第29話 離叛
自分の前世を知っているか、その質問をされた瞬間に目が覚めた。
意味深な質問だったが、そんな事よりも満天の夜空が僕の目の前に広がっている事の方が気に掛かった、確か自室で眠ってた筈だよね? 何で野外にすっ飛ばされてんの?
荒野のど真ん中に放り出された僕だったけど、先ほどまで自分が過去を見ていたと言う事を思い出し、強く目を瞑り過去を見ようと強く思う。
すると徐々に瞼の裏に僕の知らない映像が断片的にだけど映し出され始めた、アークライトさんや神父の過去、小規模なビッグバン、その余波で吹き飛ばされた僕等、この技は『過去を見る』と言うよりも『過去に起きた知りたい情報を見る』力の様だ。
瞼を開けると、近くの瓦礫の中に梔ちゃんが裸のままで突き刺さっており、引き抜くと同時に上着を着せる、身長差から服がぶかぶかで全体を隠せるので今はこれで良い、着の身着のまま寝てた事が功を奏した。
過去視によれば梔ちゃんだけでなくアルカも吹き飛ばされて僕達の近くに居るはず、腕時計を見ても吹き飛ばされた当日だから一人で移動していると言う事は無いだろう。
アルカの事を心配しつつ、瓦礫の中から木材を取り出して火を起こし、気絶している梔ちゃんが風邪を引かないように火に当たらせる。
パチパチと弾ける木片を見つめながらこれからの行動を考える、シメオンの一員として戦う気はもう無い、アークライトさんは裏切り者に容赦しないだろうから、確実に殺されるだろう、下手をすれば刹那ちゃん達と戦う可能性もある。
けれども僕の脳裏には未来の出来事が張り付いて離れない、あの未来を回避する為ならば命の一つや二つくれてやる。
「…………けどその為には白砂村に行かなきゃなぁ」
「白砂村? 聞いた事無いな」
「アルカ、やっぱり無事だったんだね」
「当たり前だ、私があの程度で死ぬと思ったのか?」
まあミッシングリンク級のニードレスがこの程度で死にはしないよね、初めからその点は安心していたんだけど、これからどうしようかなぁ。
白砂村、多分過去視を使えばその場所を割り出す事が出来るだろう、しかしコレは完全に僕の問題であり、シメオンビルにアルカが帰っていない所を見ると僕に着いてくる気満々だと言う事、つまりそれは僕と共にシメオンの敵に回る事になるという事だ。
それに横で狸寝入りして僕らの会話を聞いている梔ちゃんも同行する気の様子、デコピン当てて起こしたけどコレでは何時まで立っても白砂村に辿り着く事が出来ないだろう。
『で? 白砂村って何のこと?』
起き上がった梔ちゃんはスケッチブックにスバリな質問を書き僕の前に回る。………せめて前のボタン閉めてください。
思わず偵察を口実に逃げようと思い、立ち上がろうとしたけれど、背後にいたアルカに肩を掴まれて座り直させられる。
「隠し事はよく無いぞクロ、私とお前の仲だ、包み隠さずに話せ」
言葉は優しいが目が笑っていない、その証拠に片手に
「…………実は白砂村と言う場所に僕の実家があるらしくてさ、其処に僕の秘密があるんだって」
「その情報は誰から聞いたんだ?」
「記憶を失う前の僕」
『吹き飛ばされた時に頭打ったの?』
「クロ、お前は疲れてるんだ、私の膝を貸してやるからゆっくり寝ろ」
デスヨネー、自分でも信じられ無いくらい突拍子も無い話だから信じて貰えないのは理解していたよ、でもさ。
「でも僕は其処へ行こうと思う–––––––いや、行かなきゃならないんだ」
今の僕では絶対に彼らに勝てない、実力、経験、能力、あらゆる点で彼らは僕を上回り、それを力ずくで踏み潰す、勝つためには、守る為には過去の自分が使っていた技を使える様に自分の真の力を目覚めさせる事が必要だ。
だから、僕は彼女達に問わなくてはならない。
「–––––––僕は、シメオンから離反するつもりだ、白砂村に行くのはその前段階、僕に付いてくると言う事はそのままアークライトさん達を敵に回す事になる、その覚悟が二人にはある?」
「当然だ、お前が私の味方なら私もお前の味方だ、その背中は私が守ってやる」
『私も行く、クロの実家に興味がある』
「気楽に言うけど……刹那ちゃん達と戦う事になるかもしれないんだよ?」
『大丈夫、みんなクロが好きだから』
「…………ありがとう、梔ちゃん」
「ふん、小娘の分際で言うじゃないか、で? 何時出発するんだ?」
嬉しい事を梔ちゃんに言われた為、思わず涙を流しかけたのだが、アルカの一言で気を引き締め直して過去視を開始、集中に集中を重ね、
四天王として向こう側のIDも持っているが、それを使うとなると僕の動きがシメオンに筒抜けとなる、帰投せずに白砂村へ向かえば怪しまれるだろう、だから此処からは時間との勝負。
「今から行こう、アークライトさんが動けない以上離瑠さんは動けない、左天の動きが怖いけど神父達の事を考えると暫くの間は動かせない筈、だから今の内に
「分かった」
『
「アルカ、梔、これからもよろしくね?」
焚き火を消した僕は全員を加速させて
時間に関する技が解放されました。
先ず初めに習得した物は過去視、目を閉じ能力を集中使用する事で知りたい過去を見る事が出来ます、但しこの力を使用している間は他の技が使用不可能になり、五感全てが過去の出来事に向けられる為、完全に無防備になり何をされても反応出来ません。
現在使用できる能力
加速:四倍
減速:0.25倍
停止:1秒(任意発動不可&無意識)
劣化:接触している物限定
回復:接触している人限定(リスク有り)
音の停滞:自分の周辺の音を聞き取り辛くする
脳内麻薬の分泌:最高にハイッて奴ダァァァア!!
素粒子操作:重力、電磁力が操作できます。
過去視:過去を知る事が出来ます
必殺技
『君は4秒前の世界に居るッ!!』
対象の神経伝達を停滞させ、全ての感覚・認識を4秒遅らせる。
接触する事が条件で発動、解除は遠隔からでも任意で可能。
必殺ゲージを1ゲージ使用(適当)
『その動きは既に予測済みだッ!!』
自身の思考速度や判断速度を超高速化させてあらゆる可能性を考慮し、敵の動きを全て予測する技。 十数秒先まで予測可能。
相手の技、性格、能力などを知る事が条件で発動可能、回数を重ねる事で予測の精密さが増す。また、あくまで予測な為結果は絶対では無い。
必殺ゲージを1ゲージ使用(適当)
『風の剣』
腕を振るって空気に動きを作り、その動きを加速させる事で風の斬撃を生み出し前方を薙ぎ払う技、距離によって速度は四倍速加速して行き火力も上がる。
大気がある場所ならば何処でも使用可能。
必殺ゲージを二本使用 空中技(適当)
超必殺
『プレデタークロス』
重力と磁力を掛け合わせた力を放つ蹴り。
必殺ゲージをフルに使用。
補助技の併用不可。
『アトミックヘイルスパーク』
炎神の息吹の応用、分子振動を操り炎と氷の相反する力を放つ技。
必殺ゲージをフルに使用。
補助技の併用不可(アルカと共に発動すれば加減速のみ可能)