--遂にレーティングゲームの日がやってきた。今回の相手は『フェニックスの涙』の顧客のお得意様の一人息子だ。彼もレーティングゲームは初めてなので、今回はルーキー同士の対戦となる。
ライザーと眷属は地図を渡され陣地に転移させられる。近くに建物なんかは何もない。
辺りは森。今回のフィールドは森林内の様だ。
「……っと、ここが今回のフィールド……くぅーっ、この緊張感、たまんねー!」
ぴょんぴょん飛び跳ねながらはしゃぐライザー。それを微笑ましく見る事のできない眷属がいた。
「ニィ、ガッチガチだにゃ。緊張しすぎよ」「……」
リィに声をかけられ、ニィはギギギ、と音が聞こえてきそうなくらいぎこちなく首をリィの方に向け、言う。
「だっ、だって私達の姿が悪魔社会の中で放送されるんだから、緊張しない方がどうかしてるにゃ!」
そう、このレーティングゲームは冥界のテレビで放送されるのだ。しかも真夜中に。
「どうかしてるって……ニィ以外は皆いつもどおりにゃ」
「……」
その言葉を聞いて、ニィは辺りを見回す。
ライザーは興奮してぴょんぴょん跳んでいる。イル・ネルもそれを見て真似して飛び跳ねて遊んでいる。
カーラマインとシーリスは剣で木を伐って作った切株に腰掛け、談笑しながら剣を磨いている。
雪蘭はいつもどおりに型の練習に精を出しており、そして
「ZZZ……」
最後の一人に関しては、眠っていた。
「……って、さすがに皆緊張感なさすぎにゃ!?おかしいにゃ!ていうかここに来て寝るって神経図太すぎ「ニィ、アナウンスが始まったから静かに!」…えぇ……」
ライザーに注意されてニィはしょぼん、と落ち込む。いつの間にか皆も真面目な顔してアナウンスを聞いていた。理不尽だ、と思うニィだった。
『ごきげんよう、ルーキーの皆さん。私は今回のゲームを取り仕切る
リュディガー=ローゼンクロイツ。元人間の転生悪魔だが上級悪魔となり独立し、現在はレーティングゲームのランキング上位50位に入る程の実力者だ。
『今回のバトルフィールドはシトリー領の中でも特に大きい、「シトリー自然公園」のレプリカです。両陣営、転移された先が「本陣」です。ライザーさんの本陣が最北、魔樹の森・森林広場。ティミッドさんの本陣が最南、暗闇の森・森林広場。「
「ふむふむ、なるほどなるほど。こういう地形になってるのか」
とりあえずポーンの四人に相手の本陣の位置を教え、作戦会議を始める。
「この本陣の周り、半径500メートルは森で覆われている。敵は十人、数ではこっちが負けているから、同時に攻めてこられたら何人かは通過させてしまうかもしれない。だから、森に罠を張る」
ライザーは比較的魔法の使えるイザベラに何箇所か魔力罠、そしてトラップグッズを設置しに行かせる。その間に他の者にも指示を出す。
「カーラマイン、シーリスは正面から攻めろ。敵が来たら戦え、できるだけ派手に」
「陽動かい?」
「ああ、そうだ。お前達二人は正面から敵を翻弄しろ。次、ニィ・リィ。お前達は猫に変身してこっそりと東から回って敵陣を目指せ。敵が来ても戦わない様に隠れてやり過ごせ」
「「了解にゃ!」」
「そして、イル・ネル・雪蘭。お前達は西から敵陣を目指せ。ただ、雪蘭。お前は敵と出会ったら戦え。その間にイル・ネルを本陣に進ませろ」
「わかったわ!」
「そして俺は……秘密だ♪では、各自移動開始!」
『はっ!』
イザベラが戻って来たので全員にイヤホン型の通信器具を耳に入れさせる。イザベラに本陣付近の守備を頼み、ライザーも移動する。
〜ニィ・リィ〜
「……にゃー」「にゃふ?」
ライザーの言った通りに猫になって暗闇の森を歩いていたニィ・リィだったが、奥に進むに連れて霧が深くなっているのがわかった。
「……あら?霧の魔力に小さな乱れ……こんな所に生き物が……って、そんな訳ないか。敵の使い魔かしら?」
不意に霧の中から魔女の様な風貌の女が姿を現わす。彼女は逃げようとするニィ・リィを抱きかかえ、見つめる。
「……にゃー」「にゃふぅ?」
「か、かわいいっ!」
魔女はニィ・リィに頬ずりをしてくる。彼女達は嫌そうに鳴くが、魔女はお構い無しだ。
「はぁああ、私も使い魔欲しいわぁ。ザトゥージさん所は予約いっぱいであと2週間待たないとだしぃ」
そう言いながらニィ・リィをモフモフする魔女。完全に油断しきっている。そこでニィ・リィは……
(何事も臨機応変に!)(倒すべき時に倒すのにゃ!)
「あぁ、かわい……って、え?なんか大きくなって……むご!?」
魔女は訳のわからないまま口を抑えられ目隠しをされ、森の中に連れて行かれ、そして消えた。
『ティミッドさんの『
早速命令を破るニィ・リィ。敵が来たからね仕方ないね。
レーティングゲーム、開始です!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!