ネギま×Transformers   作:ホーネット

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第5話

 スーパーコンピューターと呼べる程改造の施されたコンピューターの前で作業をしていた白衣を着て髪を2つのおさげに纏めてメガネを掛けている少女、麻帆良学園女子中等部3―Aの生徒でありながら麻帆良大学工学部に自分の研究室を構える程の天才である葉加瀬聡美は作業を止めてコンピューターの画面を凝視する。 そのコンピューターの画面には麻帆良のコンピューターがハッキングを受けていることを表示しており、それを見た葉加瀬は呆れたようにため息を吐く。

 

「まったく、どこの誰かは分かりませんが、いい加減にしてもらいたいですね」

 

 麻帆良にはいつも多くのハッカーが情報を盗み出そうとハッキングを試みるのだが、麻帆良のセキュリティはアメリカの国防省などと比べても遥かにレベルが高いため大抵はものの数秒、長くても十数秒で終わるのが当たり前ではあるが、毎日続けばいくら相手にはならないとはいえうんざりとはしてしまう。

 

「それにしても、今回の侵入者はなかなか頑張りますね」

 

 大抵は数秒で終わってしまう麻帆良へのハッキングだが、今回の侵入者は侵入を開始してからすでに20秒は経過しており、今までの侵入者たちの記録をあっさりと超えていた。

 

「ですが、それもここまでですよ」

 

 麻帆良の優れたセキュリティと葉加瀬のハッカー顔負けのコンピューター操作の技術があれば、相手がどんなに優れたハッカーであろうともこれ以上の侵入は出来ずにネットワークの接続を切られるにもかかわらず、この侵入者は葉加瀬の妨害を受けて侵入のスピードが少し落ちるものの接続を切られる様子はなく、依然としてネットワークへの侵入を続けている。

 

「そんな……どうして止まらないんですか!?」

 

 麻帆良のセキュリティと自分の妨害でも止めることの出来ない侵入者に、葉加瀬は信じられないとばかりに悲鳴のような声を上げる。

 

「大声なんか上げてどうしたネ、葉加瀬?」

 

 葉加瀬の声を聞きつけて、2つに纏めたお団子から短めのおさげを伸ばしている特徴的な髪形をした葉加瀬と同じかそれ以上の天才であり「麻帆良の最強頭脳」の異名を持つ少女である超鈴音が、研究所にある自分の部屋から姿を現す。

 

「それが大変です! 麻帆良のネットワークがハッキングを受けていて、いくら操作しても止められないんです!!」

 

「それは本当カ!?」

 

 葉加瀬の説明に超は驚きの声を上げて葉加瀬の操作するコンピューターの画面を覗き込むと、葉加瀬の操作の影響か速度はあまり早くはないが、それでも情報はすでに半分は盗み出されていた。

 

「葉加瀬、侵入者の居場所はわかるか?」

 

「居場所ですか!? 侵入者の居場所は麻帆良大学工学部の研究所ですけど、今はそれどころじゃ――って、超さんどこ行くんですか!?」

 

 超は葉加瀬から侵入者の居場所を聞くと自分の部屋へと勢いよく走って行き部屋の壁に8ケタの番号を入力すると、壁が開いてマシンガンやショットガンといった日本ではまず見られないような武器が大量に出てくると、超は迷わずに壁に隠されていた武器のひとつであるガトリングを手に取ると部屋から飛び出す。

 

「ちょ、超さん何ですかその武器は!!」

 

「説明はあとだ! 葉加瀬は侵入者がこれ以上情報を盗み出さないように妨害を続けて!!」

 

「え、ちょ――待って下さい超さんっ!!」

 

