城下町のAGITΩ   作:オエージ

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第16話 帰る場所

Gトレーラー

 

「えっ!?じゃあ白井さんは昴の協力者で、弥生ちゃんがあの青い戦士の中に入ってたの!?」

 

Gトレーラー内で白井達の話を聞き、茜は仰天していた。

 

「ああその通りだ、私が監視カメラをハッキングして彼が変身しやすい状況を作っているのだ」

 

「監視カメラを・・・!?ハッキング・・・!?白井さん頼みたいことが・・・」

 

「断る」

 

「まだ要件言ってないのに!?」

 

「どうせ登校ルートの監視カメラをハッキングして欲しいって言うつもりだったんだろ?慣れたまえ、それが君にとっていいことになる」

 

「うぅ、じゃあ弥生ちゃん、朝だけでいいからG3貸して!」

 

「ええ!?」

 

「あれなら登校中顔を見られずに行けるから」

 

「(いや、そっちの方が恥ずかしいと思うぞ・・・)すまない、それは無理だ」

 

「なんでぇ!?」

 

「G3は私にフィットするように調整されいるんだ。だから君が着るとなると君用に再調整しなければならない・・・」

 

「そんなぁ・・・」

 

ガックリと肩を落とす茜だったが、先程まで黙っていた六野が口を開いた。

 

「あれ、でもいけるんじゃない?」

 

「「え?」」

 

「ほら、二人とも背丈同じだし、だからそんな調整に手間かからないと思うよ、胸の大きさも一致してるんだし」

 

「「・・・・・・・」」

 

「え、どうしたの」

 

二人は立ち上がり、そして・・・

 

 

 

 

「ねぇ、僕なんか悪いことしたかな・・・」

 

六野の両頬には真っ赤な手形が貼られていた。

そんな六野を見ながら白井はコーヒーを啜り、こう言った。

 

「自分の胸に聞いてみたらどうだ」

 

 

 

 

病室

 

「具合はどうだ?」

 

昴は斗真の病室に見舞いの果実を持って入る。

 

「明日には退院だとさ」

 

「そうか、それは良かった」

 

「・・・なぁ」

 

「ん?」

 

斗真は上半身を起き上げ昴の目を見て話す。

 

「お前が選挙をしている理由って・・・」

 

「あぁ・・・」

 

アンノウンと戦っている中で気付いたことがある。

アンノウンに襲われた人には僅かながら不思議な力を持っていた。

その力は自分や家族のものには及ばないもののアギトに非常に近いのだと本能的に察知していた。

 

そう遠くない未来、自分と同じアギトの力を振るう者が現れる。

そういった者達がその力故に人から恐れられ、悲しい生き方を辿らないようにする為にも彼が王になろうとする理由の一つでもある。

 

「だがどうする?お前が王になった時、どうやってアギトの事を説明するんだ?」

 

「え?そりゃぁお前、俺が王になったら、うまいことやって・・・」

 

「具体的にはなんだ?どういう制度を出して、どういって国民を納得させるんだ?」

 

昴は思わずしどろもどろになる。自分でもそこまで細かく考えた事が無かったのだ。

 

「ま、まぁ、明日の事は明日の俺が考えるさ・・・」

 

「24時間後に答えが勝手に出てくるのか・・・便利な奴だな」

 

「あ、あのぉ・・・」

 

「まぁいい、ゆっくり考えればいいさ、ということで俺は少し寝るからお前は出てってくれ」

 

そう言われ昴は部屋を出ると、目の前には茜が立っていた。

 

「茜?」

 

「話があるの、屋上に来て」

 

 

 

 

病院 屋上

 

二人は屋上で景色を見ている。他に人はいない。

 

「あの姿が、昴の隠していた秘密なの?」

 

「そうだ」

 

「あの怪物達と昴は戦ってきたの?」

 

「その通りだ」

 

茜は本題に入る。

 

