魔法少年マジカルアスラン   作:仙儒

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幼少期

 どうやらついたらしい。

 馬鹿でかい部屋の一室に居た。姿見もあったのでみたら希望通りベレー帽を被った幼いアスランであった。幼すぎるためか女の子に見えるが、大きくなっても女に見える顔してるし良いだろう。

 

 カシャン、カシャン。

 

 金属の小さな音がしてそちらを見てみるとトリィが肩に止まった所だった。

 

「トリィ、トリィ?」

 

 首を傾げるような動作をして此方を見つめて来るトリィ。

 取り敢えず散策してみるか。

 

 そんな思いを抱いて家を探索することにする。

 

 しかし、無駄に広いなー…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから散策した結果を報告しよう。SEEDのラクスの家だった。キラが寝ていた全面ガラス張りのホールのようなところがある。他にも薔薇でできた庭のアーチに馬鹿でかい泉。塀すら見えない広大な土地に人知れず溜息を吐く。エントランス何てシャンデリアがこれでもかってくらいついていた。後パーティー開くためと思われる会場とかにもシャンデリアあったよ。

 食事処を見つけるとそこには紅い色の三角形を模した宝石と置手紙みたいのが置かれていた。

 

 

 

 この手紙を読んでいると言う事は無事に転生できたのですね。

 そこに置いてあるのはあなた専用のインテリジェットデバイスのイージスです。

 この館の秘密の地下室に魔法関連の物が置いてあります。

 それぞれ説明を書いておいたので、よく読んで使ってくださいね。

 

 

 だそうだ。地下室の場所の詳細も書かれていたので、これって秘密なのか?そう思いながら取り敢えずはイージスを手に乗っけて語り掛ける。

 

「イージス、俺の名前はアスラン・ザラだ。情けない主人だがよろしく頼む」

 

 するとイージスは点滅しながら浮かび上がり、

 

「マスターは情けなくありません。落ち度があるとすればそれは私の力不足です」

 

 そう言いながら元に戻ろうとするイージスにセットアップを命じる。

 

 両腰に三角のスラスター、そこにはビームライフルとシールドがセットされ、体のあちこちには細かいパーツがセットされており、変形も可能。ただし、相手にだいしゅきホールする形になるが。両足のビームサーベルも展開できた。無論両手もだ。ビームライフルを持ってみるが手になじむ。因みに赤い塗装が展開されているがこれもオンオフ可能らしい。試しにやってみたらちゃんと機械っぽい色に成った。

 PS装甲はそのまま対魔力防御に変わるらしい。PS装甲を展開しなくてもそんじょそこらの攻撃では抜けないらしいが。

 大体のスペックについてはわかった。他にも解析プログラム等もインストールされているらしい。

 

 

 

 あ、因みに生活費は神様の方で毎月入れてくれてくれるらしい。

 通帳が置かれていたから見たら普通に億を超えていたよ。

 こんなに要らないよ、しかもこれを毎月とか…どんだけ過保護なの?

 

 

 そう言えば湖の前に墓標があった。レノア・ザラ。命日はコズミックイラで死んだ血のバレンタインの日だった。

 少し涙が出たのは内緒だ。

 

 

 

 そんな色々な葛藤をしているとトリィがかってに飛んで行ってしまう。

 

「ちょっとまて、トリィ!」

 

 呼び掛けには応じずにただ飛んで行ってしまう。

 急いで表門を通り抜け、かけていく。トリィは一定距離離れると旋回して此方を上空から見ているようだ。まるでこっちへ来いと言っているように。

 

 そのまま、しばらく走り続けているとそこそこ大きな公園に出た。

 トリィはそのまま、公園の中に入っていってしまう。

 

「はぁはぁ、待ってトリィ!」

 

 随分走って来た。幾らコーディネーターとは言え体力は無限ではないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

「トリィ、トリィ、トリィ?」

 

「ふぇ!!」

 

 トリィの消えた方向から幼く、甲高い少女の声が聞こえてくる。

 

 

 辿り着くとベンチに膝を抱えて涙を流していた少女の肩に乗り、顔でその涙を拭うようなしぐさをしている。

 

「ご、ごめん。ほらトリィ」

 

 そう言うと差し出した掌にぴょんと飛び乗る。

 その瞬間に女の子から小さく「あ」っと声が漏れる。

 小さな小さな声であったが、その声を聞き逃すことは無かった。

 

「触ってみる?」

 

 そうするとおどおどしながら「良いの?」と聞いてきた。

 

「ほら、片手を出してみて」

 

 そうすると少女は恐る恐る左腕を差し出してきた。

 差し出された手にトリィが飛び乗る。

 