 いくら天才とはいえ、映画の中でした見たことのないような武器を持った超に葉加瀬が驚きの声を上げながら尋ねるが、超は葉加瀬に指示を出すと葉加瀬の制止の言葉を無視して侵入者のいる工学部へと全速力で走り出す。 超はガトリングを抱えているとは微塵も思えない速度で走って工学部へとたどり着いて勢いよくドアを開くと、そこには昆虫のような頭部に4本の腕のある金属のロボットであるフレンジーがコンピューターを操作しており、ガトリングを持った超を見たフレンジーはコンピューターの操作を止めて、超がガトリングを撃つよりも早く胸から鉄のカッターを超に向けて放つ。

 

「くそっ――逃がすかぁーーーー!!!!!!」

 

 倒れるようにフレンジーのカッターを躱した超はすぐに起き上がってガトリングを構えると、通気孔から逃げ出そうとしているフレンジーにガトリングを乱射する。

 すでに通気孔に手を掛けていたフレンジーだったが、フレンジーが通気孔から逃げるよりもガトリングから放たれる銃弾がフレンジーを打ち抜く方が早く、無数の銃弾を浴びたフレンジーは叫び声のような音を上げながら通気孔から落ちてガトリングの餌食となった。

 

「――――やったか?」

 

 全ての銃弾を放った超は、ガトリングの硝煙と銃弾による破壊により起きた煙を油断なく睨みつけていたが、煙が晴れてそこにあるのがフレンジーやコンピューターの残骸だけだと分かると、超は安心したように息を吐いて銃口が真っ赤に熱せられたガトリングをから手を放して床へ捨てる。

 

「大丈夫ですか超さん――って何があったんですかこれ!?」

 

 ガトリングが放たれる音を聞いて研究室から走って来た葉加瀬が工学部のあまりの惨状に驚きの声を上げる。

 

「大丈夫だよ葉加瀬、侵入者は始末したから」

 

「し、始末したって……いくらなんでもやりすぎじゃ」

 

 いくらハッキングを止められなかったとはいえ、工学部のコンピューター諸共ガトリングで破壊した超にマッドサイエンティストである葉加瀬もここまでやる必要があったのかと疑問に思わざるえない。

 

「工学部のコンピューターを壊したことは謝るけど、これは仕方のないことだったヨ。 これ位やらないと、私の方がやられていたかもしれなかったからネ」

 

「これ位やらないいけないって……相手は魔法使いだったんですか?」

 

 周りの被害のことも考えずにガトリングで吹き飛ばさなければいけない相手と聞いて葉加瀬は真っ先に相手が魔法使いだと考える。 なぜなら魔法使いは呪文を唱えるだけで普通の人間では到底ありえない威力の攻撃を行うことができ、さらに呪文を唱えずとも魔力で身体を強化すれば目にも止まらぬ速さで移動することが可能だ。 もし相手が魔法使いだったならば、超が周りの被害も考えずにガトリングを乱射したことにも十分納得がいくのだが、超はそんな葉加瀬の答えに首を横に振る。

 

「いいや、相手は魔法使いなんかじゃない――――むしろ魔法使いだったらどれくらい良かったカ」

 

 超はそう言いながらメチャクチャに破壊されたコンピューターの元へ行くと、残骸をあさって銀色の金属を集めていく。

 

「コンピューターの部品を集めているんですか? それでしたら、修理は諦めていちから作り直したほうが早いと思うのですけど」

 

「ああ、これはコンピューターの部品なんかじゃないよ葉加瀬」

 

「え、違うんですか?」

 

 てっきりコンピューターを修理するために部品を集めているのだとばかり思っていた葉加瀬だったが、超は違うものを集めておりほとんどの金属を集め終わると、その金属はほとんどが細長くそしてかなり複雑な形の物ばかりだった。

 

「これで大体は集め終わったかナ? それじゃあ葉加瀬、悪いけどこれらのパーツを復元した後でその金属を解析して欲しいヨ」

 

「復元は分かりますけど解析もですか? 見た感じ普通の金属のように見えますけど」

 

 複雑な形をしたものばかりではあるが、普通の金属のようなそれを解析までする必要が葉加瀬には感じられなかった。

 

