プロローグ 〜きっかけは些細な事〜
きっかけはある日の朝方、ライザー=フェニックス眷属の二回目のレーティングゲームでの白星を記念しての眷属での打ち上げ、その終盤あたりでライザーが発した一言だった。
「いやぁ、それにしてもやはり皆強いなぁ。流石は俺の眷属だ」
レーティングゲームを思い出して口から出たその言葉に、少々酔っ払った雪蘭が盃を片手に同調する。
「ま、確かに皆強いわよね。
まぁ、一番強いのはあたしだけどね!」
その言葉に、眷属達の肩がピクリと震えた。
「何を世迷言を。お前の拳が私の剣に敵うはずがあるまい」
「そうだそうだー、お前が最強など、片腹痛い!」
ジョッキの中の酒をグイッと一気飲みしてもまだ余裕がありそうなカーラマインと、かなりアルコールが回ってきているシーリスが雪蘭の言葉に噛み付く。
「何、あんた達あたしより強いっての?あたしはライザーにだって勝った事があんのよ。あんた達みたいにライザーとの組手で負け続けてる訳じゃ無いんだから」
そう言ってふふん、と鼻を鳴らす雪蘭に、シーリスが一言。
「最初のレーティングゲームの唯一の脱落者が良く言う」
バキッ、と雪蘭が盃を握り潰す。
「あんた……言ってはならない事を言ったわよ……ここで死にたいのかしら……」
「お、やるか?良いだろう。さっきのセリフが大間違いだった事を、すぐにでも分からせてやろう」
雪蘭が構え、シーリスが椅子の横に立てかけていたフルンティングを掴む。
「「おおおおぉぉぉぉぉ!!!」」
二人の酔っ払い悪魔は、前方にある椅子やテーブルや酒瓶を巻き込みながら一斉に自分の敵へと突撃していく!!雪蘭とシーリスの拳と剣が交差す「やめぃ」
背中に殴打を受け、突撃直前で二人は地に伏す。荒いやり方で衝突を止めた本人、ライザーは二人の背中を押さえつけ、動きを封じる。
「おい、お前達。寝てる奴らが起きちゃうだろうが」
ライザーはそう二人に注意する。どこか注意の観点がおかしいのは、彼も酔っ払っているからだろう。
その彼は酔っ払った状況で、こう言った。
「お前らが誰が強いか知りたいなら、そういう大会を開いてやろう。俺の眷属による総勢八人のトーナメント。お前らはそこで、誰が一番強いのか、思う存分競うが良い!!」
それを聞いて、ライザーの手の下でもがいていた二人の動きがピタッと止まる。それを確認してライザーが手を放すと、二人とも素早く起き上がった。
シーリスがライザーに問う。
「今の話は本当か?」
もちろん、とライザーは頷く。
「そうだな……今から三日後、家のグラウンドで行う。優勝者は、俺が何でも一つ、願いを叶えてやろう。叶えられる範囲で」
その言葉に、話の輪の外にいた者達も反応する。具体的には、酒の代わりにオレンジジュースを嗜んでいたリィだ。
「今の話は本当かにゃ!?」
「ああ、男に二言は無い」
「じゃあ、記憶が無いから無しってって言わせないように、今から録音するにゃ!もう一回言って!」
「何度でも言ってやろう。今から三日後、真夜中!場所は我が屋敷のグラウンド!眷属によるトーナメント形式の試合を行う!優勝者は俺の叶えられる範囲で、何でも一つ願いを叶えてやろう!」
こうして酒の席の成り行きで、『第一回眷属最強決定戦』の開催が決定したのだった。
〜〜〜〜〜〜〜
三日後。深夜11時32分(冥界時間)。
『それでは今より、第一回眷属最強決定戦を行う!』
マイクを通してライザーがそう言うと、眷属達や見物である使用人達が、おぉぉ!!と歓声をあげる。
『ルールは単純、相手を戦闘不能にするか、降参させれば勝ち!ただ、殺すのはNG!切断は許可する!以上!』
いよいよ始まる試合に、会場全体がワァァ、と盛り上がる。その中でライザーは、試合順を発表する。
『1回戦、第1試合!
イザベラVSニィ!』
「ZZZ……」「いきなりかにゃ!?」
『第2試合!
リィVSシーリス!』
「げっ……」「ほう……肩慣らしには良い相手かな?」
『第3試合!
ネルVSイル!!』
「「!!?」」
『そして第4試合!
雪蘭VSカーラマイン!以上の組み合わせで行う!』
「最後……!」「主役は遅れて登場するものってことかな?」
『審判は俺、ディマリア、ユーベルーナの三人!三人が戦闘不能だと判断した場合、勝負は決着!
優勝者は、俺が一つ願いを叶えてやろう!
それでは改めて、只今より第一回!!眷属最強決定戦を行う!!!皆、全力を出しきり、悔いの無い試合をするが良い!!』
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、数本の煙が空に上がり、そして爆発する。空一面に、赤や緑や黄色の花火が咲いた。
試合の組み合わせは、公平にあみだくじで決定しました!
次回、1回戦第1試合、イザベラVSニィ!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!