ナザリック地下大墳墓にニンジャナンデ!?   作:酢酢酢豆腐

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お久しぶりです。明日から新生活のニンジャヘッズ/オバロファンの皆さんにささやかながら私からのプレゼントーオーになります。


ニンジャ・フィール・ア・ディープセンス・オブ・アイソレーション

恥の多い人生を送ってきた。物心ついた頃には既に私はクレマンティーヌではなく、クインティアの片割れだった。両親の目は常に兄に向けられ、称賛されるのは常に兄の方だった。

 

およそ私がやることは全て評価に値せず、が両親の基本的な態度だ。私は努力した、しない、或いはある程度の結果を出すことが出来た、出来ないに関わらず常に辱しめられてきた。そして周囲はといえば、人が辱しめられるのが珍しいわけでもあるまいに、畜生に向けるような無遠慮な視線でもって私を冷酷に観察し、晒し上げた。

 

私は自分の意思や行動に関わらず、恥を上塗りさせられてきた。時には両親の態度、時には兄の目覚ましい活躍、時には周囲の無遠慮な比較によって恥というものを積み重ねさせられてきた。ここで不思議に思うのは、何故彼らは自分をその気になれば数秒でくびり殺せる相手に対してあれほど強気でいられたのかということだ。これはモータルが野生の獣にも、畜生にも劣ることの証明ではないだろうか。

ニンジャになってからはしみじみと想う。

 

この環境は私が漆黒聖典に属してからも続いた。周囲にとっては、いつになっても私はクレマンティーヌではなくクインティアの片割れらしかった。それはあの兄の方が、法国にとって有用で有能という基準からきた状況判断のようだった。兄は魔物を使役することにかけては天才的と言えた。この群としての兄の実力が個としての私の実力に勝っている、そして私よりも遥かに有用という事を言われた覚えがある。

 

実に下らない事だと思う。ろくなカラテも無いユニーク・ジツ頼りのモヤシに何を期待しているのだろうか。ニンジャになる前の私でさえその気になれば、あの気取った顔にスティレットを突き込みネギトロにする事は可能だった。

 

だがその一歩を踏み出す勇気は無かった。ひとえにカラテの不足故だ。確かに兄を殺すのは容易いが、ギガントバジリスクを無傷で切り抜けるのは難しい。それも単純な話だった。カラテの不足故に侮られるならば、ひたすらカラテを積み上げるべし。群に優る個になれば良かった。

 

そして十分にカラテ鍛練を積んだのなら、不自由極まりないスレイン法国の後ろ盾など不要だった。かねてより接触してきていたズーラーノーン・ウチコワシが私の当分の間の宿だった。

 

 

カジットは熟練の魔法詠唱者で、畑違いの私にもその優秀さは理解出来る。ややアカいのがたまに傷だが中々気持ちの良い男だ。何よりエゴを力で押し通そうとしている事を隠さないところが良い。

 

カジットが計画する死の螺旋が実行される日は、ニンジャとなり個である事を極めた私の門出の日になるだろう。ようやくクインティアの片割れではなく、クレマンティーヌここに在りと示す事が出来る。

 

「スゥーッ、ハァーッ」

 

クレマンティーヌは暗闇の中、愛用のスティレットは床板に突き刺しアグラメディテーションを行っていた。この場にサワタリがいればクレマンティーヌの身体の隅々まで行き渡るカラテに、そのヘイキンテキに息を呑んだだろう。強大なニンジャである、と。

 

周りにはクレマンティーヌも見知った薬草の束やポーション瓶がある。しかしこの家の主は不在だ。そしてそれは彼らにとって幸運な事だった。クレマンティーヌは狂言ジェット誘拐団めいて、この家の主であり類いまれなるタレント保持者、ンフィーレア・バレアレの誘拐の為にこの家を訪れていたのだった。

 

「お疲れ様です。果実水が母屋に冷やしてあるはずですから飲んでいって下さい」

 

「そいつはいいねぇ!」

 

(来たか...)

 

「はぁいお帰りなさーい」

 

この時、ペテルからはまるでクレマンティーヌが影から突然抜け出た様に感じられた。

 

並々ならぬ殺気! なのにも関わらず存在に全く気付かせない野伏力!

