城下町のAGITΩ   作:オエージ

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いよいよ新フォームの初登場です!
ご覧あれ!


第18話 熱風

「昴ぅぅぅぅ!?」

 

弥生の悲痛な叫びが響く。

しかし、白井は通信越しで冷静に二人に指示する。

 

『何をしている、今がチャンスだろう』

 

「だがっ!」

 

『昴の行動を無駄にするな』

 

その言葉を言い返すことはできず、ギルスは高く飛びあがり、G3はGG-02を合体させる。

 

「ウォアァァァァァァ!!」

 

『GG-02 アクテゥブ!』

 

ギルスヒールクロウとGG-02の攻撃がカノッススとカウルスに命中し二体を撃破することに成功した。

しかし、クイーンのイントンススとルスクスには逃げられてしまった。

 

「昴!大丈夫か!?」

 

弥生はG3の頭部ユニットを外し、倒れている昴に駆け寄る。

彼女が手を当てようとしたとき昴は目覚めた。

 

「うっ・・・アンノウンは?」

 

「二体は撃破したがもう二体には逃げられてしまった・・・」

 

「そうか、じゃあ次もう二体を倒せばいいんだな」

 

昴は立ち上がりその場を去って行った。

 

 

 

 

 

櫻田家 夜

 

孤児院から帰宅した兄弟一同は現在リビングにいる。

サクラダファミリーニュースには早速、孤児院の件が放送されていた。

 

「これで支持率が上がらなければいいけど・・・」

 

今まで一位を独占し続けている葵だがどういうわけか彼女は王様になることを拒んでいるのだ。

 

「上がるでしょうね、姉さんが言い出しっぺなんですもの」

 

「グスッ・・・奏、昔はあんなに優しかったのに今ではこんなイジワルな性格に・・・修君どう思う?」

 

「グスッ・・・姉さん、人は変わるものさ、優しかった奏も今はどこ吹く風・・・」

 

「あんたらやっぱり打ち合わせしてるでしょ!?」

 

コントを繰り広げる年長トリオとは別に他の兄弟達はテレビに釘付けだった。

 

「すーちゃん見て見て!私映ってるよ!」

 

光は隣に座る昴の脇腹を肘でつつく。

その時、偶然にもつつかれた部分がクロウロードの頭突きを受けた場所と一致したので昴は思わず顔を歪めるがすぐに元に戻す。

 

「うっ・・・!?」

 

「すーちゃん?」

 

「何でも無い、それより良かったじゃないか、アイドルじゃない素の自分が映ってて」

 

「まぁね♪」

 

しかし茜はそんな昴の様子を見ていた。

 

 

 

「どうしたんだ?」

 

サクラダファミリーニュースの時間も終わり各々自由時間となった中、茜は昴の部屋に入っていた。

 

「昴、上着を脱いで」

 

「へ?」

 

突然の要求に驚く昴。

 

「何を急に?ハッ!分かったぞ、俺のヌード写真を俺のファンに売りつける気だな~」

 

「なわけ無いでしょ!」

 

茜は実力行使に出て無理やり昴の上着を剥ぎ取る。

そこには痛々しい痣が残っていた。

 

「これは何?」

 

「さ、さっきの戦いで打たれちゃってさ・・・」

 

「ちょっと待ってて!氷嚢を持ってくるから!」

 

そう言って、茜は一階から氷嚢を持ってきて、それを昴の腹に付ける。

 

「ああいいよ、そんなに気にしなくて・・・」

 

「気にするよ、家族なんだし」

 

そう言って茜は困惑している昴の顔を見て、

 

「3年前から戦っていたんだね」

 

「ああそうだ」

 

「・・・いつごろからアギトになってたの?」

 

「はっきりと力があるって認識できたのは中学に入ってすぐだけど、よく考えたらもっと前から予兆は出てたと思う」

 

「そう・・・」

 

もはや彼が戦いに身を投じるのは運命づけられていたのであろう。

昴にそんな運命を課した存在を茜は恨めしく思った。

だが、それを口にしても無意味だろう。彼は決して自分の運命を呪ったりしないのだから。

 

「でもね昴。やっぱり私は心配なの・・・家族の一人が傷ついて帰ってくるなんて」

 

「ごめん・・・」

 

「だから強くなって」

 

「え?」

 

「簡単に怪我をしないぐらいに強くなれば私も心配せずに昴を送り出せるからさ」

 

