城下町のAGITΩ   作:オエージ

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放浪の果てに昴の前に立つ者とは・・・

それではどうぞ・・・


第36話 死動!G4

櫻田城 

 

玉座にて国王櫻田総一郎は部下のある報告に耳を傾けている。

 

「陛下、遂に監視カメラをハッキングしていた犯人を捕らえることに成功致しました!」

 

「うむ、ご苦労であった」

 

「恐縮です。ですが、この事に関して奇妙な点がございまして・・・」

 

「それはなんだ?言ってみてくれ」

 

王の問い掛けに部下はぎこちない様子で答える。

 

「はい・・・まず犯人の身元ですが、名前は白井咲子、桜華高校の学生です。所属は1年A組と判明しました」

 

それは茜と昴がいるクラスで彼女は二人のクラスメイトということになる。

 

「それともう一つご報告したいことがあります。先程、警察署にて白井咲子の共犯者と名乗って桜華大学の学生が自首してきました」

 

「・・・それで、二人は今どこに?」

 

「はい、現在二人は拘置所にて身柄を拘束しております」

 

「そうか・・・」

 

それを聞いた総一郎は玉座から立ち上がり歩き出した。当然周りは何事かと慌てるがそれを収めて総一郎は落ち着いた口調でみなに公言する。

 

「彼女と話がしたい。至急面会の準備を」

 

 

 

 

拘置所

 

この場所で白井と六野は向い合せの檻に入れられていた。

 

「まったく、物好きな奴だよ君は。そのまま黙っていたら今まで通りの生活ができていたというのに」

 

「そうかもしれないけど、僕もハッキングする手伝いをしてたのは事実だしさ、なにより白井ちゃんに謝らなきゃいけないことがあるんだ・・・」

 

「謝らなきゃいけないこと?」

 

「うん、白井ちゃん、僕はあの時・・・」

 

六野が話そうとしたとき看守が歩いてきたことによって遮られる。

看守は六野の顔を一瞥すると白井の方に体の向きを変え檻の錠を開ける。

 

「面会だ。一緒に来てもらおうか」

 

「面会だと、一体誰だ?まさか両親か?何かの間違いだろ」

 

「ああ、私もそう思いたいよ・・・君に面会を求めているのは陛下なのだからな」

 

「何だって?国王が私に何の用だ?」

 

さあな、と看守は不服な手つきで六野の檻の錠も開封する。

 

「とにかくこれは事実上の王命だ。今すぐ陛下の元へ行くのだ」

 

わけのわからないまま二人は看守に引っ張られるように面会室まで連行される。

部屋に入るとそこには正真正銘のこの国の長である櫻田総一郎が座っていた。

後ろは彼の身を守るSPの黒服で壁が塞がっている。

 

「本物だ・・・本物の国王陛下だよ白井ちゃん・・・」

 

映像でしか見たことない国王が目の前に現れ落ち着いた目つきで自分達の目を見据えていることに六野は畏縮するが白井はそんな素振りも見せず堂々と椅子に座った。

 

「やぁ櫻田総一郎。私に何か尋ね事かね、それとも国の安全を乱した大罪人に判決を言いに来たのかい?」

 

敬意の欠片のない白井の態度に窓側のSP達はギロリと睨みつけ、後ろの看守は怒鳴り無礼を謝るように白井に掴みかかろうとするがそれを総一郎は一声で止めさせた。

 

「皆落ち着いてくれ、今から行われるのは非公式の会話だ。決して国の記録には残らない。だから礼節も警護も必要無い、話しの間だけ皆は外してくれないか?」

 

「しかし陛下・・・」

 

「これは私個人が彼女達に個人的に聞きたいことがあって用意した場だ。わかってくれ」

 

王に頼みを断るわけにはいかずSPと看守は部屋を離れ総一郎と白井と六野の3人だけになった場で総一郎は白井に声を掛けた。

 

「この通り周りの者達は下がらせた。ここに設置されている監視カメラも面会の間は止めておくように指示してある。この場において行われる面会の内容を知ることができるのは私達だけだ、遠慮せずに思ったことを正直に答えてくれ」

 

