魔法少年マジカルアスラン   作:仙儒

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間休

 明日俺、お見合いするんだ…、死亡フラグみたいに言ってみたけど覆らない現実。

 小3にお見合いとか頭可笑しいんじゃないの?

 昼休み中に急に電話がかかってきたと思ったらリニスからこんなバカげた内容が発せられた。

 断れよと言ったら、断ったが相手が折れず、こっちが折れてしまったらしい。

 あのリニスを折れさせるとか誰だよ。相当な手慣れだぞ。

 情報を聞くに何処かのお偉いさんのご息女らしい。

 これってあれだろ?お見合い=結婚だろ?相手がお偉いさんならば余計にだ。

 一応、リニスも条件を幾つかつけてくれたみたいだが、さて…。

 

 そうやってブルーな気持ちで戻ってきたら、アリサも浮かない顔をしていた。

 別段、気にするほどでもないが、妙にしおらしい。

 それに気づいてかすずかになのはがどうしたんだろうと、心配していた。

 

 

 

放課後、何時もなら一緒に帰るアリサが、一緒に帰ることを断った。

これは重症かもしれない。

なのは達には途中で忘れ物をしたと言って学校へと引き返した。

その時すずかの「アスラン君の忘れ物はない筈なんだけどな」と言う一言が気になった。何でお前が俺の私物の事知ってんだよ。なくしものが多いせいで、ちゃんと確認してる所を見られたのか?毎回くじ引きで席替えしてるのに俺の周りに必ず何時もの三人が居るし。偶然の筈なんだけどな。三人は位置は変わるが俺の両隣と前か後ろ以外に変わらない。クラスも三年間一緒で、席も離れたことが無い。もう奇跡を通り越して呆れている。

 

 話がそれたな、気を取り直して、屋上へ向かう。

 

 屋上の空からは夕日が差し込んでいた。

 何時もの三人が座っているベンチの所に、ちょこん…、とアリサが座っていた。

 何時も堂々としているアリサが、下を向いて足をぶらぶらさせている。

 その光景は一段とアリサの姿を小さく映した。

 

 俺は何も言わずにただ、隣に座った。

 言葉をかけようにも、こういった場合、どう言葉をかければいいのかわからない。下手に言葉を重ねても、それが返って相手を追い詰めることにも成り得るのだ。

 それらを考慮した結果、近くに居るだけで、相手から話しかけて来るのを待つと言うチキンな行動しかとれなかった。アスランの中にもこういった場合、どうすればいいのかわからないみたいだし、アスラン自身も人付き合いが苦手だった。

 

 座ってしばらく経つ、そう言えば来る途中で飲み物を買ったんだっけ?と思い出し、アリサが普段好んで飲んでいるジュースをそっとアリサのすぐそばに置いた。

 すると、アリサがそのジュースの缶を掴み、プルタブを開けてちびちびと飲みだした。

 未だアリサは無言のままだ。

 それから少しして口を開く。

 

「何も聞かないのね」

 

 その言葉に俺は

 

「アリサが話したくなるまで、な」

 

 そう答えた。こういう時は何も言わずに傍に親しい誰かが居たほうが幾分か気持ちが楽になるだろう。

 そう言って、俺も自分のジュースの缶を開けて一口飲む。

 

 静けさがその場を支配する。

 時折、流れる風が妙に心地よくて、同時に郷愁を思わせた。

 

「あの、さ」

 

 弱々しい声でアリサが口を開いた。

 

「私、お見合いすることになったの。私は嫌だって何度も言ったんだけど、聞いてくれなくて。これまでに幾つかこういう事はあったんだけど、今回はって盛り上がっちゃってさ、お母さんも珍しく乗り気で、婚約者にするって」

 

 それから顔を上げる。

 その眼には涙が浮かんでいた。

 

「私は嫌なの。自分の好きな人と一緒になりたい。そんな親の決めたどこの誰とも知れない人と何て結婚したくないよ…、」

 

 遂には涙腺は決壊し、涙が流れるアリサ。

 俺はアリサの頭を自分の胸に優しく抱き寄せる。

 

「実は、さ。俺もなんだ。親が決めたお見合いするの。アリサほどの大げさな物じゃ無いけど、正直乗り気じゃない。親って勝手だよな、全く。でも、アリサにはまだ時間がある。結婚できる年までな。その間に親も心が変わるかもしれない。だから、アリサは絶対に嫌だって言い続ければいい。きっと大丈夫だ」

 

 そう言って頭を優しくポンポンしたり、撫でたりをしているうちに、弱々しい嗚咽が無くなり、顔を上げた。

 その赤く腫れぼったい目にはさっきの弱々しい姿では無く、真の通った強い目をした何時もの姿のアリサが居た。

 

「そうよね。言ってやるわ、何度だって」

 

 そう言って俺があげたジュースを一気に飲み干す。

 そして、両手で自分の顔をビンタし、活を入れるアリサ。

 

「ありがとう、アスラン」

 

 その時、強い風が吹いてアリサが何と言ったか聞こえなかった。

 それでも、何か吹っ切れたような清々しい顔のアリサに少し安堵した。

 どうやら俺は間違っていなかったらしい。

 

 

 

 次の休日。

 スーツを着込んでリニスと一緒に指定された場所へと行く。

 すずかや俺の家と同じく大きな門に玄関まで見えなかった道を歩き、玄関までSPとメイドさんに案内される。

 俺ももっとSPとかメイドとか雇った方が良いかな?

