城下町のAGITΩ   作:オエージ

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実を言うと最近スランプに陥っていますが何とか書けた40話を投稿します。

それではどうぞ!


第40話 再死動!!G4

昴が自身の能力を知ってから2週間がたったその日、昴は放課後の教室でぼんやりと景色を眺めていた。

 

「どうしたの?」

 

「あぁ・・・」

 

窓の方をずっと見続けている昴を心配してのことか茜が声を掛ける。

 

「今日はいつもより元気がないように見えたけど?」

 

「え?今日の俺そう見えた?」

 

「うん。もしかして最近慌ただしくなって疲れてるんじゃないの?」

 

どういうわけかここ2週間アンノウンの出現回数が今までより跳ね上がっていた。その都度昴と斗真は戦いを強いられてきたのでその疲労が溜まったのではないかと茜は考えていたが、

 

「いや大丈夫だ。敵も大して強い奴は出てきてないし何よりに皆が力を貸してくれるからな」

 

あれからアンノウンとの戦いは家族達が協力するようになったことにより大きく変化が起こった。茜や修によって現場までの急行や被害者の救出がスムーズになり、アギトやアンノウンの事も楠らが手を回しているようなので今の所国民には気付かれていない。そしてなによりもう家族に隠す必要がないのは今まで無意識に感じていた負い目が消えて気が楽になっている。

 

「でも何か喉に詰まっているような感覚があるんだよな・・・」

 

「喉が?」

 

それを聞いた茜は昴の背中を思い切り手刀で叩いた。

 

「えいっ」

 

「アダッ!?いや、例えだから!実際に詰まってるわけじゃないからね!」

 

思いのほか強く叩かれた背中を摩っている昴の視界に弥生が写る。

視線を向けられていることに気付いた弥生は何も言わず教室を出てしまった。

 

「弥生ちゃん最近様子が変だよね。何か別人になったみたいに様変わりしちゃってさ」

 

立ち去る様子を見ていた茜の何気ない一言に昴はハッと顔を上げる。

かつて樹事件に中で遭遇したG4を着た弥生の叫びが頭の中でこだましてくる。

その瞬間、昴は自身の喉に詰まっている感覚の正体に気付いた。

 

(樹をぶっ飛ばしたことであの事件は幕を下りたと思っていた・・・でも違う。あの事件は俺が思っていたよりも多くの爪痕を残していたんだ)

 

城での再会の時初めて彼女の無事を知ったが何か気まずい思いがしてこれまで彼女と話せずじまいであった。彼女も昴に話しかけてくることもなかったのでそのままの状況で今日まで来ていたのだ。

 

(あいつはちゃんと立ち直れたのだろうか?)

 

この疑問が頭の中で渦巻いていた。

 

 

 

 

 

 

高等部と中等部の間を挟む校舎の人気の無い裏側にて弥生は拳を壁に打ち付けていた。

何故彼女がこのようなことをしているのか、話は2週間前まで遡る。

 

 

 

―2週間前 Gトレーラー内

 

アンノウンを察知し戦いに向かった昴達に追いつくべく弥生は白井と共にGトレーラーの中に入って行ったのだが。

 

「G3-Xはまだ直っていないのか?」

 

「あぁ、最も直っていても君に装着させるつもりはないがね」

 

「なんだと、それはどういうことだ!?」

 

机を強く叩いて問い詰めるが白井は憮然とした目つきで弥生を見据えている。

 

「そのままの意味だ、君にG3-Xを装着する資格はない」

 

白井はそう言い弥生に背を向ける。

 

「G4システムに手を出したようだな」

 

「っ!?」

 

動揺している弥生の顔を見ずに後ろ姿のまま白井は話し続ける。

 

「G4を使えばどうなるか、それを知らずにG4を装着したわけではあるまいな」

 

「・・・」

 

「何を想って死に急ぐのか知らないがその考えを止めない限り私は君に力を貸す事はない」

 

「ぐっ・・・」

 

手を強く握り締めるが言い返す言葉もなく弥生は押し黙っている。

 

「どうしてもというなら櫻田奏に泣きついてG4-Xでも生成してもらえばどうだ?」

 

それが弥生が現時点で最後に聞いた白井の言葉となった。

 

 

―現在

 

弥生の心には疑問が過ぎっていた。

 

(何故だ!何故私はこうも力不足なのだ!)

