魔法少年マジカルアスラン 作:仙儒
私が彼に出会ったのはお世辞にもいい出会いとは言えなかった。
私がすずかのヘアバンドを取り上げたところから始まり、何時までもまごまごしているすずかに腹が立ってつい行為がエスカレートしてしまった事。
それを見て飛び込んで来たのがなのは。
なのはは何も語らずにいきなり手を大きく振りかぶろうとした。
ぶたれる!そう思って強く目を瞑って身構えていたが、一向に衝撃が来ない。
「ストップだ、なのは」
そう言って一人の男が振りかぶったなのはの腕を掴んで止めていた。
「でも、アスラン君!」
それはすずかの事を思っての行動ゆえになのはは納得がいかなかった。
「肉体言語も良いが、あくまでそれは最終手段だ。それに、彼女から話があるみたいだぞ」
そう言って片目を瞑り、少し顔を傾ける。
その先には、すずかが居た。
「あ、あの。それはお姉ちゃんが誕生日にくれた大切な物なの。だから、返して!」
その言葉を聞くとバツが悪くなる。完全に私が悪者だ。
「わ、わかったわよ。ほら」
どうしてもぶっきらぼうになってしまう。素直でない自分が少し恨めしい。
ヘアバンドを受け取ると嬉しそうに「ありがとう」と言ってきた。
「あの、私月村すずかっていうの、えっと名前を教えてくれると嬉しいな」
その返答に
「アリサ、アリサ・バニングよ」
「ほら、なのは」
男に言われて少ししょんぼりした形で
「高町なのはなの、その、ぶとうとしてごめんね」
「良く言えたな、偉いぞ。俺はアスラン・ザラだよろしく」
これが私達の出会い。最初は少しぎすぎすしてたけど、今では一番仲良しだ。
アスランは私のぶっきらぼうな性格の事を理解してうまく立ち回ってくれたり、助言をしてくれたりした。今まで対等な関係と言うのを体験した事のない私にとって初めてできた、平等で偏見なしで接してくれる皆が嬉しかった。
アスランが居たからこそこんなに早く親友ができたんだと思う。そこからアスランを意識し始めた。真面目だけど何処か抜けてて、一緒にいると落ち着くのだ。
だけど、彼は何時も成績は私よりも良い事から、私の中で負けず嫌いと言う、自分でも子供っぽいって思うけど、それが前面に出てしまったのだ。
それで勝負を挑んでは玉砕してきた。だから賭け事をすることにした。
幸い、アスランも自分のできうる範囲ならば何でも言う事を聞くと約束してくれた。
これで勝てたら、その…結婚してほしいって言うつもりだ。
約束はたがえさせない。何が何でも聞いてもらうんだから。
待ってなさいよ、アスラン。
そう決意して塾に入ったのだから。
私では思いつかない方法で解決してくれたアスラン君はやっぱりすごいの。
あの後少しアスラン君にアリサちゃんを叩こうとしたことを怒られた。
何のために言葉があるのか、と。でも最後は優しくそれだけ真剣に他人のために動けるなのはは正直凄いと思うぞと褒めてくれた。
それに今では何でも話せる親友だ。そこで思い切ってアスラン君の事が好きなのかを聞いてみたら全員がアスラン君の事を好きだった事にはさすがに驚いたの。
今まで独り占めできていたのが急に遠くに行っちゃった気がして。置いてかれちゃうんじゃないかって怖くなった時があったの。だけど優しく撫でてくれて
「大丈夫、どこにもいかないよ」
そう言って優しく撫でてくれた。心にぽっかり空いた穴はそれだけでなくなってしまい、ぽかぽかと温かい気持ちが溢れて来る。
だから、アリサちゃんにすずかちゃん、絶対に負けないの。