「戦ってきて怖いと思ったことはないの?」

 

昴は少し考え込んだ後答えた。

 

「怖くないって言えば嘘になるかな。敵も少しずつ強くなってきているし、ま、俺の方が断然強いけど!さっきのやつも危うく負けるところだった、ま、最終的に俺が勝ったけど!」

 

昴のふざけたような物言いに茜は思い切り昴の頬をつねる。

 

「真面目に聞いているんだけど・・・」

 

「イダダダダ!これでも結構マジに話しているんだよ!」

 

頬つねりから解放され昴は頬をさすって答える。

 

「まぁ、つまりあれだ。あいつらとの戦いについて深くは考えてないんだよ。やつらは人を襲う、俺には力がある。それだけさ」

 

「だから、この事を家族や国民には言わないでくれ、これは俺が抱える問題だから家族を巻き込みたくないんだ」

 

またこれだ、と茜は少しウンザリな気持ちになる。

昴は人のことを思うあまり、自分が傷つくのを大したことのない問題だと思い込んでいる。

その傷はいつ、どうやって癒すというのか。

 

「私はまた何もできない、昴のことを救えるの誰だというの・・・?」

 

思わず心の声が小声で漏れてしまう、しかし、昴はその声を聞いて、

 

「いや、俺はいつでも救われてるぜ」

 

「え?」

 

意外な答えに茜はキョトンとする。

 

「お前は自分は何もできないって言ったけどさ、そんなこと全然ないぜ。お前は俺の妹だ、大切な家族だ」

 

「へ、それだけ?」

 

「それだけではないな、お前以外にも親父や母さん、姉ちゃんに兄貴に姉貴、それに妹や弟達、あいつら皆が無事でいることで俺は戦ってきた意味を見出している」

 

「だから、俺がボロボロで帰ったとしても、俺がただいまって言った時にお前がおかえりって言ってくれればそれでいいんだ。だってあそこが俺の、帰る場所だからさ・・・」

 

そして昴はアンノウンを察知し、戦う者の顔になる。

 

「じゃあ俺、行かなくちゃ・・・」

 

走り出そうとする昴を茜は一度引き止める。

 

「待って!」

 

「ん?」

 

「昨日の夕飯の唐揚げ、残して置いてあるから、あんたの大好物でしょ?」

 

「そうだな。それなら早く倒して早く帰らなきゃな!」

 

安らかな顔を一瞬見せ、昴は戦いに向かう。

 

「絶対に帰ってきてね、怪我でもしたら投げ飛ばすから・・・」

 

それを茜は笑顔で見送った。

 

 

 

 

「変身!」

 

途中で現場に向かうG3と合流し、アギトは人を襲おうとする黒いシマウマのアンノウン ゼブラロード エクウス・ノクティスにマシントルネイダーの体当たりをぶつけ、被害者を逃がす。

 

「援護は任せてくれ」

 

「ああ頼むぜ!」

 

アギトが前衛となりノクティスと格闘戦を、G3が後衛となってGM-01で援護射撃を繰り出す。

 

「どりゃぁ!」

 

アギトの回し蹴りがノクティスに当たり数メートルまで吹っ飛ばす。

 

「よし、これで!」

 

アギトはライダーキックの構えを取った瞬間、突然後ろからG3の悲鳴が響く。

 

「キャァッ!?」

 

「弥生っ、どうした!?」

 

そこにいたのは白いシマウマのアンノウン ゼブラロード エクウス・ディエスだ。

どこかに潜み、G3を後ろから奇襲したのであろう。

 

「うう・・・」

 

G3は気絶し、ノクティスも立ち上がり、形勢逆転となって追い詰められる。

 

「ぐっ!?」

 

ノクティスはアギト目掛けて突進し、アギトは両腕で抑える。

それを後ろからディエスが突進してくる。

 

(まずい!)

