魔法少年マジカルアスラン   作:仙儒

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幼少期

 真夜中、草木も眠る丑三つ時。俺が泊まっている客間をノックする音がする。

 何かあると見て正解だったな。起きていてよかった。

 俺が眠っていると思ったのか、返事は聞かないで入ってきたのは、この家の主である士郎さんだった。

 起きていた俺を見るなり、寝ていると思ったのか

 

「起きていたのかい?」

 

 そう訪ねて来た。

 

「ええ、何か話があるみたいだったので」

 

 真剣な表情で

 

「ならば話は早い、悪いがリビングに来てくれ」

 

 

 リビングから光が漏れている。移動中、俺も士郎さんも言葉を発することは無かった。

 リビングに入ると桃子さん、恭也さん、美由希さんが重苦しい雰囲気を醸し出しながら食卓用の机に集まっている。

 覚悟の上だったが、そうそうたるメンバーがそろったもんだ。

 士郎さんが椅子を引き、此処に座ってくれと言う。

 高町家のなのはを除いたメンバーと対面に座る。

 最後に士郎さんが目の前に座る。

 

 重苦しい雰囲気は続く。俺もあちらも誰も口を開こうとしない。

 

 そんな時間が十分だか、二十分だかが経った。いや、もっとかもしれないし、もっと短い時間だったかも知れない。

 流石に空気に押されて、口を開こうとしたらいきなり士郎さんが口を開いた。

 

「すまない、言い訳はしない。君の父親である”パトリック・ザラ”は私が殺した」

 

 その一言に高町家のメンツは驚きに目を見開き、俺も雷に撃たれたような衝撃を受けると同時に左肩を強く抑えた。

 頭はついていけてないが、感情は理解したようで、涙が次々に出て来る。

 

「父上…!」

 

 だが、追い付いた頭が可能性をピックアップしていく。母レノアの死は2月14日。新聞記事で確認したところ此方でもテロでの死亡だとわかった。

 その瞬間に頭の中に記憶が流れ込んでくる。

 父親に言われてCQCをしたこと、子供ゲリラ部隊として人を殺していた事。

 皮肉な事に、この世界でも疑問に思い問うたら拳銃で左肩を撃ち抜かれたこと。

 それもSEEDの世界と同じで極秘プランの資料を俺が隠していたことから殺されなかっただけ。それから死に物狂いで日本の極秘で建てた別荘に転がり込んだことを。

 刺客が訪れなかったのはそういうわけか…。この世界でも復讐の鬼になり果てたのだな。

 

 だとすると士郎さんの怪我は俺の父親のせいになる。

 

 なのはを孤独にさせたのは他の誰でもない俺自身だった。

 

 何が勇気を出せだ。俺のせいじゃないか…。

 

 そのまま両手を机につけて頭を下げる。

 

「父上が取り返しのつかない事をしました。謝って済む問題では無いですが、すいません!」

 

 嗚咽にさいなまれる中、必死で声を絞り出す。

 

「ほんとは、俺が、父上を殺していれば、こんなことには…」

 

 パーン!

 

 乾いた音が響く。向かい側の士郎さんの手が私の顔を引っ叩いた音だ。

 

「士郎さん!」

 

 桃子さんが驚きの言葉をあげる。

 

「子供が父親を殺すなど言う物じゃない!」

 

 それに込み上げてきたのは怒り、悲しみ、色んな感情が入り混じった物だった。

 

「だったらどうすれば良かったんだ!何度も、何度もやめるように言った!でも聞いてもらえなくて、戦火は広がるばかりで…止めようとしたら拳銃で撃たれて、殺されなかった理由も俺が極秘資料を隠し持っていたからで、一体どうすれば良かったと言うんだ!」

 

 何を言っているのか自分でもわからないものだった。

 

「どうすれば贖罪できるのか!」

 

 言い切る前に優しく抱きしめられるような感覚がした。桃子さんだ。

 伝わってくるのは優しい、ただただ優しい温もりだった。

 母親を失ってから、初めて感じる母の愛の感覚だ。

 頭を優しく撫でて「もういいの、良いのよ」と言い聞かせるように言う言葉が余計に涙腺を刺激した。声を殺して泣くだけ泣いた。これでもかってくらい泣いた。

 

 そこで意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高町家の方では動揺と怒りの感情に包まれていた。

 なのはと同い年位の子供を道具として使い、あまつさえ拳銃で自分の子供を撃ったのだ。怒りを覚えない筈がない。しかも、殺さなかった理由がそれに拍車をかける。

 今彼の小さな肩には重すぎる贖罪の意識だけが残ってしまった。

 

「それで、どうするの父さん」

 

 恭也が胸糞悪い中口を開く。冷静に見えるがその手は怒りに震え、血が滴っていた。

 

「…ああ、彼を養子として迎えたいと思う。彼の親は両方とも亡くなっているからな。責めて家族と言う物を味わってもらいたい。もっと幸せになってほしい。それが僕の罪滅ぼしだから」

 

 良いよね、桃子、と問いかけると桃子も「ええ」と答えてくれた。

 他の皆も同情も相まってか皆が同意した。

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