「未来から来た……だと?」
未来から来たという超の言葉に集まった魔法関係者だけでなく、学園長や真祖の吸血鬼であるヱヴァですら驚きを隠しきれていない。 なぜなら時間を遡ることなど魔法でも行うことは出来ず、そのような効果を持つ魔法具やアーティファクトも存在しないからだ。
「みんなが驚くのは無理はない。 時間を遡ることの出来る魔法なんて未来にもないし、その技術だって未来でもオートボットの力を借りてようやく完成したものだからね」
超はそう言うと、懐中時計を懐から取り出す。
「これはカシオペアといって私とオートボットたちが協力して作った懐中時計型タイムマシンだ」
「あれがタイムマシンだと……?」
「どう見てもただの懐中時計じゃないか」
超がタイムマシンと言って取り出したカシオペアだが、ただの懐中時計にしか見えないためにそれが本当にタイムマシンなのかと、魔法関係者たちが疑問に思う。
「たしかにこれはただの懐中時計にしか見えないけど……そうだね説明するよりも実際にその効果を見てもらう方が早いな」
そう言った瞬間にステージの上にいた超の姿が消えたかと思うと、超は手にメガネに太刀、そしてネギの杖を持った状態でヱヴァの背後へと移動していた。
「そ、それは僕の杖!!」
「それにその太刀は私の!!」
杖と太刀を取られたネギと刀子が驚きの声を上げ、声には出さないもののメガネを取られたタカミチも驚いた様子で手を顔に当てて自分が掛けていたメガネであることを確認する。
「これは私がカシオペアで時間を止めている間に彼らの物を失敬してここに移動したんだけど、ここに集まっている人の中で、誰にも気づかれることなく彼らの物を取ったうえでここに移動することの出来る人はいるかな?」
超が確認のために集まった魔法関係者たちに問い掛けるが、まだ魔法使いとして未熟なネギだけならまだしも、実力者である刀子やタカミチの物を奪って闇の福音と恐れられるヱヴァの背後に移動するなどたとえ麻帆良最強である学園長といえども出来はしないだろう。
「どうやら誰もいないようだけど、人の物をいつまでも無断で借りているのはさすがに失礼だからもう返すよ」
そう言って超が消えた瞬間に超が持っていたネギの杖などが本人の元へと戻り、超自身もステージの上へと移動していた。
「これで私がどうやって未来から来たか説明はしたよ。 だから学園長、今度はあなたが私に教えて欲しい。 メガトロンが封印されている場所と、そしてオールスパークの在り処を」
超の口から出たオールスパークという単語に魔法関係者たちが首を傾げるものの、学園長だけはこの言葉の意味が理解出来たらしく納得したように腕を組む。
「たしかに儂はメガトロンが封印されておる場所も、超くんの言うオールスパークらしき物がある場所も知っておる」
「じゃあ!!」
「じゃが、超くんの言うオールスパークとは何なのか。 そして、未来の地球はどうなっておるのかを最後に教えて欲しい」
未来の地球という言葉に集まった魔法関係者たちに緊張が走り、視線が超へと集中する。
「オールスパークについては分かったけど、未来の地球についても説明しないとダメかな?」
「できることなら頼むわい。 超くんがそうまでして変えようとする未来はどのようなものなのか少しでも知っておきたいのじゃ」
学園長や他の魔法関係者の視線に超は困ったようにため息を吐いたあと、覚悟を決めたように話し出す。
「オールスパークは金属に生命を吹き込むことの出来るキューブ型の物体のことだよ。 このオールスパークを求めてメガトロンは宇宙を渡ってこの地球に来たんだ」
「では、そのオールスパークがもしメガトロンの手に渡ったらどうなる?」
「もしそんなことになったらメガトロンは地球上のすべての車や電化製品に命を吹き込んで新たな軍団を組織して、地球の侵略に乗り出すだろうね」
映像でみたブラックアウト1体にも苦戦を強いられていたにも関わらず、地球上すべての車や電化製品が敵に回るという事実に、魔法関係者たちの顔から血の気が失せていく。
「そ、それで……未来の地球はどうなって……いるんですか?」
魔法使いの一人が恐る恐る超に訊ねると、超は何かに耐えるように手をきつく握りしめながら話す。
「未来の地球で人間はディセプティコンの奴隷として扱われている。 そして、ほんの一部の人間たちとオートボットが協力してディセプティコンと戦っているだけだ」
