魔法少年マジカルアスラン 作:仙儒
次の日、幸い休みだったので、リニスにこの世界の事を教えておくことにした。
ここがこの世界には魔法文化が無い事を話す。
たまに俺のようなイレギュラーが起居る事があることも。だから、念話はできるだけ拡散的にやらないようにとも言っておいた。下手に刺激して何かあると困るから。
その辺を説明した後、今度はこの世界の日本におけるお金の価値を教える。
まぁ、直ぐには無理だと思うのでカードの使える所で買い物をするように言うつもりだが、もしもの時のために三万位は常に持ち歩いた方が良いと言って置く。
日本人は素直なので、店以外の所から何か違法物等を買わない限りおつりを返してくれるからな。後はレシートで引き算すれば残りの金額わかるし。ただ、そのお金の価値観がわかってないんだよね。
と言うわけで、デパートにやってきた。
リニスにカードを渡してあるので、店員にコーディネートを頼んで幾つか買うように言っておいた。
その間にファッション誌等を買う。無論レディースの物だ。これで流行の最先端とまではいかなくても、服の組み合わせ位は分かるはずだ。
まぁ、元が美人なので、余程浮いている物を着ない限り全て着こなすだろうが。
途中で彼女から念話で助けてくれと来た。
何があったかと言うと、店員に火が付いちゃったらしくて次から次へと着せ替え人形状態になっているのだと言う。取り敢えず気にせずに楽しめと言って念話を打ち切った。
その後もしつこく念話が入ってきて時間を確認すると二時間が経過していた。
そろそろ頃合いか。
そう思い迎えに行く。
婦人服コーナーに行くと恨めしそうに此方を睨んでいる彼女の姿があった。
文句を言われたが、こればかりは、彼女の私服のためなので我慢してほしい。
この後は買わないで良いからと念話で話す。彼女の場合買わない可能性の方が大きかったのでそのことをほのめかしたら、念話が無言に成ったので一安心。
ただ、全部買うと言った所、数が凄い事に成っていたため、今来ているのをそのまま着て帰ることにして、後は、宅配で送ってくれるように頼んだ。
あのままでは彼女と俺では持ちきれない。
「いいんですか?こんなに買っていただいて?イメージして貰えれば魔力で生成できたのに…」
そんなことを小声で伝えて来る彼女にそんなの魔力が使えなくなった時点で終わりだし、その分の魔力は俺から供給するわけだから、長い目で見れば安い物さと押し切る。
それに
「せっかく自由に成ったんだ、こんなことがあっても罰は当たらないだろう。それにリニスの回復祝いでもあるからな」
そう言うと少し彼女の顔が赤くなった。
どうした?
そう思っていると
「使い魔契約をした以上私は貴方の物です。貴方が何と言おうと貴方に仕える、貴方に尽くします。それが私の自由ですから」
そう言ってきた。
「せっかくの手に入れた自由を無駄にするのか?」
助けるためとはいえ契約をしたのはこっちなのだ。それで無理やり縛り付けるつもりはない。
「はい、仕えるか仕えないかの自由は頂けましたから。それに…」
?
「それに、なんだ?」
と聞き返すといえ、何でもありません。とはぐらかされてしまった。
使い魔とはいえ女性に男が口で叶うものでは無い。
これ以上追及しても意味ないだろう。
そう思っていると食品売り場はどこだと聞かれたので、デパートの一階に降りる。
どうでもいいけど、食品売り場ってどこのデパートでも一階にあるよな?
そこから、彼女の目の色が変わる。真剣に、だけど、決して遅くなく次々に買い物かごに入れこんでいく。これは完全に主婦の目だ。
俺にはどれがどう新鮮なのか見分けがつかない。
この世界の事について学んだ。
お金の事も。これは追々覚えればいいと言われ、黒いカードを渡された。
一応何かあると困るからと、確かこの国の中で一番価値があると言われた紙幣を三枚渡された。何かあった時にあった方が便利だからとの事。
その後、急に出かけるぞと言われて、ついて行くと婦人服コーナーだった。
まさかと思った。私のような使い魔は主人が思い描いたものを魔力で作りだす事ができる。そうじゃなくても自分で見て、こんな感じなのかと作りだす事も可能だ。
それを告げようとしたら、もう店の人を呼んでしまい、等の本人はどこかに居なくなってしまっていた。
「こんな感じでどうでしょうか?」
そうして持ってこられたものを試着室で着る。
初めてするお洒落と言う物に戸惑いを隠せないでいた。
それに、絶対にこんなの似合わない。そう思っていた。
「ど、どうでしょうか?」
取り敢えず着替えたので試着室から出る。
「とってもお似合いですよ~」
とお決まりのセリフが返って来る。
「でも、少し胸の所がきつくて…」
そう言うと少し笑顔だけど肩眉が不自然に動いた。そして、何処からともなくメジャーを出して「スリーサイズ測らせて頂きますね~」と言って手早く測られてしまう。少しくすぐったかった。
「お、お客様は着やせするタイプなんですね、スタイル抜群で妬ま、羨ましいですよ」
「そ、そうでしょうか?」
今までにこういった経験が無いため返事もあいまいになってしまう。
そこから他の店員も混じり、あれやこれやと着せ替え人形になり果ててしまう。
正直どの服も私には似合わないと思っていた。
やはり、何時もの服の方が落ち着く。
歯止めがかからなくなってしまったために、助けの念話を送ったが、何事も経験だ。その一言で片づけられてしまった。
結局その後しばらくは念話が通じなかった。
しばらくしてようやくやってきた彼に少し恨めしい顔をしたが、彼はどこ吹く風であった。
しかし、彼は試着した服を全部買ったのだ。正直使い魔に此処までする主人は珍しい。
断ろうとしたら彼から何かを渡されて言い損ねた。渡された物を袋から出してみると何と書いてあるかわからないが、ファッション雑誌であることは間違いなかった。
「良く似合っているぞ」
その言葉に胸がドキンと高鳴った。
それを隠すように魔力で自分の服位作れると言うとその魔力の大元を辿れば最終的に俺に来るんだろう?の一言に次の言葉を出すことができなかった。
それに、
「せっかく自由を手に入れたんだからこんなのがあっても罰は当たらないだろう。それにリニスの回復祝いでもあるのだから」
何処までも優しい言葉。彼は私を使い魔では無く、同じ人間として扱っている。
本当にフェイトと同じだ。
だから告げた。私の意志を貴方に仕える事を。
それに対する言葉を発するが、それを否定する。
仕えるに値する人物だと、それに…フェイトと同じくとても悲しく、寂しそうな瞳を見てしまったから。放っておけない。不思議と近くにいたいと言う気持ちもあった。