第1話 気が付いたら世紀末
一面見渡す限りの荒野、ぺんぺん草一つ生えていない荒地になーんで食料も無しに着の身着のままでこんな所に僕は突っ立ってるんすかねぇ?
一応服の裏には何本かナイフが貼り付いているけどさ、動物どころか植物すら無いこの場所でこんな物が何の役に立つのか教えて欲しい。
あ、服の裏に名前が書いてある、何々? 『Chronus』? ………僕の名前っぽいけど日本語でお願いします。
て言うかめっちゃ頭痛い、風邪とかのレベルじゃ無い痛み何だけどどうしよう?
触ってみると手にはベッタリと血が付着している、もしかしたらケチャップじゃ無いかと思って試しに舐めてみたけどはっきりと血の味がしている、どうにも頭痛はコレが原因みたいだ。
服の裾をナイフで破いて包帯代わりにして頭に巻いた後、ぽてぽてと当ても無く荒野を歩く事三日、足が棒の様になり、深刻な空腹と喉の渇きに悩まされ始めた頃に遠くの方におっきな屋敷が見え始めた。 第一村人発見、やっほい。
「すんませーん!! 水と食料と包帯と薬と服と寝床と仕事とお金をくださーい!!」
大声でそう叫びながら屋敷に入った瞬間、ガタイの良い黒服のお兄さん達にボコボコにされた後、禿げたおっさんの前にロープで縛られた状態で放り出された、なにゆえ?
聞く所によると目の前の禿げたおじさんは『ヴォンサンガー・ヘオコイダー将軍』と言うらしく、とある金融を経営しており、シメオンと呼ばれる組織へのショバ代を踏み倒そうとしているらしく、そんな所に僕がノコノコ現れたもんだから勘違いされてタコられたんだってさ、傍迷惑な話だよね。
僕を仕留めた事でボルテージが上がっているのか、黄金の玉座にドカリと座った後、シメオンの事を『あさましい製薬会社のカス共』と罵りながらガードマン達にアリの子一匹入れるなと檄を飛ばしている。
ガードマン達は威勢良く返事をしたんだけど、それと同時に壁と窓が一緒くたに破壊され、制服姿の少女二人が突入して来たってガラスが僕に降り注ぐぅぅぅう!? 怪我人になんと言う仕打ちをするんだ彼女達は!! しかも取り立てに来てる筈なのに片方の娘は純金の観葉植物踏み潰してるし。
「な、何だ貴様らは!!」
いや、このタイミングでのそのお決まりのセリフは辞めた方が……。
「あさましい製薬会社のカス共でございます、将軍」
あっ、聞かれてたんだ、終わったね将軍(震え声)
後、あの娘達スカート短く無い? 観葉植物踏み潰したロングの娘さん苺パンツ見えてるよ? …………睨まれた(震え声)
少女達は将軍の一声によってガードマンから放たれる銃弾を意に返さず超能力の様な力を使って彼らを吹き飛ばし始めた。
いちごパンツちゃんは瓦礫を操作して槍の様に隆起させながら僕とガードマンを襲撃、彼らには悪いけど僕も避けるのに精一杯だから頑張って生き延びて下さい。
もう片方のショートヘアの娘は水を使うのか、無駄に広い屋敷の天井まで到達する様な巨大な水柱を放っている、因みにこの娘は白でした。 …………また睨まれた(涙目)
ロープで簀巻きにされた僕は芋虫の様に這い回って出口を目指していたのだけど、それより早くまた壁と窓が粉砕されて三人の少女が突入して来た。
「七海ィィイ!!」
仲間の物であろう名前を叫びながら新しく戦線に加わったのは青いショートヘアの縞パンを履いた少女とやたらとアダルティー下着を付けたブロンドの少女、そしてクマのぬいぐるみを抱えたくまパンのショートヘアのロリっ娘の三人、やっぱりこの娘達もスカート短いね。
突入して来た娘達は先に来ていた少女達と口論しながら仲間割れを開始、取り立てに来ていた事など頭から抜け落ちているのか調度品を破壊しながら潰し合ってる。
………将軍が隙を突いて逃げようとしたけど裸で亀甲縛りされて石抱きの刑にされてる(白目)
戦闘風景を見ながら将軍が零すツッコミをBGMに、三日三晩飲まず食わずで歩き通しだった僕は何故にこの様な目に合わなくてはならないのだろうと言う怒りが沸々と湧き上がってきた。
服の中のナイフを手繰り寄せてロープを両断、立ち上がれる状態になった所で
僕が立とうとしている間にロリっ娘ちゃんは将軍連れて何処かに行ってしまったが、残る四人に文句の一つ言わなくては怒りが治らない。
僕が投げ付けたナイフは四十本程、一人に付き十本のナイフが襲い掛かる計算なのだが、仲間割れしていた少女達はそれぞれ横に跳びのきながらナイフを服を切らせるだけで回避して見せた。
やはり素人の僕では無理かと思いながらもリーダー格の娘達に向けて指を差して高らかに告げてやった。
「怪我人がいる場所では静かにしろよ!!」
………シーン、という様な静寂、めちゃくちゃ呆れた目で見られたけど何とか静かには出来た、そう思っていたら縞パンちゃんが唐突に口を開いた。
「貴方、何者? 将軍の雇ったニードレスかしら?」
「はい? に、ニードレス、ってなんですのん?」
またも静寂、馬鹿を見る目で見ないでよ、こちとら記憶喪失なんじゃぼけー!!
内心ではそんな事を思いながらも自分の状況を説明、『信じて貰えるか分からないけど記憶喪失になってるみたいで金も無いし彷徨い彷徨って此処に流れ着きました』と言う事を言ったのだけど、何故かあっさりと信じて貰えた。
縞パンさんは顎に手を当てながら何かを考えている、その隙に最初の二人は逃げ出したのだけど、考え事に集中しているのか気が付いてない様子、その証拠に残ったもう一人のブロンドの娘にスカート捲られても気付いて居ない。
「………決めたわ、貴方は私達が引き取る」
「へっ?」
彼女––––––僕を引き取ると言った直後に刹那と名乗った彼女は僕にも何かしら超能力が備わっている筈だと言い、衣住食を何とかする代わりに暫く自分達の下僕になって貰うと言い始めた。
別に僕はそれでも構わないのでその旨を快諾、自己紹介の後に一言だけ重要な事を告げる。
「あの、僕達以外全員行っちゃったよ?」
「………あっ」
導入部はNEEDLESS ZEROⅡの刹那達の任務時から。
主人公の能力はタイトル通りではありますが未覚醒な上、停止以外も可能なので本人は気付きません。
呼吸をする様に時を止めますので発覚と覚醒はだいぶ先。
刹那はナイフ群が現れた瞬間に違和感を覚え、何かしらの能力持ちと判断して保護を決意、離瑠の元に連れて行く事にしました。
後、下僕(雑用係)にする代わりに移住食を約束すると言う話はその為の方便です。
追記
あっさり主人公の言葉を信用したのは梔の能力でコッソリと自白させたからです。