本筋とは関係ありませんが昴のある一面が見えるかもしれません
それではどうぞ!
―その夜、私は急に目が覚めました。
―すると物音が聞こえ、ただならぬ気配を感じたのです。
―一体なんなのか疑問に感じながら部屋のドアを開けると・・・
―見てしまったのです・・・
―ドアの前に立つ血塗れた服を着た女の姿を!
「ギャァァァァァァァ!!」
「ピャャャャャャャャ!!」
「ウワァァァァァァァ!!」
「アハハハハハハ!わざとらしい」
心霊番組を見て恐怖の叫びを上げる茜、光、輝。しかし昴は彼らとは真逆に大笑いしていた。
「兄上は怖くないのですか?」
「いーや、全然」
と、今度はいかにも呪われています的な雰囲気を醸しだす人形の首が突然こちらを向く映像だ。
「ウギャァァァァ!?動いたー!」
「プププ・・・ありえねぇ」
茜は恐怖のあまり涙目になったが昴は笑いすぎて涙がでている。
「もう!昴笑わないでよ!ホントに怖いんだから!」
「いやいやいや、こんなどう見てもヤラセな映像を怖がれとか無理無理」
「でもやっぱり怖いじゃないの!」
「そうか?こんな番組に出すためにわざわざ作ったことを考えるとちゃんちゃらおかしいぜ・・・あ、やべ、腹痛くなってきた・・・」
一方テレビでは不気味なメイクをした司会が語り始める。
―幽霊とはいたるところにいるものです。たとえば・・・
―あなたの後ろにね!
その時、茜と昴の肩が急に掴まれた。
「ギャァァァァァ!?オバケだぁぁぁぁぁぁ!!」
茜は混乱していたが昴は冷静に振り返り、
「なにやってんの兄貴?」
「いやぁ、ちょっと驚かせてやろうと思ってな。しかし昴、お前本当に怖くないのか?」
「まぁね。あんな非科学的なものは信じない主義なんでね」
「ま、仮に幽霊が出たとしても、俺が一撃でぶっ飛ばしてやるけどな!」
そう言い、昴はペットボトルに入ったコーラを一気に飲み干した。
「はーいみんなー、もう時間よー。そろそろ寝なさい」
『『はーい!』』
五月の声で兄弟達は各々寝室に向かって行った。
昴は夜中に急に目が覚めた。
「・・・寝れない・・・」
恐らく普段とは違い、ベッドではなく、床に寝ているからであろう。
ベッドには現在、弟の輝が寝ている。心霊番組の影響で怖くて一人で寝れなくなってしまったので昴の部屋で寝ているのだ。
しかし、寝相が悪いのか掛け布団が一枚ベッドから飛び出ている。
「・・・ベッドの方で寝なくて正解だったぜ」
輝の能力は
物凄いパワーを発揮する能力でその力はビルを生身でよじ登る、コンクリートを踏み砕くなど桁違いで下手をすれば単純なパワーならアギトに変身した昴と互角かもしれないほどである。
普段は五月との約束で使うことを自粛しているが寝ている間はそうはいかない、もし寝ぼけて使われたら大変なことになってしまう。そういうことを危惧して昴は床に寝ていたのだ。
昴は飛び出た掛け布団を輝にかけ直し、再び床に就く。
すると突然ガサゴソと物音が聞こえ、ドアから気配を感じた。
しかし昴は余裕だった。
「そうそう、さっき見た番組の中にこんな感じのがあったよな。そしてドアを開けると見知らぬ女が・・・」
そう言って昴は迷わずドアを開けた。そこには・・・・・
女が一人たたずんでいたのだ
「!?」
昴は女の顔を確認する前に思わずドアを閉める。
(ないないない!いや、絶対ないだろアレ!幽霊なわけないだろ!)
完全に焦っている昴。
恐る恐るもう一度ドアを開けるとそこには女の姿は無かった。
(ほぉらやっぱり幽霊なんていな・・・あれ?)
