第36話 変えたい未来、変えたく無い未来
クルスくん達と一時的に協力する事が決まり、友好の証としてクルスくんと握手をしようとしたのだけど、その前に近くの崖の上から神父が降って来て僕を殴り飛ばした。
や、野郎ッ!! さり気なくクルスくんを守るような立ち位置に着地して『頼れる男』を演出し、彼女の心を鷲掴みにする算段だなッ!? クソッ視えて居たのにクルスくんの手を握りたいと言う下心に負けて一発貰ってしまった。
…………ちょっと待て、まだクルスくんは男だぜ僕、なんでこんな反応を返しているんだ? 変態の仲間入りしかけているじゃないか、落ち着くんだ。
硬い拳で薙ぎ倒されて地面に横たわっていた僕は土を払いながら極めて冷静に、そしてクールに立ち上がる。
「何時ぞやの三下四天王めッ!! 俺の背後に居る激萌少女はこの俺が守るッ!!
「まったく相も変わらず野蛮な男だな、…………アルカ、クルスくんと一緒に新しい服を買いに行ってやれ、彼女が居ると如何にも調子が狂う」
「わ、分かった、さあ行くぞクルス私が適当に見繕ってやるから心配するな」
「だ・か・ら!! 僕は男ですよ!! 三人称は彼女じゃなくて彼です!! 後、姉さんのセンスで服を選ばれると凄く怖いんですけど!?」
「えっ……山田? う、嘘だろ、ディスク?」
「残念ながら本当よ、可愛いでしょ? 女装クルスくん」
庇っていた美少女が現時点では男だと言う事を知った神父はそのままその場で崩れ去り、魂の様な物を口から出しながら『母さん……』とか言う神父らしからぬセリフを口にしているが、クルスくんは既にアルカと共に服を買いに出かけているのでこの場にツッコミ役は居ない。
「神父、昔のエロい人はこう言ったそうだ……、『可愛いは正義』だと」
「……か、可愛いは正義、成る程至言だ」
「そう、クルスくんの性別がなんであれ、女装したクルスくんは可愛い!!」
「お前……実はいい奴だったんだな」
凹んでいる神父の気を取り直させようとして適当な事をくっちゃべったのだけど、そのお陰様で妙な友情が芽生えた様な気がする。
「騙されるなよブレイド、そいつはシメオン四天王の一角だぞ?」
「そうですわ、手を組みたいなどとしゃあしゃあと言って来られましたけれど、我々を一網打尽にする算段とも考えられますわ」
神父を励ましていた僕に水を差したのは重力女と磁力女、二人は神父達の中でもかなりドライな性格をしていた筈、成る程僕が何かしらの裏を持って接触しに来たと考えているのか、ある意味それは正解なのだけど、僕はその事を隠して彼女達を黙らせる方法を知っている、既にチップは入手済みなのでコレを元手に委員会やアークライトさんに接触したいので少々卑怯だけどカードを一枚切らせて貰うよ?
「失敬だな、レディ。 私は単に君達と争う理由が無くなったから停戦を申し出たんだ、害意は無い」
「どうだかな」
「信じられませんわ」
「仕方ない、なら誠意を見せる事で信頼の証としよう」
「誠意? なんだ、有り金を全部ボク達に献上すると言うのか?」
「それでしたら––––とっとと財布と通帳を渡せよシメジの狗、そうしたら服だけは見逃してやるよ」
「クックック、そんな口今に聞けなくしてやるよ」
そう言って、僕は周りの時を停滞させてクソ長いコック帽とエプロンを装備し、キッチンやその他諸々をセッティングしてからアルカごと買い物をしていたクルスくんを助手として連れて来る。
…………男物の服装に着替えているのに髪の手入れがされている所為で如何しても女の子にしか見えない、以前はこんな感情抱かなかったのになぁ。
「はい!! 始まりましたシメオン四天王が一人右天ことクロノスと!! はいっクルスくん!!」
「えっ? えっ? あの、く、クルス・シルトです?」
「何故疑問系なのかはさておいて、始まりました3分クッキング!!」
「いきなり!? 僕なんで此処に居るんですか!? て言うか何ですかこの料理番組的なセット!!」
「今回創るのは『金のなる木』では無く『金”に”なる木』!! これ一本あればBSでだろうと
「無視!? しかも作るの字が違いますよ!? それ以前に僕必要何ですか!?」
「必要に決まってるじゃん、ツッコミ役が」
「やっぱりぃぃぃい!?」
「サクッと行くよー、作り方はとっても簡単、先ず木を生やします」
その言葉と同時に地面を踏付け、足元の時間を部分的に回帰させて草木が育つ様にした後、今度は部分的な時の加速を行って生えてきた小さな木の芽を樹齢千年クラスの巨木に成長させる。
「第一工程から難易度がおかしい!? どうやって生やしてるんですか!? 此処BSですよ!?」
「企業秘密です。 次に地面に穴を開けます、手掘りでも構いませんが今回はアトミックヘイルスパークを使って穴を開けましょう」
「それ必殺技じゃ無いんですか!!? なんでこんなよく分からない茶番で使うんですか!!」
手を翳し地面向かってアトミックヘイルスパークを放ち、先ほど作った巨木がそっくりそのまま沈む程度の穴を開ける。
茶番の中で放った技だが、その強力な威力にその場に居た神父一行は顔を引き締め、僕の実力の高さを目の当たりにしている、敵対する意識は無いと改めて両手を上げる事で示し、次の工程に移る。
「はい次、木を炭にします、昔ながらの方法で焼いても構いませんが今回は時間短縮の為、
「分かった」
「二つ返事!? 姉さん自分の能力をバーナー代わりにされてるんだよ? もう少し葛藤的なの無いの!?」
「クロが私を必要としているんだ、別に構わんだろう?」
「姉さん……」
「で、炭化した木をさっき開けた穴にぶち込んで埋める、その後あれこれ操作して引き上げる、面倒だからプレデタークロスで一気に引き上げるけど慎重にね?」
「いきなり適当ーーーーッ!?」
説明は省いたけど、僕はさっき炭化させた大木を地中に埋めた後、数十億単位の時を加速させて
天然の人工宝石と言う謎な物体だが、一生遊んで暮らせる値段になるのは未来視で視て確定済みだ。
「どうだ小娘ども、誠意は見せたぞ?」
「「右天様何なりとご命令を」」
「セトさんソルヴァさん、目がお金になってますよ!!」
「じゃあ、僕とアルカは用があるからこの辺で帰らせて貰うよ、四天王である僕がこんな所をウロチョロしてるとマズイからね? それと少しの間刹那達は君達に貸しておくよ」
事前に話していた事だが、左天や委員会の連中と事を構える以上
更に言うなら神父達に同行させる事で再洗脳される未来を回避した、と言うのも左天は僕の裏切りと能力に勘付いている様で、刹那達を能力強奪の為の手駒にするつもりだった、こう言う時未来視が出来るのは本当に有難い。
僕の能力に気が付いたのも、彼が『第六波動』と言う時空を歪める技を撃てるからこそと言った物だろう、油断ならない男だ。
アルカを引き連れて闇市を去った僕はそのままテスタメントを飛ばし、シメオン本社に向かうのであった。
段々TAS化し始めてきた感が否めないクロくん、遂に宝石を自然生成させました(白目)
この調子で行けば望んだ未来だけを諸種選択して何でもやれますね、アレ? てことはそれってTASさんじゃ……。