後、マッハとZXにも専用の掛け合いがあって驚きました。
そんな感じで久しぶりの投稿です。
それではどうぞ!
―人生を物語に例えるとしたら僕という物語は非常に退屈なものであろう。
―ただただ無感動で無変化な日々が続いていく。
―そう、僕は脇役にすらなれないのだ・・・
とある日曜日
ピピピピピ!と鳴る携帯電話の着信音で青年の朝は始まった。
彼の名は六野隆弘。どこにでもいる平凡な人間だ(事実)。
六野は布団の中でメールの内容を確認し少しどんよりとした気分になる。それは小さな暴君の呼び出しであった。
現在の時刻は6時30分。眠気が残る体を起こし、服を着替え、洗面所で顔を洗い、歯を磨き、髪を整え、食パンに冷蔵庫から取り出したジャムを塗って食べてアパートを出た。
「あら六野さんお出かけですか?」
アパートを出る六野をこのアパートの大家が声を掛ける。少々お節介なのが玉に瑕だがよく煮物などを分けてくれるので独り身の六野にとってはありがたい存在なのだ。
「ひょっとして彼女さんだったりして?」
「いや、そんなんじゃ・・・」
「またまた~、照れちゃって~。式には呼んでくださいね~」
あはは、六野は愛想笑いで話を合わせ、心の中で溜め息を吐いた。
(本当にそうだったらどれだけ良かったか・・・)
残念ながら大家が考えているようなことは一切無いのである。
白井邸
六野はここ数日間ある作業に従事していた。そしてそれは今終わりを迎えていようとしている。
「どうやら完成したようだな」
家の主の白井が六野の前に現れる。まだ寝ていたのかネグリジェを着用しており元来の幼い顔と合わさって等身大の西洋人形のようにも見えた。
(黙っていれば普通に可愛いのになぁ・・・)
「何か失礼なことを考えているな?」
「イエナニモ・・・」
「嘘をつけ」
ギロリと白井は半月のような瞳で睨んでくる。
背が低いので見上げる形となるがそれでも目の隈の陰気な雰囲気でかなり怖い。
その視線を変えるため六野は別の話題に切り替えようと自分が先程まで製作していた物体に目を向ける。
「ところでこれって何なの?G3でもG3-Xでもないけど・・・」
そこにあるのはG3に似たスーツだ。しかし胸部はG3-Xに近く、頭部も何故か白い。
「これは『G3-MILD』という新型スーツだよ」
「G3-MILD?随分優しそうな名前だね」
「ああそうだこいつのコンセプトは『人に優しいG3』だからな」
白井は六野にG3-MILDの資料を渡す。
「かつての対未確認生命体戦におけるG3運用に想定された一つのプランで4号が到着するまでの間にG3-MILDを先行させ被害を最小限に抑え4号到着後は支援に専念するという構想で設計されたようだ」
白井は得意気になって話し、六野は聞き漏らさないように集中している。
「このスーツの最大の特徴は“正規装着者がいない”ということだな」
「え!?どういうこと!?G3にはいるのに!?」
「正確には正規装着者が必要ないと言うことだな。性能はG3に一段劣るがオートフィット機能を搭載し誰にでも扱えるようになっているのだ」
「ふーん、でも何で急に作ろうと思ったの?G3もG3-Xもあるんだから必要ないんじゃ?」
「有り過ぎて困るものはない。万が一両システムが大破した時の保険といったところだよ」
「そうなんだ・・・ってことはこのG3-MILDって僕にも使えるってこと?」
「何だ?君も彼らと同じように戦いたいのか?」
いやそんなんじゃ、と六野は否定する。単純に興味で聞いたことなのだ。
「まあ、元々君のような凡人でも扱えるように作られているから使用できて当然なのだろうな」
だが、と白井は踵を返し背を向けて言う。
「止めておいた方がいいぞ、こいつはG3よりも性能が低い。その上君が着るのではアンノウンとの戦いでは噛ませ犬が関の山さ」
それだけを言って白井はドアを開けて自室へと戻って行った。
その後特に自分を呼ぶ声も無かったので六野はそのまま白井邸を離れ街を散策し気付けば昼食時になっていた。どこで食事を済ませようかあたりを見渡していると同時に朝の白井との会話が頭の中でリピートされる。
