それではどうぞ!
「・・・」
湖に映し出される映像にて謎の青年はG4を装備したテグラが敗れ去ったことを確認した。青年の瞳が昴をとらえている。
「少しやり方を変えましょう。彼に直接教え込むのです。アギトは人が持つべからざる力であると・・・」
後ろに控える三人の使徒にそう伝えると使徒は立ち上がりそれぞれが持つ得物を重ねるように掲げる。得物が交差する点が怪しく輝きそして・・・
「これは?」
昴は現在の状況を理解できずにいた。数分前にG4との決着がついて町に戻ろうとした瞬間、突然斗真と弥生が石像のように動かなくなったのだ。
「おい・・・?おい!」
声をかけても叩いても二人からは返事が無い。どうなったのかと見上げていると信じ難い光景が目に写った。
風邪で舞っていた落葉が空中で停止しているのだ。時が停まっているとしか考えられない現象であると気付いた瞬間昴の脳内に聞いたことの無い声が響く。
『あなたは、自分がしていることが正しいと思っているのですか?』
「お前は誰だ?この現象と何の関係がある!」
男のようにも女のようにも聞こえる謎の声は昴に意味不明な問いをかけてくる。
それに答える気もなく今の状況とこの声がどういう因果関係があるのか答えを聞こうと叫ぶが謎の声も昴の疑問に答えない。
『その力はいずれ人の世に災いをもたらします。ですので捨てるのです、あなたが人の王になる前に』
「何の事だがさっぱりだがそんな曖昧な理由だけ喋って捨てろと言われてはいそうですかと持ってるものを捨てる奴がいると思うか?」
謎の声は昴の持つアギトの力が世界に悪影響を及ぼすとして捨てるように促すが昴は抽象的だと謎の声の警告を跳ね除け敵意を向ける。そしてまた謎の声が聞こえてくる。
『ならば、あなたに教えましょう。アギトによって引き起こされるであろう悲劇を・・・』
「一体何をする気だ?・・・っ!なんだこれは!視界が急に・・・」
その瞬間昴の目の映るものが消え去り強い衝撃を体に感じ意識は闇の中へと消え失せた。
「う・・・」
意識を取り戻した昴が目を開けるとそこには斗真と弥生どころか山の景色すら存在しなかった。
「どうなってるんだ?ここは何処だ?」
状況が読めない昴は首を左右に振って周りの風景を覗く。
自分が経っている場所を見回して最初に頭に浮かんだのは廃墟だ。
無傷の建物は皆無に等しく、みな何かしら被害を受けて一部が崩れ落ちている。目の前のビルは斜めに傾き隣りのビルに寄り掛かって今にも崩れそうな状態である。足元は崩れた建物の残骸が大小様々な破片と化して転がっていた。
(まるで映画のセットみたいだな・・・)
余りにも現実味の無い灰色に染められた風景に昴は率直な感想を述べる。
そう言う風に思いながら散策を始める昴の耳に悲鳴が聞こえてくる。と、同時に銃声もワンテンポ遅れて耳に突き刺さった。
「一体向こうで何が・・・」
昴は悲鳴と銃声の正体を探ろうと音源に向かって走り出して瓦礫の壁に隠れて様子を覗う。そこには鋼の装甲を纏った兵士のような者達が列を乱さず闊歩していた。
(あれは、G3?でもなんか違うよな?)
その兵士が身に着けていたスーツは以前弥生が装着していたG3に酷似していた。
だがG3と比べて装甲は薄くカラーリングは白に灰と地味な色合いでG3とは別の兵器のようだ。そして何よりG3は一機しか存在しなかったが目の先にある兵器は十体もいる。
だがそんなことよりも昴はG3に似た兵士達が追っている者を見てギョッと目を見開いた。
兵士達が追っていたのは小さな少女である。その少女は引きつった表情で兵士達から必死で逃げている。
「逃がすな、撃て!」
指揮官らしき人物から放たれた言葉に従い後ろの兵士達が右足からGM-01そっくりの銃を引き抜き少女に向けて発砲した。銃弾は複雑に入り組んだ瓦礫に阻まれ跳弾するが一つの銃弾が少女の足に命中した。
「ギャッ!?」
足を貫かれた少女はその場で転び立てなくなる。にも関わらず兵士達は銃口を下げることなく指に引き金を引っ掛けた。
昴は頭で理解するよりも早く体が動いた。腰からオルタリングを出現させアギトに変身する。フォームチェンジの時間を惜しんだため珍しくグランドフォームを介さずにストームフォームの状態で兵士達の前に躍り出る。突然の襲撃者に仰天する兵士達に目を向けず彼らの手に持つ銃を一つ残らずストームハルバードを振って真っ二つに切り裂き少女の前に庇うように立つアギト。
「貴様、どこから!?」
動揺する兵士達だが指揮官らしき人物の一喝ですぐに体制を整えた。
「狼狽えるな!奴もアギトなら排除するまで。それが我々G5部隊の役目だ!!」
(G5部隊!?)
