ライザー=フェニックスの日常   作:兵太郎

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クリスマスに投稿しようとしたら、用事が入ってしまいましたよHAHAHA……嘘です今年もクリぼっちです。
投稿!


エピローグ 〜成果と褒賞(役得)〜

 

--「ハッ!ハッ!!」

雪蘭(シュエラン)は空中に突きを行う。拳法の修行となんら変わらないその行為。しかし、一ヶ所これまでとは明確に違うところがあった。

「本当に……熱くないわね……」

その拳は、橙の炎に包まれていた。本来は氷や雪などの魔力を使う雪蘭は、炎が苦手だ。しかし、この炎は雪蘭の身体に何の被害も及ぼさない。それもそのはず、その炎は雪蘭自身が創り出したものなのだ。

その炎を見て、雪蘭は思う。

 

 

(何でこんな早く覚えちゃったのよ、私の馬鹿ー!!!)

 

「そうだネル!もう少しイメージを膨らませろ!火種はできてる!あとは燃やすだけだ!!」

現在、ライザーは眷属の皆に炎の魔力の使い方を指導している。

トーナメント優勝後、雪蘭はこう言った。

『ら、ライザー。約束通り優勝したんだから、ちゃんと炎の出し方教えてくれるんでしょうね!』

それに対しライザーは、

 

 

『おう、もちろん!こうなったら危ないとかそういうのは無しだ!俺が付きっ切りで全員纏めて教えてやる!』

『そ、そんな付きっ切りで全員だなんて……ん?全員?』

『おうよ、フェニックスの眷属はやはり炎を操れないとな!雪蘭のおかげで、やっと決心がついたぜ!』

 

 

『……この馬鹿ー!!!』『ゲボォア!?』

 

しかして雪蘭には『ふたりっきりで教えなさいよ!』などと言う勇気はなく、結局数日後の今、ライザーの炎魔力教室が行われているという訳である。

それでも教えてくれるなら……と意気込む雪蘭だったが、彼女は戦いの才が非常にあった。

 

『そこで炎のイメージを膨らませるんだ、強く、激しく!』

『強く、激しく……!できた!……あ』

『おお、さすが雪蘭!完璧だ!これだけ威力があれば十分、俺が教えることはもう無いな!免許皆伝だ!』

 

という訳で開始五分ほどで指導終了。その後永遠と空に拳を突き出し続ける雪蘭は、心の中で泣いていた。

 

 

そんなことはつゆ知らず、ライザーは眷属皆を回って炎魔力を教える。

(シーリス、雪蘭はさすがに飲み込みが早かったな。二人ともスポンジのように技術を吸収していった。

イルもほとんど安定している。残りはネルだけだな。

 

しかし、リィがあんなにすぐできるようになるとは意外だったな。やっぱりリィには理屈よりも感覚で教えた方がいいのかもな)

 

リィへの指導は『変身する時の魔力を全て爪の方に集中させて、そのあと火が凄く燃え上がってるのをイメージしろ!』と言っただけだったが、リィはライザーが想定したよりもずっと早く炎を纏うことに成功した。

なお、現在リィは体育座りで明後日の方向を向いて座り込んでいる。哀愁の漂う背中から出される構ってオーラに、しかしライザーは気づいていない。

 

「こ、こうかぁ!!」

ボッ!とネルのチェーンソーにもとうとう火がついた!刃と共に回転する炎を見て、ライザーは頷く。

「皆よくやった!これで俺達はフェニックス眷属の名に恥じない紅蓮の焔を手に入れた!これからは各自の技に加え、炎の方も鍛えていくようにな!では解散!」

『はっ!』

眷属達は短く返事をすると、それぞれの趣味へと移行するため散らばっていった。イザベラが俊敏に木の上に登って昼寝を開始するのを視界の隅に入れながら、ライザーは腕を回す。

 

「……疲れた。他人に物事を教えるのって、こんなに難しかったのか。師匠はやはりそれだけすごいってことなんだな」

ミー、と頭の上でネコが鳴く。ライザーがその頭を人差し指で撫でてやると、ネコは気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らした。

 

