第17話 レジスタンス壊滅
レジスタンスに来て一年と少し、今日はアークライトさんがブラックスポットに来る日であり、レジスタンスのみんなはそれを襲撃して彼を暗殺しようとしている。
しかしそれはわざとリークした情報であり、既にシメオン四天王がアークライトさんの護衛に着く手筈になっている、非常に心苦しいが僕もレジスタンスを裏切り、彼らを背後から奇襲しなくてはならない。
続々と傭兵や他の地域の反体制組織が加わり規模が膨れ上がったBS解放軍、今日がその落日となる。
隊長がミーティングを開始し、アルカさんとクルスくんが遅れて到着、熱を帯びた隊長の演説によって高まる士気の中、僕は人混みを縫ってクルスくんの元に向かった。
「……クルスくん」
「あ、クロさん!! いよいよ今日ですね!!」
「……生きろよ」
「えっ?」
「……君は、生き残るんだ」
下手な事を言えば尻尾を見せる事になるが、言わずには居られなかった。
意味深な言葉を言った僕にその言葉の真意を問いただそうとしたクルスくんだったが、アークライトさんの車が到着し、全員が襲撃を仕掛けて行った。
クルスくんはアルカさんの背後に位置し、四天王からの攻撃に晒されない場所に居る、アルカさんの誘導だろう。
崖の上から死にに行くみんなを眺めながら心を鬼にする、今日は初めて人を殺す事になるだろう、それも見知った人達をだ、そう易々とは割り切れないと思う。
けど、僕には彼ら以上に親しい人達がシメオンに居る、悪いけど死んで貰うよ。
襲撃後に反撃を受けたレジスタンスが散り散りに逃げ去る様を目に収めた僕は自分の速度を四倍速にして崖を駆け下り、クルスくんが居ない場所に向けてナイフの雨を降らせる。
的確に頭を射抜きはしたけれど、数が多い所為で半分も仕留める事が出来なかった、そのお陰でナイフを持った僕の姿を彼らに見られてしまう。
「貴様ッ!! 裏切ったのか!!」
「裏切った? 裏切ったのかだって? 僕らは初めからこのつもりだったんだよ」
「まさかアルカもッ!! 実の弟を殺す気なのかあの女はッ!! このひとでなし共がッ!!」
古参だった一人がそう叫び、僕に向けてライフルの銃口を向けるも、既に彼らの動きは0.25倍速になっている為非常に緩慢な動きだ、そして彼らはその事に気が付き僕の隠していた力に戦慄する。
そして彼らと僕の速度差を利用して全員に接触、彼らを4秒前の世界に取り残した後に喉元をナイフで一閃、一人残らず切り捨てる、彼らは死亡して4秒後に自分が死んでいる事に気が付く事になる。
こんな真似をせずとも十六倍の速度差は彼らには追い切れないのだけど、アルカさんの事を人でなしと呼ばれた事にイラついてしまった為、ついやってしまった。
「…………4秒経過、今君達は死んだ事を自覚する。 聞こえていないだろうけど、親殺しの僕は人でなしで構わない、だけどアルカさんは唯の不器用な弟思いのお姉さんだよ」
誰に聞かせる訳でも無い独り言を呟いた後、僕は残りの人達を片付けてから、アルカさんがクルスくんを逃がす為の時間を稼ぐ為、アークライトさん達の目を僕に向けさせる事にした。
先ずは自分の落下速度を低下させながら廃墟の壁を駆け上り、空へと飛び上がる、その後腕を無造作に振るって僅かな空気の流れを作り出し、それを急速に加速させる事で暴風を生み、その風の剣で地上のレジスタンズを薙ぎ払う。
着弾するまで更に四倍速し続けた為その威力は絶大、着弾点は瓦礫一つ残さず消し飛んだ。
その直前に見られている様な感覚を覚えたが、目論見通りアークライトさん達に注目されている様だ。
「アダム・アークライトッ!! 貴様見ているなッ!! なーんてね」
決めポーズ付きで視線の方向に指を指したが呆れられたのかびっくりしたのか、それ以降僕に向けた視線は無くなった。
夢を見た時に頭の中の歯車が少しだけ噛み合った様な感覚を覚えたのでやって見たけど、どんどん制限が緩くなっていくね、この能力。
落下速度を停滞させてゆっくりと着地、通信機から隊長の断末魔が聞こえたのを境にレジスタンスの悲鳴は無くなり、BS解放軍は壊滅した。
「…………前にやり合った時よりアホ見たいに強くなってる気がするんだけど?」
「何時ぞやの覗きくんじゃ無いか、君が右天だとは思わなかったよ」
振り向けば右天が僕の背後に立っていた、多分僕の事を呼びに来たのだろう。
「いや、僕は覗いてないよ!? 覗いてたのはカフカだよカ・フ・カ!! あの蜘蛛男の方!!」
「ふーん、まぁ良いや、で? アークライトさんが呼んでるんでしょう、早く行こうよ」
「かなりふてぶてしいね……」
「だって、君の能力だと僕完封できそうだし……」
「…………だったら、試してみるかい?」
「別に構わないよ、けど僕の視界に入ってる時点で君の勝ち目はゼロだ」
そう言って、僕らは睨み合っていたけれど、やがて右天は溜息を零しながら僕を連れてアークライトさんの元へと向かう事に決め、僕も大人しく従った。
長かった潜入任務の終わり、背後には僕の作り上げた惨劇が生々しく残っているが、振り返らない。
自分の親しい者達を優先して彼らを惨殺した僕には後悔する資格は無いのだ。
感傷に浸っていると、レジスタンスの通信機を使用してアルカさんがクルスくんを地下に逃したと言う事を個人回線で連絡してくれた。
その報告に内心で安堵していた僕だったが、その直後にこの事が波乱の幕開けになるとは思いもよらなかった。
レジスタンズ編終了のお知らせ、次から原作編に移りますが基本的にはシメオン視点です。
現在使用できる能力
加速:四倍
減速:0.25倍
停止:1秒(任意発動不可&無意識)
劣化:接触している物限定
回復:接触している人限定(リスク有り)
音の停滞:自分の周辺の音を聞き取り辛くする
脳内麻薬の分泌:最高にハイッて奴ダァァァア!!
必殺技
『君は4秒前の世界に居るッ!!』
対象の神経伝達を停滞させ、全ての感覚・認識を4秒遅らせる。
接触する事が条件で発動、解除は遠隔からでも任意で可能。
必殺ゲージを1ゲージ使用(適当)
『その動きは既に予測済みだッ!!』
自身の思考速度や判断速度を超高速化させてあらゆる可能性を考慮し、敵の動きを全て予測する技。 十数秒先まで予測可能。
相手の技、性格、能力などを知る事が条件で発動可能、回数を重ねる事で予測の精密さが増す。また、あくまで予測な為結果は絶対では無い。
必殺ゲージを1ゲージ使用(適当)
『風の剣』
腕を振るって空気に動きを作り、その動きを加速させる事で風の斬撃を生み出し前方を薙ぎ払う技、距離によって速度は四倍速加速して行き火力も上がる。
大気がある場所ならば何処でも使用可能。
必殺ゲージを二本使用 空中技(適当)