恐怖に囚われた少年は舞台を演じる   作:Narvi

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 SAOの中ではシリカはかなり好きなキャラです。健気で、子供らしく人間らしい性格なシリカさんを上手く使いたいな、とは思ってるんですけどね……。

 ついでにいえば、シノンが一番好きです。


第一三話 強さと弱さ

 シリカと並んで、僕は道なりに進んでいく。その間僕は隣にいるシリカのことを考えていた。

 僕と年齢の近い少女。中層プレイヤーであり、僕と同じようにこのデスゲームが始まってからずっと死と向かい合ってきたということがわかる。

 その中で、僕はずっと一人のプレイヤーに守られてきた。精神的にも、肉体的にも。思い出してみても僕は助けられてばかりだった。

 

 ではシリカはどうだろう。そんな相手がいたのだろうか。それとも孤独の中で奮闘してきたのか。きっと後者だろう。今シリカの隣にはそんな人はいないからだ。

 そんなことを考えて、やはりシリカは凄いなと思う。

 

「シリカは強いね」

「え? 何がですか?」

「だって……このデスゲームが始まってからずっと一人で戦ってきたんでしょ? それは本当に辛いことだよ」

 

 きっと何度も心が折れかけただろう。何度も音を上げそうになっただろう。実際にそうなってしまったかもしれない。

 それでもシリカはしっかりとこの場に立っている。前を向いて、自分に正直に。僕とは大違いだ。

 

「僕は逃げたんだ……立ち向かうことから。戦い続けることから、ね。どうやったら強くなれるのかな……僕がもう少し強かったら……」

 

――みんなを助けられたのかな……?

 

 口には出さなかった。はっとしてシリカの方を見ると、心配そうに僕の顔をフードの下からのぞこうとしていた。何故かシリカの前だと心の底から話をしてしまう。

 またやってしまった、と思って僕はいつもの笑顔を作り、言った。

 

「なんてねっ! さぁ、プネウマの花を取りに行こうか!」

 

 僕がそう言って歩き始めるとシリカも僕を追いかけるように歩き出した。

 時々現れるモンスターも、それほど強いものではないためシリカのレベル上げも兼ねて戦ってもらった。中層プレイヤーではあるが、シリカの動きは目を見張るものがあった。ヒットアンドアウェイを意識して戦っているのか、このデスゲームにはピッタリの戦い方で敵を翻弄している。

 

――しかし、油断してしまうのがたまにキズだが。

 

「ぎゃ、ぎゃあああああ! なにコレ!? きもちワル!! い、いやあああああ!!」

 

 背の高い草をかき分けて現れたモンスターは、この世界観に似つかわしくない気持ち悪いものだった。

 歩く花、といえばなんとなく伝わるだろう。濃い緑色の茎はとても太く、根っこのようなものがうねうねとしている。茎なのか胴なのかよくわからないが、そのてっぺんには巨大な花があり、中央には口のようなものが付いている。その中は赤色をしていて、とても毒々しい。

 茎からも触手のようなものが伸びており、それがシリカに襲い掛かってくる。生理的嫌悪を感じてしまったシリカは、油断――というよりも立ち向かう勇気を削がれたような感じだろうか――してしまった。

 

「い、いや! やだってば!」

 

 シリカはとても焦っているように見えた。さすがの僕もこれには笑うことも出来ず、シリカに届くように大きな声で言った。

 

「大丈夫だよ! そいつ見た目に反してかなり弱いから! 弱点は――」

「それでも無理だよぉ! 気持ち悪いいいいい!」

 

 僕の助言も意味をなさず、シリカは感情のまま僕の言葉を遮った。デタラメに振り続ける短剣はその名の通り短く、モンスターには届かない。

 

「そんなこと言われても……じゃあどうしたらいいのさ! 助ける?」

「た、助けて欲しいですううううう……って! わわわっ!」

 

 シリカのソードスキルは当然のように空を切った。その技後硬直時間を狙って、モンスターは二本の触手をうねらせながらシリカの足を掴んだ。慌てふためくシリカを楽しむかのように、モンスターはくるりと触手を回転させた。

 シリカの二つに縛った髪とスカートが、当たり前のように重力に従った。

 

「っ! きゃああ!」

 

 瞬時にシリカは空いている左手でスカートを抑える。残った右手で短剣をぶんぶん振ってもシリカの短剣がモンスターに届くことはなかった。

 

 まあ、当然そんな状況を僕は見ているわけで。

 

「シグレ君助けてええ! み、見ないで、見ないで助けて!」

「どうやって!?」

 

 僕はシリカのためにも、両手で自分の目を覆うことしか出来なかった。

 

 

 

 ザシュッと言う音が聞こえてくる。それと同時に誰かの着地音と何かがはじけ飛ぶ音が聞こえた。

 

「……」

 

 無言のままゆっくりと目を開く。僕の目の前には顔を真赤に染め上げたシリカがいた。

 

「……見た?」

「……」

 

 なんて言ったらいいのかわからなかった。誤魔化すように僕は無言を貫いた。

 

「……正直に言ってくれたら嬉しいです」

「……少しだけ」

 

 どうやら、無駄な抵抗だったようだ。僕は未だにスカートの裾を抑えてほのかに顔を赤らめているシリカに申し訳なくなって、正直に言った。

 

「……きっと戦っていけばなれるから」

「……はい」

 

 泣きそうになっているシリカを見て、今回ばかりは笑って流すことは出来なかった。




 僕の作品で初の《SAO二次創作っぽい展開》です。今まではオリジナル展開ばかりだったのに、よくある『原作主人公(キリト)がしたことをオリジナル主人公にやらせる』という行為をやってみた。

 まあ、シリカの話を始めてからはこうなると思ってましたが。でも何かが外れていくのが僕クオリティかなぁと。

 余談ですが、前書きで本文に触れるのを極力少なくしようかなと思ってます。雰囲気を伝える程度はたまにするかもしれないですが、それも含めてやめていこうかな、と。
 大抵今回みたいな当たり障りないことや、ちょっとしたSAOのことについてを語るくらいになると思いますが、意見あればお願いします。
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