恐怖に囚われた少年は舞台を演じる   作:Narvi

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 これでストックがなくなりました……。これからの苦労は想像したくないです。
 今回は前回言っていた衝撃の事実を書いてみました。特に意味のないけど驚きの事実です。相変わらず話は進まないですけどねッ!

 ……反省しながらストック書きます。ちゃんと話を勧めますよ。


第十一話 あまり変わらない二人

 時刻は七時少し前である。シリカは疲れていたのか、あのまま僕の部屋で寝てしまった。僕はシリカをベッドの上に担いで寝かせると、少しでも疲れを取るために椅子に座って体を休めていた。

 静かに寝息を立てるシリカを見ながら、一つため息を吐く。

 

「シグレ……かぁ」

 

 とっさに名乗ってしまったこの名前。レインという名はすでにあらゆるところで広まっている。どうしようもなかったとはいえ、多少の罪悪感はあった。

 それでも、僕は歩みを止めてはいけない。どれだけ約束を破っても、復讐をすると心に決めたのだから。

 

「それにしても――」

 

 ぼそりと呟いて、僕はシリカの方へと近づいた。

 すぅすぅととても子供らしい、可愛い寝息を立てている少女。このゲームには一応年齢制限として十三歳未満のプレイを認めてはいないが、そんなものは飾りである。恐らく年齢制限ギリギリか、それよりも下だろう。

 そんな少女が一人でこんな中層まで来てしまっていた。それはどれだけ不安だっただろう。どれだけ恐ろしかっただろう。

 そんなシリカが小さな友達《ピナ》に会えたのはどんな運命の巡り合わせだろうか。僕は一生神を信じはしないが、こんな純粋な少女にこそ運命の女神は微笑むのだろうな、と思った。

 

「ううん……」

 

 ベッドに腰掛けシリカの寝顔を眺めていること数分。小さく唸り声を上げてシリカはゆっくり目を開けた。その目はまだおぼろげで、よく見えないのか綺麗な手でゴシゴシと目をこすっている。

 

「シグレ……さん?」

「おはよう、シリカ」

 

 シリカはベッドに片手を付きながら体を起こした。そこで目に入ったのだろう。僕を見て目をパチクリさせた後、驚いた様子で僕の仮の名前を呟いた。ちくりと傷んだ心を隠すように、僕は笑顔でシリカに挨拶をする。

 

「……」

 

 しかしシリカからの返答はない。

 

「どうしたの? もしかしてラグってる?」

 

 心配になって僕はシリカに更に近づいてみる。あまり聞いたことはないがラグでも入っているのかもしれないと思い、シリカの前で軽く手を振ってみた。

 すると彼女の顔は静かに赤く主張し始めた。

 

「あ、あぁぁぁ、えとぉ、その……」

 

 しどろもどろになって言葉のまとまっていないシリカの行動がとても面白くて、不覚にも笑ってしまった。

 

「別にここで寝ちゃったことについては何とも思ってないよ? いろいろあったし疲れてたよね。気づけなくてごめんね?」

「い、いえ!? こちらこそすみませんっ! 勝手に寝てしまってっ!」

「別に大丈夫だって! いいものも見れたしね!」

 

 そう言ってイタズラっぽく笑ってみると、シリカは顔を更に赤く染めて怒った。

 

 

 

 

 

 シリカが正常に機能し始めたあと少し話し合った結果、ここで朝食をとってから四十七層の《思い出の丘》に行くということになった。

 

「もちろん朝食は作ってあげるからね」

「えっ!? 良いんですか!?」

「まあ、僕も自分で作ったもののほうが美味しいと思ってるからさ」

 

 NPCが作る食べ物はなぜか味に物足りなさを感じるのだ。どうせならそこも忠実に作ればよかったのに、と思わなくもないが、人の味覚は人それぞれなので無理があるかと自己解決した。

 

「そういえばシグレさん」

「どうしたの?」

「そんな顔してたんですね……」

 

 そう言われて、ふと思い出した。シリカが眠った後、もういいだろうと思ってフードを脱いだことをすっかり忘れてしまっていた。

 僕は急いでウィンドウからフードを出してすぐにフードを被った。

 

「えぇ! なんで隠すんですかっ!」

「……何とも思わなかった?」

「え? 何がですか?」

「……いや、なら良かった」

 

 僕は安心して知らないうちに上がっていた肩をなでおろす。どうやらシリカは僕のこと――裏切りレインのことを詳しくは知らなかったらしい。

 

「シグレさんって私と年齢があまり変わらなさそうですね」

 

 そんな僕の考えを知らないシリカ。そう言うシリカの表情はとてもやわらかいものになっているし、きっと自分とあまり年の変わらない人と会うのが珍しいのだろう。

 それも中層プレイヤーなのだから、もしかしたら僕と彼女しかいない可能性だってある。始まりの街にいけばそういうこともないが、ここまで来ているプレイヤーのほうが稀なのだ。

 

「SAOに来てからなんかそういった感覚が湧かなかったけど……」

 

 よく考えればこんな残酷なデスゲームが始まってから一年が経っていたのだ。ということは僕もシリカも年は採るわけで。

 

「知らないうちに十二歳になってたんだね」

「……え?」

 

 本当にいつの間になっていたのだろう。当たり前のように過ぎていく一日、一年ですら当たり前とは思わなくなった世界。そんな世界によって誕生日を祝う習慣なんてものはすっかり抜け落ちてしまっていたようだ。

 僕がそんなことを考えていると、シリカは驚いた顔で僕を見ていた。

 

「シグレさんって……十二歳なんですか?」

「うん、そうだけど」

「……私よりも年下なんですね」

「へぇ。ということは十三歳?」

「はい。そうですけど……」

 

 シリカは未だ呆けた顔をしている。それよりも、やっぱりシリカも年齢制限を無視してやり始めた人だったのか。どうでもいいが、未だに僕よりも年下のプレイヤーを見たことはない。SAO開始時に十歳だった人を、今のところは見たことも聞いたこともなかった。

 まあ、もちろんはじまりの街には墓参りくらいにしか行かないため、知らないだけかもしれないが。

 

「そんなに驚かないんですね……」

「別に驚くようなことじゃないからね。それとも年下に呼び捨てされるのは嫌とか?」

「いえ、そんなことないですよっ! ただ……びっくりしただけで」

「ネットの世界だったらこういったことは日常茶飯事だよ」

 

 僕はそう言いながらフードを脱いだ。

 

「まあ、そんな感じでよろしくね。シリカ。別に僕には呼び捨てでいいから」

「うん。これからよろしくお願いします。シグレ君!」

 

 僕はシリカの目の前に手を出した。それを見てシリカは笑顔で手を握ってくれた。

 

 そんな小さなことなのに、僕の心が満たされていくような気がした。




 衝撃の事実とは《シリカより年齢が下》ということでした。シリカの年齢を調べるにあたって、誕生日を調べてから一通り年表を見たのできっと間違っていないとは思いますが、何かあったら教えて下さい。

 十歳の時にSAOに来ていま十二歳ということは、この物語が二○二四年の二月で(ソードアート・オンライン二巻から)開始日が十一月なので、そこからレインの大体の誕生日がわかります。まあ、そこら辺もしっかり作中に書くのでここで記載はしませんが。

 僕の知識は全部原作小説(プログレッシブは除く)とうろ覚えのアニメなので結構足りない部分があります。
 変な部分があれば追求してくださいね。すぐに返事を返しますので。
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