白井は不審に思いながら天井に設置されている監視カメラが動いていないことを確認する。本当にここは密封された状態のようだ。

 

「それで、ここまでして私から何が聞きたい?この重罪人から国王が聞きたいこととは何だ?」

 

「いや、今この場における私は国王ではない。ただの心配性な冴えない十子の父親さ。それで昴と茜のクラスメイトである君から見た二人についての話しが聞きたかったんだ。では教えてくれないか、この親バカのバカ親父に子供達のクラスメイトである君から、彼らのことを・・・」

 

 

 

 

 

 

雨がぽつりぽつりと落ちていく中櫻田昴は気力が感じられない足取りで樹に渡された地図通りに彼が潜んでいるであろう隠れ家のある廃港を歩いていた。

目的はただ一つ、樹を倒し幽閉されている葵を救出することだ。しかし目的の場所を前にしても昴の気は昂ぶれなかった。

 

(例えここであいつをぶっ倒して姉ちゃんを救えたとしても俺はもう、家族の前に顔を出す事なんてできない・・・)

 

アギトの本質は火、触れる者は家族であろうと焼き尽くす、と樹は言っていた。

心の闇が広がっていくのを感じるのと同時に昴はアンノウンの気配を察知した。それも近くに、多くいる。

気配の方を振り向くとそこには蟻のような姿のアンノウン アントロード フォルミカ・ペテスの大群が押し寄せてきた。

 

「こんな時に・・・しかもなんて数だ!」

 

応戦する為に変身の構えを取ろうとする昴だが突然プロペラの音が響き、上空を見上げると一機のヘリが空高く飛翔している。遠すぎて乗っている人間の顔は目視できないが何かG3に似た装甲を纏った者がいるのを確認する。

 

「あれはなんだ?」

 

疑問に思っていると突然、装甲を纏った者がヘリから飛び降りてくる。

垂直に落下しコンクリートの地面を砕いて着地するとその者の全貌が明らかとなる。

 

シルエット自体はG3-Xにそっくりだが色合いはまったくの別物であった。

暗雲のような黒一色に塗りつぶされた装甲に水色のカメラアイ、そして左肩にはG4と刻まれていた。

その黒い装甲から聞き覚えのある声が放たれた。仲間の声だ。ただし声色は今まで聞いたことがないほど暗いものだ。

 

「久しぶりだな昴、君を助けにきた。このG4の力を使ってな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

―1時間前

 

「誘いを受けていただきありがとうございます」

 

奏が携帯に送られた場所に辿り着くと送り主の弥生が待ち構えていた。

 

「それで、私に頼みたい事って何かしら。今大変な時期だってことはあなたにもわかるでしょう?」

 

「はい、それを承知でお願いします。現在G3-Xは諸事情で使用不可でして新たな装備が必要となるのです」

 

そう言って弥生は黒いUSBメモリを差し出した。奏はそれを受け取り用意してきたノートパソコンに差し込んで新装備のデータを閲覧する。

 

「如何でしょうか?」

 

データの詳細を見た奏はただ一言呟いた。

 

「これを設計したのは誰・・・?」

 

どう答えるべきか弥生が考えるよりも先に奏は机を両手で叩き弥生に追及する。恐ろしい物を見てしまった目で。

 

「このいかれた兵器を設計した馬鹿は誰だって聞いているのよ。こんなもの思いついただけでも犯罪よ!」

 

「お、落ち着いてください奏様」

 

「じゃああなたはこれを見て平静でいられるの!?」

 

奏は画面に映るデータを指差した。G4システムの概要が書かれている。

 

高知能のAIによって敵の行動パターンを予測しそれを迎え撃つに最適な行動を強制的に行わせる。これがG4システムの最大の機能だ。そしてそれは目標を撃破するまで動き続けるという。

 

「これを意味していることがわかる?これは人が装着して動かす機械じゃないわ、人をパーツの一部として動かせる機械なのよ!これを着たら最後あなたは死んでも動き続けることになるのよ、それでもいいの?」

 

奏の必死の説得においても弥生の気持ちは変わらなかった。

 

