ライザー=フェニックスの日常   作:兵太郎

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今回は置き去りにされた妹の話--


弁解(自白)

「……どこに行ったのにゃ?リィは……」

闇夜の中、悪魔が最大限に力を発揮できる時間を全て費やして、ニィは姉であり、仕事のパートナーでもあるリィを探していた。

(これまでに盗みに入った所にリベンジにでも行ってるのかにゃ?)とニィは考え、ここ最近は泥棒に入った家を片っ端から探している。

ちなみに、ニィとリィは泥棒だの怪盗だのと自称しているが、実際に彼女らに盗まれた物というのは無いに等しい。彼女達は猫の状態で屋敷に入るので、硬いセキュリティは突破できないのだ。この間フェニックス家で貰った魚などのエサとして恵んでもらった物が盗みの戦利品だったりする。正直向いてない気がするからもうやめた方が……などとニィは思っていたが、リィが『どデカイ財宝や宝石を盗むまでは絶対に絶対にぜぇ〜〜〜〜〜〜……

 

……ったいにやめないのにゃ!』

などと言って聞かないので、渋々付き合っている。お姉ちゃんには困ったものにゃ、と思いながらもリィを見切らないのは、家族の愛情があるからだ。

リィとニィは自分の親を見たことが無い。ネコミミと尻尾が生えているから猫又の子、悪魔の翼が出せるから悪魔の子、というのはわかるが、そこから親を特定できる訳でもない。故に彼女らは親の愛情の代わりに、姉妹の愛情を糧としてこれまで暮らしてきた。

だからニィは必死になってリィを探す。いなくなって二日後から探し始め、今日は十二日目。とうとう最後に入った家になってしまった。ここでリィを見つけなければ……少なくとも手掛かりくらいは発見しなければ、姉をもう見つけられないかもしれない、という気持ちでフェニックス家に侵入する。

 

(……?リィ?)

猫姿で持ち前の耳をピコピコ動かして周囲の音を拾っていたニィは、近くで姉の声が聞こえた気がした。それも猫の姿ではなく、人の姿の時の声だ。

(まさか、再び泥棒に入って捕まって、拷問を受けているのにゃ!?)

ニィは最悪の事態を想定し、身震いする。もし自分も捕まってしまったら同じ目に合うかもしれないと思うと、身体の震えが止まらない。だが、

(それでも……リィはたった一人の血縁なのにゃ!)

 

ニィは姉を助ける為、爪をできる限り鋭く研ぎ、声のしたであろう方向に近づく。すると、ある部屋の前で再び姉の声が聞こえた。

その部屋のドアは半分ほど開いていて、中からは姉の声のほかに男と女の声がする。

ニィが部屋の中を覗く。中に姉は……いた。

 

なぜかメイド服を着て、なぜか男に膝枕されて、首下を撫でられてなぜか嬉しそうにしている、リィがいた。

 

ニィは一瞬思考停止状態に陥ったが、すぐに自分をクールダウンさせ、元の思考状態に戻す。

(リィがあんなとろけそうな笑顔を……ハッ、まさかもう調教済みなのかにゃ!?)

リィの性格を思い浮かべ、ニィは頭を抱える。強気なくせにチョロい彼女なら、即堕ち2コマなんて平気でありそうだ。

ニィはリィを侍らせている男を見る。男は下卑た視線でリィを見ながら、いやらしい手つきで彼女を撫でまわしていた(ニィ目線)。よく見るとリィは密かに屈辱そうに顔をしかめている(ニィ目線)。

 

それを見たとき、ニィの心は決まった。

 

(捕まって姉の様に調教されても、殺されてでも、リィを助ける!)

そしてニィは勘違いしたまま、ライザーの顔面へと飛びかかる!

 

(取った!)

ニィは鋭く研いだ牙を下種男の左眼と唇に引っかけ、一気に手を振り切る!

 

その爪に残った感触は、人肌(悪魔肌?)を切り裂いたにしては軽いものだったが、他の者の肌を切り裂いたことなど無いニィはそんなこと判断できない。

姉の仇が討てたこと、そして喰らわせた一撃が思った以上にキチンと決まったことにドヤ顔するニィの首根っこが掴まれ、彼女は攻撃などなかった、とでもいうように無傷な男の顔とご対面する。

「……リィ、リィ。この子もしかしてお前の知り合いじゃない?」

「……にゃ?にゃにゃにゃにゃにゃ……にゃ」

ニヘラッ、とやはりにやけ顏になっていた姉の顔が、自分を見て凍りつくのをニィは目の当たりにする。彼女の全身からダラダラダラダラーッ、と汗が流れるのを見て、ニィはこの事件の黒幕を知る。

ニィはリィより優秀なので(リィは認めないだろうが)、姉と違い時間制限なく身体を人型から猫型に、またはその逆に入れ替えられる。姉に言ったら拗ねるから言わなかったが。

ニィはもう一度男……ライザーの眼を爪で搔っ捌くと、その隙に近くのカーテンを切り裂いてから自分の身体を人型へ戻し、そのカーテンを身体にグルグル巻きにして首と手足以外を隠すと、

「で、これは一体どういうことか説明してもらおうかにゃー、お姉ちゃーん?」

「ニ、ニィ、こ、これは別に私がこの男に骨抜きにされたとか、そのせいでニィを忘れてたとか、もう裏稼業はやめてここでメイドやろっかにゃーと思ってるとか、そういうことでは一切無いのにゃ!」

 

姉の精一杯の弁解という名の自白を聞き、ニィは渾身の力でそのメイド服の腹部にネコパンチ(人型)をお見舞いした。




〜〜〜祝・お気に入り100件突破!〜〜〜
このあとがきに2連続で吉報を載せられて、嬉しい限りです!本当にありがとうございます!これからも温かい目でこのSSを見守ってくれると嬉しいです。

次回で猫編は終わり!そろそろレーティングゲームに入っていくかな〜?眷属全員は揃ってないですけど。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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