それではどうぞ!
桜華中央病院にて総一郎は昴の新たな担当医の樹次郎から昴の病気の事を聞くために彼の診断室に来ていた。五月と葵、修、奏、茜らと共に。
「一つ、質問していいですか」
部屋に入るや否や奏は樹に不信な眼差しを向ける。
「あなたが言っていたバーニングシンドロームという病気について私も調べようとしたのですが何の情報も得られませんでした。・・・本当にバーニングシンドロームという病気は実在するのですか?」
「ちょっとカナちゃん!ダメだよ先生を疑っちゃ!」
「疑うわよ!家族に関わる事なんだから!」
奏と茜の言い争いを五月が止め樹が口を開く。疑いを掛けられても彼の口調は依然として棒読みのような無感情さがあった。
「確かにバーニングシンドロームを調べても何の情報も得られないでしょう。何せこの病の罹患者は世界でたった二人なのですから・・・」
「え?どういうことですか!?」
樹の発言に櫻田家全員が驚愕する。
「申し上げた通りです。罹患者が余りにも少なく認知されていないのです」
「という事は、もう一人の罹患者をあなたは・・・」
思わず修が口にすると、樹は頷き自分の過去を語り始める。
「あれは10年前、まだ私が医師免許を持っていた頃、アフリカの某所で奇妙な病が流行してると聞き私はその調査と治療の為にそこへ赴きました。そこでバーニングシンドロームを患った少年に出会ったのです・・・」
「私が出会った時点ではまだ初期症状で彼も何の問題も無く野を楽しく駆け回っておりました。しかし、症状が悪化するにつれて心身共に衰弱していき末期の時にはベッドに横たわって一言も話さなくなりそして最期には・・・・・」
樹は最後まで言い終えることなく目を隠した。これ以上聞かなくても答えは痛いほど伝わった。
「あの時私は彼に対して何もしてあげれなかった。自分の無力を痛感した私は医師免許を捨てバーニングシンドロームの研究に没頭しました。そして遂にバーニングシンドロームの治療法を編み出し、昴様の元へと参りました。」
「不謹慎と感じられるかもしれませんが昴様の担当医となって彼を治療することは私にとって10年前のリベンジであるのです。あの病気を克服することによって私は再び正規の医師として復帰できるのです。どうかお願いします。昴様を私の手で救わせてください・・・!」
その声は今までの無感情さは感じられず力強い意志を感じた。
「わかりました。そういうことでしたら息子の事はあなたにお任せします」
樹の強い意志を感じ取った総一郎は樹の手を握り、昴の担当医となることを認めた。
「ぐっ・・・!」
グラッキレの強烈なソニックブームの直撃を浴びてギルスは変身を強制解除され絶体絶命の危機に立たされていた。
「ここまでか・・・」
止めを刺そうと空から急降下で襲い掛かるグラキレは突然横から放たれた銃弾を浴び横に倒れた。
「斗真、大丈夫か!」
G3-Xの救援である。
駆け付けたG3-Xはグラキレは飛び上がる前にグラキレに打撃を叩き込んでいく。
「そこだっ!」
さらに懐に入り込みGM-01をグラキレの腹部に向けて接射しグラキレの細い胴を貫いた。グラキレはたまらず悲鳴を上げ空高くへと舞い上がり逃走を謀る。
「逃がすか!」
G3-Xは追撃を始めようとGX-05を取り出すが突如GX-05は宙を浮き始める。
「どういうことだ!?」
『何者かの超能力のようだな』
白井が冷静に分析しているとGX-05は超能力者である小雪の手へと運ばれる。
「待て!GX-05はパスワードを知らないと動かせないんだ!」
G3-Xが止めようとするも小雪は超能力を使ってパスワードを解読する。
「パスワードは、132・・・」
【カイジョシマス】
小雪はGX-05をガトリングモードへと変形させ逃げようとするグラキレに向けて弾幕を放つ。数発の弾がグラキレの羽根に命中し、グラキレを墜落させる。
「シャァ・・・」
しかしグラキレはしぶとく風穴の空いた羽根を投げ捨て逃げ去っていった。
「あなたは一体何者だ・・・?」
そしてその場にはG3-Xと小雪と地面に伏した斗真だけとなった。
Gトレーラー内
斗真と小雪を連れて行った弥生は小雪から能力を得た経緯の説明を受けた。
「そういうことで私はこの力に目覚めた。それだけよ」
それだけを言い立ち去ろうとする小雪を弥生が止めた。
「待ってくれ、アンノウンはあなたを狙っている。だから一人で行動するのは危険だ」
「だから何、あなた達と行動を共にしろとでも言うの?」
小雪は六野が持っているマグカップに手を翳す。するマグカップは割れ、コーヒーが零れ落ちる。