「そ……そんな」
「超くん、未来の地球ではオールスパークがメガトロンの手に渡ったのかの?」
未来で人間が奴隷として扱われているという事実にほとんどの者が言葉を失うなか、学園長の質問に超は違うと首を横に振る。
「未来ではオールスパークは破壊されてメガトロンの手には渡っていないけど、メガトロンは新たな軍団の代わりに人間を奴隷として扱うようになったんだ」
「まさか未来がそんなことになっておったとはのう……」
学園長も髭を撫で付けながら険しい顔で唸ると、決意したように超を見る。
「わかったわい超くん、君にメガトロンが封印された場所と、そしてオールスパークの在り処を」
「本当ですか!!」
メガトロンとオールスパークんの場所を教えるという学園長の言葉に、超は嬉しそうに顔を輝かせる。
「人類が奴隷にされていると聞いて嘘の情報を言ったりはせぬから安心してくれ」
「そ、それじゃあ早く教えて下さい! メガトロンとオールスパークの場所はどこですか!?」
「あまり焦るでないぞ超くん、ちゃんと教えるから少し落ち着きなさい」
早く情報を聞き出そうとする超を学園長が落ち着くように促し、焦っていたことを指摘された超は少し恥ずかしそうに顔を赤くする。
「す、すみません学園長先生」
「よいよい、超くんの未来が掛かっておるのじゃ、必至になるのは当然じゃろうて」
恥ずかしそうにしている超を孫を見守るような眼差で見ていた学園長だったが、超が落ち着きを取り戻したところでその顔からは優しさは消え、麻帆良最強の魔法使いに相応しいものへと変化する。
「それではこれからメガトロンが封印されておる教えるが……そうじゃなメガトロンがどれほどの力を持っているか知るために実際に見てもらった方がよいじゃろう。」
学園長がそう言うと巨大な魔法陣が広がり、体育館の風景が明治時代あたりのものへと変わる。
明治時代の麻帆良は現在のように巨大な世界樹が町の中心にありレンガ造りの建物が多いものの、現在とは明らかに違う点があった。
それは今こうして魔法関係者が集まっている学園が映っている風景の中にはどこにも存在せず、そして世界樹からあまり離れていない所に四角形の巨大な物体が存在しているということだった。
それには旧世界でも魔法世界でも見たことがない記号や文字が記されており、過去の記憶でありながらその物体の神秘に全員がこれが超の言っていたオールスパークであると理解するのと、麻帆良の上空から何かが降ってきたのはほぼ同時であった。
はじめは小さな点程の大きさしかなかったそれは、大気との摩擦で燃えながらも空中で燃え尽きること無く世界樹前広場へと墜落する。
墜落の衝撃で舞い上がった砂煙が収まると、そこには金属の体に鋭い爪、獣のような牙を持った赤い目をしたロボット――――メガトロンが立っていた。
遥か上空から墜落したにもかかわらずメガトロンの体はどこも破壊されたような痕跡は見られず、メガトロンは墜落したことなどまるで気にした様子は無く、集まって来ていた人間たちを見ていたかと思うと、右手を砲口へと変形させてエネルギー弾を集まって来ていた人間たちに向けて放つ。
エネルギー弾により跡形もなく吹き飛んだ人たちに記憶を見ていた魔法関係者たちが言葉を失うなか、記憶の中の魔法使いたちがメガトロンに向けて魔法を放つが、それらの魔法はメガトロンの体の表面で弾けるだけで少しの傷も与えられず、魔法使いたちはメガトロンの鋼鉄の爪によって切り裂かれ、弾き飛ばされていく。
並の魔法では効き目がないと判断した魔法使いの一人が上級の魔法を放つために呪文の詠唱をはじめると、他の魔法使いたちが呪文の詠唱で動けない仲間を守るために魔法を放ちながら飛び回ることでメガトロンの注意を引き付ける。
そんな魔法使いたちをメガトロンはまるでハエを振り払うかのように腕を振るい、魔法使いたちは直撃はおろかその腕が掠るだけで吹き飛ばされ、そしてすべての魔法使いが撃墜された時、呪文の詠唱が完了した。
メガトロンを破壊するために魔法使いの持つすべての魔力を込めて放たれる雷の暴風を、躱す素振りを見せることなく、メガトロンはその両腕を変形させる。