「はい。その覚悟ができた上で奏様にお願いしているのです。これさえあれば昴様を連れ戻すことができるのです、どうか奏様の能力で生成して頂けませんか?」

 

「どうして・・・どうしてそんな覚悟ができるというの?」

 

奏の問い掛けに対し弥生は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

―現在

 

奏はG4のついでに生成した自動操縦型のヘリで真下を見下ろしていた。真下には昴とG4と怪物の大群がいる。

ヘリの通信機から奏はG4の中の弥生に連絡する。

 

「もう一度言うけど、G4を作るかわりに10分経過で強制的に機能停止させるリミッターを付けておいたわ。それ以上経つと動けなくなるから10分以内に決着をつけなさい」

 

『了解』

 

G4の武器をしたに降ろしながら奏はあの時の弥生の言葉を思い出した。

とても常軌を脱したものであったが彼女の勢いを止めることが出来ず最終的にリミッター付きとはいえあの危険極まりない兵器を作ってしまったのだ。

せめてもの償いに奏はG4の戦う姿を監視し危険であれば破壊してでも止めようと地面を見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギガント、発射準備完了・・・」

 

ヘリから落とされたG4の装備、多目的巡航四連ミサイルランチャー『ギガント』を受け取ったG4はすかさず肩に担ぐ。そしてギガントから伸ばしたケーブルを腰の右側に挿入しアントロードの群れに狙いを定める。

 

「・・・撃つ!」

 

腰の左側にある発射スイッチを捻ったことでギガントから一基のミサイルが射出されアントロードの群れへと突っ込んでいく。

 

ミサイルがアントロードの群れに命中した瞬間、大爆発が起こり直撃を受けた先頭のアントロードは勿論、後方のアントロードまで吹き飛ばした。

 

「なんつう破壊力だ・・・!?」

 

爆発によって辺りに爆風が吹き荒れ飛ばされまいとオルタリングを発現させアギトの力を部分的に開放させることで昴は爆風を耐え切った。

 

爆風は空にも影響を及ぼし奏の乗っている自動ヘリのコンピューターはこの場を危険と判断し安全な所に着陸する為勝手に離脱し始める。

 

「余計な機能を付けるんじゃなかったわ・・・!」

 

奏は急に動き出すヘリに落とされないよう掴まりながら地面にいるG4を見た。

 

(死ぬんじゃないわよ・・・)

 

 

 

 

 

 

爆風が収まり運よく生き延びていたアントロードの一体がG4に飛び掛かる。G4をアギト以上の脅威と判断したのだろう。

 

しかしG4はアントロードの攻撃をすべて躱し、アントロードがバランスを崩したところをこれでもかと攻勢をしかける。

その姿と樹が変身したアナザーアギトの戦い方を比べ昴は違和感を覚える。

アナザーアギトの戦い方は勘で敵の動きを察知し、敵の動きに対応していたようにみえた。姿勢を一切崩さないのは万が一予測が外れても対応できるようにする為であろう。対するG4の動きはどうだ。

 

(まるで相手がそういう風に動くことを前提にして戦っているみたいだ。まるで、予知能力でもあるかのように・・・)

 

昴が考えている内にG4は地面に倒れたアントロードを踏みつける。足の携行していたGM-01改四式をアントロード目掛けて発砲し続けることでアントロードは息絶え爆散し、G4は完全勝利となった。

 

邪魔者がいなくなった廃港に昴とG4が向かい合い対峙する。

 

「弥生、何なんだそのスーツは?」

 

「さっき言ったはずだ、これはG4。これを手にした事で私は・・・っ!?」

 

会話の途中で突然G4が苦しみ出し膝をついた。身を案じた昴が駆け寄るとG4は何事も無かったように不自然に立ち上がる。

 

「何、心配することはない、ただのAIの負荷が掛かっただけだ」

 

「負荷だって?!G3-XみたいにAIの調整はしていないのか?」

 

「ああしていないさ、なんたってG4システムは・・・」

 

弥生から聞かされたG4システムに昴は身震いをする。このままだと彼女は・・・

 

「お前、なんでそれを知ってて平静でいられるんだよ・・・死ぬんだぞ怖くないのか!?」

 

