服装は全身タイツ。尻のところに穴が開いており、そこから髪と同じ色の尻尾が飛び出していた。
「にゃー。警備が薄いにゃ。取れる物が少ないのか、それとも……」「警備が必要無いほど、家の者が危険なのか、だにゃ」
二人は手に持っている資料を確認する。
「現フェニックス家当主、及びその夫人は、使用人の約六割と共に旅行中。次期当主の長男、次男は家族や眷属を連れて遊びに行っているにゃ」
「今いるのは、三男ライザー=フェニックスとその眷属、長女レイヴェル=フェニックス、そして使用人が十数名だけ……余裕にゃ」
「さぁ、いくにゃ!これが記念すべき十回目のドロボウなのにゃ!」
こうして、彼女ら盗賊団『昼間のねこねこ団』(在籍人数……二人)は、行動を開始した--
--PM12:03
「ふあぁああ、眠い……」
ライザーはそう言うと更にもう一度大きく欠伸をする。
今、両親は一ヶ月使っての結婚2222年記念旅行に行っている。兄達もどこかに行ってしまった。つまり、今家にはライザーとレイヴェルとユーベルーナと眷属、そして使用人位しかいない。
その為、ライザーは割と好き勝手やっていた……とは言っても、いつもそこそこ好き勝手やっているので、日常生活と比べても特に大きな変化がある訳では無いが。
今日は深夜からイル・ネル・レイヴェル・ユーベルーナとゲームをしていた。桃太郎電鉄という人間界のゲームを100年ルールでやっていた為、夜から朝になり、昼になってしまった。
「……いや、でもまさかレイヴェルに負けるとはな……次回の為にもっと練習しないと……」
ちなみに桃鉄の結果は、最初にユーベルーナが僅差で目的地に到着したものの、次のターンでイル・ネルチームにボンビーさんをなすりつけられて、更にその次の次のターンでキングボンビーに変化したことで最下位の道を辿った。ライザーとレイヴェルとイル・ネルチームの三つ巴は、レイヴェルが戦略的な勝利を収めた。ちなみにライザーは2位だった。
ゲームが終わり、ライザーは白熱してかいた汗を洗い流すために、眠い目を擦りながら風呂場に向かっていた。その道中、
「……ん?何だあれ?」
廊下の端で何かが動いているのを見つけた。赤いそれは、廊下の端っこを壁に沿ってゆっくりと静かに歩いていた。
ライザーはそれに近づき、抱きかかえる。
「にゃ!?」
ライザーが捕まえたのは、一匹の猫だった。赤いフサフサの毛をしているが、その毛は埃で汚れていた。
「……かわいいなぁ」
ライザーは猫好きである。世の中には三種類の悪魔が存在すると言われる。猫派、犬派、どちらも好き派だ。ライザーはどちらかというと猫派の悪魔だった。
「ふむ、汚れてるな……そうだ!一緒に風呂に入れて綺麗にしてやろうっと!」
(!?)
その言葉に驚いたのは、赤い猫改め『昼間のねこねこ団』リーダー(笑)の女、リィだった。
『昼間のねこねこ団』の二人は、ある共通の特徴がある。どちらも猫又と悪魔のハーフで、猫に変身できる能力を持っていることだ。二人の能力は、半日の間猫に変身できる能力。猫になると半日間は元の悪魔の姿に戻る事もできず、更に悪魔に戻った後一日は猫に変身できないという、どこか中途半端な能力である。
二人は十二時になってすぐ猫の姿に変身し、着ていたタイツを屋根の隣の木に引っ掛けると、それぞれ別の場所から屋敷に侵入した。
もう一人……青髪のニィは窓から、そしてリィは……屋敷の煙突から侵入した。その際、リィは煙突の中の埃を毛に付けてしまっていた。それを毛づくろいするのも面倒で、さっさと金目の物を見つけようと思って歩いていると、見つかってしまって現在こんなことになっている。
(毛づくろいしておけば良かったにゃ!)と後悔しても時すでに遅く、リィは猫姿でライザーに風呂場に連行された。
「よし、まずは猫を洗うか!」
服を脱いで腰にタオルを巻き、ライザーは自分の膝の上に猫を乗せ、自分の身体の方に引き寄せた。すると当然だが、猫の身体はライザーの股間に当たる訳で。
(!?○◇☆!?)
