ライザー=フェニックスの日常   作:兵太郎

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時間は流れる……


覚悟

「「お誕生日おめでとー!」」『おめでとー!!』

 

「いやぁ、ありがとうありがとう。ハッハッハッ!」

今日はライザーの誕生日。それも、唯の誕生日ではない。

 

(遂に俺も二十歳……レーティングゲームの参加が認められる!)

そう、ライザーは今日で二十歳、大人の仲間入りを果たしたのだ。二十になると上級悪魔にはレーティングゲームの参加権利が与えられる。

 

相手と話し合ってゲームの参加日を決め、それをレーティングゲームの総合組合に申請すれば、試合ができる。それがレーティングゲームのシステム。戦う相手がいて、申請すれば、すぐにでも戦うことができるのだ。

眷属達との誕生日パーティーが終わった後、ライザーは父親の書斎を訪ねる。

「親父、レーティングゲームの試合を組んでくれ!」「いきなりだなオイ!」

こうしてフェニックス卿にゲームを五日後にセッティングして「え、私の出番もう終わり?」……セッティングしてもらったライザーは、眷属にその事を話す。

 

「--という訳で、五日後にレーティングゲームだ!皆、身体の調子を万全にしておけよ!」

『はっ!』

いつもマイペースな眷属達も、この時ばかりは真剣に真面目にライザーに返事をする。

ちなみに今現在、ライザーの眷属は八人である。あの事件の後メイドとして雇っていたニィ・リィが自分達を眷属にしてくれ、と頼んできたのだ。彼女らは運動能力もそこそこ高く、素早さと機動性はかなり優秀だった。駒が揃っていないライザーは喜んで彼女らを『兵士(ポーン)』にしたのだった。

現在の眷属は『騎士(ナイト)』二人、『戦車(ルーク)』二人、『兵士』四名。『僧侶(ビショップ)』がいないということは魔法……つまり遠距離攻撃やサポートのプロがいない、という事だが、『ガンガン行こうぜ』が基本の特攻部隊・ライザー眷属には特に関係なかったりする。

彼は眷属を解散させ、自分の部屋に意気揚々と、何なら軽く鼻歌を歌いながら向かう。

 

「あ、おかえりなさい、ライ君」

自分の部屋に戻ると、ユーベルーナが部屋の椅子に座っていた。

ライザーは部屋の中を移動して、ベッドに腰掛ける。

「嬉しそうね」と言うユーベルーナにライザーは言う。

 

「やっとだ……やっと俺も、あの舞台に立てる……長かった……」

 

懐かしい思い出が蘇る。

三歳の時、最強の王になると決意してから、約十七年。初めて眷属を手に入れてから、五年。その間、意志の炎は収まるどころか、メラメラと更に激しく大きくなっていった。今の彼の心にあるのは、戦って、勝つ。その二文字だけだ。

 

ユーベルーナはそれを聞いてライザーの近くに歩いて近づき、同じくベッドの上に腰掛ける。

「おめでとうございます……ふふふ、ライ君は昔からレーティングゲームが大好きだったもの、気持ちが高ぶるのも当然よね。でも……」

彼女はベッドに置いていたライザーの右手を取り、言う。

「私は、心配でもあるの。あなたが怪我したらどうしよう……あなたが傷ついてしまったら、どうしようかしらって」

「俺は不死鳥だぜ、傷つくなんて概念、俺には無いさ」

ライザーはその話を笑うが、ユーベルーナは続ける。

「身体が傷つく事は無いでしょう……ライ君は強いから。だけど……あなたの心は違うわ」

ユーベルーナはライザーの右手を握ったまま、もう片方の手でライザーの胸に手を当てる。

「ライ君は優しい人だもの……眷属が敵に倒されたり、逆に敵を倒したり……そんなことを続けているうちに、あなたの心が荒んで壊れないか、私は心配なの」

胸に置かれた手を、ライザーは左手で包む。その手は、その表情は、とても温かいものだった。

 

「大丈夫……俺はルヴァルの兄貴の様な……いや、それ以上に立派なレーティングゲームの王者になる。眷属達が、そして家族達が、それを支えてくれる。ユーベルーナ、お前も俺をずっと……最強の王になるその時まで、俺の心が壊れない様に、支えて欲しい」

「……はい、ライ君」

2人は見つめ合う。

ライザーがニコッと笑うと、ユーベルーナも微笑みを返してくれる。

それは、とても温かい時間だった。

 




〜おまけ〜

しばらくして部屋を出たユーベルーナは、自分の部屋に戻るとベッドに入り込み……悶える。
(ライ君の手、温かかったな……それにしても、あんなこと言われるなんて……『俺を支えて欲しい』だって……あれってもしかして、プロポーズ!?キャー!)
一人でベッドの上でゴロゴロやってるのを、天井に張り付いて見ている影があった。赤い毛を逆だたせながら、リィは考える。

(グヌヌヌヌ……ユーベルーナめ……いくら生まれた頃からの付き合いだからって言っても、あんな羨ましい台詞を言われるだにゃんて……にゃー!私だってご主人様を支えるのにゃ!眷属として、メイドとして、そして将来は……にゃー!キャー!)

……ユーベルーナとリィ、どちらも結構重症な妄想癖を持っている様だ--

〜〜〜〜〜

次回、初のレーティングゲーム!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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