--昔々(とは言っても長い時を生きる彼らにとってはつい最近の様にも思えるかもしれないが)、悪魔・天使・堕天使による大戦が起こった。元々いがみ合っていた3大勢力はついにどの勢力からともなく争い始め、三つ巴となり衝突しあった。大勢の悪魔・天使・堕天使が死に絶え、結果は『魔王』・『聖書の神』という二勢力のトップの死と、各勢力の約八割を失う三者総痛み分けという形で収まった。
その後、天界では四大天使と他数名により『神の代わりのシステム』が造られる。堕天使は総督、アザゼルがそのカリスマをもってして生き残った者をまとめ上げて行く…一部の者を除き。
天使勢は最上級クラスの者にしか情報を漏らさない事で、堕天使勢は総督がいち早く他の堕天使幹部を抑える事により何とか配下の混乱を防ぐ事に成功した。しかし、悪魔達は違った。
旧魔王の死後、尚も戦争を続けようとする過激派を悪魔領の辺境においやった後に、魔王の重臣達は次の魔王について話し合った。彼らは『超越者』にして旧魔王の息子であるリゼヴィム=リヴァン=ルシファーを推した。しかし、リゼヴィムは選ばれなかった。
彼は大戦が終わった直後から、魂の抜け殻のようになっていた。その理由はただ単純に父親が亡くなったから、ではないのは分かったが、その真の理由は家臣ごときが推測できるものではなかった。
リゼヴィム=リヴァン=ルシファーが腑抜けてしまい、その他の旧魔王の血を引く者達を辺地に追いやった以上、旧魔王の血を引かない者から選ぶしか無くなったその状況下で、ある提案が出た。
リゼヴィム様以外の二人の『超越者』、サーゼクス=グレモリーとアジュカ=アスタロト。彼らのうちどちらかに魔王の座についてもらおう、と。
この意見に、旧魔王の重臣達は真っ二つに割れた。新魔王として超越者を擁立しようとする者と、彼らの様な1000年も生きていない、ルシファーの血を引いてもいない若僧に任せるのではなく、自分達の中から新しい魔王を選ぼう、という愚者に。その後、前者がサーゼクスとアジュカを説得して新魔王として魔界全土に広めた事に反対派が怒り、内紛が始まった。魔界の歴史の中で、最も大きな戦争であった。
結局、愚者共は敗北し、自分の領土さえ捨てて散り散りに逃げ出した。新魔王の座には、サーゼクス=グレモリーとアジュカ・アスタロトの二人、そしてその二人がそれぞれ推した悪魔、セラフォルー=シトリーとファルビウム=グラシャボラスの計四人が着き、四大魔王として魔界を治める事になる。
しかし、反逆者となった彼らもしぶとかった。その後散り散りになった彼らはもう一度集まり、蜂起する。自分の元配下だった者を集めたり、元72柱の中でも新魔王に味方していない者を煽ったりと、様々な手段を使って反乱を起こしてきた。果ては、自分達が追放した旧魔王の血を引くものを再び擁立してまで……その数は、歴史に乗らないような小さなものを含めれば、100を超える程だった。
そんな中、今から120年ほど前に旧魔王の重臣の一人が反乱を起こした。歴史上では『第十七次旧派の乱』と呼ばれるその戦いの中に、一つの新たな勢力が現れた。
彼らは反乱を瞬く間に抑えると元重臣を拘束し、その身柄を魔王に送った。元重臣を連行してきた男は、感謝の気持ちを表した魔王達に対しこう答えたと言う。
『我々は独立軍「SAFS」!我々は正義の軍である!今現在、正義の心は新魔王様方にあり、その心を持ち続ける限りは我々は貴方方の友軍として反乱軍を打ち倒す!しかし、その正義の心が乱れた時、我々は貴方方に牙を剥き、貴方方を倒してこの国に正義を取り戻すだろう!』と。
その後も一八次、一九次、二〇次と反乱があったが、その内一八次と二〇次はSAFSの協力により乱を抑えている。SAFSは軍として知名度を上げ、人気が少なからずあるようだ。
ここで、SAFSについて少し説明をしておく。SAFSは実力主義である。彼らは力により軍内でランキングを作り、その上位者が官職を授かるシステムになっている。月に一度、ランキング変動の為の試合があり、その順位によって階級・役職も変化する仕組みだ。
SAFSには総勢三万程の人数がいる。トップの下に三人の大将がいて、その次に五人の中将、そしてその下に十人の少将、更に下に准将が二十人いる。准将の次の階級は大佐であり、その人数は三十名。その中の二 人が部下を200名ほど連れ、今回の『第二十一次旧派の乱』を抑えに来たのだった。
「……とは言っても、やっぱり200人じゃ不安だよな。いくら相手の人数が少ないって言っても、敵は戦慣れした傭兵ばっかりだ。ボスももう少し人数を預けてくれると良いのにな!」
『SAFS』の前線基地の総督の部屋では、男と女が一人ずつ、紅茶を嗜んでいた。
「まぁ俺達なら大丈夫か?俺達でも大丈夫だろう。しかし俺でも大丈夫、か?俺でも大丈夫か。俺一人でも大丈夫?俺一人でも大丈夫だ!そうだ、俺一人でも大丈夫なんだ!じゃあちょっと行ってきて敵を壊滅させてくる!」
「分かった分かった、死んでこい」
軍服の襟から胸部分を破いて褐色の胸板を晒している、野生児じみた男の唐突な言葉を、軍服の袖を所々切っている、茶髪に赤のメッシュを多数入れた女は適当に受け流す。諦めの表情が浮かんだ顔に男は気づかず、カップに残っていた紅茶を一気飲みすると外へと出て行った。まぁ、夕食時には帰ってくるだろう、と女はティーカップを片付けながら思う。
男の名はキース、女の名はイザベラ。彼らはマイペースに、反乱の鎮圧を行っていた。
説明回みたいになってしまいました。ライザー君出てきてないし!
オリキャラをしれっと入れたりしてみましたが、彼が今後出てくるかは分かりません。ただ、書いていて結構好きになってきたので、もしかしたらまた出すかも……
最初からあの人をかなり強くしちゃったぞ、と書き終わってから気づきましたが、まぁライザー眷属は原作より多少強めに書くので良いということにしておきます!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!