真ゲッターロボ BETA最後の日   作:公園と針

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第一部 第1章 「ゲッターチーム招来」
竜馬編 第1話 「月に囚われた男」


暗い監獄の廊下を一人の男が歩いていた。

 

かつて英雄と、伝説の男と称された男だった。

 

看守の警棒が男の体を殴打する。

 

「インベーダーがいなくなった今、お前は用済みだ。」

 

男は黙ったまま、看守を睨みつける。

 

「なんだその反抗的な目は? また懲罰房に入れられたいのか? ああん?」

 

(俺じゃない)

 

「言いたいことがあるなら言えよ? 人殺し」

 

(どうして俺がこんな目に……)

 

暗い独房の中、男は壁に拳を打ち付ける。

 

壁が男の拳から流れる血で汚れる。

 

(誰のせいだ?)

 

血で汚れた壁のシミが狂気のせいかある形に見えてくる。

 

(アイツ……アイツのせいだ!)

 

それはかつて背中を任せられると信じた友のものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

1983年 1月9日 月面

 

 

 

「隼人おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

流竜馬は悪夢によって目覚めた。

 

「ここは……どこだ?」

 

竜馬は辺りを見渡す。そこはゲッターロボのコックピット―イーグル号の中だった。

 

コクピットから降りた竜馬はそこが無機質なドックの中だということがわかった。

 

竜馬はその場所に見覚えがあった。

 

月面第4基地

 

かつて竜馬たちスーパーロボット軍団がインベーダーと決戦を繰り広げた月の前線基地だった。

 

「俺はいったい?」

 

どうして自分がこんな場所にいるのか? 

 

わからなかった竜馬はこれまで起きたことを思い返す。

 

インベーダーを絶滅させた後、ミチルさんが事故で死んだ。その後早乙女博士が隼人に殺され、

 

俺は濡れ衣を着させられて捕まりA級刑務所で地獄の日々を送った。

 

(どうやらジジイと隼人が結託して俺をハメたらしい)

 

実は生きていた早乙女博士を再び殺すために仮釈放させられ、俺は隼人と武蔵と再会した。

 

そして国連が放った重陽子ミサイルの落下阻止に失敗した。

 

ミサイルを阻止しようと時に包まれた「ゲッター線」の光。

 

あの時、感じた「ゲッター線」の力で自分がここに飛ばされたのだと竜馬は理解した。

 

月まで飛ばされたことやミサイルを阻止できなかったことを悔やんでも仕方ない。

 

今、俺のやらなければならないことは復活した早乙女のジジイとインベーダーをこの世から消すこと。

 

そして最後に隼人を………。

 

誰のためでもない自分の復讐のために。

 

竜馬は「全て終わった後に俺を撃て」と言って隼人に渡された銃を出そうと服をまさぐった。

 

しかし、そこにあるはずの銃はなかった。

 

竜馬は行動するために「ゲッター1」にすぐさま飛び乗った。

 

機体の状況を確認する。

 

ゲッター炉心は生きている。武装も全て揃っている。

 

まるで誰かがすぐに出撃のできるように用意したようだった。

 

「ん?…………」

 

機体の「ゲッター線」濃度を指し示す計器の値が大気のないせいでふりそそぐ「ゲッター線」の影響を直接受ける月面の割には低すぎた。

 

「こいつはいったい?」

 

しかし、そんなことよりも重要なことが判明した。

 

「ゲッター1」が浮遊するために必要なゲッターウイングが激しく損傷していたのだった。

 

地球の1/6の重力下の月での飛行ならば可能だろうが、完全修復しなければ大気圏突破ができず燃え尽きてしまう。

 

「面倒だな」

 

そう毒づいた瞬間、基地内のサイレンがけたたましく鳴り響いた。

 

「基地の周囲に未確認生物多数! 基地の周囲に未確認生物多数!」

 

まるで壊れた機械のように繰り返す。

 

基地がどうやら敵性生物の存在を察知したようだった。

 

「月にまだいやがったかインベーダー野郎。」

 

竜馬はインベーダーがまだ月に残っていたのだと思い、殲滅するために出撃しようとする。

 

遠隔操作でハッチを開く。

 

「ゲッターロボ!! 発進!!」

 

 

ゲッター1が勢いよく、月の基地から飛び出す。

 

そこで竜馬が見たものは想像を絶するものだった。

 

一面を赤い蜘蛛のような生物がうじゃうじゃしていたのだった。

 

「何だこいつら? インベーダーじゃないのか?」

 

その赤蜘蛛たちはゲッター1を視認するとまるで砂糖菓子に群がる蟻のように取り囲む。

 

その数およそ3千。

 

「どうやら死にてえらしいな」

 

得体のしれない生物だったが不思議と恐ろしさはなかった。

 

肩のボタンからトマホークが飛び出す。

 

同時に腹部に穴が生じ、そこから赤い光りが漏れる。

 

「ゲッタァァァァァァビィィィーーーーーム!!!!」

 

約3万度の熱線が得体のしれない生物の姿を消し炭にする。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお」

 

ゲッタービームで殺しきれなかった敵をトマホークで蹴散らしていく。

 

手斧と腕から生えている棘―ゲッターレザーが敵を切り裂く。

 

1分もしないうちにそこにゲッター1以外に動く物はなくなっていた。

 

「威勢のいいのは数だけか?」

 

この生物はいったい? 一体一体の力はたいしたことないが数が多すぎる。

 

竜馬はゲッター1を基地へと戻す。

 

地球に下りたくても、ゲッターウイングを直さないと地球にいけないのだ。

 

竜馬は基地のドックを再確認する。

 

修理・改造に必要な道具がそろっていることに安堵した。

 

ゲッターウイングを完全修復するのに、つきっきりで1ヶ月というところだろう。

 

竜馬はアームを操作し、修理にかかろうとする。

 

しかし、またそこでサイレンが鳴り響く。

 

「なんだと!!?」

 

ゲッター1に飛び乗り、再び月面へと飛び出す。

 

先程の生物が全く同じようにそこに群れていた。

 

「こいつら一体どこから」

 

先程と同じように蹴散らしていく竜馬。

 

そうしているうちにセンサーが宙にある物体をとらえていることに気づいた。

 

その物体の真下に移動すると、物体の正体がわかった。

 

人工衛星だった。

 

地球に下りることもできない状態で月面に閉じ込められ、こんなよくわからない生物の相手をさせられていることに、竜馬は激しく怒りを感じていた。

 

「俺をここに閉じ込めて観察してやがるのか?」

 

第三者にこの状況を観察されているのだとしたら、そう考えるとさらに腹が立った。

 

「トマホォォォク!」

 

肩のボタンから手斧を取り出す。

 

そして音速を超える速度でゲッター1が宙を飛ぶ。

 

狙いは人工衛星だった。

 

「ブゥゥゥメラン!」

 

手斧を投げつけ、人工衛星を破壊する。

 

宙を飛んでいるとさらに人工衛星があることに気がついた。

 

次々と衛星を破壊していく

 

月に展開する衛星を全て破壊した後に月面へと目をやる。

 

地球から観測できない月の裏側の中央に巨大な建造物がそびえたっていた。

 

「全く…わからねえことだらけだぜ」

 

見知らぬ敵。見知らぬ建造物。

 

脱出できない現状。

 

流竜馬は月という巨大な監獄に再び囚われたのだった。

 

 

竜馬編 1話 終わり

 

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