 そうすればリニスの負担も軽くなるし。士郎さんへ相談してみるか。

 

 そう考えて扉を開けた瞬間に頭が真っ白になる。

 そこにはうっすらと化粧をして少し大人びたアリサが目に映る。

 相手も相当驚いたのか口をパクパクさせて、指を此方に向けている。

 

「な、何でアスランが此処にいるのよー!!」

 

 あえて言わせて貰うなら

 

「そっちこそ何で!」

 

 驚いているとアリサの父親らしき人から声がかけられる。

 

「なんだ、アリサ、知り合いだったのか」

 

 そして、こっちに向き直ると「さあさ、座ってくれたくれたまえ」

 

 言われるがままにアリサと向き合うような形で座る。

 

「いやー、君の父、パトリックとは長い付き合いでね。色々と世話になったよ。君はパトリックじゃなく、その容姿はレノアさんに似たんだね」

 

 いやー本当にそっくりだ。そう語るアリサの父親。それに頷くアリサの母親。

 どうやらアリサの両親は俺の両親を知っているらしい。と言うか、かなり仲が良かったのだろう。

 それからアリサの父とアリサの母親との俺の両親とのなれそめを話し始めた。

 何でも、アリサの母親と母上が親友だったらしく、学生時代からキャベツバカだったらしい。

 曰く、アリサの父は俺の父上と親友で、アリサの母親と俺の母上が親友で何かの団体のパーティーで出会ったらしい。

 それから長々と惚気話を聞くこととなった。

 アリサも聞いたことが無かったのか、興味深々と聞いている。

 俺としてはそろそろ遠慮してほしいんだけど…、あと爆発して下さい。

 気のせいかなにも入れていない筈の紅茶が甘く感じる。

 

「っと、長々と惚気話をしてしまったな、すまない。そう言えばアリサがk「あーあー!パパ!!!」おっと禁句だったらしい。すまないね」

 

 はっはっはと笑うアリサの父親に犬のように吠えるアリサ。

 アリサはどうやら母親に性格が似ているらしい。

 そうでもないか?

 

「もー、アリサったら素直じゃないわねー」

 

 …、わからん。

 

「で、家のアリサはどうかね?」

 

 そう聞かれて素直に思ったことを口にする。

 

「素直じゃない所や、喧嘩腰な所は在りますが、クラスの中心的人物でもあり、そのくせ、傷つきやすかったりしますが、魅力的な人物ですよ」

 

 その答えに満足したのかうんうんと頷いている。

 

「では今回の縁談は「断らせて頂きます」…、何故だね?」

 

 案外冷静に返されたので少し気が抜けるが、その眼は強い意志を宿している。

 

「アリサが泣いてたんです。こうなることが嫌で、昨日屋上で誰に知られること無く。アリサの人生はアリサの物です。親が1から10まで面倒を見る時代は終わったのですよ。私も嫁は自分の足で見つけます」

 

 そう言うと、バンッ!、と強くテーブルを叩き、その勢いで立ち上がり、すたすたとその場を後にする。

 少し、いや、かなり強引だったがこうでもしなければあの強い目に対抗できなかっただろうし、それだけの断る決定的な切っ掛けがなかっただろう。

 リニスがあわてて相手に頭を下げて、此方へと走って来る。扉を抜けるとリニスからの小言が始まる。

 しょうがないだろう。お互い不本意なんだから。

 その間にイージスが警備システムを制圧し、混乱の一瞬をつき転移魔法で家へと帰る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広間には一瞬の静寂の後、アリサの父親の高笑いが響く。

 アリサはその高笑いに動揺していた。

 

「やはり血は抗えんな。パトリックにそっくりだ」

 

 そう言うとアリサの母親が口を挟む。

 

「いえ、貴方、あの頭の固さはレノアゆずりよ」

 

 いや、いや、と言い合っているうちに喧嘩になりそうになったところで、メイド長があわてて入ってくる。

 それにどうしたのかと聞くとセキュリティーがやられたとのことだ。

 その報告にアリサの父親は一層深い笑みを浮かべた。

 

「セキュリティーまでやっていくとは完敗だ。将来家に欲しい物だな、なぁ、アリサ?」

 

 その言葉にアリサの顔が真っ赤に染まる。

 それに追撃をかける。

 

「私がわからないと思ったのか?何時もアスランアスラン言っていることに。それに実はお前と彼が産まれた時にもうこの子たちを結婚させようと約束してたんだぞ?」

 

 まぁ、彼も知らないだろうがな。

 そう言って、遠い目をする。彼の口から親の話が出なかったこと。

 そうして彼の連れとして来たのがメイド一人だったこと。あの二人が連絡が取れなくなってからあの手この手で探したが、依然として行方知れずだった。それどころか、死んだと報告が入ってきた。

 かなり信憑性が高い情報だったが俄かには信じられなかった。

 だから、今日あえてアリサを出しにして彼を招いたのだ。

 彼の事もアリサから聞くまでは、どこにいるか行方知れずだったが、まさかこんなに近くに居たとはな。正に、灯台元暗しだ。

 どちらにしても、

 

「あれを落とすのは至難の業だぞ、アリサ」

 

 そう言いながら、「早くお義父さんと言われたいものだな」と言うとその場を後にする。

 あの馬鹿め、私に何の相談も無しにあんな置き形見何ぞしやがって。もっと早くに見つけ出すべきだった。そうすれば、少なくともあの歳でああまで成長せねばならない事なんてさせなかった。

 そう思いながら、彼の現在の保護者を探すように情報屋に連絡を入れる。

 もし、居ないのであれば、或は変な奴が多寡っているようならこちらで保護せねばならない。無論、その時には我が子として迎え入れる腹くくりだ。

 




提督業は大変だぜ。

本当に申し訳ありませんでした。

でもザラだよ、報酬。ならやるしかないじゃないか。

しっかり確保できました。
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