それは、メガトロンが集まった人間を吹き飛ばした時に見せた変形であったが、メガトロンは変形していた両腕を合わせて一つに合体させると、そこからさらに砲身が伸びてはじめに放ったのとは比べ物にならない程のエネルギー弾が放たる。
そして、放たれたエネルギー弾は少しも均衡すること無く雷の暴風を突き抜けて魔法使いを消し飛ばし、麻帆良の町に着弾してその周辺を破壊する。
すべての魔法使いを葬ったメガトロンがオールスパークの元へ移動しようとした時、突如としてメガトロンの背後の世界樹が輝き出す。 世界樹の根本にはローマ法王を思わせるような白い服を身に纏った一人の老人が両手で杖を持ち呪文を詠唱し、その詠唱が進むにつれて世界樹の輝きは増していき、メガトロンの足元に巨大な魔法陣が展開される。
そして、その魔法陣から光で構成された鎖が伸びメガトロンを拘束しようと突き刺さる。 メガトロンも自分を拘束しようとする光の鎖をその力で引きちぎっていくが、光の鎖はその数をさらに増やしてメガトロンの動きを完全に止めて、魔法陣が目を開けていられない程の輝きを放つ。
そして、その輝きが収まるとメガトロンの姿はどこにも無く、老人はその場に力なく倒れて、周りの風景が記憶を見る前の体育館へと戻る。
「それで超くん、あの記憶に映っておったのがメガトロンとオールスパークで間違いないかの?」
学園長の問いかけ超は僅かに震えながらも首を縦に振る。
「たしかにあれはメガトロンとオールスパークでした。 ですが、メガトロンが封印された場所は分かりましたけど、あの記憶からではオールスパークの場所が分かりません」
超の言う通り、記憶にはオールスパークは映ってはいたものの、現在の麻帆良にはオールスパークはどこにも無い。
「オールスパークの場所が分らんことはないぞい、なぜならオールスパークは皆が見た記憶の場所から変わってはおらんのじゃからな」
場所が変わっていないという学園長の言葉にほとんどの魔法関係者が首を傾げるなか、超を含め何人かの人間が気づいたのか学園長を見る。
「気づいた者もおるようじゃからはっきりと言おう。 オールスパークは麻帆良学園の真下に現在も存在しておる」
オールスパークが学園の真下に存在しているという事実に、多くの魔法関係者が信じられないとばかりに驚きの声を上げる。
「どうして学園の下にそのような物があるんですか!?」
「そうです! それにそのような物があるのでしたら何故我々にも秘密にしていたのですか!?」
「麻帆良を守る仲間であるにもかかわらずこのことを秘密にしていたことは悪いと思っておる。 じゃが、そうまでしてもオールスパークの存在を隠す必要があったのじゃ」
決意の籠った学園長の言葉に、先程まで上がっていた声が収まり、学園長がそこまでする理由を説明するのを待つ。
「皆も見た通り、メガトロンと戦った多くの魔法使いがその命を散らし、さらに当時の麻帆良の管理者がその命と引き換えにメガトロンを封印したために被害はあれだけで済んだ。 じゃが、それでもたった1体の敵に土地の管理者を含む大勢の魔法使いが殺されるという事態に、魔法協会は再びメガトロンのような敵が麻帆良を襲撃せぬように早急に対策を取る必要があったのじゃ」
「それがオールスパークの上に学園を建てることだと?」
「そうじゃ、魔力でも気でもない未知のエネルギーが膨大に蓄えられておるオールスパークがメガトロンの目的だと判断した魔法協会は、元々あった麻帆良に学園を建てる計画を利用してオールスパークの真上に学園を建設し、オールスパークのエネルギーが外部に漏れるのを防いだのじゃ」
「学園の真下にオールスパークが存在する理由は分かりましたが、なぜ我々にも秘密にされていたのですか?」
「それは敵の正体が分かっておらなんだからじゃ。 相手が魔法使いなのか西の呪術師たちか、それともそれ以外なのかも分かっておらなんだから、情報を徹底的に秘匿することでメガトロンやオールスパークを狙う敵から麻帆良を守ろうとしたのじゃが……今回の襲撃したのは魔法使いでも西の呪術師たちでもなく、メガトロンの手下じゃった」
学園長は無念そうに言葉を吐き出すと、決意の籠った目で超を見る。
「超くん、君なら儂らよりも奴らのことに詳しいじゃろう。 どうか儂らに力を貸してはもらえんじゃろうか」
「私はディセプティコンから守るために未来から来ましたから力を貸すのは当然ですし、すでに対策は考えてあります」
