ナザリック地下大墳墓にニンジャナンデ!?   作:酢酢酢豆腐

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◆実際短いがこれは生存報告のかわりな◆


ナム・クッキングタイム

「...サワタリ=サン」

 

漆黒戦士モモンは漆黒の剣の面々がいる場所から少し離れた河辺で膝を抱えていた。

 

「少しばかり探したぞ。思ってたよりも遠くに行っているんだからな」

 

サワタリとフィオがモモンの後ろに立つ。フィオは奥ゆかしく、口を開かない。

 

「私はおかしいんでしょうか...?未だに去っていった皆の事を引きずっていて、つい感情的になってしまう。そうして感情的になった挙げ句に自爆して勝手に落ち込んでるんですもんね。変ですよね...こんなのおかしいですよね...」

 

否定して欲しいのか、無慈悲に肯定して欲しいのか。兜越しの声からは読み取ることが出来ない。

 

「何もおかしくはない」

 

「でも...」

 

「何もおかしくはない」

 

「アッハイ」

 

やや狂気を滲ませながらも、サワタリは決断的に否定した。二人がモモンを見つめる瞳には献身的なやさしみがあった。

 

「そんなことより河がある!スシだ!」

 

さながら淀んだ空気を入れ換えるかのように、サワタリがわざとらしく明るい声を出した。

 

「ワーイ!アナゴヤッター!」

 

「「ゴーウ、ランガー!」」

 

イェイ!フィオとサワタリはすかさずハイタッチを決めた!

 

「え?」

 

「モモン=サン、食べれなくとも食事は目で見て、鼻で嗅いで楽しむ事は出来るだろう。スシだぞ!」

 

「え?アッハイ。スシですか」

 

「リアルじゃ滅多に見れないヤツを握ってやるからな」

 

「アナゴヤッター!」

 

フィオがピョンピョン跳び跳ねる。ネコネコカワイイジャンプだ。

 

 

 

十分後、サワタリ達の手元には4匹ものアナゴがあった。サワタリの野伏力にかかればベイビー・サブミッションである。

 

「では火をおこしますね」

 

モモンのガントレットの掌部分からフレイムスロワーめいて超自然の炎が発生する。接触魔法系統《火炎放射》だ。ゲーム内では術者の力量によって威力が増減するのが特徴的だった魔法だが、現実になった今、自在な火力を実現していた。暗黒鎧戦士状態では使用可能な魔法の数にかなりの制約が課されるがモモンは使用する魔法のスロットにこの魔法を登録していた。

 

近接戦闘を考慮しての事だったが、初めての出番がアナゴ焼きインシデントとは誰が予想出来ただろうか!

 

サワタリは手際よくアナゴを切り開き、内臓の類いを抜くと鉄串を打ち、塩をかけると火で炙り始めた。その横ではフィオが米を磨いでいる。フィオはまるでこの三人が本当の旅仲間であるかのような気分になった。ナザリックに戻れば、全てのシモベというシモベが彼女の事を羨むだろう。

 

外見的には幼げな元気娘であるところのフィオは、そこに居るだけで周囲からの警戒心を弱める働きがあり、サワタリとモモンはプレアデスの様な見目麗しいタイプのシモベを連れて来ずにフィオを選んだ事を成功だと考えていた。

 

しかし、フィオからすれば何をするでもなく演技しているだけで至高の御方の側に侍ることがただ一人許されている、というのは非常に居心地の悪い思いだった。

 

それが今は隣にサワタリがおり、フィオの進捗を気にかけシモベである自分のためにオーガニック・アナゴを焼いてくれている。モモンの思い出に土足で踏みいった人間には思うところがあるものの、フィオは今の状況を喜ばしく思った。

 

あれよあれよという間に、アナゴスシの準備がなされフィオの腹からはクゥと音がし、フィオは大いに赤面した。

 

「ではいただきます!」

 

「いただきます」

 

「いやぁ、しかし本当に見事なスシだ。もしかしてニンジャとはイタマエの別名なのでは?」

 

「それは順序が逆というものだぞ、モモン=サン」

 

「え?」

 

「川でニンジャが魚を捌いているところを見ていたモータルに、ニンジャが戯れに包丁とマナイタを渡した。そしてそのモータルは歴史上最も古いとされるスシ・ドージョーをひらいたのだ」

 

「アッハイ、知りませんでした」

 

サワタリ様は物知りだなぁとフィオはしみじみした。

 

(そういえばイタリアのナポリにナポリタンは無いという事を教えてくれたのもサワタリ様だったっけ。イタリアっていうのは随分遠い国らしいから、さすが世界を股にかける戦士!スゴイ! )

 

「ちなみにナポリタンは物資の不足したナムの戦場で発明された料理なんだ」

 

まことしやかに語るサワタリの瞳は真剣だ。

 

「アイエ?ナポリ発祥じゃないんですか?」

 

「うむ。それは実際料理初心者が陥りやすい勘違いの1つだ」

 

火加減を調節しながらモモンは身振りで話の続きを促す。

「イタリア系の兵士でスキピオってやつがいた。こいつはいいやつでな、限られた材料で旨いものを作り出すタツジンだったんだ・・・」

 

「だった、ということは・・・」

 

「あぁ、死んだよ。ベトコンどものRPG攻撃でな。このレシピで隊の皆に旨いもの食わせてやってくれって、あとはマンマに勇敢に戦ったことを伝えてくれって言ってな・・・ 」

 

「そんな酷い・・・」

 

フィオは思わず涙ぐみながらサワタリに寄り添った。磨いだ米は既に飯盒の中だ。サワタリはやさしみに満ちた手つきでフィオを撫でた。

 

「いつかサワタリ=サンのナポリタン食べさせて下さいね」

 

「おいおいモモン=サンは食べれないだろ!骸骨だけに!」

 

サワタリが肩をすくめて言うと、モモンは兜のスリットが入った部分を平手で軽く叩いて笑った。

 

「そうでした。骸骨だけに!」

 

ゴウランガ!なんという骸骨ジョークだろうか!これはウィットに富んだ骸骨でなければ使いこなせない!

 

サワタリの握ったスシを頬張るフィオと、自信作のアナゴスシをがっつくサワタリを見ていると、先程までの黒々としたモヤめいた気持ちが無くなっていることにモモンは気付いた。

 

仲間たちがのこしたNPC、そして一緒にこの異世界を冒険してくれるニンジャ存在。あれぐらいの言葉で気分を害するようでは現在残ってくれている者にシツレイだ。モモンは明日、ペテル達に詫びようと決めた。

 

何せこれから、大事な仲間とともに未知の世界を冒険するのだから。




◆内戦な◆大尉米国を観賞したので私は誰彼かまわずミッションリポートを聞いたり、君の本当の故郷の話を聞いたりしたい気分だ!
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