魔法少年マジカルアスラン 作:仙儒
月村邸に着いた。
俺の家とバニングス邸だけで一体海鳴り市の面積の何パーセントを占めているのだろうか?
俺が思うに4~5%位かな。え?そんなわけあるか?行ってても1%が関の山?マジで?海鳴り市どんだけデカいんだよ。
…現実逃避はやめよう。
家の中に通され、客間と思われる所に恭也さんと一緒に待たされた。
待たされるのは良いが何故隣にさも当然のように座ってるんすかねすずかさん?
しかも、腕組んで離してくれない。空いた片方の手で紅茶を優雅に飲んでらっしゃる。幸せオーラをこれでもかってくらい醸し出している。
「ラブラブね」
声のした方を見るといつの間にかこの家の、否、一族の主である忍さんがニコニコしながら向かい側に座っている。
恭也さんも似たような状態だ。視線でどうしたらいいのか?と試しにやってみたら、恭也さんは首を左右に振って遠い目をした。そして返ってきた答えが諦めろだった。仕方がアルマーニ。
何故通じたのか、何故答えがわかったのか、そして冗談を言っているかと言うと今回の交渉で伐るカードの内容についてをどこまで出していいのか考えて居たのだ。
後、さりげなく組んだ腕の指先を、すずかが恋人繋ぎにして顔をほんのり赤らめ、上目遣いで紅茶を口に含んだまま此方にキスしようとしてきたからでもある。発情期なのか?確かそんなのがあったよな?
その行為をかわすために恭也さんの方を向いたんだけどね。
そうしたら、諦めたのか、此方の肩に頭を預けて来た。その時にコクンと喉が鳴ったのが伝わってきたので、自分で飲んだのだろう。
「率直に聞くわね?貴方何者?」
来ると確信していたのを回りくどく外堀から埋められるよりは面倒くさくなくてちょうどいい。
だが、いざ話すとなるとどう言ったら良い物か。何処まで話すべきか。
「その前に、ブルーコスモス、コーディネーター、ナチュラル。この言葉に聞き覚えは?」
ニコニコしてたのが一転して真剣な顔に成る。
「青いコスモスに、服の組み合わせを支持する人に、自然…何かのなぞかけかしら?恭也は聞いたことある?」
聞かれた恭也さんも何が何だかわからない状態の様子。静かに首を左右に振った。
そこから始まった。簡単に言うとコーディネーターは遺伝子操作を受けている人の事で、本来は外宇宙の厳しい環境下で生き抜くために文字通り体をコーディネートされた人の事を指す。その中で特に宇宙空間で筋肉を失わないための基礎体力や一般の人との運動量の限界の違い。様々な環境下に馴染むためにと行われたこの研究。悪い言い方をすれば夢や才能を金で買っているようなものだ。反射神経、空間把握能力、知能の底上げ、純粋な力の差。
それらを羨む者が居た。だが、その人々はテストをカンニングしながらやっているものだと非難する者達が、遺伝子操作を忌み嫌い、できた集団が通称ブルーコスモスと言われる組織。主にアメリカのワシントンを中心として活動していて、過激派はコーディネーターと分かるだけで一方的な虐殺が許されてきた。
そのことでコーディネーターは遺伝子操作を受けていない者達の事をナチュラルと皮肉り、両者の間には徐々に深い溝ができていく。
そして、決定的な物となったのが核が使われた今世紀最大のテロ、血のバレンタインデーであることを。
「標的にされたのは何の罪もないただの農業支援の大規模団体のコーディネーターだっただけで殺されたんだ。その中には俺の母親も居た」
その言葉に俺以外の皆が唾を飲む。
「ブルーコスモスの盟主は武器商人、通称死の商人。そいつらが過激派を上手く操り、食い物にしてるんですよ」
そいつらが都合の悪い事になるとコーディネーターのせいにして、それが過激派を刺激しての悪循環。
そこで、ワザとらしく紅茶を飲む。
「此方の話はここら辺にしておきます。語り続けてもきりがないし、貴方たちも苦しいでしょう」
そう言って闇にこれ以上追及するなと釘を刺す。
「そうね、辛い事聞いてごめんなさい。今度は此方の番ね」
前世での知識通りの内容だったので割愛する。
「で、このことを忘れるか、それとも友好を誓うか、それとも…」
悪戯を思いついた悪い顔をしている。
「すずかと結婚するか」
「お、お姉ちゃん!!」
おお、反応が早い。流石に最後のは選ばないが俺としては傷つくな~。
「友好でお願いします。此方の秘密を提示した。これでフェアーです。すずかはこれから先、もっと魅力的に成るでしょう。その時のすずかの気持ちを尊重したい。それに…」
少し間を開けて、
「今のすずかの反応を見るに、俺では勤まらないみたいですから」
そう言って自傷気味に笑う。恐らく魔眼が効かないだろうと判断するとこれしか落としどころが無い。
「あ、アスラン君そういうわけじゃなくてね」
早速フォローに入るすずか。優しいがそれは傷口に塩を塗り込んでいるようなもんだぞ?