『止めておいた方がいいぞ、こいつはG3よりも性能が低い。その上君が着るのではアンノウンとの戦いでは噛ませ犬が関の山さ』
(確かに自信は無いけどあんな風に言われるとなんか頭にくるなー)
しかし、頭にくるだけで本当に戦ってみる気はないのだ。
(まぁ、運動神経が良いわけでは無い僕が着ても大した活躍は出来ないだろうな・・・それに痛いのは嫌だからなぁ・・・)
これが自分が脇役にすらなれない由縁だなと六野は自嘲気に笑う。
ニュースで見る悪事に憤ることは出来ても実際にその悪党を懲らしめることは出来ない。
遠くの惨劇に悲しむことが出来ても遠くの人達の為に出来ることと言えば10円くらいを募金する程度のことだ。
この程度の事なら自分じゃない誰にでも出来る。
(何かが足りないよなぁ・・・)
もしも昴みたいに特別な力を持っていたら、そう考えるがそれはただの空想で現実の自分は背景に写るので精一杯でとても主人公のようにはなれないのである。
(ってこんな僕が悩んでも意味ないか・・・)
そう感じて六野は再びあたりを見渡すとあるものが視界に写る。
それはとあるファーストフード店の宣伝の旗でこう書かれていた。
『期間限定 本格的アメリカンBLTバーガー 780円』
(あれ、美味しいのかな?ぼったくりじゃなきゃいいけど・・・)
とは言え一度見てしまったので気になって仕方がない。
とりあえず財布と相談しようとポケットから財布を取り出そうとした時、突然前を走ってきた黒づくめの男がそれを奪い走り去っていった。
「え・・・?」
驚くぐらいの早業に引ったくりだと気付くまで3秒程のタイムラグが生じるほどであった。
「引ったくりだー!?」
慌てて六野は引ったくり犯を追いかけるが相手の足の速さに距離は広がるばかりである。
「だ、誰かー!あいつを捕まえてください!」
六野は叫ぶが周りはただ困惑しているだけで引ったくり犯を追おうとはしない。
しかし六野はそれを白状とは思わなかった。
(仕方ないよね、見ず知らずの僕のために動いてくれる人なんているわけないか・・・)
半分諦めかけ引ったくり犯が角を曲がったその時、突然引ったくり犯のものと思われる悲鳴が聞こえる。急になんだと思い角まで曲がるとそこには、
「弥生ちゃん!?」
「六野さん?」
知人の弥生が引ったくり犯を地面に押さえつけていた。
引ったくり犯を警察に突き出した後、二人は町を歩きながら会話をしていた。
「いや~、ありがとうね。弥生ちゃんが来なかったらあのまま逃げられていただろうし」
「いえ、私はただ人としてするべきことをしただけです」
弥生の言葉が社交辞令ではなく本当に思っていることだということをこれまで彼女とのやり取りで六野は知っていた。
「でも本当にすごいよ弥生ちゃんは。引ったくり犯をあんな簡単に捕まえるだけでなくG3-Xに装着して戦っているなんて」
「やめてください。私はそんな大それた人間じゃありませんよ」
そう言って自分を卑下する弥生を見ていると六野は弥生の右腕に包帯が巻かれていることに気付いた。
「どうしたのその右腕!?」
六野は驚くが弥生は特に大したことではないといった雰囲気で説明する。
「これですか?これは前のアンノウンとの戦いでの傷ですよ」
「傷って、大丈夫なの?」
「少し痛みは感じますがこの程度の痛みなら動かすのに支障はありません」
つまり彼女が慣れているだけでそれなりに重い傷なのだろう。
「ねえ、弥生ちゃん?」
「はい、何でしょうか?」
六野はふと疑問に感じたことを弥生に聞いてみた。
「弥生ちゃんの戦う理由って何?」
「戦う理由、ですか?」
「昴君の話だとアンノウンって超能力者ばかり狙うわけでしょ?それなら放っておけば自分は傷つかないのに何で戦おうと思ったの?」
弥生も自分と同じ力を持たない側の人間でありながら力を持つ昴や斗真と同じく戦っていることに前から疑問に思っていた。怖くは無いのか?逃げ出したくないのか?
