魔法少年マジカルアスラン 作:仙儒
あ、れ?
気を失っていたのか?
此方を心配そうにのぞき込みながらタオルで拭いてくれている。
ひんやりと冷たくて気持ちいい。
そうして、再び目を瞑ろうとして意識が覚醒する。
勢いよく起き上がる。
死んだと思っていた人物が目の前に居る。
「な…のは」
そう問いかける俺になのははうん…と歯切れ悪く返事を返す。
動揺を隠せないでいる俺に両手で俺の手を包むようにして来た。
「大丈夫、夢なんかじゃない。ちゃんと現実だよ」
その言葉に、その温もりに自然と涙が出て来る。
「う、く、うぅ」
何を言えばいいかわからなかった。
そんな俺の事をなのはは寄り添うようにして、横から優しく抱きしめてくれた。優しく背中を撫でてくれた。
「長い、長い夢を見ていた。とても悲しい夢だったんだ」
そう言うと
「うん、わかってる。大丈夫だよ。私は此処にいるよ」
嗚咽で返事ができない。ただ、彼女は間違いなく生きている。
それでいいじゃないか。この世界に来てから涙もろくなったな。
キラの泣き虫がうつったのかな。
こっちの世界に来てから泣いてばかりのような気がする。
でも、アスランもなんだかんだ泣き虫だったっけ?キラほどではないが。
生前の記憶を思い起こしながら心の中で苦笑いする。
でも、本当に良かった。
「なのはちゃ…、アスラン君大丈夫!何処か痛いの!」
聞こえて来たのは何時もの聞きなれた声。
「何、アスランが起きたの!!」
すずかにアリサの声。
駆け寄って来る二人の姿。
聞きなれたはずの声がとても新鮮で、普段は当たり前で気が付かないけど、こうやって過ごせることの幸せがよくわかる。
「ああ、もう少しだけ…、泣かせてくれ」
今度は嬉しい涙が溢れて来る。
三人はうなずき合い、何も言わずに受け入れてくれる。
何も言わずにそっと、手を肩に置いてくれたのがその証拠だ。
「すまない、みっともないところを見せた」
今思い返すと恥ずかしい。
と言うか、ここ俺の家だよな?
何故こいつらが知っているんだ?
因みに俺が寝てるのは全面ガラス張りの部屋だ。
ラクスの家でキラが寝て居たところ。
と言うか、何故俺の家にいる。此処は知られてはいない筈だぞ。
そのことを話したらなのはの所にトリィが飛んで行って、連れてきてしまったようだ。
念話であの後どうなったかを聞くと、なのはの話を聞く限り、気絶した俺をイージスが家に強制転移させたみたいだ。
ユーノからも大丈夫かと、念話で気遣いの声が聞こえた。
「ああ、大丈夫だ」
そう言うとアリサが身を乗り出し、あと数センチで唇が触れる位の距離まで来て吠える。
「あんた、三日も目を覚まさなかったのよ!大丈夫なわけ無いじゃない!」
ん?三日寝て居た?
「(イージス、俺の意識が無くなってからどの位経った?)」
そう聞いてみると
(72時間37分になります)
まじか。
「本当に大丈夫だ」
そう告げる。別段、体の何処かに違和感や痛みは無い。
いや、少し体がだるいがその程度だ。支障はない。
何でそれだけ寝ていたのかは知らないが、心配をかけたのは事実だ。
その件について謝罪したらアリサから「全くよ!」と言葉が返ってきた。
それにすずかが「アリサちゃん、流石にそれは…」とフォローしてくれたが、本人はそっぽを向いて、ふんと言った。
アリサなりに相当心配してくれたのだろう。