「ああ、努力はするさ・・・」

 

昴は茜の願いに頷いた。

 

 

 

 

 

土亥孤児院

 

翌日、昴と葵の二人はバスで隣町まで行きまた土亥孤児院に訪れ、子供達の歓迎を受けていた。

 

「あおいさまだー!」

「すばるもいるぞー!!」

「あおいさまー絵本読んでー」

「すばるーまたリフティング見せて―」

 

「なんで俺だけ呼び捨てなんだ・・・?」

 

「昴はほら、親しみやすいから・・・」

 

昴のフォローをしていると葵は早速子供達に捕まり引っ張られていく。穏やかな性格故子供に好かれやすいのだろう。

一方昴の袖を引っ張る者がいた。

一樹である。

 

「・・・・・・ごめん」

 

その一言だけを言って一樹はポケットからキャラメルを取り出し、昴に差し出す。本人なりの謝罪の気持ちであろう。

 

「あ、ああ」

 

昴がキャラメルを受け取ると後ろから一樹を呼ぶ声が聞こえる。

 

「カズー、ドッジボールしようぜー」

 

一樹は誘いを受け、友達の方へ向かっていく。そこには昨日見せなかった笑顔があった。

 

「昨日あなた方が去っていった後、彼は他の子供達と接するようになったのですよ」

 

何時から居たのか老人が昴の隣に立って語り掛ける。

 

「今まで彼は誰にも心を開こうとしませんでした。そんな彼が変われたのはあなたのおかげですよ」

 

「止してくれ。俺はあいつに何もしてやれなかった」

 

「あなたはそう思っているようですが彼は違うようですよ」

 

そう言って老人は昴を縁側に座らせ、老人も隣に座る。

 

「時に昴様、あなたは孤児院が存在する理由をお知りですか?」

 

「え?そりゃあ、身寄りのない子供を育てるために・・・」

 

「確かにそれが一番の理由でしょう。もう一つ理由があると私は思うのです」

 

「もう一つの、理由?」

 

「はい、長年この孤児院で子供達を見てきて気付いたことです」

 

老人は落ち着いた口調で答えた。

 

「親が居ない、育てる者が居ない、そういった境遇を持つ子供達が集まることで、一人では解けない悩みを共有し、共にそれを克服していく。そう言った意味も孤児院が存在している理由だと思うのです。だから私も彼らが笑顔を取り戻すのに力を惜しみませんでした」

 

老人はこちらに目を向ける。年で衰えていながらも力強さと聡明さを兼ね備えた老練な目だ。自分が生きてきた時間の何倍も長い時の中で様々な事を見てきたのであろう。

 

「しかし、私はあの少年の心を癒やすことは出来なかった。しかし、あなたはそれを成し遂げて見せた。ご自分を過小評価なさいますな。人には出来ることと出来ないことがあります。欲張らず出来ることに力を注いでいけばあなたの心も晴れましょう」

 

老人の言葉に感謝の意を表しながら昴は彼の言葉から未来へのヒントを得た。

 

(同じ悩みを共有し、それを共に克服していく・・・)

 

もしそれが孤児達をアギトの力を得た者とすれば、孤児院を学校と置き換えれば、それが自分の望む未来への道筋だろう。

 

(案外簡単に見つかるものだな、未来の予想図ってのは・・・)

 

感慨にふけっていると昴はアンノウンを察知した。

 

(っ!?ここからかなり遠い!)

 

ここが隣町でアンノウンを察知した場所は自分達が住んでいる町だ。

斗真達が戦っているだろうが今度の敵クロウロード軍団は強敵だ。自分の早く彼らの元へ行かなければならないが生憎バイクは修理に出している為、今ここにはない。

 

「何か、成さなければならないことがあるようですね」

 

「えっ!?」

 

自分の心を読まれ昴は驚く。

 

「この年になると人の表情仕草だけ考えていることが読み取れるものです。ついてきてください、足が必要なのでしょう?」

 

老人は昴を裏まで案内する。そこには車庫があり、それを開けると銀色車体に青のラインを基調としたバイクがあった。

そして老人は外れたハンドルを差し込みコンソールパネルに0318と入力してバイクを起動させる。

 

「若い頃あなたの祖父に貰ったバイクです。お貸ししましょう」

 

「俺のじいちゃんから・・・あんたは一体何者なんだ!?」

 

