道場の名を広める約束、忘れんなよ!」
「おう、師匠!」
師匠とも約束を交わし、ライザーは二人と別れて帰路に着いた。
「新しく眷属が増えたって言ったら、五人はどんな反応するかなぁ?」
そんなことを考えながら--
……道場編終了です!また一人ライザー君の眷属が増えました。でもまだまだフルメンバーは遠いぞ!
次回、ただただ動物を愛でる話。
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!