「まぁ、見た感じは普通の金属だけど、私の予想が正しければこの金属は地球には存在しないはずダ」

 

「地球には存在しないって……つまりは宇宙から来たんですかこれは!?」

 

「私の予想が正しければ……だけどネ」

 

 宇宙の金属と聞いて、科学者である葉加瀬が興奮しながら超に確かめると、超はあっさりと肯定する。

 

「金属を調べるのはいいけど、まずは復元の方が先だヨ」

 

「わかりました! それじゃあさっそく復元してきますね!!」

 

 そう言って金属を集めると自分の研究所へと走って行く葉加瀬を見ながら超は苦笑すると、自分も研究所に帰るべく歩きはじめる。

 

「葉加瀬の研究好きには困ったものだけど、あの様子なら復元はすぐに済みそうだけど……そうか、ついに奴らが……いや、まだそうと決まった訳じゃ――」

 

「超さん」

 

 研究所に帰る途中で自分の名前を呼ばれた超が振り向くと、そこには葉加瀬が製作したガイノイドである絡繰茶々丸が立っていた。

 

「茶々丸か、こんな時間にどうしたネ?」

 

「夜分遅くに申し訳ありません。 今回の襲撃者との戦闘でボディが損傷したのでハカセに修理をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「葉加瀬は今は忙しいから代わりに私がするけど、いいかナ?」

 

「はい、お願いします」

 

 茶々丸の修理やメンテナンスはいつもなら茶々丸の製作者である葉加瀬がするのだが、葉加瀬が修理をすればあの金属の復元が遅れてしまうことに加え、自分も茶々丸を修理することは可能なので修理を自分で行うことにした。

 

「それじゃあ茶々丸、服を脱いで台に寝て」

 

「はい」

 

 茶々丸が着ている服を脱ぐとそのボディには亀裂が入っており、ひどいダメージを受けたことが分かる。

 

「茶々丸、悪いけど今回の襲撃者との戦闘の映像を見てもいいかナ?」

 

「はい、かまいません」

 

「ありがとうネ、茶々丸」

 

 超は茶々丸から許可を取ると、ボディを調べながら茶々丸の映像フォーマットから今回の襲撃者との戦闘の映像をさがす。 超は麻帆良へのハッキングと今回の襲撃、同時に行われたこれらがただの偶然であることを祈りながら映像を再生する。

 

「これは……」

 

 だが、超の祈りは届くことは無く、再生された映像には大型・軍事ヘリコプターのMH53―ペイブロウが巨大なロボットに変形する様子が映し出されていた。

 

「茶々丸、すまないが用事が出来たから修理の方は後にしてもらえないか」

 

「用事ですか? でしたら、そちらの方を優先して下さい」

 

「すまない茶々丸!!」

 

 茶々丸は映像を見て急に様子の変わった超に疑問を抱きながらも、どことなく焦った様子の超を見て用事の方を優先するように言うと、超は申し訳なさそうにしながらも焦った様子で研究室から飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

「それにしても、ヘリコプターが巨大ロボットに変形とはのう」

 

 報告を終えたタカミチたちを帰宅させ、自分一人しかいない学園長室で学園長は深いため息を吐く。

 

「いくら魔法使いとはいえ、巨大ロボットを使うような輩はまずはおらんし、かといって西の者たちでもあるまい……もしや超くんたちか?」

 

 魔法使いたちならロボットなどを戦闘には使わずに魔法で戦うだろうし、西の呪術師たちはロボットなどを使わなくても自分たちの式神がいる。 だからこそ残ったのが超鈴音であり、彼女たちはヱヴァの従者である茶々丸を製作しているうえに、一時期は麻帆良学園にハッキングを行ったことすらあるので、麻帆良でも要注意人物として警戒されている。

 

「いくら疑わしいとはいえ、学園の生徒を疑うとは……歳はとりたくないのう」

 

