レーティングゲーム、再開!
ティミッドはライザーの身体から腕を引き抜く。ライザーの身体に空いた穴は、炎に包まれてものの数秒で元の肉体に戻っていく。
『……ライザー=フェニックス!』
ティミッドはライザーに再び拳をお見舞いする。今度は顔面を振り抜いた。ライザーの顔面は大きく凹むが、一瞬で元に戻る。
「甘いぞ!」
今度はライザーの蹴りの一撃がティミッドの脇腹に入る。しかしティミッドはその足を掴むと、ジャイアントスイングの様にぐるぐるとライザーの身体を振り回す。ミスミスミスと空気を切る音が響く。
『おおおおおっ!!』
ティミッドはそのままライザーを上に飛ばし、自分も飛翔する。そして空中でライザーの頭を右手で鷲掴み、その右手に全体重をかける!ライザーは自由な手でティミッドの腕や胴を殴るが、ティミッドは手を放さない。
成人悪魔二人分の質量が、ライザーとティミッドを地面へと誘う。そのままライザーは全身をフィールドに叩きつけられた!
『……』
ティミッドは肩で息をする。しかし、まだライザーを掴む手は放さない。今度はその身体を上に持ち上げ、先程と同じ様に左手で全力で殴る!
ライザーはその衝撃で十数メートル吹き飛び、地面に転がる。しかし、すぐに起き上がった。ライザーはティミッドに言う。
「……お前、だんだんと弱くなっていってないか?」
『……』
無言のティミッド。それに対し、ライザーは疑問の根拠を述べる。
「さっきのお前がリィを庇った倒そうとした時の拳。俺にはあの一撃がこちらへの小手調べに見えたが、お前はあの一撃で俺の身体を貫いた。だけど今のパンチはどうだ?俺を吹き飛ばしただけで……まぁ、だけでも凄いかもしれんが、まぁとにかく、貫通する程の強いダメージを与えられてない。結構本気で殴っただろうに……なんでだ?」
『魔法陣が、崩れていっているのだ』
ティミッドは答える。この質問に答える事は自分の弱点を教える様なものだが、ティミッドは答えた。
『我が女王が最後にかけた魔法。あれは短期決戦型の魔法で、強力だが長続きはしない。ましてや術者がいないのだ、もう魔法の効果は長くは保たん……今は自分の魔力で補っているが、このままでは、あと十分もせずに魔法の効果は無くなるだろう…よ!』
そう言い終わると同時に、ティミッドはこちらに突っ込んでくる。しかし、スピードが先程と比べて遅くなっており、ライザーはそれを避ける事が出来た。
「……何でそんな事を教えた?それを聞いた俺はお前の魔法の効果が切れるまで逃げ続けて、効果が切れたと同時に眷属全員で一斉に攻めかかるかもしれないぞ?」
その話に、しかしティミッドは首を振って言う。
『お前の目が言っている、全力の俺と戦いたいと』
「なるほど、それはわかりやすい」
ライザーとティミッドの拳がぶつかり合う。辺りに衝撃波の様な風圧が飛び、近くの木々を薙ぎ倒す。しかしそれには目もくれず、ティミッドとライザーはひたすら殴り合う。
拳が胴にぶつかる度に、ライザーの身体には小さな穴が空き、ティミッドの身体はだんだんと縮んでいく。しかしそれでも二人は殴り合うのをやめない。
そうして一分が過ぎ、二分が過ぎ……五分が過ぎた。ライザーの身体はほとんどが再生の炎で覆われている。また、ティミッドの体躯は最初の頃の小さな身体に戻っている。
『……体力の、消耗が、激しかった、から、魔力の、消耗も、早まったの、だろうか?』
そんな事を言いながら、しかしティミッドはライザーを殴り続ける。今の彼は自分のモットーも、本来魔法専門だという事実も、戦うのが嫌いだと言う性格も、全てを忘れていた。ただひたすらに自分の二倍の身長はある敵の王に対し、拳を振るうだけだった。それはライザーも同じ。いくら相手の肉体が小さくなっても、だんだんと相手の身体に痣や傷痕ができても、彼は殴るのをやめない。
ライザーの一撃がティミッドの胴体の真ん中に入り、ティミッドが吹き飛ぶ。ティミッドは空中でくるっと回転し着地する……が、ダメージが大きかったのか、その場でよろめく。
「……限界が、近いか……」
下を向いてポツリと言った後、ティミッドはライザーの方を向き、叫ぶ様にしてライザーに宣言する!
「今から、僕は!全身全力を掛けて!散っていった眷属達の力を乗せて!君に一撃を喰らわせる!最後に、立っていられるのが、どっちなのか!決着を、つける!」
力強い言葉に、ライザーも応える!
「だったら俺も!次の攻撃に全力を掛けて、散っていった眷属達……あれ、1人だけだから達じゃないか……まぁいい!眷属皆の思いを加えて、一撃に全てを込める!かかって来い!」
ティミッドはライザーの言葉を全て聞いて、その目の前まで一気に跳ぶ!それに対しライザーも、一撃を放つべく構えを取る!
「『
ティミッドの拳がライザーの顔面に叩きつけられる!
ライザーはその一撃をガードもせずに受ける。ライザーの身体が、横に大きく動く!が、ライザーは倒れない!そして!
「お前の一撃、確かに効いた!今度は俺の番だ!
弐の構え、吹雪から放つ技!
飛翼砕雪拳技・『
大きく振りかぶり、身体を回転させながら放ったライザーの裏拳が、ティミッドの鳩尾に決まる!
「グフッ!」
ティミッドは血を吐き出しながら吹き飛び、そのまま中央にある巨大樹に衝突する!木の幹にめり込んだティミッドは、そのまま動かない。
『ティミッドさんの「王」……ティミッドさんが、意識喪失により戦闘不能。これにより、ティミッドさんは「
ライザー=フェニックス!!』
そのアナウンスを聞いて、ライザーは右の拳を再び握り、今度はそれを天に掲げる。
「よぉっしゃあああああぁぁぁぁぁ!!!」
ライザーの絶叫が響くと共に、フィールドに残っていた他の眷属達が皆、ライザーに近寄ってきた。イル・ネルが飛び込んでくるのを受け止めて、ライザーは皆と抱き合う。
「ありがとう!お前達のおかげで俺は今回の戦いに勝つ事が出来た!本当にありがとう!」
「皆、リーダーを抱えて胴上げだ!」『おおっ!』
こうして、ライザー=フェニックスの憧れでもあった初のレーティングゲームは、見事に白星を飾る事となったのであるーー
ーー冥界・バアル領のとある街。
そこでは、1人の女の子が、レーティングゲームの試合を見て打ち震えていた。
「………カッコいい……私、この人の弟子になりたい!」
レーティングゲーム、決着です!結果はライザー君の初勝利!
次回は、勝利記念パーティーになるかな?
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!