弥生はその問いに答えた。
「たしかにアギトとアンノウンとの戦いは私には本来関係無い事かもしれません。ですがそれと私が戦わないこととは違うんです。もし逃げたとしたらそれは私ではなくなってしまう」
「自分ではなくなってしまう?」
「はい、私は自分という人間を知っています。その人間は決して人が無慈悲に苦しめられている所を見て見ぬふりをしたりはしない。できない。それが私という人間です。だから私は逃げずに戦うのです」
そう語る彼女の目は正しく主人公の目をしていた。自分には到底できない目だった。
「やっぱり、弥生ちゃんはすごいよ。この年で自分という人間を分析できるなんてそうそういないよ」
「いえ、大したことではないんです。ただ、物事を見たとき心の中で最初に感じたことが本当の自分があるって思っているだけです」
(最初に感じたこと、か。でもそう思っても実際は中々実行できなんだよなぁ・・・)
そう考えていると弥生の携帯から着信音が響き、弥生が電話に出ると神妙な表情に変わる。
「アンノウンが出たようです。私達も行きましょう!」
「う、うん!」
二人はGトレーラーと合流するため走り出した。
Gトレーラー内
既にG3-Xの装着を終わらせガードチェイサーを発進させようと後部のコンテナを展開させるとそこにはスライダーモードに乗っているアギトの姿があった。
「昴!?」
「よお弥生、乗ってくか?こっちの方が早いぜ」
「ああ、すまない」
G3-Xがスライダーモードに飛び乗りアギトは加速させ二人は現場へと急行する。
Gトレーラーにはガードチェイサーが残されていた。
スライダーモードで加速させていると男性に襲い掛かるジャッカルロード スケロス・グラウクスを発見する。
グラウクスの行動を阻止するためスライダーモードを真横にしてぶつける大技『ドラゴンブレス』をしかける。
それを感知したグラウクスは紙一重でそれを跳躍して避ける。それと同時にG3-Xがスライダーモードから飛び上がってグラウクスの前に立つ。
「今度は逃がさないぞ!」
グラウクスとの戦いは既に何度か行われており、その都度グラウクスの驚異的な脚の速さによって逃げられてしまっていたのだ。
「ガウッ!」
グラウクスは鎌を手にしG3-Xを切り裂こうとするがG3-Xは左腕からGK-06を抜いて鎌と打ち合い応戦する。打ち合う中でG3-Xはグラウクスにキックを打ち込んで吹っ飛ばす。
立ち上がったグラウクスは今度は鎌の鎖を掴みG3-Xを狙って投げるがそれをスライダーモードから飛び出しトリニティフォームと化したアギトによって弾かれる。
「ガルルゥ!」
鎖鎌を振り回し猛攻を仕掛けるグラウクスだがそれをすべてアギトのストームハルバードとフレイムセイバーで防がれる。G3-Xはその隙を突いて飛び上がりGK-06にてグラウクスの体を引き裂いた。
「グギャ!?」
グラウクスは絶叫した後すぐさま上の道路へ跳躍し、逃走を謀る。アギトは追おうとするがグラウクスの俊足には追いつけず見失ってしまう。
(どこへ逃げたんだ)
アギトは立ち止まり、アンノウンを感知する能力を最大限まで発揮し、居場所を特定した。
「よし!さぁ行こうぜ!」
再びマシントルネイダーをスライダーモードに変形させG3-Xを乗せてグラウクスの元へと向かって行った。
一方、アギトの追跡を逃れたグラウクスは先程殺し損ねた男性を見つけ殺しのサインをして襲い掛かろうとするが、一足早くグラウクスの元へと辿り着いた斗真によって妨げられる。
「変身!」
斗真はギルスに変身し、彼のバイクもギルスレイダーへと姿を変える。
また逃げようとするグラウクスに対し前輪を上げて叩きつける。
「ウォォォ!」
「ガァッ!?」
今度は障害物の多い路地に逃げ込むがギルスはトライアルの競技の如くギルスレイダーを操り距離を縮め、ギルスレイダーから飛び降りてグラウクスを殴り飛ばした。
「オォォォォッ!」
立ち上がったグラウクスに飛び膝蹴りを叩き込み倒れたところをギルスフィーラーを巻き付けて引き揚げ腕に噛み付かれたことでグラウクスはグロッキー状態になった。
(止めだ!!)
