『よし、休憩終わり!各自準備はできたか?
今回トーナメントを勝ち進んでいるのは、
ニィ。シーリス。イル。雪蘭。
以上四名!
今から2回戦だ。これに勝てば決勝!心して戦うように!
では、2回戦第1試合!「ニィVSシーリス」始めぇ!』
開始と共に、シーリスはフルンティングを地面に叩きつけ、割れた地面の欠片をニィに向かって飛ばす!1回戦、リィへの攻撃と同じやり方だ!
対しニィはガードせず、飛んで逃げる。
「ふむ、やはりリィと同じ戦術では駄目だな」
やはり1回戦と同様、ニィが元いた地点にたどり着き、剣を振るシーリス。柄が土にあたり、少し抉れた。
「ニィをリィと一緒にされては困るにゃ。私はメイドの職務の空き時間や休みの日は、約半分を修練に当てている。休みの日はいっつもご主人様の膝の上で寝ているリィとは違うのにゃ!」
ギリギリと歯を鳴らすニィ。対しシーリスは笑う。
「そうか、私はお前と違って給仕の仕事はないからな。私は特訓は一日のうち三割程度だが、それでもお前より長く鍛錬してると思うぞ。それに……お前と私では訓練の質が違う。私の訓練は……対人特化型だ」
言うや否や、
下へと勢いよく飛んでいくニィ。何とか地面スレスレで一回転し墜落は避けた、が。
「立て直しが遅い」「んにゃが!?」
吹き飛んでいくニィに並走していたシーリスが、その顎に飛び膝蹴りを放つ!ニィは衝撃で今度こそ地面に叩きつけられ、そのまま地面を滑っていく。シーリスはそれを追尾し、ニィの腹に乗り上げるとマウントを取る。背中にフルンティングを背負い両手を自由にすると、
殴打、殴打、殴打。
対してニィは腕でガードしようとするが、シーリスは腕の間を縫って拳を的確に顔面や胸部に当てていく。
「にゃあ!?……こうなったら、使うしかないにゃ!」
ニィは大きく目を見開く。赤い瞳が黄金色に変わり……
「にゃあ!!」「あがっ!?」
青白い電撃がニィの身体から発せられる!密着しているシーリスは、それをまともに喰らい、動きを止める。
その隙を逃さず、ニィは入れ替わるようにシーリスからマウントを取り、手の爪を伸ばす。それをシーリスの口に噛ませ、「にゃあ!!」と再び電撃をお見舞いした!シーリスは細かく痙攣しながらも、右手で背負ったフルンティングを再び抜く。
それを見たニィが剣を振らせないよう右手を押さえにかかるのを見て、シーリスは左足を動かしニィの背中を軽く蹴る。
右手を押さえようと重心を前に傾かせていたニィはバランスを崩し、シーリスに抜け出されてしまった。
シーリスは額を押さえて頭を振り、意識をはっきりさせようとしながらニィに話しかける。
「お前のその能力……一回戦でイザベラの電撃攻撃を防いだのはそれか?」
ニィは言われて顔をしかめる。
「決勝まで秘密にしておくつもりだったのに……バレてしまっては仕方がにゃいにゃ」
目を赤に戻したニィは、ポーズを決めながら堂々と言った。
「これがニィの新たな技その2、『
猫又をベースに猫、と呼ばれる生物の力を取り込む能力!この力があれば、シーリスにだって負けないにゃ!」
今の会話の間に痺れから回復したシーリスはそれを聞くとフッ、と笑った。
「力を取り込む……とは言っても、猫限定だろう?悪魔や天使……あるいはフェニックス、そんな力を取り込む事ができない限り、私は負けないさ」
一筋の電撃が迸るが、シーリスは首を傾け避ける。髪の一房に擦り、毛が数本舞った。
「猫の力を馬鹿にすると、恐ろしい目にあう……それをその身に思い知らせてやるにゃ!!」
ニィは言うと同時に走り出すと、一瞬でシーリスの裏を取った。そのまま爪を振りかざす!