 

漆黒の剣の面々は一瞬にしてクレマンティーヌが放つニンジャアトモスフィアによって、その場に釘付けにされた。ンフィーレアについては言うまでもなく、僅かに失禁すらしている!

 

「アイエェェェ!?」

 

「アイエェェェェェ!?ニンジャ!?」

 

「ニンジャ!?ニンジャなのに豊満ナンデ!?」

 

「アイエェェェェェェェェェェェェェ!?」

 

(冒険者みたいだけど、この程度か...これではNRSから立ち直れる奴が居るかどうか...つまんないの)

 

「うふふー 今から皆は死ぬわけだけど、一応アイサツはしておくねー? ドーモ、コロス・ニンジャです。ちなみに目的はそこのンフィーレア=サンね!やってもらいたいことがあってさぁ」

 

クレマンティーヌは、いや、コロス・ニンジャは口元を三日月めいて歪め、無能者のモータル達にアイサツを決めた。

 

「アイエェェェ...」

 

ンフィーレアは腰を抜かして後ろに倒れ込んだ。尻餅をつき、後退りすれば床板に失禁の痕跡が現れる。優れた魔法詠唱者たるニニャもまたコロス・ニンジャから放たれる恐るべきミスティックパワーを敏感に感じ取り、失禁していた。

 

「ウオォォォ!」

 

唐突にペテルがカラテシャウトを発した。いち早くNRS(ニンジャ・リアリティ・ショック:一種の恐慌状態の事)から脱したペテルが愛用のロングソードを抜き放ち、周囲に檄を飛ばす!

 

「ニニャはンフィーレア=サンを連れて退がれ!」

 

(ちょっと殺る気...出てきたかも)

 

クレマンティーヌは心中でひとりごちた。

 

「でも!」

 

「拐われたお姉さんを助け出すと言っていたでしょう!早く!」

 

「んー お涙頂戴だねー? もらい泣きしちゃうよ、ま、しないんだけどぉ」

 

言うやいなやクレマンティーヌはスリケンを生成し、ニニャへと無造作に投げた。

 

「グワーッ!」

 

アーチニンジャであるコロス・ニンジャが生成したスリケンは、ニニャを庇ったルクルットの肩を吹き飛ばしていた。これは射手としては致命的負傷ではあるが、この場においては何より貴重な一瞬の時間を作り出していた。

 

「ルクルット!」

 

「行け!ニニャ!行けーッ!」

 

「Sikkoku!!」

 

更にペテルが勇気を振り絞り、大喝と共にコロス・ニンジャへと斬りかかる。

 

「熱いねぇ!そういうの結構好きかも。でも逃がさないよー サップーケイ!」

 

コロス・ニンジャがミスティックワードを発すると、世界がモノクロめいた色彩に変じ、目に見えぬ壁が漆黒の剣の面々とンフィーレアを殺戮空間へ閉じ込めた!これは一体!?

 

「魔法が発動しない!?」

 

ダインは自身の得意とするドルイド呪文が発動しない事に驚きの声を上げた。呪文が発動しない上に周囲の光景もモノクロ色彩のテンプルめいた場所に変わっている。

 

「イヤーッ!」「アバーッ!?」

 

斬りかかったペテルのロングソードを、バイオバンブー籠手で受け止めていたクレマンティーヌがペテルの首を回し蹴りではねたのだ。ペテルはダインの叫びの意味を理解する間も無く死んだ。

 

勢いよく噴き出す血がニニャの顔にかかる。

 

「あ、あ...嘘だ!こんなの嘘だ!ペテル、ペテル!」

 

「モータルにしては悪くない剣筋だったかなー ご褒美に君の死体は辱しめないでおいてあげよー」

 

ペテルの首をはねた蹴り足を戻すとコロス・ニンジャは上機嫌そうにコロコロと笑った。

 

残るは呪文の使えないドルイド、肩を吹き飛ばされ地面に突っ伏す射手、魔法の使えないスペルキャスター、足手まといのモータルである。

 

「う、ウオォォォ!なめるなである!」

 

ヤバレカバレ!ダインはメイスを振りかぶりクレマンティーヌに殴りかかる!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

空中で激突したメイスとコロス・ニンジャのポン・パンチ!当然のようにメイスは砕け、そのまま殴り抜ける!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