「熱っ!?なんでぇ!?」
六野は理不尽な扱いに憤慨するが小雪は周りに冷たい眼差しを向けるだけだ。
「あなたもさっき見たでしょ?私には奴らを追い払える程の力がある。あなた達の手助けは必要ない。それに私はそこで寝てる奴と違って優しくないから」
小雪が去っていくと同時に斗真は目を覚ました。
「秋原、目が覚めたか」
「うっ・・・、小雪は、あいつは無事か?」
弥生から起きる少し前の話を聞いて斗真は立ち上がった。
「そうか、それなら俺に任せてくれ」
「待ってくれ!その傷では危険だ!」
「この程度大したことじゃあない」
Gトレーラーを出ようとする斗真だが白井の一言で歩みを止めた。
「大したことがあるのは身体の方ではないのか?」
「・・・何のことだ?」
「それを今から確かめるのだよ。さぁその服を脱ぎたまえ」
「・・・もう隠しきれないか・・・」
斗真は観念し上着を脱ぎ彼の体が露わになる。老化しきったボロボロの体が。
その異様な姿に白井も動揺を隠しきれなかった。
「前から変だとは思っていたがまさかこれほどとは・・・」
「秋原、この体は一体なんなんだ!君の体に何が起こってるんだ!?」
「どうやら俺の力は昴と比べて不安定らしい。だが心配するな運動神経に異常はないのは一緒に戦ってきて知ってるだろ?」
斗真は然程深刻じゃないように述べるが周りはそうはいかなかった。
「どうして今まで黙ってきたんだ。知っていたら君にこんな無理はさせなかったのに!」
「だから黙ってきたんだよ。無理できるようにな」
「秋原!」
「言いたいことはわかる。でも俺には戦う力がある。そんな力を持っていながらリスクがあるから言ってアンノウンとの戦いから退くわけにはいかないんだ・・・!」
斗真の強い意志は共に戦ってきた弥生には痛いほど感じ取れた。自分が逆の立場だとしても彼と同じ選択をする自信があった。だからこそ弥生は斗真に無理をして欲しくなかった。
「だが秋原、だからこそ君には無理をして欲しくないんだ。とりあえず暫らくは変身を控えてくれ、君にもしもことがあったら、私は・・・」
仲間が傷ついて欲しくない弥生の気持ちは斗真も理解できた。それ故に斗真はそれに応じざるを得なかった。
桜華中央病院
「失礼します・・・」
昴の病室に樹が入ってくるが昴は依然、ふて寝したままで振り向かない。
「薬を用意しました。これを飲めば病の進行を抑えることができます」
「そうかよ」
やはり昴は振り向かず飲む気配もない。
「まだ、私の事を信用してくださりませんか」
「いや、そういうわけじゃないんだけどさ・・・」
「ご自身の病のことですか?」
「っ!?なんでそれを、エスパーかあんたは?」
「医者として患者の様子を常に把握することは必須ですからね、よろしければ私に聞かせ下さりませんか?」
昴は樹に自分の心境を語り始める。
「急に死ぬかもしれないって言われても実感が湧かないし何より今生きてるし、こんなところにいるよりも俺にはやらなければいけないことがあるんだよ」
「やらなければいけない、ことですか?」
「ああ、詳しくは言えないけどすっげぇ大事なことだ。本来ならその場にいて仲間達と一緒にやってきたんだけど、今俺がこの有り様になって仲間にそれを任せっきりだと思うと・・・なぁ、本当にそのバーニングシンドロームってヤバイ病気なのか?」
「はい、とても危険な病です。故にあなたが今すべきことは一刻も早く完治することです。そのことで昴様が言う仲間の為でもあるのです」
そう言い樹は錠剤を差し出した。
「悩むことは悪いことではありません。悪いのは悩んだまま何事も為さずに手遅れになってしまうことですよ」
昴は樹に共感し錠剤を手に取りそれを飲んだ。
秋原斗真は町中で途方に暮れていた。
今まで隠してきた秘密がばれ、戦いから外されることになってしまった。
(いずれこうなることはわかっていた・・・だがよりによってこんな時にばれるとはな・・・)
現在昴は入院中で戦える者が二人しか居ないという状況だ。
その為弥生にも負担を掛けさせないように細心の注意を払ってきたが全て水の泡となってしまったのだった。
(このリスクさえ克服できれば・・・)
強く願うも現実は非常で斗真はアンノウンの気配を察知する
「くっ!こんな時に・・・!」
斗真は悩んだ。
次変身したらまた身を削り今度こそ完全に終わってしまうかもしれない。それ弥生は自分の身を案じて変身するなと言ったのだ、今戦いに行くことは彼女の気持ちを裏切ってしまうのではないのか?