ギルスは踵から爪を伸ばし、必殺のギルスヒールクロウの構えを取るがこの時、運はグラウクスに味方した。
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
たまたま通りかかった女性がギルスとグラウクスの姿を目撃し、悲鳴を上げる。
その声に反応してグラウクスは女性を突き飛ばして逃げ去っていく。
「くっ!後少しの所を!」
突き飛ばされた女性は壁に頭を打ち、血を流して失神している。このままでは彼女の命が危ない。
「悪いが俺はこいつを病院に連れて行く。後は任せたぞ!」
変身を解除した斗真は小型通信機で白井に連絡し、女性を抱えて戦線を離脱する。
Gトレーラー内
(また逃げられた・・・)
グラウクスはしぶとく現在も逃走が続行している。アギト達が追うが追いつくまで時間がかかりそうだ。
その間に何人の人間が犠牲になってしまうのだろうか。
六野は画面を見ながら歯ぎしりをする。
今すぐ自分が出てグラウクスを止めたいが自分にはそんな力がない。
(ん?待てよ・・・)
本当にそうだろうか?六野は朝に白井から聞いた話を思い出す。
『性能はG3に一段劣るがオートフィット機能を搭載し誰にでも扱えるようになっているのだ』
『まあ、元々君のような凡人でも扱えるように作られているから使用できて当然なのだろうな』
G3-MILD、そのシステムがあれば自分も戦えるのではないのか?
(・・・でもあいつを倒せるのか?)
戦いの恐怖心でしり込むが六野は弥生の言葉を思い出した。
『物事を見たとき心の中で最初に感じたことが本当の自分があるって思っているだけです』
六野は勇気を振り絞り白井に提案した。
「G3-MILDって今ここにあるの?」
突然の問いに戸惑いながらも白井は答える。
「ああ、一応載せてあるが・・・まさか行く気か?」
その質問に六野は首を縦に振った。
「危険なことというのは理解しているのだろうな、G3-MILDの性能からして勝ち目は皆無に等しいんだぞ」
「わかってるよ。でもそれでも時間稼ぎは出来るかもしれない!」
六野の決意を感じ取り白井はG3-MILDのスーツを出して六野に装着させる。
「G3-MILDは装甲もG3に劣る。危険と感じたなら迷わず退避しろ」
「おっ、珍しいね白井ちゃんが僕を気遣ってくれるなんて。明日は槍が降ってきたりして」
「別にそういうわけでは」
「まあ心配しないでよ、噛ませ犬ぐらいの活躍はするからさ」
そう言って六野はガードアクセラーをガードチェイサーに差し込み出動した。
「グルァァァ!」
グラウクスはまた男性を発見し目の前に立って殺すべく飛び掛かってくる。
「うおおおおお!」
それをガードチェイサーに乗ったG3-MILDが跳ね飛ばしそれを中止させる。
「今の内に逃げてください!」
G3-MILDの声を聞いて男性は一目散に逃げていく。
(まずは対象の安全確保には成功・・・)
G3-MILDはグラウクスを見据えるが、相手はこちらが眼中に無いのか男性が逃げた方向のみを見つめている。
「こい化け物!僕が相手だ!」
しかしグラウクスは無反応だ。
「僕の実家ではお前の倍くらい大きい犬を飼ってるんだぞ!だからお前なんて僕の敵ではないのだ!(ホントは実家で飼ってるのは金魚だけだけどね・・・)」
注意を引こうとハッタリをかけるがそれでもグラウクスは存在すら認識してないかようにG3-MILDを素通りしていこうとする。
「逃がすものか!」
G3-MILDはグラウクスを羽交い締めし動きを止める。ここにきてようやくグラウクスはG3-MILDを敵と認識する。
「ガウッ!」
グラウクスはG3-MILDに肘打ちをかけ、羽交い締めをほどく。
「ううっ!?」
G3-MILDは予想外の痛みに動揺し、膝をつく。すぐに立ち上がり攻撃を仕掛けるが、グラウクスはそれを全部躱し、強烈な回し蹴りを放つ。
「うわああああ!?」
G3-MILDは蹴り飛ばされ壁に激突し倒れる。
『六野!大丈夫か!?』
白井が声をかけるがG3-MILDは反応しない。
グラウクスはG3-MILDの所まで来て彼を踏み出した。
「・・・・・」
それでも反応しないG3-MILDを気絶したのだと思い、標的を追いかけるために跳躍しようとする。
その時、気絶したはずのG3-MILDがグラウクスの足を掴む。
「グッ!?」
足を掴まれバランスを崩したグラウクスはそのまま地面に倒れ込んだ。それと変わるようにG3-MILDが起き上がる。
「どうだ!これが僕の最大の特技『死んだふり』だ!」