ダインの巨体がコロス・ニンジャの拳撃連打によって宙に浮く!あまりのラッシュにダインの骨は彼のメイスの様に砕けた。ダインの最期の光景は、仲間の血に染まったクレマンティーヌの脚が顔面に向かってくるところだった。

 

「さ・て・と、ニニャくんって言うのかなぁ?あとはあなただけだよー」

 

「ひっ...マジックアロー!マジックアロー!マジックアロー!どうして発動しないの!?ナンデ!?マジックアロー!マジックアロー!「イヤーッ!」グワーッ!?」

 

「ちょーっと五月蝿かったかなー」

 

「ゲホッゲホッゴボボーッ!?」

 

コロス・ニンジャにとっては何気無い蹴りの一撃も、ニニャにとっては狂乱したアフリカゾウが振り回すメイスが腹部に直撃したようなダメージ!

 

「んふっ、まるで女の子みたーい。その可愛いお尻をふりふりして皆に守ってもらってたんでちゅかー?」

 

「ッ!? 皆を馬鹿にするな!」

 

「ダマラッシェー!」

 

「ひぃっ!?」

 

一瞬にして増す威圧感。ニニャは激しく失禁した。コロス・ニンジャは言葉にはせぬが、その表情と態度でもってこの無力なスペルキャスターの無能さを嘲笑った。

 

「Sikkoku!」「グワーッ!」

 

「ニニャを馬鹿にするんじゃねぇ!こいつは俺らの大事な仲間だ!」

 

呼吸すら止め、コロス・ニンジャが油断する一瞬を待っていたルクルットが短剣で一撃を入れた瞬間だった。

 

「...とでも言うと思った?イヤーッ!」「アババババーッ!?」

 

一撃、だがそれだけだった。コロス・ニンジャの反撃は滑らかにルクルットの股関を強打し、金的を破壊した。ルクルットは無惨に悶死した。

 

「あ、あ、ルクルット?ルクルット?返事して下さいよぉ...」

 

「あっははははは!ホント傑作。 そんな弱点無防備にぶら下げてるのがいけないんだって感じー」

 

「みんなごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい役立たずでごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!」

 

虚空を見つめて謝罪の言葉を呟くニニャの右腕をチョップで切り飛ばす!

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!」虚空を見つめて謝罪の言葉を呟くニニャの左腕をチョップで切り飛ばす!

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!」

 

虚空を見つめて謝罪の言葉を呟くニニャの右足をチョップで切り飛ばす!

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!」

 

虚空を見つめて謝罪の言葉を呟くニニャの左足をチョップで切り飛ばす!

 

「んふふー ダルマみたいになっちゃったねー?」

 

このような状況ではあるが、ダルマというスレイン法国特有のタリスマンについて説明したいと思う。ダルマとは七大神が伝えた善なるフェアリーを象ったタリスマンである。大きな物から小さな物まで有るが、掌に乗るようなサイズが一般的でスレイン法国では子供たちが洗礼を受ける際には祝福された小さなダルマ・タリスマンをもらう慣習がある。

「飽きちゃった。じゃ、オタッシャデー」「あっ、あっ、あっ、アバーッ!?」

 

コロス・ニンジャは極めて無造作かつゆっくりとニニャの心臓をチョップ突きで抜き取り、握り潰した。

 

(やっぱり飽きるのが早いな。何かこう...血沸き肉踊るような戦士存在と戦いたいな...)

 

戦っている最中も、クレマンティーヌはどこか冷静に自分を見つめていた。邪悪な振る舞いをする自分を後ろから眺めている自分がいる。だからルクルットの不意打ちもあっさりと捌けてしまった。

 

「カラテの不足故に孤独であり、ニンジャになれば強者であるが故にまた孤独ってね」

 

クレマンティーヌはコロス・ニンジャの精神的オーメンを外すと寂しげに微笑んでからンフィーレアを背負い、窓から夜の闇へと消えていった。

 




人工的にニンジャを造り出す計画によって陸の神兵第一号となった戦時中のニンジャソルジャー、キャプテン・ヤマトがセキバハラの研究施設で目覚めてワタアメチャンとかサワタリとかと絡む話が脳裏をよぎった。

実際映画のみすぎであり私のちのうしすうは右肩下がりだ。備えよう(新生活に)
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