すでに対策を考えてあるという超の言葉に、学園長だけでなく他の魔法関係者たちも反応を示す。
「私は以前から対ディセプティコンの兵器やロボットを製作していますから、ディセプティコンが攻めて来た時にそれらを使います」
「攻めて来た時といっても、奴らがいつ攻めて来るかなんて分かるのかの?」
「ディセプティコンがいつ攻めて来るかは分かっています」
いくら戦うための兵器を製作したところで、いざディセプティコンが攻めて来た時に用意出来なければなんの意味もない。 だから、超に大丈夫なのかと学園長は聞くが、超はあっさりとそれに答えた。
「私の考えでは、ディセプティコンの奴らが攻めて来るのは麻帆良祭の日です」
ディセプティコンが攻めて来るのが麻帆良祭の日と聞いて、魔法関係者たちから悲鳴のような声が上がる。
「麻帆良祭の日なんて大勢の人が麻帆良に訪れるんだぞ! もし、そんな日に襲撃なんて起こったら」
「記憶の時とは比べ物にならない程の被害者が出るでしょうね」
被害者が出るという事実にも関わらず、焦ることなく答える超に魔法関係者たちが怒りを感じるよりも先に、学園長が口を開く。
「被害のことは超くんの言う通りじゃろうが、その前になぜディセプティコンンの奴らが麻帆良祭の日に攻めて来ると思うのか説明してはくれんかの?」
学園長の言葉を聞いて、超は麻帆良祭にディセプティコンが攻めて来ると思うのかを話し出す。
「ディセプティコンが麻帆良祭の日に攻めて来ると言ったのには理由があります。 1つは麻帆良祭の情報が外部からでも簡単に入手が可能ということです。 これでディセプティコンは麻帆良祭の情報を入手します」
麻帆良祭は麻帆良学園都内の学術機関が総力をあげて催す、学園都市としても世界有数規模の祭りであり、その入場者数は約40万人にも上る。 そのため、麻帆良祭に関する情報は外部でも簡単に入手することが出来るのである。
「ディセプティコンの奴らは人間のことなんて虫ケラとしか思っちゃいないから殺すのを躊躇ったりしないし、むしろ笑いながら人間を殺すだろう。 だから、そんなディセプティコンの奴らが攻めて来るとしたら、大勢の人間を殺すことの出来る麻帆良祭の日に決まっている」
冷静な口調ではあるものの、ディセプティコンに対する怒りの籠った言葉に学園長や他の魔法関係者も何も言えなくなり、さらに麻帆良祭の日に集まる人の多さを知る者たちは戦闘による被害を想像して顔から血の気が失せて、真っ青となる。 そんな彼らの様子を見た超は、場の空気を変えるために言葉を続ける。
「たとえディセプティコンが麻帆良祭の日に攻めて来た場合の対策もちゃんとあるよ!」
「その対策もすでに考えていたとは、ではその対策とはどのようなものなのじゃね?」
超の意図を察した学園長が言葉を続け、対策という言葉に場の空気が少し軽くなったのを見て超はほっとすると対策を語る。
「私はヱヴァンジェリンに茶々丸を製作した見返りにダイオラマ魔法球を作ってもらっているよ。 それも、この麻帆良を完全に再現したものをね!」
「それは本当なのかの、ヱヴァ?」
「ああ、そいつの言う通り麻帆良を完全再現したダイオラマ魔法球を作ってある」
ダイオラマ魔法球は一見小さなジオラマが入っているだけの丸いガラスに見えるが、その中はもうひとつの世界と言っても過言ではなく、中に入ればそこはジオラマと同じ風景が広がり、時間の流れも現ずつとは異なるかなり貴重な魔法具である。 そして、ヱヴァも超のために作ったものとは別に、自身のダイオラマ魔法球を持っているため、麻帆良を完全再現したダイオラマ魔法球というのも確実性を増す。
「だから、ディセプティコンが攻めて来たらそれを使って一般人の人たちをダイオラマ魔法球の中に避難させる。 建物の破壊を防ぐことは出来ないけど、これで麻帆良に訪れた人たちが戦いに巻き込まれることはない!!」
人が戦いに巻き込まれないという言葉に魔法関係者たちは皆安堵の表情を浮かべる。
「それに私はこの時代に来てからずっとオートボットに向けて信号を発信し続けている! これは広大な宇宙においてとても微弱な信号ではあるけれど、だけどオートボットのみんなは必ずこの信号をキャッチして地球に来てくれると私は信じている!!」