 

頭の中で繰り広げられる自問自答は後ろからの呼びかけによって中断される。

 

「弥生さん、ですよね?」

 

振り向くとそこには岬が立っていた。

 

「岬様、どうしてここに?」

 

「陸上部の手伝いでこの先の倉庫にしまわれている備品が必要なのでそれを運びに来たんです」

 

「そういうことでしたら私もお手伝いしましょうか?」

 

「いえ、先輩の手を煩わせるわけには・・・」

 

「今の私に出来ることといえばこれくらいしかないのです。手伝わせてくれませんか?」

 

卑屈な物言いに疑問を感じながら岬は弥生と共に備品を運びに行くことにした。

 

 

「それにしても本当にすごいですね」

 

備品を運び終わり校舎の周りを歩いている岬は隣に居る弥生に話しかける。

 

「何がですか?」

 

「弥生さんのことですよ。あなたも仮面ライダーなんですよね」

 

「えっ・・・一応は・・・」

 

「人々の為に悪と戦う強いヒーロー。誰もが一度は夢見るようなことをあなたは実際にやってのけている。私なんかすー兄に協力すると言ったは良いけど結局自分の周りの事で精一杯で・・・だから私は自分の周りだけじゃなくてより多くのことをこなせる弥生さんに憧れてるんです」

 

「・・・・・」

 

憧れの眼差しを向けられる弥生は自分のことを話し始める。

 

「そんな大層な人ではありませんよ私は・・・」

 

「えっ?」

 

口調から暗い表情を感じ取った岬は口を閉じて弥生の言葉に耳を傾ける。

 

「大した力を持たない私は常に彼らの足を引っ張ってしまう。彼らに追いつこうと努力しても彼らは私よりも先へと進んで行った」

 

弥生の脳裏にはエクシードギルスとアギトシャイニングフォームが浮かび上がる。

 

「どんなことをしても私は彼らのような強さを持つことができない自分に嫌悪感を抱いてるんです・・・死を背負う力を得てしても彼の強さに辿り着けなかった自分に・・・」

 

最後の物騒なワードに目を見開くが岬はその場で聞く勇気が持てずどこを見てるかわからない表情の弥生が自分から離れていくのはただ見つめるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

その頃、昴は遥と電話で会話しており以前頼んでいたあることに関する確率の結果を聞いていた。

 

『計算の結果だけどやっぱり兄さんの予想通りアンノウンは襲った相手の血縁関係者を次に狙う習性があるみたいだ』

 

「やっぱりそうだったか」

 

以前、両親をアンノウンに殺された一樹という少年が再びアンノウンに襲われたことを思い出した昴は遥にアンノウンが血縁関係者を狙う確率について調べさせていたのだ。

 

「これで、アンノウンの被害の拡大を防ぎやすくなったな」

 

『そうだね、それで以前襲われた人物の血縁関係者の話だけどどうやら弟一人だけみたいで彼がいる場所は・・・』

 

遥が話すよりも先に昴はアンノウンの出現を察知する。

 

「いや、言う必要はなくなったみたいだ。とにかく行ってくる、これからもサポートを頼むぜ!」

 

通話を切った昴は停めていたバイクにエンジンを掛け、駆け寄ってきた茜にヘルメットを投げ渡して、町中を駆けていく。途中で同じくアンノウンを察知した斗真と合流し並走しながら同じタイミングで叫んだ。

 

「「変身!」」

 

アギトとギルスに変身した二人は同じく変化マシンと共アンノウンの元へ向かって行くがそれを空から出現したハヤブサのアンノウン ファルコンロード ウォルクリス・ファルコが妨げようと攻撃をしかけてくる。

 

「ここは俺に任せろ!」

 

ギルスはギルスフィーラーでファルコの頭を叩き相手を刺激する。狙い通りファルコはギルスに狙いを定め始める。それに気付いたギルスはアギトから離れることでファルコを引き離した。

アギトはその隙にアクセルを回して現場へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

櫻田岬は現在弥生の後をこっそり追っていた。彼女が最後に言った言葉がどうしても気になり問いただそうとしていたのだが・・・

 

「何にでも首を突っ込むことは正しいとは限らないわよ」

 

突然真横から声が聞こえ慌てて振り向くとそこには奏の姿があった。

 

「なんだかな姉か、驚かさないでよもう・・・」

 

「あんたが余計な事に関わろうとするからよ」

 

その発言にムッとするがそれを気にせず奏は話を続ける。

 

「当事者でしか解決できない問題もある。だから彼女のことを探るのは止めなさい。あんたにはそんなことよりもやることがあるでしょ?」

 

「確かにそうかもしれないけど・・・このままにしておくわけにもいかないじゃないの」

 

「そうよ、このままにしておいてもいいことなんて一つもない」

 

「だったら!」

 

岬は反論しようとするが奏が岬の瞳を真っ直ぐ見つめる。

 

「だから私がこの事に決着をつける・・・!」

 

「かな姉?」

 

彼女達の間で何があったのか知らないがただならぬ雰囲気を岬は感じ取っていた。

 

 

 

 

 