昴は目を見開くが老人は笑って答える。

 

「ただの老いぼれですよ、昔ちょっとやんちゃしていましたけどね。さぁ早く行きなさい、今の私の役目はここの子供達の成長を見届けること、そしてあなたの役目は人の命を守ることでしょう?」

 

どうやらこれ以上の詮索は無粋のようだと察し昴はバイクに跨り、アンノウンのいる所へと向かった。

 

老人は昴が走って行ったのを確認し懐から古びた写真を取り出し、呟く。

 

「あなたの魂はお孫さんがしっかり受け継いでいますよ、薫さん・・・」

 

そこには親指を立てた二人の青年が写っていた。

 

 

 

 

 

 

「くっ・・・!」

 

現在ギルスとG3はいち早く現場についてクロウロードと戦っていた。

 

しかし、その姿は伝説の鴉、八咫烏を彷彿させるような姿になり、力も強化されていた。

 

「「ホォアァァァホォォッ!」」

 

強化ルスクスの剛腕がG3を襲い、強化イントンススの俊敏な動きがギルスを翻弄する。

 

「「ぐわぁっ!?」」

 

二体のクロウロードの波状攻撃にギルスは変身を解除してしまい、G3もバッテリーユニットを損傷させ動けなくなってしまった。

 

しかしそこへバイクに乗った昴が駆け付けた。

 

「変身!」

 

昴はアギトに変身し、強化イントンススにパンチを繰り出すが強化ルスクスに止められてしまう。

強化イントンススの槍の一撃をストームフォームになって、防ぐが強化ルスクスによって地面に叩きつけられてしまう。

 

「がっ!?」

 

休む間もなく強化ルスクスは刀を突きたて、アギトはストームハルバードでそれを止めるが今度は強化イントンススの槍が首を狙って襲い掛かる。

当たれば即死、絶体絶命だ。

 

(だが俺は茜と約束したんだ!強くなるって、もう傷を負って心配させるのはたくさんだ!!)

 

 

 

昴の心の叫びにオルタリングが答えたのか、オルタリングからストームフォームでは出ない筈のフレイムセイバーが現れた。

 

「何っ!?」

 

戸惑いながらもフレイムセイバーを抜いて槍を弾き、強化ルスクスを蹴ることで仰け反らせアギトは立ち上がった。

 

 

 

 

その時、アギトは未知の形態へと変身した。

 

左腕はストームフォーム、右腕はフレイムフォーム、そして胴体はグランドフォームとなった。

 

名付けるなら『三位一体の戦士』トリニティフォームといったところか。

 

「ハァァァァッ!」

 

ストームハルバードとフレイムセイバーの二刀流で二体のアンノウンの武器と打ち合う。

しかし、ストームフォームのスピードとフレイムフォームのパワーが合わさった攻撃によって戦況は逆転した。

 

「カァァァァァ!」

 

奇声を上げながら強化イントンススは飛び上がり急降下で攻撃をしかけようとしてくる。

しかし、アギトはそれを避けることなく迎え撃つべく武器を構える。

ストームハルバードは突風を纏い、フレイムセイバーは赤く燃え上がる。

 

「デヤァァァァァァ!!」

 

二つの武器をクロスさせ強化イントンススに挟み込むように突き刺した。突風と火炎の連鎖攻撃により強化イントンススはたまらず断末魔の悲鳴を上げ爆散する。

これがトリニティフォームの必殺技『ストームファイヤーアタック』だ。

 

「クワァァァ!」

 

クイーンの敵を討つべく強化ルスクスはアギトに向かって走って行く。

 

対するアギトはクロスホーンを展開させライダーキックと同じ構えを取る。

 

「ハァッ!!」

 

そして飛び上がり一回転して両足でのキック、『ライダーシュート』を放った。

 

「カァッ!?」

 

ライダーキックを上回る破壊力を受け、強化ルスクスは吹っ飛ぶことなくその場で爆散した。

 

「これが・・・俺の新しい力・・・・・・!」

 

 

 

そしてその夜、昴は無傷のまま茜の元へと帰って行った。

 




遂に登場しましたトリニティフォーム
本編では僅かな出番でしたが、今作品ではガンガンだしていきたいと思います!

後、今回のゲストキャラの老人ですが敢えて多くは語りません。
皆さんのご想像にお任せします。
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