おかしい、足音は聞こえなかった、まるで最初から居なかったように消えたのだ。
(か、仮にアレが幽霊だとしてなんだよ。こっちには害なんて・・・)
すると、隣の岬と遥の部屋から大きな音が聞こえ、
「え?ちょっ?待って!わぁぁぁぁぁぁ!!」
遥の悲鳴だ。
「遥ぁぁぁぁぁぁぁ!?」
さらに後ろの壁が急にドンと鈍い音が鳴る。
「オワァァァァァァァァ!?」
しかし後ろの壁の音の正体はすぐにわかった。
「うるさいわね、今何時だと思っているのよ!」
「ご、ごめんなさい!」
叫びに反応した奏が壁を叩いた音だったのだ。
「と、とにかく遥がどうなってるか確かめに行くか・・・」
昴は岬と遥の部屋のドアを少し開け、中を覗く。
そこには布団にくるまって眠る岬の姿と、
「う、う~ん・・・」
ベッドから落ちた遥の姿があった。
「なんだよ・・・心配して損したぜ・・・」
昴は部屋に戻り、今度こそ寝ようとするが自身のある異変を気付いてしまった。
「あれ?なんか・・・急に尿意が・・・」
そう言えば思い切りコーラをがぶ飲みしていたことを思い出した。
(あれだ!あれが原因だ!)
夜に炭酸飲料は飲むまいと誓いを立てる昴だが、今そのことは意味が無く一階のトイレに行かなければならない。
いつもなら普通に行って用を足すだけだが今夜は不可思議な現象が立て続けに起きたせいで昴は足がすくんでいた。
そして昴はベッドで眠る輝を起こそうとする。
「輝―、トイレ行きたくないか?怖いならお兄ちゃんが付き合うからさ・・・」
(別に怖いとかじゃないから!ひょっとしたら輝もトイレを我慢してるかもしれないし、それに助け舟を出してるだけだから!)
完全な建て前を自分に言い聞かせ、声をかけるが輝は一向に起きる気配はない。
「輝、我慢はよくないぞー、洩らしたら学校で笑われちゃうよ」
しかし、やはり輝は起きず、昴にも焦りの表情が出ている。
そしてなりふり構わず。
「おい輝!起きろ!寝たふりしてるのはわかってんだよ!だから目を覚ませよ!覚ましてくれよ!俺を一人にしないでくれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
まるで戦友を失った兵士の様な絶叫を上げる昴に隣の部屋の奏は遂に昴の部屋に突撃した。
「だからうるさいっていってんのよぉぉぉぉぉ!!」
「ああああ姉貴!大変だ!輝が目を覚まさないんだよ!」
「当たり前でしょ!夜中の2時よ!いい加減あんたも寝ないと簀巻きにするわよ!」
奏はそう言ってバダン!、とドアを閉め、自分の部屋に戻っていった。
だがこの騒ぎで輝に少しの変化が起きた。
「うう、兄上」
「おお!目を覚ましたか!俺は信じてたぜ!」
「兄上、それはエクスカリバーではなくひのきのぼうです・・・」
「なんつう夢を見てんだお前は!ってかなんでそんな間違いしてんだよ夢の中の俺は・・・」
しかしここまでしても起きない輝に昴は起こすことを諦めた。
(どうする、姉貴は起きてるけど、トイレに行くのが怖いって言ったら何言われるかわからねぇし・・・とりあえず光にするか・・・)
あくまで『弟や妹のトイレに付き合う兄』という構図は曲げない昴であった。
「光~、トイレを我慢してないか~?今ならお兄ちゃんが一緒に行ってやるぞ~」
光の部屋の前でノックをする昴。
声とは裏腹に心の中は切羽詰まっていた。
(頼む出てきてくれ!お前が頼りなんだ!出てきてくれたらお前のCD百枚買うからさぁ・・・あ、そういえば俺金欠だった・・・)
昴の思いが届いたのかドアが開く。
「あ、ちょっと待って、やっぱ五十枚くらいで勘弁して・・・」
「何?五十枚って?」
「そりゃお前の・・・って、え?」
ドアを開けたのは光ではなく、双子の妹である茜だった。
(しまった~!光がこいつと相部屋だったの忘れてた~!)