察知した場所に辿り着いたアギトは茜に被害者の救助を任せ二体のアンノウンと対峙していた。

 

先程襲撃してきたファルコンロードの同種であろうアンノウン オウルロード ウォルクリス・ウルクス。

そしてもう一体のアンノウンにアギトは見覚えがあった。

 

「お前は・・・!」

 

「シュゥゥゥゥゥ・・・」

 

そのアンノウンは3年前に一樹少年の両親を殺したクラゲのアンノウン瓜二つの姿であった。その名もハイドロゾアロード ヒドロゾア・テグラだ。

 

ウルクスが飛び上がり急降下攻撃を仕掛けてくる。さらにテグラの電撃を放ちアギトに襲いかかってくる。

しかしアギトは紙一重で電撃を躱し降下中のウルクスの頭に肘を振り落とし地面へと叩き付ける。

 

「お前らとは場数が違うんだよ!」

 

強化アンノウンやアナザーアギトとの激闘の中で成長したアギトにとって二対一の状況は決してハンデではなかった。

 

二人の攻撃を流す様に避け、隙が生じたところを重い打撃を叩き付ける。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

クロスホーンを展開したアギトはウルクスの顔面目掛けてライダーパンチを放つ。

直撃を受けたウルクスは頭に輪を浮かび上がらせ絶叫と共に爆発して息絶えた。

 

「次はお前だ!」

 

クロスホーンと戻さずすぐさまテグラの方を向いたアギトは足元の紋章を吸収して飛び上がりライダーキックを繰り出した。

 

「・・・・・」

 

だがライダーキックが当たる直前テグラの姿が消滅しそのまま地面へと着地する。

 

「消えた・・・?」

 

辺りを見渡し、感覚を鋭くするもテグラの気配はなく本当に逃げて行ったことをアギトは確認した。

 

(アンノウンの被害は防げたし、とりあえず斗真の所に向かうか)

 

そう思ったアギトはマシントルネイダーに跨り走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

「グゥ・・・」

 

その頃ファルコに掴まれたギルスはファルコと共に上空に浮いていた。

 

「ガァッ!!」

 

ギルスはファルコの腕に噛み付く。その痛みでファルコは飛ぶ力を弱めギルスを抱えたまま地面へと落ちていく。

ファルコの腕を振りほどき受け身を取ったギルスは周囲に目を向けていた。彼は気付いていないがそこはかつて樹が隠れ家にしていた倉庫が建っていた廃港である。

立ち上がろうとするファルコに追い打ちをかけようとギルスは飛び上がるが突然の落雷によって吹っ飛ばされる。アギトから瞬間移動で逃走したテグラによるものである。

形勢が逆転しファルコがギルスを羽交い締めにテグラが攻撃を加えよう向かってくる。

しかし、ギルスにはこの危機を脱する手段があった。

 

「ウォォォォォォ!」

 

ギルスの咆哮に連動して乗り手の居ないギルスレイダーがファルコを撥ね自由になったギルスはハンドルを握った。

 

「シュゥゥ・・・!?」

 

ギルスはギルスレイダーに乗ったままでテグラへと突撃する。テグラの体に接触した瞬間前輪を上げテグラを上空へと跳ね飛ばした。テグラはそのまま海へと落下し地上にはギルスとファルコの二人だけとなった。

 

「ギッ!」

 

ファルコは翼を広げ飛び上がるよりも先にギルスがギルスレイダーを踏み台にしてファルコの上の位置を陣取った。そのまま落下の勢いを使いギルスヒールクロウを繰り出してファルコを撃破した。

 

「シュゥゥゥ・・・」

 

海へと弾き飛ばされたテグラは泳ぐ力もなくただ海中に沈んでいく。そんなテグラの脳裏に声が響く。自身の主の声だ。

 

『人は人以上の力を持ってはいけない。その理に背く者は滅ぼさなければなりません。例え、あなたが憎む人の知恵を行使してでも・・・』

 

操られるようにテグラは海の底へと視線を向ける。そこにあったものは・・・

 

「後は・・・」

 

海へと沈んで行ったテグラがどうなったか探ろうと海面を覗こう近づいていく。

その瞬間、海面から柱とも錯覚するような水しぶきが舞い上がりその中から飛び出した何かがギルスを殴り飛ばしコンテナへと激突させる。

 

「ガッ!?」

 

突然の出来事に混乱しそうな頭を抑え海からの襲撃者を見据えるギルスの瞳に動揺が映し出される。

 

 

 

 

 

そこにいたのはG4を身に纏ったハイドロゾアロード ヒドロゾア・テグラだった。

 

「・・・・・」

 

半壊した頭部ユニットから顔を出してギルスを見据えるテグラの口が突然開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒトガヒトヲコエテハナラナイ」

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