(だけど・・・そうだとしても・・・見過ごすなんて俺には出来ない!)
斗真は人気の無い路地裏に駆け込み変身を試みようとするがその腕を掴む者が居た。
振り返るとそこには、
「小雪・・・?」
片平小雪がただ黙って斗真の手を掴んでいた。小雪は斗真を見据え続けている。
「悪い、今お前に構ってる暇はないんだ」
「・・・」
「あの怪物を野放しにしたら他の奴らが殺されることになってしまうかもしれない、だから俺は戦わなきゃいけないんだ」
だが小雪は手を掴んだまま離さない。引き離そうとも超能力を使ってガッシリと固定されている。
「頼む、仲間が居るんだ、俺は行かなきゃならない」
ここにきて初めて小雪が口を開いた。
「一つ、聞きたいことがあるの」
それは同じ力を望まず得てしまった者への問い掛けだ。
「何であなたはその力を人を守る為に使おうとするの?」
「そんなの言わなくてもわかりきったことだろ」
「じゃあ言ってよ!教えてよ!私にはわからない、どうしてあなたがそこまでして他人の為に命を掛けられるのかが!」
「小雪?」
「あの姿は赤の他人からして見れば化け物よ、どんなに人を救ったって周りはあなたのことを化け物と蔑む。丁度昔の私みたいにね!そんな体になってまでなんであなたは心を保っていられるの!何があなたを動かすのよ!!」
小雪の疑問に斗真は答えた。それも素っ気なくあっさりと、
「確かに俺の姿は化け物だ。あの姿になる度に俺が俺でなくなるような気さえもする」
「だがな、それでもこんな俺を友と呼んでくれる奴がいる、仲間だと心配してれる奴がいる。そいつらが居てくれたから俺は俺であり続けられる、俺はそいつらを助けたい。それに・・・俺には守りたい人が居る。理由なんてそれだけさ・・・」
その答えに小雪は思わず顔を綻ばせる。
「やっぱり、あなたは化け物ね・・・体だけでなく心も」
僅かな支えで生きている斗真の精神を小雪は化け物と例えたのだ。
そして彼女は斗真に向けて手を翳す。すると彼女の体から白い光が出現し斗真の体の中に入っていく。
「これは・・・!」
体の異変を感じグローブを脱ぐとそこにはギルスになる前のしわの無い状態に戻っていた。
「なんてことはないわ。ただ私の力をあなたに移るよう念じただけ、案外簡単にできるものなのね」
「一体どうして・・・」
困惑する斗真を見て小雪はいたずら好きな笑みを浮かべる。そこにはかつて小雪が戻りつつあった。
「あの時私に言ったじゃない『お前にはその力を振るう資格などない』って。私もそう感じてあなたなら私の力も有効活用できると思ったらよ」
「小雪・・・お前」
「これで私とあなたの関係は終わり。さっ、早く行きなよ仲間が待ってるんでしょ?斗真君」
「・・・ありがとう」
斗真は小雪に深く感謝し、アンノウンの所へと向かって行った。
その後、片平小雪が自分のしてきた過ちの贖罪を始めたのはまた別の話である・・・
廃校となったとある校舎の屋上でG3-Xはアンノウンのいる上空を睨みつけていた。
「まさか、羽根が再生してるとは・・・!」
見上げた先には破れた筈の羽根が再び生え全身が黒と黄色のラインに変色し一回り大きくなった強化グラキレがいた。
「キシャァァァァァァァ!!」
強化グラキレは奇声を上げてソニックブームをG3-X目掛けて発射する。
難なく避けるもその一撃は鋭く屋上の床が裂かれ下の階の内装まで見えるほどだ。
「このままで足場を削られ防戦一方だぞ!」
『慌てるな弥生、焦れば焦る程勝算は減るだけだぞ』
白井の通信で平静を保ったG3-Xは打開策を編み出す。
(敵はソニックブームを放つ時完全に静止する。そこにGXランチャーを打ち込めば・・・)
G3-XはGM-01とGX-05を連結させGXランチャーにして放つ準備を取る。
一方、強化グラキレもソニックブームを放つべく羽根を擦らせ空中でホバリングを開始した。
(よし、今だ!)
G3-Xは隙を突いてケルベロスファイヤーを強化グラキレに放った。ソニックブームを放とうとしていた強化グラキレは避けきれずGX弾が直撃し爆散する
かに思われたが、GX弾を軽々と避けこちらに向かって急降下し始める。
(ブラフ!?しまった!)
