名演、期待してるわ
ある日、一通の手紙がアルヴィンの商会事務所に届いた。
差出人は聞き覚えのない青果商。トリグラフ港でフルーツの直販を計画していて、そこでリーゼ・マクシア産のパレンジとナップルも販売したい、しかしリーゼ・マクシアの販売ルートがないので、アルヴィンたちにリーゼ・マクシア産のフルーツを卸してほしい、との内容だった。
(今まさにコンビ解散保留中って時に、なんつータイミングの悪い依頼だよ。ちょい前ならチャンス! って二人して大喜びだったろーに。ユルゲンス一人に丸投げしちまうか? いやでも、あいつじゃモノの確保はできても、エレンピオスの市場で売るのは無理だ。あいつ、根がお人好しだからぼったくられる。絶対ぼったくられる。もしユルゲンスにも同じ依頼が来てんなら、正式依頼初めてだからすでに食いついてそうだし――)
散々悩んでいるのを見抜かれてか、後日、バランにアドバイスという名の脅しをかけられた。主にユルゲンスが被るデメリットを中心に。
口達者な従兄はアルヴィンの弱点を知り尽くしているだけあって、アルヴィンはさっくり降参させられた。
そしていざ、適当なカフェテラスでユルゲンスと久しぶりに顔を合わせた結果が、
「………………………」
「………………………」
これである。
(商談もヘッタクレもねーなーコンチクショー!)
内心は男泣きで相方の隣の席に座るアルフレド・ヴィント・スヴェント(27歳独身)。
救いはユルゲンスのほうも途方に暮れていることか。とにかく互いが気まずい。ひたすら気まずい。
「あの~。ユルゲンス=アルフレド商会の方でしょうか」
アルヴィンもユルゲンスも肩を跳ねさせてから仰ぎ見た。
「そうだ…です、けど、おたくが?」
「はい。キャメロット商会のアーサーと申します。本日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
アルヴィンたちはイスを立ってアーサーに礼をした。ラカノン商会の件が尾を引いているユルゲンスは、アーサーに対して警戒心を隠していない。
(だーかーらーっ。そういう顔と考えが一致しちゃうとこが付け込まれる元だっての)
――彼らの警戒をよそに、商談はつつがなく進んだ。
全てつつがなく、と言えば語弊があるが。代金で駆け引きはあった。ユルゲンスが、おたくは1年前逃亡中のミラか、とツッコみたくなるほど真正直に要求をアーサーに言うので、フォローするアルヴィンの胆は冷えっぱなしだった。
「ではこれで商談成立ということで」
アーサーがにこやかに締め括る頃には、アルヴィンもユルゲンスもぐでっとテーブルに伏していた。商談がこれほど疲れる仕事とはついぞ知らなかった。
「こちらが代金です。ご確認ください」
アーサーは小切手を書き終えると、台帳から破り取って差し出してきた。確かに、とアルヴィンは小切手を受け取った。額に誤りがないか確かめる。
(『ユルゲンス=アルフレド商会様』か。この名前を拝むのも今日が最後かもしれねえんだな)
感傷は押し込めて。アルヴィンは領収書に相手の照会名と自分たちの照会名、必要事項を書き込んでアーサーに差し出した。アーサーが受領する。
「――確かに。本日はありがとうございました」
「いいえ。こちらこそ……本当にありがとうございました」
立ち上がる。アルヴィンとユルゲンスは交替でアーサーと握手した。
こんな波乱のない普通の商売が、最初で最後のコンビでの仕事。
この日のアルヴィンは、そう覚悟していたのに。
あんだあ「あんだあでーす(≧▽≦)」
るしあ「るしあでーす(・д・。)」
あ・る「「二人合わせてあんだるしあでーす(≧▽≦)(・д・。)」」
る「して
あ「ぶっちゃけゼロでも俺、不思議に思わない。だってアーサー君、原作じゃルドガーの借金知って友達辞めちゃったじゃん。一見さん絶対(・・;)???だぜ」
る「然り然り。一体何名が拙作の『ルドガー借金ナシ』設定を覚えておられる事か。何せ作者じゃからのう」
あ「この後カフェの外で待機してたルドガー&オリ主と合流して「こんなんでよかったのか?」「ああ、バッチシ。サンキュー」みたいなやり取りするとこまで作者の脳内にあるという妄想列車っぷり。視点人物の関係上書けんかったんでここでお蔵出し」
る「すでにM8でネタバラシしておるのだから変にビックリ箱構造にせんでもよいのに、己の煩悩をコントロールできぬからこうなるのだ」
あ「さすが
る「この世の誰より我自身を甘やかさぬというのが
あ「チクショウ! これじゃ何のためのオリジナル回か分かりゃしねえ!」
る「息抜き回じゃろ」
あ「違う! 今まで放ってきた原作との違いのアレコレの回収回だ!ヾ(。`Д´。)ノ彡 それをほのぼので終わりやがって