力強い超の言葉に、集まった全員の意志が一つになる。
「だからみんな! この地球をディセプティコンから守るために力をかして下さい!!」
そう言って頭を下げる超に、学園長が優しく声をかける。
「頭を上げてくれんかの超くん。 君の思いは皆に十分伝わったぞい」
超がゆっくりと頭を上げると、麻帆良を守るという決意で一つに纏まっている魔法関係者たちの姿だった。 その彼らの姿を見た超は目に涙を浮かべながら、言葉を発する。
「ありがとうみんな! みんなでディセプティコンから必ずこの地球を守ろう!!」
ディセプティコンという未知の敵に対して魔法使いもそうでない人間も、麻帆良を守るという決意を抱いて一つになった。
†
明かりの灯っていない通気ダクトの中を銀色の金属で出来たまるで昆虫のようなロボットが歩いている。
その昆虫のようなロボットの正体は麻帆良に侵入して情報を盗み出そうとしたディセプティコンのフレンジーである。 他とは比べ物にならない程にレベルの高い麻帆良のセキュリティと葉加瀬の妨害にあいながらも情報を盗み出すことに集中していたフレンジーは超の存在に気付くのが遅れてしまいガトリングをモロに喰らってしまったが、フレンジーは自分が完全に破壊されてしまう前に頭部とボディを切り離すことで、生き残ることに成功したのだった。
そして、麻帆良の情報も盗み出したフレンジーは未だに潜伏している仲間に向けて通信を開始する。
《どうしたフレンジー、ずいぶんとご機嫌斜めじゃねぇか》
《当たり前だちくしょう! いきなりガトリングなんてもんぶっ放してきやがってあの人間め! おかげでオレの体が破壊されちまった!!》
《そいつは災難だったなフレンジー、まぁ生きてるだけラッキーだと思うんだな》
機嫌の悪いフレンジーにバリケードが理由を聞き、その理由を聞いたブロウルが面白そうに笑う。
《魔法使いの連中も侮れねぇみたいだな。 どっかの役立たずも魔法使いの一人も殺せずにのこのこと逃げ帰って来たからな》
《黙れスタースクリーム! 未だに軍に隠れて何もしてねぇこの臆病者が!!》
《俺は図体がデカくて速度の出ないお前とは違って速いんだよ! 襲撃の当日に移動を開始しても十分に間に合うんだ!!》
《いい加減にしろテメェら! 俺はさっさと人間どもをぶち殺してぇんだからくだらねぇ会話してんじゃねぇ!!》
スタースクリームに馬鹿にされたブラックアウトが言い返して喧嘩になりそうになった時、限界とばかりにボーンクラッシャーが声を荒げる。
《それもそうだな、さっさと襲撃する日を決めるか。 フレンジー、情報を寄越せ》
《分かってるよ、今から送るからさっさと受け取れ》
ようやく口喧嘩が終わって、フレンジーは面倒臭そうに侵入して盗み出した情報を仲間に送信する。
《麻帆良祭か、こいつはいい! 人間どもを大勢ぶち殺すことが出来るぜ!!》
《俺もこの主砲を人間どもにぶっ放してやりてぇとずっと思ってたんだ! 今から楽しみで仕方ねぇ!!》
フレンジーからの情報を受け取ったボーンクラッシャーとブロウルが、大勢の人間を殺すことが出来ると喜びの声を上げる。
《この世界樹っつう馬鹿でかい木は内部に大量の魔力を溜め込んでいるらしい。 これがメガトロン様の封印と何の関係もねぇとは思えねぇな》
《それにブラックアウトからすでに戦闘データも受け取っている。 魔法使いの奴らはどうやら魔力を使って動きを補助したり、壁を作って攻撃を防いだりしているようだ。 俺たちは魔力を持っちゃいないが魔力は空気中にもあるうえに、麻帆良祭の日にはこの世界樹が溜め込んだ魔力を外に放出するらしいから俺たちはそれを利用すればいい》
《そいつはいいぜ! 大勢の人間を殺せるうえに俺たちは強くなれるってことか!!》
メガトロンの封印を解くカギに魔力を利用しての自分たちの強化、おまけに大勢の人間を殺すことが出来るというディセプティコンにとっては最高の情報の数々にバリケードが興奮した様子で声を上げる。
《それじゃあ麻帆良を襲撃する日はもう決まったなスタースクリーム》
《そうだな、これほど襲撃に絶好の日なんざ他にねぇぜ》
襲撃する日を確認するフレンジーにスタースクリームは満足そうに答える。
《それじゃあ分かったな野郎ども! 襲撃する日は麻帆良祭、それも魔力の放出と人間どもが一番多くなる麻帆良祭最終日だ!!》