「ああ、わかってる。すずかは優しいからな」
そう言って頭を少し強引に撫でる。
「ほ、本当だよ、私はアスラン君が…」
弁解の牢獄に入りそうなのでわかってるよと言いつつ、被っていたベレー帽を取ってすずかに被せる。
「…ばか」
最後にぼそっと何かを言ったがそれは聞き取れなかった。
ふと時計を見ると結構長い時間話し込んでいた事に気が付く。
組まれていた手はすずかが弁解に入った時点で解かれている。
「時間も時間なんでそろそろお開きに」
そう言うと忍さんももうこんな時間! ごめんなさいね。と言いながら
「ノエル、アスラン君を送ってってあげて、アスラン君、何時でも遊びに来てね! アスラン君なら何時だって大歓迎だから」
その後に、恭也を連れてきてくれればなおよし、と付け足された。
アスラン君が帰った後、恭也と向かい合っている。
「彼の言ってくれたこと、どう思う?」
それに一呼吸おいて
「嘘は言っていないと思う。コーディネーターだのブルーコスモスだのは初めて聞いたが、血のバレンタインデーに彼の母親が殺されたのは事実だ。父親の方は父さんが殺したって」
俯いて告げる恭也。
私はそうとしか言えなかった。彼の言った事全てを鵜呑みにするわけでは無いが、筋は通っているし、あからさまに嘘をついているようにも見えなかった。
むしろ、ずーっと悲痛な顔つきをしていた。とても普通の子供ができるような顔では無い。それに母親の話の時に感じた一瞬だけど、とてつもない怒気と殺気を感じた。
無表情でどこ吹く風みたいな恭也でさえ、冷や汗が止まらなかったくらいだ。
…それはそれとして、
「すずか、良かったの?あんな曖昧で」
大人しいが筋は通すのがすずかである。
「うん、今はまだね。アスラン君の事知ったつもりだったけど全然知らなかった。だから、その悲しみを癒せるようになってからじゃないといけないと思うんだ」
涙を流し、そう答えるすずか。
その妹にそうとしか言えない。
「すずか、いい女になったわね。私なんかよりも全然」
自慢の妹だからそう思えたし素直に思ったことを口にした。
「…もう部屋に戻るね」
そう言って出ていってしまう。
追いかけようとも思わない。少し心の整理をする時間が必要だろう。
「私、全然いい女じゃないよ」
涙を拭きながら呟く。
今まで自分の事しか考えて居なかった。知らなかったから。
だけど、彼は私の事をちゃんと考えてくれていた。
最後にしたお姉ちゃんの悪戯な質問にも真剣に考えて居てくれた。
私のためだけを思って断ってくれた。
だから決めた。私は彼の事をもっと思うと同時に考えようと。
私が彼の悲しみから身を護る盾に成る。彼の苦しみの癒しとなる。
彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の、彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の彼の
全ての受け皿となる。
あれ?どうしてこうなった?
すずかちゃんがちょっとヤンでるようです。
因みにアスランがしてたのは殆どC.E.の方のことです。