対する弥生は歪んだ答えを出した。

 

「ああ、それで良い。死に近づけば近づく程より大きな力を私は得られるのだからな!!」

 

「お前・・・どうしちまったんだよ・・・」

 

「君がそれを聞くか?私は君達によって気付かされたのだ。私が何故君達に劣っていたかを・・・」

 

G4から禍々しいオーラが噴き出てくる。弥生の逸脱化した精神を表すかのように。

 

「私はアンノウンとの戦いの中、心のどこかで脅えていたのだ。いつか奴らに敗れて死ぬのではないかと・・・いわば生に執着していたのだ」

 

「だが君達は違っていた。知っていたか?秋原は変身する度に体に強い負担がかかっていたことを。それでも彼は恐れず変身し戦っていたのだ。そして君もまたアンノウンに打ちのめされながらも立ち上がりバイクを変形させる力や三位一体の力を手に入れてきた・・・」

 

「君達の強さは正に生の執着を捨てたからこそ発揮できた強さだ!だから私も生の執着を捨てG4を装着したのだ!装着することによって死が近づいていくごとに全身から力は湧き上がってくる、そうか、これが君達と同じ死を背負う力か!!」

 

弥生の心の濁流に昴は敢然と向かい合って叫んだ。

 

「違う、俺は死を背負ってなんかない!俺から言えることはただ一つ、そのどす黒いスーツを今すぐ捨てろ。断るのなら、俺が破壊する!」

 

昴はアギトへと変身し、戦闘の構えを取る。対するG4もGM-01改四式を手に取る。

 

「面白い、良いだろう・・・今証明して見せようか、死を背負う事で得た私の力を!!」

 

啖呵を切ったG4はアギトに向けて発砲する。アギトは回避するもG4は連射し続け避けるのに精一杯な状況になっている。状況を打破するためにアギトはストームフォームへと変化し地面を蹴って高く飛びあがってG4の視界から外れる。消えたアギトを探して辺りを見渡すG4の後ろにアギトは着地する。

 

(よし、このままこいつのバッテリーユニットをぶっ壊す!)

 

だがそれは背後に向けられたGM-01改四式の銃弾に撃たれたことで失敗に終わる。

 

(今の動き・・・関節の限界を無視した動きだった・・・!?)

 

早く決着をつけなければ弥生が危ない、撃たれた腕を長ながら考えるアギトにG4は容赦なく蹴りを当ててくる。アギトは受け止めるがG4は身体を捻らせ回転しその勢いでもう片方の足でアギトを蹴り飛ばし後ろのコンテナへと激突させる。

 

「どうだ!これが今の私の力だ!」

 

コンテナに激突したアギトを見てG4は自分の力だと勝ち誇るがそれをアギトは断固として否定する。

 

「いや違うな、それはお前の力じゃない。G4の力だ」

 

「なん、だと?」

 

「気付いていないのか、今のお前はそのG4システムの奴隷となってAIが考えた動きを無理やりやらされているだけだ。そんなものは力ですらない!」

 

「そんな馬鹿な!私は・・死を背負う事で・・・」

 

言い終わる前にG4に異変が起きる。

 

「なんだ・・・これは・・・G4が勝手に・・・っ!?」

 

見えない手に振り回されているかの挙動でG4は暴走し始める。本来付けていなかったリミッターとG4の戦闘のみに特化したAIがかみ合わず不具合を生じさせてしまったのだ。

止めようとアギトはG4に掴みかかるがG4の驚異的な力によって弾き飛ばされてしまう。

 

「このままだと弥生が・・・」

 

最早弥生の意識はないのかG4は無言のままにアギトに殴り掛かる。防ごうに守りの薄い部分を集中して攻めてくる。今の状態が続けば自分は負けてしまうだろう。だが逆転の方法をアギトは持っている。バーニングフォームだ。

 

(ちょっと待てそれじゃこっちも暴走して本末転倒じゃ・・・いや、待てよ・・・)

 

昴は前回のバーニングフォームの変身を振り返った。あの時も暴走して茜に襲い掛かったがギリギリの所で茜の声が聞こえ一瞬だけだがバーニングフォームを制御することができたのだ。