G3-Xに近い形の装甲と頭部に三本のアンテナを持った
G5という単語に驚きながらもアギトはストームハルバードを横にして彼らが振り落とすGK-06の斬撃を受け止める。その後アギトは演武の如く軽やかな動きで相手の攻撃を躱しながら攻撃を加え全員が怯んだところにストームハルバードから突風を巻き起こしてG5達を吹き飛ばした。
「お前達は何者だ!何の目的があってこんな小さな女の子を襲うんだ!?」
唯一風で飛ばなかったG5-Cに斬りつつアギトはG5部隊の目的は何かと問い詰める。
G5-CはGK-06でストームハルバードを受け止めながらその質問に答える。
「知れたことよ!人間の平和を脅かすアギトの排除。それがG5部隊の存在理由だ!」
「アギトの・・・排除!?」
「ああそうだ!その少女はアギト化の前兆である超能力を発現している。だから我々がアギトになる前にそいつを駆除しようとしているのだ」
アギトは少女の方へ目を向ける。少女の表情は相変らず恐怖一色に染められているが弾丸で貫かれたはずの足から血の流出が止まっている。
再生能力、アギトと化す前兆として起こりうる超能力の一種だ。
「すでにその少女はこの辺に住み着いたアギトの巣に出入りしている事も確認されている。彼女はもう人間の敵、アギトだ。アギトは一匹残らず殲滅する。貴様も含めてな!」
「駆除とか・・・巣とか、さっきから黙っていればひとのことを獣みたいに・・・!」
人間であることを前提としないG5-Cの発言にアギト怒りを感じたがその瞬間横から衝撃を受け倒れ込んでしまう。先程飛ばされたG5の一人が立ち上がってタックルをしかけてきたのだ。倒れ込んだアギトをG5達の冷たいカメラアイが見下ろす。
「そうだ獣だ。お前達アギトはこの世界の平和を乱す害獣だ。この城下町の惨状のようにな!!」
「っ!?」
力強く叫ぶG5-Cの言葉にアギトは目を見開いた。今居る場所が自分達が暮らす町だとは気付けなかった。気付けない程風景は破壊されていた。
「アギトに死を!」
『『アギトに死を!』』
「人間に栄光を!」
『『人間に栄光を!』』
怪しい宗教の儀式のようにG5-Cの言葉をおうむ返しするG5達はGX-05のロックを一斉に解除する。
(やばい、あれは流石に捌ききれない!)
一丁だけでも致命傷を避けるのに精一杯なのにあれだけの数のGX-05を撃ち込まれたらひとたまりもない。
危機感を感じるアギトだが突然巻き起こった砂嵐によって危機は脱される。
何事かと辺りを見渡すアギトの目に何者かが写り出した。
すこし遠くの瓦礫の破片の天辺に立つその男はボロボロの布をフード代わりにして顔を隠している。
「ふっ、俺の縄張りで好き勝手やってくれるじゃねぇか・・・」
男はフードから凍てつく眼差しを持ってG5部隊を睨みつける。目線を向けられたG5部隊の表情は仮面によって見えないが狼狽する仕草からどんな顔をしているのかは想像に難くなかった。
「コマンダー、奴は・・・」
「ああ、間違いない。アギトの群れの長にてこの国を崩壊させた諸悪の根源・・・櫻田昴!!」
「なん、だと!?」
自分ではないフードの男を見てG5-Cが自分の名前を叫び昴はどういうことか理解できなかった。その男がフードを取るまでは。
「お前ら人間に生きる価値は無い、この世界を支配するのはアギト、そのアギトの頂点に立つ王がこの無敵の俺様だっ!!」
露わになった顔は紛れもない自分自身のものである。
「変身!!」
昴と全く同じ動作でその男は変身ポーズを構えアギトグランドフォームに変身した。
「ぬぅぅぅぅぅ・・・・」
ゆっくりともう一人のアギトがオルタリングの両端に触れた瞬間、彼の全身を足元の灰が巻き上がって覆い尽くす。
灰が消え去った時にはもうもう一人のアギトの姿は昴とは違う姿に変貌していた。
全身は真っ白で頭のクロスホーンは常に六本に展開されているが右側の角が途中で折れており歪な形相は何かを憎み憤怒しているようにも感じられる。
「駆除対象を目前のアギトから変更・・・GX-05構え!目標・・・ミラージュアギト!!」
G5
昴が迷い込んだ空間で遭遇した装甲兵士。スペックはG3と同等でG3システムと同じ武装を使う。
G5-C
G5部隊を指揮する兵士。G3-Xと互角のスペックを持つ。Cとは指揮官を意味するCommanderの略である。
最後にネタバレ
次回、別の作者の仮面ライダーがゲスト出演します。
お楽しみに!