そして、フォレスト・サワタリの好みは金髪で豊満...
「アイエエエ・・・・疲れましたねフォレスト=サン?」
「そうですね、モモンガ=サン。だが、実際俺はナムで地獄を見ているからな。部隊員との良好な関係を構築するのはサヴァイブに必須だ。モモンガ=サンも何度かひかっていたが大丈夫か?」
ここは第九層のモモンガの私室だ。ニンジャと骸骨は一通りの指示を出し終えて、今は安全に憩っているところであった。しかし気掛かりなのはサワタリのナム狂気表出頻度が、ゲーム中よりも明らかに高く、持続時間が長い傾向にあることだ。
「フォレスト=サン、私たちだけの時はロールは無しでいきましょう。このままじゃ本当にサワタリ=サンが狂気のニンジャ存在になってしまいそうで・・・」
サワタリは一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに笑顔を見せた。
「デスネー モモンガ=サンも精神疲労はあるでしょうから、フートンに横になったりして憩ったほうが良いですよ!ユウジョウ!」
「ユウジョウ!」
「でも折角だしナザリックの外にも冒険行きたいですね」
「いいですね冒険!見たことないアイテムやモンスター、食物が俺とモモンガ=サンを待ってますよ!」
「ははは・・・でも先ずは情報収集からですよ?いつもみたいに一人で突っ込んでいったら駄目ですからね?」
「アッハイ」
実際モモンガは安全面という意味ではさほどサワタリのことを心配してはいなかった。サワタリのPvPでの勝率は高く、公式武術トーナメントでワールドチャンピオンを逃したのは、同じワールドに例のリアルで格闘技世界チャンピオンで実際チャンピオンなあの男がいたからだ。サワタリ曰く、あの男とたっち=サンには10回やっても1回も勝てない可能性が重点だが、そのほかのワールドチャンピオン相手なら勝ちの目は有るとのことだった。
なので独断先行を止めた理由は、折角リアルのくびきから自由になったのだから一緒に楽しみたいという、見方によってはカワイイな理由であった。
「しかし、階層守護者達からの評価が凄かったですね。私ビックリしてひかりましたもん」
「あー...絶対なる支配者で、慈悲深く賢明で、行動力もあって、アルベド=サンの恋人でしたっけ」
「大体そんな感じですけど、アルベドに関してはフォレスト=サンのせいじゃないですかァ!」
「支配者なんだからヨメの一人や二人いてもダイジョブダッテ!」
サムズアップ!テンションの高い、ハリウッドムービーに出てくるアメリカンめいたサムズアップにモモンガの堪忍袋はばくはつした。
「イヤーッ!」「グワーッ!」
軽装とはいえ、前衛のサワタリにダメージが入るわけはないので、これは実際じゃれあいだ。
「それに、フォレスト=サンだって凄い評価だったじゃないですか!...超越的強者デアリ、後進ノ育成ニモ力ヲ注グ偉大ナ戦士デアルカト。とか言われてたじゃないですか!」
「スイマセン、あんまりソンケイされたり忠誠されると緊張してナム発作が起きるんで勘弁してください」
「アッハイ」
何か事が起きれば、モモンガ=サンと仲間達の残したナザリックの皆を守護らねばならない。そのプレッシャーが重くのし掛かる。
リアルでも、ヨロシサン末端研究職だったサワタリは日常的にセプク・オア・グローリーめいた状況に置かれていたが、その時はユグドラシルで現実逃避が出来た。
今は自由になったかわりに、責任が100倍だ。そのプレッシャーに耐えられなくなった時、サワタリは偽りのベトナム戦争の記憶に支配され、ナムの狂気に陥るのだ!
「そういえば、狂気永続化が継続しているのは分かりましたけど、他のスキルなんかはどうですか?」
「そうですね...もともと私は軽装かつ最前衛で、トラバサミとフドウカナシバリ・ジツ由来の石化で敵の足を止めて、ダブル・イアイドとカラテで削り殺す戦法をとっていましたよね。アンブッシュから出来る限り乱戦に持ち込んだりして。」
「ハイ。」
「この腕や首のヘビめいた鱗や身体の柔軟性を見る限り、コブラ・ニンジャクランを選択したことは活きています。つまりフドウカナシバリ・ジツは使えます。そして、身体能力も凄まじいです。リアルではバイオウェアを身体に入れていたんですが、今のニンジャ身体能力に比べたらゴミ同然ですね。デメリットである、カラテシャウト無しだと攻撃威力半減も確認しているので、ほぼユグドラシル内と変わらない感覚で戦えるでしょう」
実際ニンジャと非ニンジャにはそれほどの身体能力の差がある!強力なニンジャであれば、高速で射出された銃弾をつまみとり、瞬時に投げ返すことも可能なのだ!
「なるほど。私も魔法は使えましたし、それなら問題は無さそうですね。後は外の種族が200レベルとかじゃなければいいんですが...」
「そしたらもうワールドアイテム使うしかありませんね」
「それもそうだ。心配しても仕方ないことでした」
「ところでフォレスト=サン、地上は如何でした?写真ではかなり見事な星空に見渡す限りの草原でしたが」
モモンガが小首を傾げながら問う。ギャップモエだ!
