魔法少年マジカルアスラン   作:仙儒

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無印

 ん?

 風の流れが変わったか?

 

 穏やかな会話の中で突然訪れる不和。

 それはなのはも同じだったようで、念話が飛んで来る。

 それに同意してユーノが森の方に向かって走っていく。

 

 さりげなく猫が二~三匹追いかけていったが、本当に逃げているんではないだろうか?

 それを理由になのはが追いかけていく。

 此処までは原作通り。

 

 しかし、イレギュラーとは何時だって予想だにしない所からやって来る。

 

 なのはにフェイトにジュエルシード、そして、アンノウンが一つ。それもとびっきりの魔力の持ち主だ。

 

 周りの事を考えて居る暇は無かった。

 アリサやすずかの声を無視して走り出す。

 

 間に合ってくれ、もうあんな思いは十分だ。

 

 

「イージス!」

 

(セットアップ)

 

 そのままなのはの居る所までフラッシュムーブで一気に加速する。

 着いた瞬間に大量の剣の雨が降り注ぐ。

 

 どれも膨大な魔力を秘めており、着弾地点から爆発が起こる。

 これには見覚えがあった。

 

 かつて、この世の全てを手にした王が居た。

 古代メソポタミア文明、バビロニア第三王朝、ネイキッド族のギルガメッシュ。

 不老不死の探究者。

 そして全ての神話のモデルとなった物語であるエヌマ・エリシュを冠する存在。

 天も地も無く、神々の中で生まれた者は誰も居ない。

 それを詠った数々の英雄伝の大元に値する人物であり、半神半人の現人神でもある。

 

 そんな大層な人物が態々ここまで出しゃばって来るはずはない。

 

 考えられるのは一つ、もう一人の転生者。

 

 少し考えればいい事だ。女神様にあった時に言っていたことを思い出す。

 

 ”普通の人ならゲート・オブ・バビロンや無限の剣製”を要求してくると。

 

 少なくとも、俺以外にも転生している人物が居ると言う事だ。

 今まで出会わなかったのが奇跡だったのかもしれない。

 

 考えながらもなのはの前で文字通り楯に成っている。

 このシールド、何時までもつかな?

 

 そんなことを考えながら状況を確認する。

 後方になのはに大きな猫であったもの。

 

 その太刀が、刀が剣が矛が槍が、猫を串刺しにし、そこから魔力による爆発が起き、最早物言わぬ屍と成り果てていた。

 

 それによりか、フェイトとの交戦があったからかは知らないが、なのはは気絶している。

 フェイトは上空から悲しそうな目で猫の末路を見ていた。

 アルフも犬の姿でわからないが、フェイトとの感情リンクがあり、また、アルフ自身も良心的な方だ。

 少なくとも良い気持ちではないだろう。

 

 !

 

 なのはを小脇に抱えて大きくジャンプ、そのままフェイトの元まで飛んで行く。

 

 

 ガキンッ!

 

 フェイトも反対側の小脇に抱えると足からビームサーベルを出し、飛んできた剣を弾く。

 それと同時に魔力同士の衝突による爆発が起こり、大きく後ろへと吹き飛ばされる。

 フェイトも何が何だかわからないのか、呆けたまま動かない。

 フェイトは冷静で洞察力に優れた人物だ。それが俺の接近に気が付かず、あまつさえ、抵抗なく小脇に抱えられているのだから余程先ほどの光景がショックだったのだろう。

 

 すると攻撃の手が止んだ。

 

「おい、モブ、俺の嫁たちになに手を出してやがるんだ!俺はオリ主様だぞ!」

 

 そう怒鳴り声が響く。

 二次創作で見たことがある、完全に自分が主人公だと勘違いしている奴だ。

 見た目は銀髪にオッドアイ。完全に中二病患者。まぁ、俺も人の事を言えた義理ではないが。

 

 フェイトが我に返り、離れようともがきだすが、バインドで動けないようにした。

 その上で、念話で頼むから今は動かないでくれとお願いした。

 

 そうすると大人しくなった。助かる。

 

 そうして俺の中の眠れる野性が雄たけびを上げる。

 

 頭の中で何かが割れた音がした瞬間、より視界がクリーンになる。

 

 バインドを解除したのち、小さな結界を張る。

 

「ここの中に居れば安全だから」

 

 そう言うと二人を結界内に入れる。

 

「無視してんじゃねー!!!」

 

 そう言ってフェイトたちが居るのに此方に向けて武器を射出してきた。

 

「ふざけるな!!!」

 

 今度は俺が雄たけびを上げてフェイトたちから離れて一気に加速する。

 音速で飛んでくる武器たち。

 だが、真っ直ぐにしか飛ばない武器はかわすのは簡単だ。

 

 今まで拷問にも等しい音速環での誘導性のあるスフィアに比べれば交わすのは簡単なことだ。おまけに狙いは余り定まっていない。此方に来て日が浅いのか、それとも大きな力を手にしたことからくる慢心か…、どちらでも構わない。

 

「主人公なら何をしても許されるのか!ふざけるな!」

 

 そう言いながら、左右にステップし、攻撃をかわしつつ、邪魔なら展開したビームサーベルとシールドで弾き飛ばしながら相手に迫る。

 

「う、うるさい、モブのくせに、モブのくせに! 何なんだお前は! 俺はオリ主様だぞ!」

 

 流石に俺の殺気と武器を飛ばしても当たらない事に焦りを感じたのか言葉を発した。

 それには救いようが無い位に傲慢で、どこまでも自分が世界の中心だと思い込んでいる物だった。

 

「お前こそなんだ!」

 

 遂に接近し斬りかかろうした時だった。

 

 ズブリッ!

 

 左腹筋部分に剣が突き刺さる。

 これは…、アニメで見たことある。デュランダル、ありとあらゆる防御と言う概念を切り裂く剣だ。

 

 それは偶々だったのだろう。

 がむしゃらに武器を射出して、たまたま出ただけの事。

 それが防御を貫いてきただけ。

 

「は、ははは、オリ主である俺に逆らうからこうなる。死ねー!モブ!!!」

 

 剣一本当たっただけでこの態度の変わりよう。そして、確実に殺せるようにか武器の嵐が先ほどよりも多く降り注ぐ。

 狙いは定まっていないとは言え、下手な鉄砲数撃ちゃ当たると言う数の暴力にデュランダルが刺さって動きが制限されてる俺では全てを避けると言う事は出来ない。

 それでも持ちこたえているのはPS装甲があるからだ。

 

 しかし、それも無限ではない。

 

 イージスから残りのエネルギー残量が警報音と一緒に伝わって来る。

 

 最後の賭けだ。

 

 全てのエネルギーを集めて敵にスキュラで撃つ。

 

 はたしてそれは当たったのかどうか?

 

 シューン、と言う嫌な音と共にPS装甲が解除される音が聞こえる。

 

 次に体全体に凄まじい衝撃が襲う。

 痛みは無かった。

 ただ、他人事のように串刺しになったんだと漠然と思い、そうして意識は無くなった。

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