(やっちゃった)
普段と変わらない曇天を仰ぎながら、ユティは立ち尽くしていた。
シャウルーザの上空から消えた
(とーさまとユリウスは違うモノだと思えって、ちゃんと教えてもらってたのに。カナンの地が現れる前に兄弟の片方が死んだら、とーさまとおじさまたちの望みが! 未来が!)
猛然とGHSを取り出す。ユリウスからの着信を辿って同じ分史に進入し、ユリウスがどう文句を言っても正史に連れ帰る。カナンの地出現まで匿う。監禁も視野に入れる。
だが、ボタンを押しても液晶画面は暗いままだ。強くボタンを押しても変わらない。
GHSは壊れていた。
今の衝撃か。そもそも今日までの連戦でガタが来ていたのか。
「ユティ! 無事か!」
アルヴィンが駆け寄ってきた。
応えたいのに唇が震えて上手く言葉にならない。アルヴィンはそれを、ユリウスの安否を案じてと取ったらしく、ユティの両肩を掴んだ。
「大丈夫だ。ユリウスが強いのはユティのほうが知ってるだろ? アイツは何年も一人でクロノスと渡り合って来たトップクラスのエージェントだ。そうそう簡単にくたばったりしねえよ」
(そうじゃない。そんな優しい気持ちで心配してるんじゃないの。ユリウスが死ぬのがダメなのは、今が『その時』じゃないからで、そしたらルドガーが、ルドガーしか)
口から出かけた。だが、呑み込んだ。――呑み込めた。
「いい、アルフレド。ユティはヘイキよ。とーさまが『信じて待て』って言ったら、ユティは信じるの」
「そう、か……ああ、待っててやろうぜ。んで、帰って来たら二人一緒に説教してやろうな」
「いっしょ? ホント?」
「本当。おじさんもうウソつかないって決めたからね」
アルヴィンはニカッと笑った。ユティは力なく笑み返した。
(それはきっとアルフレド・ヴィント・スヴェントがつく最後のウソになる。ワタシが、そうさせる。世界を創り直すのがユースティアの産まれた理由。そうよね? とーさま)
ユティは壊れたGHSに口づけた。
ストリートに喧騒が戻ってくる。何も知らずとも、未知の脅威が去ったことだけは肌で感じ、群衆が我を取り戻しつつある。そうなると始まるのは職務に基づいた警官と兵士の手当たり次第の尋問。好奇心のままに事件を拡散するマジョリティの下劣な娯楽。
「行こう。職質に掴まると厄介だ」
肯く。肩を抱くアルヴィンのリードに任せ、ユティたちはストリートを後にした。
もう一度だけGHSに口づける。
(無事を祈ることだけ、どうか、ゆるして)
(2013/8/15追記)
あ「あんだあでーす(≧▽≦)」
る「るしあでーす(・д・。)」
あ・る「「二人合わせてあんだるしあでーす(≧▽≦)(・д・。)」」
る「して
あ「そりゃもちろん原作と同じでエグイ感じでカナンの地が出現してクロノスと戦ったり魂の橋どうするかでもめたりだな。この魂の橋設定何気に苦しめられたわー。だってまずこれ書き始めた時、PG出てなくてさー。魂の橋って文字通り魂を材質にした橋だと思ったのに、PGだと「魂がカナンの地に行って橋の術式を内側から解除する」ってあるんだもん。(゚д゚lll)になった我らの心情を察してほしい。次回作なんてそれ前提で別の解決策用意したのに」
る「書ける宛てもない次回作を完結前に語るでない。読者諸賢もどうぞ受け流してくだされ。それより今回の解説を疾く致せ」
あ「へーい(-。-)ノシ 今回割とオリ主の心情描写がアッサリ目だがちゃんと色々気をつけたんだぜ? GHSの故障は必死だったオリ主の精神が壊れちゃったレトリック。アルヴィンのも普通なら正しい対処だけどオリ主に限って違うっていう良心が悪展開を招くぶっちー時空。タイトルは『糸の導き』『置き去り』『別の男に託される』のトリプルミーニングだぜ」
る「GHSにキスはオリ主独自の誓いの表明であったの。この時にオリ主は誰に何を誓ったのか……死亡フラグにしか見えん」
あ「ユリウスに『今』死なれたら困ると言った時点でそろそろオリ主の狙いに気づき始めた方もおられるんでないかな?」
る「そういえば前々回で兄弟ED阻止を示唆したが、それだと結局ユリウスを殺す強制一択となるぞ。オリ主の行動はユリウスを生かすものであったにも関わらず。一体どのルートに行きたいのだオリ主は」
あ「惜しい!(>_<) 答えはWEBで!」
スチャッ…( ・д・)▄︻┻┳══━一 ε=ε=ε=┏(゚ロ゚;)┛ヒィィィ!!
【アリアドネ】
①「とりわけて潔らかに聖い娘」「いとも尊き(女・女神)」を意味する名。
②ミノタウロス退治にクレタ島に来たテセウスに恋し、彼に導きの糸を持たせた乙女。これによりテセウスは怪物を退治した後、迷宮から無事脱出した。彼女はテセウスと共にクレタを出奔するが、ナクソス島に寄港した記述を最後に彼女の正確な足取りは途絶える。置き去りにされたとも、ナクソス島にいた神の妃となったとも。