 自分の学園に通う生徒を疑ったことに自己嫌悪しながらも、どうするべきか考えていた学園長の耳に学園長室の扉をノックの音が聞こえる。

 

「入ってかまわんよ」

 

 こんな夜遅くに誰かとも思ったが、報告し忘れたことがあってタカミチか誰かが来たのだろうと思った学園長は入室を許可するが、扉が開いて入って来たのは先程まで襲撃者かと疑っていた超だった。

 

「こんな夜分遅くに申し訳ありません学園長」

 

「学生がこんな夜遅くまで起きておるのは教育者として見過ごせんが、こんな時間に来たのも何か用事があってのことであろうから気にせんでもええぞい」

 

 疑っていた相手がいきなり自分の元へ現れたことに少しばかり動揺するが、学園長はすぐに平静を装って超を向かい入れると、超は学園長の前に移動して用件を伝える。

 

「今回の襲撃者について話があるので至急麻帆良にいる魔法関係者を全員集めて下さい」

 

 いきなり襲撃者について話を持ち出してきた超の意図がわからずに、学園長は話を誤魔化そうとも思ったが、超の真剣な眼差しに誤魔化しは無駄と判断して話を続ける。

 

「襲撃者について話があるのはいいが、魔法関係者を全員かの?」

 

「はい、これは地球の未来に関係します」

 

「たしかに今回の襲撃者は強力だったようじゃが、地球の未来とは少しばかり大袈裟すぎやしないかね?」

 

 学園長は実際に見てはいないが今回の襲撃者には対処にあたった全員が手こずったようだったが、それでも地球の未来とは大袈裟すぎると学園長は判断した。

 

 そんな学園長に超は静かにある単語を口にする。

 

「――――メガトロン」

 

 それを聞いた瞬間に、学園長から桁違いの魔力と威圧感が超に向けて放たれる。

 

「おぬし、何故それを知っておる」

 

 一般人はおろか並の魔法使いはなら気を失ってもおかしくない状況で、超はそのまま話を続ける。

 

「それも含めて全員が揃った時に説明します」

 

「そういうことなら魔法関係者を集めるが、その前に一つ質問じゃ」

 

 学園長は超を睨み付けると超に問いかける。

 

「超鈴音――――おぬしは我々の敵か?」

 

 睨み殺さんばかりの学園長の視線にも、超は目を逸らすことなく答える。

 

「いいや――――私は決してあなたたちの敵じゃない」

 

 答えを聞いた学園長は超に向けて放っていた魔力と威圧感を解いていつもの学園長に戻る。

 

「どうやらおぬしが敵ではないということは本当のようじゃから麻帆良にいる魔法関係者全員を大至急で集めるが、その時になったら本当に全てのことを説明してくれるんじゃろうな?」

 

「はい、その時になったら必ず説明します」

 

 超の言葉に学園長は満足そうに頷く。

 

「それなら魔法関係者を全員大至急で集めるわい」

 

「ありがとうございます学園長」

 

「いやいや、わしも超くんに怖い思いをさせてしまったのう。 本当にすまなかった超くん」

 

「謝らないで下さい学園長。 私にも責任はありますし、それにあまり気にしていませんから」

 

 頭を下げる学園長を超は止めると、学園長はホッとしたように頭を上げる。

 

「それでは学園長、私は研究所の方にいるので魔法関係者が全員揃ったら連絡して下さい」

 

「うむ、それでは魔法関係者が全員揃ったら連絡するから待っててくれ」

 

「ありがとうございます学園長。 それでは失礼します」

 

 超はそう言って学園長室を出ると学園の廊下をしばらく歩くと、突然その場に蹲る。

 

「よかった……これでなんとかなるかもしれない」

 

 超は自分の腕で体を抱きしめながら安心したように目に涙を浮かべる。

 

「待っててみんな、必ず未来を変えてみせるから」

 

 そう言って立ち上がった超の目にすでに涙はなく、少しの迷いもない目をして歩き出した。

 

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