まずい、あれだけ心霊番組に怖がる茜を笑っていたのに自分は夜トイレに行く口実を作るために光を起こそうとしたことがバレれば今まで積み上げたものが一気に崩れ落ちてしまう。
「な、なんでもないよ、光も寝てるようだし俺は部屋に戻るぜ」
その時、茜は昴の肩を掴んだ。
「昴、本当の事を言ったら?」
「な、なんのことだよ・・・」
「本当はトイレに行くのが怖くて光と一緒に行くことで怖さを紛らわそうとしたでしょ」
「!?」
茜はここぞとばかりにニタァ・・・と不気味な笑顔を見せ、
「それなら私が付き合ってあげようか昴
昴はどっと汗が噴き出した。
(お、落ち着け・・・動揺してるのを悟られたら終わりだ)
「な、何言ってんだ?トイレに行くのが怖いのはお前の方じゃないのか?」
茜はビクッ!、と距離を取り、
「まままままままままさか!そそそそんなわけけけけけないじゃない!こここ高校生が夜中トイレ行くのがこわわわわわいなんてててて!」
(こいつ分かりやすいな・・・)
ともあれ、一先ず危機を脱することが出来た。
茜が怖くてトイレに行けないことを認めさせればいいのだ。
「どうした?声が上ずってるぜ?ホントは怖いんだろ?」
「ち、違うって、これはただの貧乏ゆすりで・・・」
「そんな貧乏ゆすりがあるわけないだろ!」
(とにかく茜がトイレに行けないのは確実だな、俺のことを気付いて無いようだしあとはトイレに怖くて行けないのを認めさせれば・・・)
一方、茜も、
(唐突に光を起こそうとしたことといい、あの反応といい、昴がトイレに行けないことは確実、私のことは気付いて無いようだしあとはトイレに怖くて行けないのを認めさせれば・・・)
((この勝負、勝てるっ!!))
各々勝手に勝利宣言をするとまたもや突然ガタン!という物音が聞こえてくる。
今度は一階からだ。
「ひょっとしてあれに驚いていたとかじゃないよね昴?」
「な、なわけないだろ!とにかく調べに行くぞ」
「え?私も?」
「当たり前だろ。それともなにか、怖くて一階に降りれないのか?」
「そ、そんなことないよ!分かったよ一緒に行くよ!」
「そうだそれでいい、だが俺から離れるなよ、一ミリでも離れたお前アレだぞ、泣くからな」
「やっぱり昴怖いんでしょ?!」
一階に降りた二人は不可思議な現象を目の当たりにした。
バスルームに明かりが付いて誰かが使用しているのだ。
「こんな夜中に誰だろう?かなちゃんかな?」
「いや、姉貴は明日生徒会があるから夜更かしは控えたいはずだ」
さらに追い打ちをかけるように冷蔵庫を漁る音が聞こえた。
「っ!?、と、とりあえずバスルームの方は私が調べるから昴は冷蔵庫の方をお願いね」
「ああ、逃げんなよ」
「逃げないよ!合図はいっせーのっ、で行くよ」
「飛び出すのは『の』のタイミングか?それとも『っ』のタイミングか?」
「めんどくさいな!?『っ』の方で行くよ」
「おう」
「「いっせーのっ!」」
そして昴は冷蔵庫の元に、茜はバスルームに突入した。
ドアを蹴り開け、昴が見たものは
「誰も・・・いない?」
しかし、冷蔵庫は開けられ、下には食べかけのハムもあった。
「昴、どうだった?」
茜が戻ってきた。
「いや、誰もいなかった。そっちは?」
「こっちもよ、でもシャワーは流れてたし、お湯も暖かったから誰かが使っていたことは確かだと思うよ」
「こりゃ、ひょっとしたら本当に幽霊のしわ・・・はっ!?」
「幽霊の・・・なんだって」
(危ない危ない・・・)
「え~、俺なんも言ってなけど~怖くて幻聴聞こえたんじゃないの?」
「そんなことないよ!大体昴だってひょうきんに装ってるのだって強がってるからでしょ」
「(ギクッ!?)ち、違う!」
互いに上げ足取りでこれでは埒が明かない。
昴は考えた。
「なぁ、もうこの際どっちが臆病かジャンケンで決めるのはどうだ?」
「はいぃ!?やだよジャンケンは!もっとしっかりした勝負で決めようよ!」
(勝負で決めるのは否定しないのな)
とにかくこれで決着をつけれるのならと昴は部屋の漁り、あるものを見つけ出した。
「じゃあこいつで決着をつけようぜ」
「人生ゲーム?」
「ああ、これで負けた方が勝った方に『私は夜中トイレにも行けない臆病者ですどうか用を足すのをお付き合いください』っていうのさ」
「・・・昴はそれでいいんだね?」
「ああ、勝つのは俺だからな」
「その余裕がいつまでもつかな?ちなみに私は人生ゲームでかなちゃんに10回勝ったんだよ」
