ハーメルンで投稿するのは初めてになります。
遅筆の上慣れないことでおかしなところもあるのでご迷惑をおかけするかとは思いますが、よろしくお願いします。
広い神殿、御簾の御前に左右5人ずつが整列してこちらを向いている。
その下座の中央に座り、頭を下げる。
「上級二等神、津田征也、参りました」
『よう来たな、津田征也』
御簾の奥から妙齢の女性の声がする。
『そなた、本は読むかえ?』
「はい。それなりには」
『では、ライトノベルは好きかえ?』
「は?」
高位の女神からの言葉に反応できない。間違いでなければ今、ライトノベル、と言ったか?
『ライトノベルじゃ、ラノベじゃ。知らぬか?』
「い、いいえ。……知っております。…………時々読みます」
しどろもどろになりながら返事を返す。何故だ、何故最高神たる女神がラノベについて聞くのだ。
『お主は先日事故で神になったばかり。神としての経験が全く足りん。そこでだ。最近のラノベの世界では魔法も超能力も珍しくない。ラノベに入り込んで神として能力を使う経験をしてくるがよい』
「………………はい」
それって、今流行りのトリップ転生フラグ、ですか?
『行くのは最近わらわがハマった≪とある魔術の禁書目録≫と≪とある科学の超電磁砲≫の世界じゃ。
なに、多少暴れたところで大したことはない。せいぜい原作が多少変わる程度じゃ。変えてみるのも面白いじゃろう。
全く……原作改変の世界を見るは楽しかったであろうに、向こう側の神はケチでな。正史以外は見せぬと断言しおったのじゃ』
「………………はい」
女神の声がキラキラと輝いていたが、後半残念そうなトーンに変った。
もはや何も言うまい。
『ゆえに我らは手出しが出来ぬ。別室に原作とアニメを用意している。しっかりと予習していくがよい。ああ、別空間に複製を持って行ってもよいであろう。出立は5日後じゃ』
「はい、ありがとうございます。向こうでは何かなすべきことがあるのでしょうか?」
『いやないわ。向こうの世界は魔術師の数も多いし魔力の消費も多いのでな。こちらの世界ではほとんど魔術師もおらぬし使うことの少ない魔力を少しばかり送ってやったのよ。
好きに楽しんでくるがよい』
そして別の神によって案内された別室は……。
「もしかして、オタクだったのか?」
ポスターやらフィギュアやらが所狭しと並んでいた………………(汗)。
「うむ、他の部屋には他のシリーズのグッズが揃えてある」
案内してくれた神は遠い目をして答えてくれた。女神よ、それでいいのか?
五日後―
「では、行ってきます」
≪時空の間≫とよばれる別世界への旅立ちの陣が書かれている部屋で挨拶をする。
「待ってくっださーい!」
10歳位の巫女装束の少女が駆け込んでくる。手にはサングラスのようなものを持っている。
「これ、機能ツールです。良かったら使ってください!」
「? どういうものですか?」
聴きなれない単語について解説を求める。
「えっと、よくゲームでステータスとかあるでしょう? それを確認できるツールですよ!」
便利です、と渡された。
「ありがとうございます」
素直に受け取っておく。
「では、良い旅を!」
そして足元から無数の光の筋が流れだし、意識は白く消えて行った。
――――――――――――――――――――――
目が覚めたら、段ボールだらけの廊下にいた。
「は?」
「気が付いたかね?」
声がした後ろを振り向くと階段の前に30代くらいの髭の男が立っていた。
「こんにちは?」
「ああ、こんにちは。君が新米神君かね?」
「ああ……はい、神になってまだ間もないのでこちらで修行して来るように指示されました」
男はうむうむと頷いて
「君はこの人間と入れ替わってもらう。
母子家庭だが母親が亡くなってこれから学園都市に引き取られる予定の少年だ。しかし不幸なことに荷造り中に誤って階段から落ちて亡くなってしまったのだよ」
「なるほど、それでこの状況ですか」
周囲を見回しながら納得する。
「うむ。報酬は前払いで貰っておる。気兼ねなく充実した生活を送るがいい。
…………こちらからの助けはできんがな」
実にイイ笑顔で男は前半言った後、聞こえないように言ったつもりだろうがしっかり耳に届いていた。
「ではな。健闘を祈る!」
そう言って男は消えて行った。
その後段ボールの中を漁り、自分の名前や経歴を探し当てた。
『神尾征一、もうすぐ中学2年生。過疎の農村で生まれ、2歳の時に父親と祖父母が交通事故で亡くなる。
その後は役場職員の母と二人暮らしで村から出たのは修学旅行程度。
今回母親が仕事中に落ちてきた照明器具の下敷きになって死亡したことにより、母の知り合いの学園都市に引き取られることになる…………か』
そして空間を伝ってこの世界の魔導書約15万冊の知識を仕入れ、元の世界や他の世界の魔法・神力が使えることを確認した。
翌日―
神尾征一は荷物を引っ越し業者に預けて、一人学園都市へと旅立った。