「そうそう、外スゴイんですよ外!満天の星空にケミカル臭のしない空気、見渡す限りの草原に見事な自然!うまいモグラ!実際最高でした!」
「そんなにですか?わぁー、なんか私も行きたくなってきましたよ外!今から行きませんか?...いや、行きましょう!」
手をバタバタふりながら目を常よりもいっそう赤くひからせる骸骨!コワイ!そしてひかる!
「あぁー沈静化されました...」
「あー精神的な状態異常の無効化ですか」
ガックリと肩を落とすモモンガの背中は実際煤けてみえる。
「まぁ、気を取り直して外行きましょうよ。ネ?」
「そうですね!じゃあリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで一階層に転移ってことで」
「ヨロコンデー」
「さぁ、やって来ましたよ第一階層。そして何故デミウルゴスが居るんだろうか」
「デスネー」
二人の視線の先には何故か親衛隊を引き連れたデミウルゴスが居る。なんか近寄りがたいので脇をこそこそと移動していたモモンガとサワタリだったが、隠密スキルや隠密ボーナスをモモンガが持っていないためあっさり知覚された。
「モモンガ様。近衛も連れずに一体何事ですか?」
「アイエ...これはだな」
BOON!そこにスニーク状態を解除したフォレスト・サワタリがエントリーだ!
「護衛ならば俺がいる。モモンガ=サンには指一本触れさせん」
「アイエッ!?これはこれは、フォレスト・サワタリ様もお出でとは。地表部に御用でしょうか?」
「そうだ。やはり一度は自分の目で確かめないことにはな。それと、任務中のマーレの陣中見舞いに行くのだ」
すかさずモモンガが援護射撃めいて答える!
「左様でございますか。でしたら、私もお供いたします」
「う、うむ。御苦労」
「シモベとして当然の事にございます」
(あー、これじゃ支配者ロール重点ではしゃいだりは出来ないかな)
モモンガは〈飛行〉の呪文で、デミウルゴスは自らの翼で、フォレスト・サワタリは飛行の首飾りを装備し、それぞれがそれぞれの方法でもって空へと上がる。
「素晴らしいな...」
満天の星空で、空気は実際澄みわたる。現実世界ではもはや地上のどこからも観ることが叶わない景色を、今は三人で独占している。俺と、フォレスト=サンと、デミウルゴス(ウルベルト=サン)。
素晴らしいという他なかった。
「モモンガ=サン!さっきも思ったんだが、これは実際宝石箱だな!」
フォレストは飛行のもたらす不思議な浮遊感を心底楽しんでいるかのような声で言った。
「宝石箱...そうですね。ブループラネット=サンにも見せてあげたいなぁ...」
「モモンガ様、フォレスト・サワタリ様。御許可さえ頂けるのであれば、ナザリック全軍をもって、この宝石箱のすべてを手に入れてまいります」
モモンガは空に向かって力強く拳を握り締めた。
「世界征服なんて、良いかもしれないな!」
モモンガが握り拳をサワタリに向ける。
「ハイヨロコンデー!」
サワタリは力強く、モモンガと握り拳を打ち合わせた。
「!」
ZDOOOM!マーレの地形改造作業音か!既にナザリック周辺には幾つかの丘ができ、ナザリックの姿を隠している。
「マーレ、ナザリックの隠蔽作業は順調か?」
「ももも、モモンガ様!?ようこそおいでいただきますっ...!」
思わぬタイミングでの視察にマーレはしめやかに失禁...はしないがギリシャ彫刻スタチューめいて硬直した。
「そう固くなるな。お前に任せた仕事は非常に重要な事だ。故に、お前の働きに対して私がどれだけ満足しているか知ってもらいたい。褒美だ」
モモンガが取り出したるはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンだ!
「それは!このような至宝を頂いてもよろしいのですか!?」
「良い、許す」
「ありがとうございます!ヤッター!」
マーレは飛び上がらんばかりに全身で喜びを表現している。マーレチャンカワイイヤッター!
だが、男だ。
「良かったな、マーレ」
「はい!フォレスト・サワタリ様!」
「あら、マーレ。モモンガ様からお褒めの言葉を頂いたのかしら?」
意外!それはアルベドだ!
「はい!あと...これも」
「スッゾ!?」
意外!それは左手薬指に輝くリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン!
アルベドの表情は悪鬼羅刹も死の支配者も、ベトコンすら失禁する迫力だ!
「あ、あ、アルベドよ。お前の忠義にも感謝して、これを渡しておこう」
「くふー!有り難き幸せ!」
当然の如くリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを薬指に装着!
「デミウルゴス=サン、俺たちも頑張ろうな。」
「はい、私もかの至宝を授かるに値する貢献が出来るよう、精進致します」
「では我々はセバスに怒られないうちに帰るとしようか、フォレスト=サン」
支配者達が転移して消えると、そこには女淫魔の雄叫びが響きわたったとかなんとか。