第33話 第三勢力
「クロ、前に言ったはずだぞ、私は重い女だと」
「いや、アルカ? あの、コレにはちゃんと訳があってね?」
「どんな理由があろうとも、人の誘いを悉く蹴っている貴様が私以外にキスをしたと言う事実は無くならん、どう落とし前を付ける気だ?」
アルカの視線がヤバイ、殺意だけで人を殺せる様な目をしてる、回帰すれば殺されても死ぬ前に戻れるけれど出来れば殺さないで欲しいなぁ。
どうやって宥めるかと悩んでいると、梔に肩を叩かれ、振り向いた瞬間にアルカの前でディープキスをされました、いや、あの、火に油どころか爆薬放り込むの止めて? キスされたついでに
「コレで私とクロは恋人同士、私の勝ち」
「珍しく口を開いたと思えば……死にたいらしいな」
「早い者勝ち、私ならハーレムも全然OKだよ?」
「あの、一旦屋敷に戻ろうよ、ね?」
「初夜? 夜伽?」
「違うから、今後の行動方針決めたりするだけだから!!」
「おいクロ、こっちを向け」
「アッハイ」
振り向いたら案の定、梔に対抗する様にディープキスされました、過去の自分が病室で腹抱えて笑っている姿が見える様な気がする……、僕って何時も受け身な気がするけど気のせいかな?
「小娘の理論で言うならこれで私もクロの恋人と言う事だな? 実に不本意だが妾の存在は認めてやる、だがこれ以上増やすなよ?」
「………好きにして下さい」
何とか事態が収集した頃合いを見計らい、全員を屋敷に招待、なんだかんだで日が暮れてしまったのと慣れない山歩きに疲れている刹那達の為に食事とお風呂を用意し、彼女達が一息着いた所で今後の行動方針の話し合いを始める。
僕の能力の正体、それと僕の見た未来を話し、今後僕らが取る行動を決めようという事になったのだけど、緊張感の欠片も無い状態だった。
「着物って初めてなのよね」
「ブラックスポットは勿論、
「私達には到底買えませんものね」
『お代官様プレイが捗る』
「あの、話進めて良い?」
「…………着物は下着を付けない物だからな、今度からこれを着て生活するか」
「待ってアルカ、それだとまた前に逆戻りだよ!?」
一応此処は六家の内の一つだし、過去の僕が家全体の時間を巻き戻した後に時間停止を掛けていたお陰で家具やその他の物も新品同然のままで残っている、女性陣にそのまま献上してしまおう、ご機嫌取りとか思った奴は地球外退去の系な?
後、この場に未央ちゃんが居ないのだけれど、彼女はクルスくん達と行動を共にしている未来が見えて居るので、心配する必要は無い。
咳払いを一つする事で場の空気を締め、全員の視線を僕に向けさせ、改めて今後の方針を聞く。
「先ず僕の目的なんだけど……実はもう8割方達成済みなんだよねぇ、コレからどうしよう?」
全員がズッコケた、でも仕方ないじゃん、元々アルカの死亡阻止、刹那達の洗脳解除が目的だった訳だからこの白砂村に篭っていれば滞り無く全てが終わる、未来が変わっているので途中でクルスくんを助ける必要がある訳だけど、逆に言えばそれ以外にやる事が無くなってしまっている訳だ。
万が一の事を考えるならば左天を討ちに行く必要はある、しかしアークライトさんや離瑠さんに恨みは無い、シメオンから離脱したのも裏で手を引いている
「だから別にアークライトさんや離瑠さん達をどうこうする気は無いし、シメオンを打倒しようなんて考えてないんだ、僕の敵はシメオン内部とその背後」
「じゃあ何でシメオンから離脱する様な真似をしてるのよ? 右天の肩書きがあるんだからそのまま内部で探ってれば良かったのに」
「七海、僕はその『右天』と言う肩書きが邪魔だったんだ、シメオン四天王の一人が彼方此方嗅ぎ回ってるとなると敵に警戒されるからね」
第一僕はアークライトさんや離瑠に妙に気に入られている、そんな僕が誰にも気付かれない様に暗躍するのは無理だ。
「だから今後僕達はアダム・ブレイド一行と一時休戦し、彼がアークライトさんと交戦している間に左天を討つ、色々思う所はあるだろうけど、全部終わったその後は白砂村でゆっくりと過ごそうか」
神父と休戦し、手を組むと言った時に全員が嫌そうな顔をしたけれど、二つの勢力を相手に立ち回るのは避けたい。
それに、
僕なら万一左天に殺されても時間回帰して生き返る事が出来る、神父達だけでも十分勝機はあるけどそれだとアークライトさんと離瑠さんが犠牲となる。
戦う理由が無くなれど、衣食住の恩はきっちりと返さないとね。
第三勢力の出来上がり、クロ君の敵は左天と委員会の連中です、アークライト並びに離瑠に対しては敵対する気はありません、相手がどう捉えるかは話が別ですが。