リィは心の中で悲鳴を上げた。リィは男性と接することがあまり無く、そういう経験はまだした事がない。いわゆる、初心な女の子(職業・盗賊)だった。
そんな初心なリィに、更なる絶望の一言が告げられる。
「さて、猫を洗うのは……石鹸で良いかな。で、タオルを使っ……たら傷つくかもしれんな……手で洗うか」
リィはただひたすら逃げようと思い、抵抗した。できる限り膝の上で暴れた。何回もライザーを引っ掻いた。しかし、
「こら、シャワーが嫌なのはわかるが、逃げようとするな!」
ライザーには効かなかった。リィの心の中には、もう希望は相方が助けてくれることしかなかった。
まずシャワーをかけられる。リィはシャワー自体は嫌いではない。彼女はシャワーを浴びると身体を震わせて水を切り、そして出て行こうとした、がライザーに止められた。
「こらこら、身体を洗わないとダメだろ」「にゃー!ぎゃー!」
再び膝の上に座らされるリィ。先程引っ掻いたせいでライザーの腰のタオルは所々裂けていて、そこからチラチラと見える秘部がリィに恥ずかしさを与えた。
「痛かったら手を上げてーって、猫には通じないよな」
そう言いながら、ライザーは猫の身体を洗っていく。
まずは頭。そしてそこから背中を揉むように洗う。そこまではリィも、警戒心を持ちながらも心地よさに身を委ねていた。しかし、
「ふぎゃ!?」
次にライザーが掴んだのは……尻尾。
人間界の猫は尻尾を触られるのを嫌う。冥界でもそれは変わらない。ただ、猫又などの生き物には尻尾を掴んではいけない理由がもう一つある。
(あ……力が……ぬけて…………)
尻尾を掴まれると、急激に力が抜けてしまうのだ。
「あ、いかんいかん。尻尾を掴んではいけないんだった」と思い出したライザーは、すぐに尻尾を放した。しかし、その頃にはもうリィに抵抗する力が残っていなかった。
ライザーは次は猫を仰向けにする。
「……雌か」
ライザーはリィを見て言う。ライザーにとっては他の動物の性別確認の様なものだが、リィから見るとそうではない。
(ゔにゃ〜!!私の大事な×××が見られた!しかもドロボウ先の男にぃ〜!!!)
猫の身体も悪魔の身体と同じく自分の身体、その恥部を覗かれた事にリィは恥ずかしさで身体が燃えてしまうのでは無いのかと思った。
そんな事はつゆ知らず、ライザーは腹部を洗っていく。最初は首下、そこから下に下がっていき、胸を通り越してお腹も洗われる。そして、
(ああ、触られちゃう。ドロボウ先の子供に……私の大事なところを触られちゃうにゃあ……)
ライザーの手が下半身を優しく洗う。リィはその瞬間に意識が飛んでしまった。
「……ん、何だ?足が温か……あ!?この猫、漏らしてる!おいおい勘弁してくれよ!俺の足はトイレの砂じゃないんだぞ!」--
--そんなこんなで。
「あぁ、そろそろ逃がさないとな。こいつも帰る所があるかもしれないしな」
風呂から出てドライヤーで毛を乾かしてもらっている途中で、リィは目を覚ました。
(にゃ〜、作戦失敗〜。ニィの成功を祈るしか無いにゃあ……)
もはやリィにこれ以上働く気は起きなかった。
乾かしてもらった後、リィは家の玄関の外に出してもらった。お土産として、魚の干物をもらった。
リィが再び集合場所である屋根の上に行くと、ニィが猫の姿で待っていた。
ニィはリィを見つけるとすまなさそうに告げた。
『金庫は見つけたんだけど、予想以上にセキュリティーが硬くて、突破できなかったにゃ。そっちの守備は?』
『お魚1匹もらったにゃ』
ねこねこ編1終わり!
私はちなみにどっちかと言うと犬派です。猫も好きだけどね!
深夜テンションで書いたが、大丈夫だろうか……
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!