NEEDLESS the World   作:ACS

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第13話

第13話 お買い物

 

 

あの一件以降少しだけアルカさんが優しくなった、訓練で容赦無くボコるのは相変わらずだけど、汗を拭くタオルや水を渡してくれる程度には仲良くなれた、二人の時でも名前を呼んでくれるし、顔見知り程度の認識は有るのかな?

 

アルカさんと仲良くなったら必然的にクルスくんとも関係を持つ様になりよく話す様になった、同年代と言うには多少年下だけれど、ローズ学園には僕しか男が居なかったし、レジスタンスでは年上ばかりしか居ないから新鮮な気分だ。

 

時々手の空いてる時に雑用を手伝って貰ったり、僕の代わりにアルカさんの手伝いをして貰ったり、色々気を使った甲斐があったと言うものだ。

 

…………ただ『ね、姉さんは、見ての通り難しい人ですけど、頑張って下さい!!』と言う謎の応援をされてしまった。

 

誰からその話を聞いたのかを問い詰めたけど、彼は口を割らず、逆に僕の態度から勘違いを深めてしまい、『クロさんみたいな人なら安心して姉さんを任せられますから僕は協力しますよ!!』と、何だか取り返しが付かなくなり始めた。

多分誰かに例の話を吹き込まれたのだろう、誰だか知らないけどその人は4秒前の世界に置き去りにしてやるから覚悟してよね。

 

名も知らない出歯亀に判決を下した僕は今街の方に買い出しに来ている、勿論要らぬ気遣いによってアルカさんと二人で、いや本当に恋愛感情は無いんだってば。

 

話が逸れたけど、買い出しに来た理由は訓練中に僕の投げナイフが全損したからだ、景気良く投げまくっていた所為で刃こぼれしたてたり、柄の部分から蒸発してたりと今手元にはオリハルコン製のナイフが二本しか残っていない。

 

流石にこの二本を投げるのは勿体無い、鉄だろうと鉛だろうとバターの様に切れるから粗末には扱えないし、何より投げナイフとして使うには少々大振りだ。

 

 

「ごめんねアルカさん、僕の買い物に付き合わせちゃって」

 

「別に良い、拠点に居て好みのタイプやら年下との恋愛は有りかやらくだらない事を聞かれるよりはマシだ」

 

「あ、あはは、賭けが成立するレベルだからね、僕らの関係って」

 

「まったく、良い迷惑だ」

 

 

溜息を零しながらやれやれと言う仕草をするアルカさん、元々僕らは二人旅をしていた設定でレジスタンズに入っているので特別仲が良いと思われているのも問題だよなぁ。

 

人員が増えればそう言った話も無くなり、アークライトさん打倒ムードに包まれると思っていたけど、古参が新参に話すネタとして扱われている為、当てが外れてしまった。

 

アルカさんの溜息が移ったのか、僕も深い溜息を零しながら目的の刃物店へと足を踏み入れる。

 

てっきりアルカさんは店の外で待っているかと思ったのだけど、意外な事に僕と一緒に店内に足を踏み入れ、ナイフを見て回っていた。

 

 

「あまり品揃えは良く無いな、今までクロが使っていたナイフ以下の品質だ」

 

「店内でそう言う発言は止めて欲しいなぁ……」

 

「事実だ、まあ使い捨てとしては十分なのでは無いか?」

 

そう言って、アルカさんは店内を回って良さげなナイフを見繕って持って来てくれた。

 

 

「ほら、コレだけあれば充分だろう」

 

「あ、ありがとう御座います」

 

「後コレもだ」

 

 

そう言ってアルカさんが持って来てくれたのは腕に備付ける様な道具、説明を聞くと如何やらコレは仕込み刀の一種の様で、仕掛けを動かす事で手の甲の上に刃がスライドして現れる物だ、良く暗殺者や盗賊が使う袖の下から刃物が出てくる奴だ。

 

これを使えば懐からナイフを取り出す動作を省いて近接戦を行う事が出来る、オリハルコン製のナイフは刃渡が長いのでありがたいのだけど、投げナイフを買うとなると値が張って買えそうに無い。

 

 

「確かにそれも欲しいですけど、ナイフを買うとなると……」

 

「纏めて私が買ってやる、普段の礼だ」

 

「わ、悪いですよ!!」

 

「構わん、どうせ合っても使わない金だ」

 

有無を言わせずアルカさんは会計を済ませ、紙袋に包まれたそれらを僕の方へと投げ渡す、呆気にとられていた僕だったが、済んでしまった物は仕方ないので有難くその好意に甘えさせて貰う事にした。

 

………………正直そんなにお金が残って無かったから有難かった。

 

無事に自分の買い物を終えたのだけど、折角なのでとレジスタンスのみんなから買い出しを頼まれていた事を思い出し、メモ帳を取り出して買い出しリストに目を通す。

 

其処には弾薬、傷薬、デルドロンドリンク、衣類に加え、洗剤、食器と言った不足しがちな物資と、誰が書いたのか精力剤と超強力な媚薬が並んでいた。

 

前半はともかく精力剤と媚薬、誰に使う気なのか問い詰めたい、もし僕とアルカさんに盛るつもりなら死刑だから。

 

取り敢えずみんなのお使いを済ませようと思い、アルカさんにメモの半分を渡して二手に分かれ、それぞれで買い物を済ませようとしたのだが、裏面を見て二人揃ってふたたび溜息を吐く事になった。

 

「『今日はアルカを誘って二人でホテルにでも泊まれ、何だったら精力剤と媚薬を使っても構わん』だってさ、ザカート隊長の字だけどどうします?」

 

「勿論無視だ、買う物だけ買ってさっさと帰るぞ」

 

「はーい」




アルカの好感度がちょっと上がり、友人レベルまで到達しました。

裏でクルスくんとの時間を作ったのが大きいです。
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