強化グラキレはソニックブームを放つふりをしてG3-Xを誘い出し、GX弾を撃たせたのだ。
反動により硬直したG3-Xは掴まれ屋上から下まで叩きつられてしまう。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!?」
強固なG3-Xの装甲に守られた弥生の体には別状はないがそれによってG3-Xの機能が大幅に低下してしまった。
『まずいぞ、今のでG3-Xの全ユニットが損傷した。次また奴の攻撃を喰らえばおしまいだ』
「でも、諦めるわけには・・・!」
立ち上がるG3-Xを嘲笑うかのように強化グラキレは地上に降り止めのソニックブームを撃とうとする。
万事休すかと誰もが思ったその時、強化グラキレの後ろから秋原斗真がバイクに乗って現れ強化グラキレを跳ね飛ばした。
「どうやら間に合ったようだな」
斗真は弥生の無事を確認し安堵するが弥生はそうはいかない。
「秋原・・・どうして!」
「悪い、やっぱり俺は変身することにした」
そう言い変身の構えを取る斗真。
「待て秋原!これ以上変身したら君は・・・」
「なぁに、心配することはない・・・」
「だがっ・・・」
止めようとする弥生の声を遮るかのように斗真は叫んだ。
「俺は不死身だ!!」
そして斗真は変身する。
しかし、その姿はいつもギルスとは違っていた。
頭部には三本目の触角が生え、剥き出しになったギルスクロウは赤く変色し、体の至る所から禍々しい突起が現れ、斗真はより異形に近い姿になった。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
猛々しく吼えるその姿は正に不完全な完全体『エクシードギルス』だ。
「ギィッ!」
エクシードギルスはギロリと眼を強化グラキレへと向ける。
「ッ!?」
異形に睨まれ強化グラキレはたじろぎ、飛び立とうとするがエクシードギルスは背中から生えた赤い触手『ギルススティンガー』が強化グラキレの全身に絡めついて動きを止める。
「グルルルゥ・・・!」
雁字搦めにされ地を這いつくばる強化グラキレを見下ろすその姿は正しく獲物を狩る捕食者そのものだ。そこからエクシードギルスはギルススティンガーを持ち上げ何度も叩き付けた。壁に、地面に、何度も、強化グラキレを叩き付け、そして巻き付けたまま引き揚げ赤い爪『エクシードクロウ』で滅多切りにした。
「なんて惨い戦い方なんだ・・・」
その様子を間近で見ていた弥生は打ちのめされていく強化グラキレに同情すら覚えた。だがエクシードギルスは手を休めることなく強化グラキレをギルススティンガーを巻き付けたまま自分の前に横にして縛り上げる。最早強化グラキレには抵抗する力は残されていない。
「ォォォォォォォォォォォォォォ!」
エクシードギルスは叫びながら飛び上がり強化グラキレの腹を目掛けてギルスヒールクロウの強化必殺技『エクシードヒールクロウ』を叩き込む!
避けれるはずもなく強化グラキレは踵の爪が突き刺さり爆散する。
そしてエクシードギルスは勝利を誇示するかのように高らかに雄叫びを上げたのであった。
桜華中央病院
「昴ー、お見舞いに来たよー」
「おう、茜か」
「私もいるよー」
昴の病室に茜と岬が見舞いに来た。
「すー兄暇そうだから部屋から漫画持ってきたよ。好きでしょ?料理人辰之助」
「おお!しかも125巻を持ってくるなんてセンス良いじゃねえか!この巻の辰之助とライバル校の虎太郎の殴り合いすっげぇ熱いんだよな~、正に青春の1ページって感じで!」
「やっぱりすー兄もそこ好きなの?いいよね~特に私は最後の巨大隕石を二人で押し返す所でいつも泣いちゃうんだよ」
「いやどんな漫画なのそれ!料理漫画じゃないの!?」
「何言ってるのあか姉、料理人辰之助は熱血不良恋愛能力オカルトミステリー漫画でしょ?」
「料理人要素どこ!?」
「その設定一巻の内に消えたよな」
「もうタイトル変えようよ!?」
「まぁまぁ、茜も読めばわかるって料理人辰之助の魅力は・・・ん?」
突然、昴の視界はブレ始めた。
「すー兄、大丈夫?」
「いや、なんでもない・・・うっ!?」
急に心臓が強く波打ち昴はそのまま意識を失ってしまう。
「昴!?」
茜と岬は昴を心配し声を掛けるが呻き声がするだけで返事が返ってこない。
「これは・・・」
後ろから樹が現れ昴の容態を観察する。
「樹先生、昴の身に一体何が?」
「すー兄は無事なんですか!」
「落ち着いてください茜様に岬様。今から私が言う事に動じず聞いてください」
ごくりと唾を飲んで聞く準備を取る茜と岬。
そして樹は答えた。
「まずい状況です。今すぐ手術を施さなければ昴様の命が危険です」