「でもニィ、お前は『一日俺の頭の上にいる事』なんて願いで良かったのか?」

ニャー、と1回。それが肯定だとライザーはわかる。

「まぁいいならいいけどさ。さて、風呂行くか!お前も来るか?」

ニィはその言葉に身体を固まらせる。数秒後、少し弱めの声でニャーと聞こえた。

「行くのか?じゃあ身体は俺が洗ってやるよ。昔リィも洗ってやったことが……うお!?こら、顔面引っ掻くな!びっくりするだろ!」

フーッ!と威嚇のような音を立てるニィ。頭の上では爪を立てている。

 

機嫌の悪いニィをなだめながら、ライザーは風呂へと向かう。脱衣所で服を脱ぎ、だだっ広い温泉に飛び込もうと風呂の戸を開け、

 

「……え?」

 

湯浴みしていた雪蘭と遭遇した。

 

「……ん?おお雪蘭、お疲れ!さすが「出てけぇ!!」ボヘァ!?」

雪蘭の一閃がライザーの腹に突き刺さる!ダメージはほぼ無いものの、衝撃によろけるライザー。その下には、雪蘭が持ち込んでいた石鹸が……

 

「っとと!?」「えっ……キャッ!」

ライザーは雪蘭を巻き込むように転倒し、そして。

 

 

「……ちょっ、退きなさいよ、ば、馬鹿!」

「……ん?うぉ!?悪い!」

 

ライザーが雪蘭を押し倒したような格好になっていた。指摘されたライザーは慌てて離れる。

「で、何よ!何しに来たの!」

身構える雪蘭。しかしライザーは動じず「風呂に入りに来た」と告げる。女性とはいえ共に修行した兄弟弟子。そして眷属。特段気にする様子もない。むしろ、

 

「そうだ、背中流してやろうか?」

などとデリカシーなく聞いてくる。雪蘭はわなわなと震え、

 

「『氷礫・紅』!!」

「うわらば!」

 

早速本日の成果をお見舞いするのだった--

 

 

 

 




〜おまけ〜

泡に包まれながら、ニィはジト目で雪蘭を見る。
「も、もうちょっと上よ、上」
「ここら辺か?」「……うん、そこそこ。気持ち良いわ〜」

文句を言い、殴ったりしながらも結局はライザーに背中を流してもらっている雪蘭は、顔を真っ赤にしながらも必死で強がっている。その雪蘭に身体を洗ってもらっているニィなのだが、時々洗う手に力が込められて痛い。
「ニャフニャフ!」
抗議を上げても二人は聞いていない。まぁ、聞こえたところで二人に意味は通じないのだが。もがこうにも雪蘭は泡だらけの両手でしっかりと胴を掴んでいる。ニィに逃げる手段はない。
「もう少し強くした方がいいか?」
「そうね、お願いしようかしら……んんっ、強いっ!あはっ」
「っ!痛かったか?」
「……はぁ、い、いえ。そんなことないわ。続けてちょうだい?」
とうとう握る力が限界に近づいてきた。
(ぐ、グエェ!ま、不味いにゃ!いちゃいちゃついでに殺されてしまう!変身を解かにゃいと!)

ニィが変身を解除する。彼女の身体はだんだんと大きくなっていき、ようやく雪蘭の魔手から解放された!
「た、助かった……に゛ゃっ!?」
ニィの力が急に抜ける!どうしたことかとニィが振り返ると……
「ら、ライザー。もっとお願いよ、もっとぉ」
ライザーに懇願している雪蘭が、照れ隠しにとニィの尻尾を弄っていた。

脱力したまま床に着地するニィ。さらに運が悪い事に、そこには先ほどまで雪蘭がニィを洗う時に使っていた石鹸があった。
「ふぎゃっ!?」「きゃっ!」「うわっ!」
思いっきり滑るニィ。彼女は後ろにいる雪蘭、そしてライザーを巻き込んで転倒する!


「あ痛たた……」「にゃあああ…」
派手に転倒した二人は、しかしライザーの足を下敷きにしていたため頭を打たずに済んだ。
「ライザー、あんたは……」「ご主人様、だいじょ……」


二人は見た。見てしまった。
ライザーに取り付いた異形の怪物を。大怪鳥を。


ブシッという音が四つ、風呂場に響く。
「……びっくりした。急にニィが倒れ込んでくるとは。大丈夫か、お前た……なっ!」
少し遅れて上半身を起こしたライザーが見たのは、鼻血を出して倒れている二人の姿だった。
「だ、大丈夫かお前達!おい誰か!誰か来てくれ!」--


今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!


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