絶望《ファントム》が希望《μ's》を守っちゃ駄目ですか? 作:帆金 焔
私はただ…、皆の力になりたかった…。
〇〇〇
元々、『ラブライブ!』に興味はなかった。
テレビのCMでたまに見かけても、コンビニで売られているカップラーメンに星空 凛ちゃんのイラストが載っていても、本屋で漫画が売られているのを見ても、それらから得た知識はすぐに私の意識から零れ落ち、思考するまでには至らず、記憶にも興味にも留まることは無かった。
では、どうして興味を持つようになったのか?
切っ掛けは、二次創作小説を載せるサイトで『ラブライブ!』を題材にした小説を読んだからだ。
『ラブライブ!』という名前に惹かれ読み始めると、これがまた面白かった。
それから私はアニメも観始めた。……まぁ、アニメついては私が住んでいた地域では放送されず、既に最終回を終えていたこともあり、DVDをレンタルしての観賞だったけど。
結果は当たり、私の中ではまさに良作と言えるアニメの一つになった。
歌を聴いて、虜になるのは時間の問題だった。中でも一番好きだったのが『ススメ→トゥモロウ』。
高坂 穂乃果ちゃん・園田 海未ちゃん・南 ことりちゃん・星空 凛ちゃん・小泉 花陽ちゃん・西木野 真姫ちゃん・矢澤 にこちゃん・綾瀬 絵理ちゃん・東條 希ちゃん。μ'sの皆からは元気を貰った。
三次元の人間が二次元相手に何言ってんだとか思う人も居るだろうが、少なくとも私は彼女達自身から、そして彼女達が歌う歌から間違いなく元気を貰った。
馬鹿だと思う人も居るだろう。それでも私はいつしか、μ'sに恩返しが出来たらなと思うようになった。出来ずとも、せめてお礼が言いたかった。元気をくれてありがとう、と。
しかしそれと同時に、現実的に考えて不可能だということも理解していた…。
二次元と三次元、私達の間には存在そのものに大きな壁がある。現実的な方面で考えても、μ'sの声優さん達に会えることも絶対にない。
私の願いは、馬鹿の戯れ言で終わるんだろう…。…だけど、その願いは全く予想だにしなかったことで叶おうとしていた。
二次創作小説の中でしか有り得なかった『神様転生』、それを実際に体験することになったときはすぐに『ラブライブ!』を転生先に選んだ。
これで皆にお礼が言える、皆の力になれる…!
……僕、白羽 雅の願いと期待は大きく、そして残酷に裏切られた……。
〇〇〇
「…………知らない天井だ」
天井を見つめながら記憶を手繰り寄せ、自分が置かれている状況を考える。
「……あぁ……そっか………」
自分はもう人間じゃない……、化け物になったんだっけ……。
左手を視界に入る高さまで上げ、意識を集中させる。
人としての形は揺らぎ、化け物のそれへと変わる。
「……は………はははっ…………」
渇いた笑いしか出てこない。
もう…、この手は誰とも繋がれない…。化け物の手に…、誰も繋がってくれるわけがない…。
上半身をゆっくりと起こし室内を見回すと、ふとある物を見つけた。
壁にぶら下がっているコルクボード、それには数枚の写真が貼られていた。
一人だけで写っているもの、数人と一緒になって写っているもの。私服で写っているものや制服で写っているもの。…制服は知っている。音ノ木坂学院の制服だ…。
悪いと思いつつ、その中の一枚を剥がし、手に取る。
金髪と青い瞳を持つ女の子と黒髪おさげの女の子、音ノ木坂の制服を着ている二人が写った…。
写真の二人は笑顔で…、その笑顔は逆に私を苦しめるものとなった…。
「………嫌だ………こんなの……………嫌だ……!」
そんなに弱くもないはずの涙腺は緩み、涙を溢れさせる。
神様……!どうして私を化け物にしたんですか……!これじゃあ、皆を守れないしそれに……。……雪穂ちゃんを殺してまでこの世界に居たいとは思わない…!なのにどうして…どうしてこんな……!
良い神様だと思っていたのは、私の勘違いだったんだろうか……。どうすればこの怒り・悲しみをあの神様にぶつけることが出来るんだろうか……。
「……………………あっ」
一つだけ、可能性があった…。
「……そっか……
死ねばもしかしたら、神様にまた会える。それと……あの世なら雪穂ちゃん本人にも会えるかもしれない…。
右手もファントム化させ、しばし見つめる…。
本当に化け物の手だ…。きっと誰かと繋がることもできず、誰も守ることなんてできない
転生したばかりなのにすぐに死ぬ、……不思議と、恐怖は感じなかった…。
ただ情けなかった…、何も償えず死のうとする自分が…。
ただ怖かった…、このままこの世界に居たとして…いつかμ'sの皆に『化け物』って言われるんじゃないかと思って…。
無意識に、私は呟く…。
「……ごめん…………なさい…………」
誰かに届いても、きっと許されない一言…。
死んで、雪穂ちゃんに会えたとして、謝って……それでもきっと……許してはもらえないだろう…。
「ごめん…………なさい………」
最期にもう一度、呟く…。
グッ。両手に力を込めたところで──
トントンッ、ガチャッ
「起きて───っ?!?」
バチンッッ‼
──力一杯、頬を叩かれた。
「馬鹿っ‼何してるの!?」
頬を叩かれたことにも、希さんの叱咤にも何も感じること無く、改めて自分の両手を見ながら呟く…。
「………本当に………何やってるんだろう…………」
最近、漸くラブライブ!サンシャインを観ました。……僕が住んでいる地域はサンシャインは放送されずDVDが出るのを待つしかなく…!レンタルしてやっと観れた!……で。観てて、超絶気になったんだけど……サンシャインって、ラブライブ!からどれくらいの月日が経った物語なんでしょう…?