NEEDLESS the World   作:ACS

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第38話

第38話 第六波動

 

 

エデンズシードを投与した人間相手に能力無しで勝てる気がしない為、僕は即座にナイフを太腿に突き刺し、痛みによって強引に疲労を塗り潰し、一瞬だけ使用可能となった回帰を使用した疲労の回復を狙った、のだが。

 

『––––第六波動』

 

 

ナイフを突き刺し、疲労を誤魔化した瞬間に見えた数秒先の未来、左天の放つその技は時空を捻じ曲げながら対象者を強制的に天国に送り込み、脳の体感時間で数億年の時を経過させて脳死させる必殺の技、恐らく初めから僕達を暗殺するつもりで奴らを寄越していたのだろう。

 

僕は兎も角その技の射程範囲にはアルカや右天達も入っている、考えるよりも先に身体が動き、アルカの身体に直接触れて彼女を一時間先の未来へと転移させ、時を止める。

 

 

世界(ザ・ワールド)時よ止まれッ!!」

 

 

一瞬にして凍り付いた世界、その中で動けるのは僕以外に存在しない、この静止した世界は僕だけの世界だ。

 

––––––なのに、僕の目の前には左天が立っていた。

 

 

世界(ザ・ワールド)、オメェの世界に入門させて貰ったぜ」

 

「ば、バカなッ!? 既に時間停止が可能だって言うのか!?」

 

「そうだ、と言いてェところだが、実を言うと今初めて止まった世界を認識する事が出来たところなんだよ、オメェさんのクローン共は何故か能力が使えない役立たず(ニードレス)ばっかりで時間操作を認識出来なかったんだ、感謝するぜ? 最後のピースをくれてよ」

 

 

以前に彼は白毫を使って直接僕の能力を覚えていた、その際は能力の使い方が分からず不発に終わっていた様だけど、考えれば奴の第六波動と僕の世界(ザ・ワールド)は時空を捻じ曲げると言う点においては共通している、その方面から能力を理解したのでは無いだろうか? クソッ、逃げる為の時間停止が仇となってしまったッ!!

 

思わず面食らってしまったが、無防備を晒す訳にはいかない為、床のナイフを左天に向かって蹴り飛ばし、右天カフカを盾にしつつ窓からの逃走を図ったのだけど、既に左天と対峙した時点で終わっていたらしい。

窓へと向かおうとした身体の動きがスローとなり、走馬灯が流れ始める、第六波動の直撃を浴びたのだろう、回帰しようにも時間停止の反動で回帰はおろか加減速すら行えない。

 

…………つまり、僕がこの技から抜け出す事は不可能と言う事だ。

「クックック、どーよ? 中々イカす技だろう? まぁ時空を捩じ曲げる技だから俺もこっちの次元も無事じゃすまねぇが、時間操作が出来るテメェにゃあもう二度と逢いたくねェからな、んじゃま回帰出来ねェ様に精神と肉体を両方殺させて貰うぜ」

 

「………くそったれが」

 

 

完全な不意打ち、しかも回復や抵抗する事の出来ないタイミングでの超必殺、未来視を使わずとも分かる逃れる事の出来ない自分の未来、こんな事ならアルカや梔に答えを出しておくべきだったと後悔しつつも左天に向かって指を突き付け、精一杯の虚勢を張りながら奴の未来を予言してやる。

 

 

「じゃあ、殺される前に一つ予言をしてやるよ、アダム・アークライト」

 

「ハッ、やっぱし未来視も出来たみてェだな、確かに世界を支配する力、それは俺の様な神にこそ相応しい」

 

「アハハハッ!! 神、神だって? アダム・アークライト!! 予言しよう、貴様は負けるッ!! 全能者を目前にしてアダム・ブレイドに敗北する!! そしてコレは確定した未来ッ、貴様にそれを回避する術は無いッ!!」

 

「俺が負ける? ブレイドにかい? 時を支配する力を手に入れた俺が聖骸を取り込んでいないアイツにか? 場末の三流占い師ですらそんな予言はしないと思うぜ」

 

「本気で僕の力を完璧に扱えると思っているなら大間違いだ、僕の世界(ザ・ワールド)君達(キリストセカンド)とは別系統の欠片(フラグメント)、イザナミから直接手に入れた力だ、クローン止まりの君達には扱えないよ」

 

「………御託は終わったか? じゃあ死ねや、第五波動」

 

 

その言葉を左天が放ったと同時に彼の姿が搔き消える、恐らく僕の肉体が消滅したのだろう、無抵抗な状態を晒しているのだから消し飛ばされて当然だ。

 

この時点で僕は自分の終わりを確信しており、どうする事も出来ないまま考える事を放棄し、数億年と言う途方も無い時間に身を任せようとしていた。

 

しかし、諦めようとした瞬間、アルカや梔の泣き顔が目に浮かび、すんでの所で生きる事を投げ出す前に踏み止まった。

 

アルカや梔だけじゃ無い、刹那や七海達だって僕が死ねば確実に泣く、そして僕はそんな彼女達を守る為に戦っているんだ、だったらこんなところで死ねる訳が無い!!

 

 

左天は一つ重大なミスを犯している、僕を殺す千載一遇のチャンスを奴は逃してしまった、僕の存在を知らぬが故の致命的ミス、それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

肉体が滅んだところで魂由来の世界(ザ・ワールド)は発動できる、元の身体が回帰不能な状態だとしても、シメオンにはまだ()()()()()()()()()()()()()、転生し直す器としては十分だ。

 

 

その為には数億年の時の中を意識を保ったまま耐え抜かなくてはならない、上等だ十億年だろうが百億年だろうがやってやる、第六波動が時空を歪めると言うならば、僕にだってやれる筈、自分が出来る技でくたばってたまるかッ!!

 

待っていろアダム・アークライト、数億年の時を経て貴様を殺しに行く、それまで束の間の神を気取っているが良い!!

 




悩殺(数億年の精神攻撃)されたクロくんですが、第六波動で時空が歪んだ最中に肉体を第五波動で消し飛ばされた為、回帰するべき肉体が消えました、コレが左天の言う影響です。

ですので死後に別の肉体に乗り移る事になりました、林檎爆弾の事は承知していますが、次元が歪んだ為同じ時間軸で転生できる肉体がそれしか無い為、クローンの身体を選びました。

次は転生の関係で時系列が14巻以降になります、最終回も近くなりましたね。


それにしても左天の第四波動、第五波動、第六波動はカッコイイ、作中で五本の指に入るくらい好きな技です。


追記

左天が暗殺しに来たと言う推測描写が抜けてましたm(_ _)m

後第六波動って全能者になって扉開いた状態でじゃなきゃ撃てなくね? と言う感想がありましたので追記。

作中でこっちの次元もただじゃすまないと言う発言や、撃ったことの無い技にしては詳しいので技自体は完成している物として解釈しました。

後ダークマターの問題ですが、襲撃前に第五波動空撃ちしまくってダークマターを充満させれば行ける、はず、エデンズシードや聖刻もこの時点で揃ってますからね。

流石に無理じゃね? と思ったらツッコミ下さい、修正して上げなおしますm(_ _)m。
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