 

このままでは挟み撃ちになってしまう。G3を一撃で気絶させるほどの突進を二発同時に浴びたら危険だ。

 

しかしその時、一台のバイクが横切り、ディエスの突進を妨害する。そしてそのバイクは斗真が所持しているものだ。

 

「斗真!?」

 

ヘルメットを外すと案の定そこには斗真の顔があった。

 

「答えを出す前にくたばられちゃ困るんでな、俺もお前と共に戦うぜ!!」

 

斗真は両腕を顔の前でクロスさせ、叫ぶ。

 

「変身!!」

 

斗真は飛び上がり、着地した時にはもう仮面ライダーギルスに変身していた。

 

そして、仮面ライダーへと変身した二人は並び立つ。

 

「いくぞ・・・」

 

「ああ・・・」

 

言葉はそれだけで十分だった。アギトはノクティスのほうへギルスはディエスの方へと向かう。

 

 

 

「グモォォォ!」

 

ディエスはギルスに向けて突進し、壁に押し付けるが、

 

「ガァウ!」

 

ギルスはディエスの頭を噛み付き、逃げられなくした状態で何度もボディブローを繰り出した。

 

「グモモォ・・・」

 

ディエスがグロッキー状態になったところをギルスは抱え上げ、上へと投げ飛ばす。

 

「ウオァァァァァ!」

 

落下したところを手刀で貫き投げ捨てるとディエスは爆散した。

 

ギルスのもう一つの必殺技、『ギルスヘルススタッブ』が決まった瞬間である。

そしてギルスは勝利の雄叫びを上げる。

 

 

 

「グオォォォ!」

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

一方、アギトはストームフォームに変身し、ノクティスの突進を跳躍して回避する。

それと同時、ストームハルバードで斬るがノクティスの肌に思うように通らない。

 

(切り込みが足りないのか・・・だけど深く斬るとなると真正面から突進することに・・・待てよ、あれがあるじゃねぇか!)

 

アギトは飛び上がり、マシントルネイダーに乗り、スライダーモードへと変形させる。

 

「はぁぁぁ・・・っ!」

 

ノクティスも高速で走るマシントルネイダー目掛け突進する。

 

そこからアギトは飛び出し、ハルバードスピンの強化技『ハルバードブレイク』でノクティスを貫き、ノクティスは爆散した。

 

それぞれの戦いに勝利し、夕日の中、二人は腕を交わした。

 

 

 

 

櫻田家玄関前 PM6:30

 

気絶した弥生を起こすのに時間がかかり、昴が玄関前に来たのは暗くなったときであった。

 

(思えば丸一日家を出たっきりだったんだよな、なんて説明しようか・・・)

 

そう考えながらドアを開けると、玄関には家族全員が昴を待っていた。

 

「おかえり、昴」

「まったく、どこほっつき歩いていたんだか・・・」

「まぁまぁ、何事もなく帰ってこれたんだしそれでいいじゃないか」

 

「お、お前ら・・・」

 

「ご飯はもうできているよすー兄」

「兄さんは昨日の分もあるからたくさん食べることになるけど大丈夫?」

「すーちゃんの分を食べるの我慢してたんだから、感謝してよね!」

「兄上の好きな唐揚げもありますよ!」

「お兄様、おかえり」

 

(ああ、やっぱりここが・・・)

 

「さぁ、早く上がって、ごはん覚めちゃうわよ」

「ま、覚めても五月さんの料理は絶品だけどな」

「もう、総ちゃんったら・・・」

 

(どこにいてもここがずっと俺の、帰る場所なんだな)

 

家族の中には勿論茜も出迎えている。笑顔で、

 

「ただいま」

 

昴の声かけに茜は答えた。

 

 

 

「おかえり」

 

アギトとして戦いに明け暮れる少年にしばしの休息が訪れたのであった。

 




第一部完!

ということで次回はキャラ紹介その2を書こうと思います。

次の話についてですが少しペースが遅くなるかもしれません。
ご了承ください
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