「わー、凄い、本当の鳥さんみたいなの!」

 

 先ほどまで涙を流していた両目は子供特有のキラキラと好奇心に満ちた物へと変わっていた。子供の表情はころころと変わるものだな。少なくとも泣き顔よりはずーっと良い。

 その後、トリィと少女がじゃれている間に自販機でココアを一つとスポーツドリンクを一つ買って戻る。

 買ったココアを少女の後ろから首筋にピタリと当てると「にゃああああ!!」と猫のような反応を返してきた。涙目になりながら此方を睨む少女に「悪い悪い」と言いながらココアを渡す。反応に飽きない子だな。

 

「ありがとうなの」

 

 そのまま、隣に座り、スポーツドリンクを口にする

 

「…聞かないの、何でなのはがこんなことしてるのか」

 

「言いたくなったら聞くよ」

 

 そう言うと少女は淡々としゃべり出した。自分の今、置かれている位置を。

 良い子にしなくちゃいけない事。

 色々子供なりに考えて居るらしい。

 

 これはわかる。かつての俺がそうだったから。でも、それは違うんだ。

 

「君は間違っている。伝えなきゃいけないんだ。その気持ちを。勇気を出してお母さんに一言、寂しいって伝えてごらん。大丈夫、必要なのはほんの小さな勇気と追い風」

 

 そう言うと立ち上がり、「でも!」と告げる少女の話の腰を折る。

 

「俺に言えたんだ、大丈夫。それに親は寂しがってる筈だよ」

 

 そう言うと「行くよ、トリィ」と言って立ち去ろうとした時だった。

 

「私なのは、高町なのは!君の名前は!」

 

 そう言えば名乗っていなかったな。

 

「アスラン、アスラン・ザラだ」

 

 そう言うと公園を去ろうとする。

 出入り口の付近で止まり、

 

「そういうわけだ、もっと構ってやれ」

 

 そう言うと今度こそ公園から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 がさがさ、木が揺れ人が降りて来る。

 

「俺の気配に気が付くとは何者だ?見たところ何らかの武術をやってるようだが…」

 

 それよりも

 

 公園の中へ入っていく。

 

「なのは、こんな遅くまで此処にいたのか、心配したぞ」

 

「ご、ごめんなさいなの」

 

(必要なのはほんの小さな勇気…)

 

 

 

 家に着いたなのは、まずは珍しく居るお母さんに思いっきり抱き付いた。

 そこからはなし崩し的になってしまったが、泣きじゃくりながら、しゃくりあげながら、嗚咽に飲まれながら昼間の事を話した。

 寂しかったと。それを口にしてはいけないと思っていた胸の内を打ち明けた。

 母親の桃子も、姉の美由希も、兄の恭也も涙を流してこれまでの事を詫びた。

 

(アスラン君私、ちゃんと言えたよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きろイージス」

 

「YESマスター」

 

「セットアップ」

 

 機械の騎士となり、

 

「早速出悪いが高町士郎の居場所を特定、小結界の展開後転移、回復魔法を頼めるか?」

 

 いきなりハードですまないとも告げる。

 しかし、イージスからは文句ひとつ出ずに

 

「マスターの願いを叶えるのが私の役目です」

 

 それは頼もしい事で。

 

「特定座標確認、結界展開完了、転移します」

 

 早えよ。そう突っ込もうとした時には既に周りの景色が変化して、集中治療室内の様だった。これは酷い。

 

「イージス、スキャン開始。お前から見て回復の見込みは?」

 

「スキャン終了、持って6日が関の山かと」

 

 だから早えよ。ん?まてよ、リリカルなのはでは死なない筈だぞ?

 俺と言うイレギュラーのせいか?

 どちらにせよ。

 

「治せるか、イージス」

 

 駄目かもしれない…そういう思いが一瞬駆け巡る。

 しかし、

 

「治せます、しかし、急激に良くなるのは不自然なので3段階のリミッターを加えさせて貰います」

 

 相棒の頼もしい言葉に安堵の息が漏れる。

 それよりも、俺よりも状況判断が優れている。

 

「すまない、助かる。お願いできるか?」

 

「言ったはずです。マスターの願いを叶えるのが私の役目です」

 

 本当に頭が上がらないな。そう考えている間にも既に治療が開始されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 温かい感覚がした。そして引き寄せられるような感覚だ。

 薄目を開けてみると暗闇に紛れてそれでも隠れきれない騎士甲冑…いや、どちらかと言えばロボットのパーツと言った方が適切か?

 それに、輝く碧玉の瞳が印象的だった。

 輝きが無くなり、終わったのか完全に気配が消失した。

 体を動かすのがやっとだが、その手でナースコールを押すのは簡単な事だった。

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