元々は不良に絡まれた時やり過ごすために会得した技だがまさかこんな形で大活躍するとは本人も思ってもみなかったことだ。
「よーし、反撃だ!」
G3-MILDは倒れたグラウクスを押さえつけ拘束する。だが、
「グ、グ、グルルルルルルゥゥ!!」
見下していた相手に一杯食わされ地面を這うことになったグラウクスは激昂し、G3-MILDの拘束を振りほどく。この時グラウクスの攻撃対象は男性からG3-MILDに移行された。
「ガアアアアアッ!」
「うわあああああ!?」
グラウクスはG3-MILDの頭を掴み壁に叩きつけ摩り下ろすように駆けだす。G3-MILDはその激痛にたまらず絶叫を上げる。だがグラウクスの怒りは収まらず、地面へと叩きつけG3-MILDを何度も踏みつける。
G3-MILDはせめても抵抗にグラウクスの足を蹴って転ばせる。
「ふふ、それ見たことか!」
しかし、何度も痛めつけられたG3-MILDにはもう威勢しか残っていなかった。
『いい加減に離脱しろ!これ以上は・・・』
通信機から白井の動揺する声が響く。
しかし、六野は意志を曲げない。
「ダメだよ・・・せめて昴君達が来るまで持ちこたえないと・・・」
『このままでは君が死ぬぞ!』
白井の叫びに答える間のなくグラウクスはラリアットでG3-MILDを吹っ飛ばした。
「もう・・・限界か・・・」
バッテリーはまだ残っているようだが痛みで体が言うこと聞かない。
六野が死を悟ったその時、運は六野に味方した。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
アギトとG3-Xの到着だ。
グラウクスがスライダーモードに気を取られている間にG3-MILDは最後の力を振り絞ってガードチェイサーへと駆け出し、GX-05を手に取る。
しかし、今の六野の体力ではGX-05を放つことはできない。狙いを定める前に倒れてしまうだろう。
「弥生ちゃん!!」
だからG3-MILDはGX-05をG3-Xに投げ渡した。
「いっちゃえぇぇぇぇぇ!」
「・・・了解です!」
【カイジョシマス】
六野の気持ちを察しG3-XはGX-05をガトリングモードへと変形させる。
その姿を本能的に危険と察知したグラウクスはまたもや逃げ出そうと疾走し始める。
「逃がさねえよ!!」
だがそれをアギトはスライダーモードを加速させグラウクスと並走する。
「・・・撃つ!!」
スライダーモードに乗ったG3-XはGX-05の弾丸を放つ。
「グギャァァァァァァァ!?」
最大速度で並走しているため避けれず全弾命中し、グラウクスは断末魔の叫びと共に爆散した。
G3-X達の勝利を見届け六野の意識は途切れた。
白井邸
「ううぅ・・・?」
痛みを感じながら六野は起き上がった。周りを見渡すとそこには昴、弥生、斗真、茜そして白井が立っていた。
「六野さん大丈夫ですか!?」
目を覚ましたのを確認すると最初に弥生が声をかけてきた。
「えっと、ここは?」
「白井の家ですよ。あなたはあの後気絶して、スーツを脱がせた後あなたを昴が、スーツを茜がここまで運んできたんです」
「そうだったんだ、ごめんね昴君に茜ちゃん。王族の君達に迷惑をかけちゃって・・・」
「気にしないでくださいよ六野さん」
「そうですよ、それに私の場合は自分から運びに来たんですから」
「でも」
「大丈夫です。国民を助けるのも王族の務めですから」
そう笑顔で答える茜を見てこの国は良い王族に恵まれていると六野は改めて実感した。
と、それまで黙っていた斗真が白井に話しかける。
「白井、お前も何か言うことあるだろ?」
「どうした秋原斗真?何を急に口走る」
「ふっ、さっきまで六野の傍に寄り添ってたヤツがよくいうぜ」
「なっ、それは言うなとさっき約束したじゃないか!」
しかし、斗真が言ってしまったので仕方なく白井は六野の傍に立つ。
「君の事はただの凡人だと思っていた。だがそれは間違いであった。君は例えるなら『究極の凡人』だ」
それだけを言って白井は部屋を出る。と、思ったらドアを開けて、
「究極の凡人であることを称えて君には1週間の休暇を与える。感謝したまえ・・・」
今度こそ白井はドアを閉め、去って行った。
残りの面々も時間が立ち去って行き、部屋に一人となった六野は寝るために横になる。
―人生を物語に例えるとしたら僕という物語は非常に退屈なものであろう。
―ただただ無感動で無変化な日々が続いていく。
―そう、僕は脇役にすらなれないのだ・・・
―でも、今日だけは主役になれたよね