「ほう、それは楽しみだ」
対してシーリスはフルンティングを背中に回してガードする。
『猫変幻・ウンピョウ!』
ニィに大きな牙が生え、シーリスの肩に噛みつきに向かう!
しかしシーリスはブリッジでそれを避け、起き上がる勢いでニィの顔面に拳をお見舞いする。ニィは怯みながらも腕を振る。
『猫変幻・ピューマ!』
シーリスは振ってきた腕を剣で受ける。爪が割れる音が響き、シーリスの顔の方にも1本飛んできた。シーリスは左手でそれを掴み、放り捨てる。そしてニィの方を向き……驚愕する。
「い、いない!?」
シーリスはニィを見失い、辺りを見渡す。しかしどこにもニィはいない。
「空か!…………ガッ!?」
一回戦のリィを思い出し、空を見上げたシーリス。そのワキ腹に、鈍い痛みが起こる。
「し、下か!!」
言いながらシーリスは肘打ちをニィに浴びせようとするも、ニィは既に離れた後。シーリスは地面にフルンティングをぶつける。地面を飛び散らせる事でニィを再び周囲に近づけない算段だ。
(くっ……不覚だった。傷が深い。もう一撃喰らえばアウトだ……
そして、それはニィもよくわかっているだろう)
シーリスはワキ腹の痛みを押し殺し、周りを見ながら冷静に分析する。
(ならば、次の一回に全てをかけよう)
シーリスはフルンティングを地面に再び叩きつける。三度叩きつける。四度叩きつける!
シーリスの周りの地面が割れ、裂ける!これでシーリスの周りに走って行くことができなくなった!
(さて、これでニィが背後から来るか前から来るか)
風を切る音が聞こえてきた。ニィは確実に、素早いスピードで接近してきている!
(これは何となくだが……リィは単純なやつだ、その分までニィは慎重を期して行動してる。だから裏を取ることで安心する……
と見せかけて!)
「前だぁ!!」
シーリスはフルンティングを前に大きく振る!
「にゃ……にゃにぃ!?」
ニィがシーリスの前に現れたのは、ちょうどシーリスがフルンティングを振り始めたタイミング!!
「喰らえぇぇぇえええええ!!!」
ニィの身体をシーリスの剣が捉えた!!
と、誰もが思った。
剣を振り切ったシーリスは、手応えの無さを感じた。
「ま、まさか!?」
シーリスは、崩れて小さな足場しかない地面の方を見る。
ニィがいた場所に現在いるのは、小さな青い猫。猫はだんだんと大きくなりながら、拳を握る。
「対人特化だったから、こんなのは読めなかったでしょ?」
『猫変幻・バーバリーライオン!』
勢いよく放たれたパンチはシーリスの腹部に命中し、シーリスは空高く吹き飛ぶ。
錐揉み回転をしながら落ちてくるシーリスを、ライザーが両手で受け止めた。
『シーリスは気絶!よって勝負あり!』
「ネコを舐めるにゃよ!」
気絶したシーリスに向かって、ニィはパチっとウインクを決めた。
〜オマケ〜
勝者に向かい、リィは走る。
「ニィ!!ニィばっかり新しい技いっぱい覚えててずるいのにゃ!リィにも教えてよ!!」
対してニィは涼しい顔で言う。
「マタタビに頼っているようじゃ覚えるのは無理にゃ」
「ぐぬぬ……」
リィは歯ぎしりした。
「このままでは、最終手段に出なければいけなくなるにゃ……」
「最終手段?土下座でも……!?」
リィが懐から取り出したるは、対ネコ武器、MATATABI!
「ふへへはへ、これを使いたければ、リィに技を教えるにゃ……」
「くっ、ニィはMATATABIなんかに屈しないにゃ!!」
数秒後。
「ふへへへへへへへへへへ!!」
マタタビの枝を噛みながら、空高く飛んでいく一人の女の子がいた。
彼女を見ながら、その双子の姉妹は呆れたように呟く。
「我慢できなくて自分で使っちゃうなんて……リィは何がしたかったのにゃ……」