「何!?あの姉貴に10回も!?」
「まぁ、90回負けたけどね」
「勝率1割しかねぇじゃねぇか!!」
何はともあれ己の意地とプライドを賭けた人生ゲームが始まったのであった。
―10分後
「こりゃ俺の勝ちだな」
「ま、まだ終わってないよ!」
「状況を見ろ茜。お前は職を持たない自宅警備員でそれに対して俺様は千人に一人の逸材と名高い大物新人ピッチャーだぜ。お前が勝てる見込みはゼロだよ」
「むぅ、まだゲームは半分しか進んでない、だから私にも逆転の可能性があるはずだよ、えいっ」
茜は思い切りルーレットを回し駒を進める止めたマスにはこう書かれていた。
[宝くじが当たる +10億円]
「やったー!」
「ちょっと待てぇぇぇぇ!!いくらなんでもありえないだろ10億なんて!」
「昴、これは人生『ゲーム』なんだよ。だからなんでもありなんだよ!」
「だったらこっちは一気にメジャーリーグ入りしてやる!おりゃっ」
昴がルーレットを回す。止めたマスには、
[肩の爆弾が爆発する 二軍落ち]
「なんでだぁぁぁぁぁ!?なんでこんな生々しいのがあるんだよ!?」
「まぁ『人生』ゲームだからね。山あり谷ありだよ」
「谷が断崖絶壁なんですけど!?」
今度は茜がルーレットを回すと、
[姉に言いくるめられお金を全額預ける -全所持金]
「かなちゃんだ!これ絶対かなちゃんだよ!」
「姉貴のやつ、茜が宝くじ当たったのを嗅ぎ付けてきたんだな。何はともあれケチな姉貴をもったのが運の尽きだな」
「いやあんたの姉でもあるでしょ!」
今度は昴がルーレットを回すと、
[実家の稼業を継ぐ 農家に転職]
「オイィィィ!!俺んちは農家じゃなくて王家だよっ!!」
「プププ、昴が農家なんて似合わない・・・」
「黙れニート!こうなったら俺様ブランドでこの国の食糧自給率を底上げしてやる!」
「私だって、かなちゃんに奪われた10億円を取り返すよ!」
こうして本来の目的を忘れ、人生ゲームにめり込む双子であった・・・
翌日
「いやぁ、いい天気だねぇ、こんな晴れた日にはいいことがありそうだよね、遥もそう思うでしょ?」
岬は能天気にカーテンを開けそういうが遥はなぜかゲッソリしていた。
「遥どうしたの!?そんな顔して?」
「答えは岬の後ろにあるよ・・・」
岬は振り向くとなぜか分身たちが寝ていた。
「何でっ!?呼んだ覚えないのに!?」
「岬が夜寝ぼけて呼び出したんだよ!」
夜の真相はこうだ。
夜中、岬が寝ぼけて
分身たちは呼び出されるも本体が寝ていることをいいことに好き放題やり始めた。
シャウラは寝ている遥に抱き着き、ブブは冷蔵庫を漁り、ライオはバスルームに入るといった具合に。さらに寝ぼけて出したり戻したりを繰り返したので急に姿を消したのだ。
「ご、ごめ~ん遥、今度から気を付けるからさ、とりあえず朝食を食べよう」
不機嫌な遥を押しながら一階に降りる岬、そこにはリビングの前で佇む奏の姿があった。
「どうしたの、かな姉?」
岬の声が聞こえてないのか視線を変えずに声を漏らす。
「何やってたのよ・・・あいつら」
視線の先には人生ゲームのルーレットを掴んだまま眠る茜と昴の姿があった。
「むにゃむにゃ・・・どうだ、俺の育てた無農薬野菜も中々のものだろ・・・」
「むにゃむにゃ・・・かなちゃん、今度こそ返してもらうよ、10億円・・・」
「ねぇ、どうするの、起こす?」
「・・・ほっときなさい」
オマケ
「ねぇかなちゃん」
「何よ茜?」
「もしもだよ?もしも私が宝くじに当たって10億円を手に入れたとしたらかなちゃんどうする?」
「どうもしないわよ、あんたが好きに使えばいいじゃない」
「ええ!?10億円だよ、10億円!」
「
(あ、そういえば貯金が国家予算ほどあるんだっけ)
「あ、でもあんたには4000万の貸しがあったわよね」
「ちょ、ちょっと待ってかなちゃんなら4000万くらい・・・」
「たかが4000万、されど4000万よ!」
「さっきの言葉は何!?」
オマケその2
「なぁ、親父」
「どうした昴?」
「本当は俺達が王族というのは嘘で実はただの農家だったていうのはないよな?」
「・・・」
「お、親父?」
「ふっふっふっ・・・」
「ま、まさか本当に!?」
「それは
「・・・」
「なーんて冗談だよ!私達は正真正銘王族だからあんし・・・あれ?昴?」
「・・・」
「あの、何か一言・・・ってどこ行くんだ昴!?おーい!?」