 

「もしかしたら・・・できるかもしれない!」

 

淡い希望を抱いてアギトは三度目のバーニングフォームに変身する。その瞬間、意識が飛びそうになるのを踏ん張って抑え、意識を止めることに成功した。

 

「くっ・・・だけど、そう長くは持ちそうにないな・・・」

 

少しでも気が緩めば暴走してしまう状態でアギトは震える手をオルタリングの前に突き出す。するとオルタリングから光が放たれS字状の刃が出現する。その名を『シャイニングカリバー』と言う。

アギトはシャイニングカリバーに掴み、エマージュモードを開いて双刃の剣の形のシングルモードへと変形させG4を見据えた。

G4は置いていたギガントを再び担ぎこちらへと狙いを定めている。あれが当たればアギトといえどひとたまりもない。

 

(一気に決める!)

 

アギトはシャイニングカリバーを手に叫びながらG4へと突っ込む。

G4が左腰の射出ボタンに手を当てるよりも先に炎を纏ったシャイニングカリバーがG4を切り上げた。『バーニングボンバー』という名の必殺技だ。

 

「・・・あ」

 

切り上げられたG4は宙を舞って海の中へと落ちて行った。

 

(早く助けないと!)

 

アギトはG4の中にいる弥生を救い出そうと海面に飛び込もうとするがその時、集中を途切れさせてしまい暴走仕掛けてしまう。

 

「ぐっ!?」

 

抑え込もうとするが暴走の力は強く意識が消えてしまいそうになる。

 

「こうなったら・・・!」

 

アギトは最後の手段にでる。シャイニングカリバーを自らに胸へと振りおろし切り裂いたのだ。勢いよく切り裂いたことによりアギトの体から血が流れ変身を保てなくなる。

 

「なんとか、暴走を抑えることができたか。次は・・・」

 

樹の待つ隠れ家へと向かおうとするが昴はそのまま倒れ込んでしまう。流した血の量が多すぎたのだ。

 

「嘘・・・だろ。こんな時に・・・」

 

立ち上がろうと脳から腕に指令を送るがまったく動く気配が無く意識も段々薄らいでいく。

薄らいでいく中で昴は樹によってウイルスを注入されて以降からの記憶を辿る。

白井の覚悟を受け取り葵救出に向かったはいいが手掛かりは見つからず、立ちはだかってきた斗真を暴走したバーニングフォームで傷を負わせてしまった。その後現れたアナザーアギトの対決でもバーニングフォームを使うが、やはり暴走し危うく妹の茜を殺す所であった。そして今、歪んだ考えを持ってしまった仲間を説得することができずバーニングフォームを使い無理やり破壊することで終わらせ、自分は強引にバーニングフォームを止めたことによって地に伏している。

 

(何だよこれ・・・結局、仲間や家族を傷つけただけで何も守れてないじゃないか・・・)

 

(俺は、あいつの言うとおり触れる者を焼く尽くす火でしかないのか・・・)

 

(俺にはもう・・・)

 

深い絶望に叩き落された昴の心は粉々に砕け散り、昴の意識は途切れた。それと同時に彼の深い無念を表すかのように少しずつ降っていた雨が一気に荒れ狂い豪雨となった。

 

その後、爆発を聞き付けた人によって昴は発見され、病院へと連れ戻されたことが公表された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豪雨の中、櫻田茜は傘をささずに呆けていた。あの時の暴走したアギトが今も目に浮かぶ。

 

「昴・・・・・」

 

兄の名を呟き雨にさらされ続ける茜に傘をさすものが現れた。

 

「え・・・?」

 

雨に打たれる感覚が消え不思議に思って隣を見ると彼は居た。

 

「そんな所に立っていたら風邪を引いてしまいますよ」

 

そこには以前出会った孤児院の老人が優しい笑顔を浮かべてこちらを見ていた・・・

 




連続していた鬱展開は今回で終わり。
次回からは樹とのケッチャコ・・・じゃなかった樹のとの決着に向けて動き出します。
果たして昴は心の闇を払い樹を倒せるのか・・・

次回にご期待ください!
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